新古今和歌集の部屋

俳句集 孤鷺 金沢にて

孤 鷺

         金澤にて(1998~2001)

自閑は、李白の山中問答の

問余何意棲碧山 笑而不答心自閑

(あなたはどうしてこんな山奥に棲んでいるのですか?私は笑って答えず。心は自ずから安らかだ。)

より、俳句短歌を気ままに作って、心静かにしたいとの願いから、自分でつけました。
 
つたない自作の俳句、短歌、短編小説(31文字より多いものを書いてみたくなったことから書いた)です。

もしお時間がございましたら、お読み下さい。

 

   せみしぐれ
亡き友をおくりて騒ぐ蝉しぐれ
 
   新 盆
たちが集いてうれし持ち花火
夏惜しむ空に沸き立つ茜雲
山の間に膨らむ旭秋の朝
 
  一人住まいの飲み屋の女将の気持ちを詩って
年を経て夕暮れ寒く巷居る
年を経て寂しさ募る夕焼けに
 
  金石漁港で狸を初めて見て
夕焼けと狸見に来る港町
のき下の何をか喰わん痩せ狸
夕焼けの川面を散らす帰り舟
 
  立 山
紅葉を押し下げてや初冠雪
 
空重く驚かしてや鰤越し
 
  冬の内灘の海
色のなき空と海とに吹くみぞれ
 
  前田利家公像
母衣武者の影も勇まし秋の寺
ほうほうと落葉舞上げ鳩の寺
からからと落葉転がり風寂し
 
  窓の曇ったバスを降りて
港より巷(まち)に出て見る雪景色
 
   里 帰 り
老いし母これが最後か帰る汽車
見送りの母見納めと窓開ける
 
  犀川大橋のたもとのスナックで
犀川のたもとに光る牡丹雪
片町の色写してや水光る
年の瀬の犀川渡る人早し
 
  退 職
長年の思ひが募る雪景色
退職の思ひは募る雪景色
 
  夜の禅寺
禅寺に夜風は寒く樹々きしむ
  雲水に待ち合わせまでの気持ちを恥じて
禅寺に作務衣を見つけ寒さ恥
 
  新年のスナックの店にて
冬いちご酒のゆらぎの甘酸さや
冬いちご泡のゆらぎの甘酸さや
かずの子の黄色ぷりぷり歯に甘し
焼芝の新たな命ひょっと見ゆ
なん天の影うつろいて盃に入る

   陶淵明
六朝の麗美の中に素が光る
 
   DNA
十億のらせんの中に神を見ゆ
十億のはるかな流れ螺旋かな
 
   おさな子とおとな
赤ほっぺ一つ一つが
    「じょうずやね」
 
  久しぶりに晴れて
定めなき冬の青空庭に出る
 
  春の朝日が雪山を光らして
しらやまの奥の奥まで見ゆる春
 
  春の雨
北國のひと雨ごとに春よこい
北國のひと雨ごとに春になれ
 
  惜 別
行く春や二川の桜名残惜し
 
  上越新幹線の春
花と雪ともに降りけり旅の窓
 前句を芭蕉伊吹山の句の前書きを借りて
花と雪たのみて進む旅の窓
 
 帰京直前の突然の大雪に
花見たば
   しばし留まれなごり雪

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