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かさねておくるていれんに
重 贈 鄭 錬
と ほ
杜 甫
ていしまさにゆかんと
鄭 子 將 行
やむ ししんを
罷 使 臣
のうになしいちぶつの
嚢 無 一 物
けんづるそんしんに
献 尊 親
こうざんみちとをし
江 山 路 遠
き りの ひ
羈 離 日
きうばたれかたらん
裘 馬 誰 為
かんげきのひと
感 激 人
このひとは、こきやうへゆかん
とて、くわんをやめてゆか
るゝが、けつこうなるひと
ゆへに、たみをむさぼ
らず、一せんのたくわへ
なく、こきやうのおやた
ちへみやげもない。これ
から、こきやうへかへるみち
もとをく、こうさんをへ
てゆく事じや。きうば
は、ふうきのひと、みやこに
は、ふうきなるひともだ
いぶんあるが、このひとの
ひんきうで、けつぱく
なるとかんげきし、あ
われんでやるものも
ないは、ぜひもないと
事かな。
きりとは、たびにおもむく
みちすがらの事なり。
くわしくは、
唐詩講釈にあり。
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重ねて鄭錬に贈る
杜甫
鄭子、将に行んと使臣を罷む。
嚢に一物の尊親に献づる無し。
江山路遠し羈離(きり)の日
裘馬(きゅうば)、誰か感激の人たらん
意訳
鄭君は、まさに地方官吏を辞め、故郷に帰ろうとしている。
しかし、囊中には、親へのお土産となる様なものは、一つも無い。
川や山を越えて行く路は遠く、旅の中でも、
革衣を着て肥えた馬に乗る金持ち達は、君の清廉さで感激する者は果たしているのだろうか?いやいないだろう。
※鄭錬 経歴不詳。ただ、贈別鄭錬赴襄陽という五言律詩があり、杜甫が成都にいた時に故郷に帰る鄭錬に重ねて贈った詩と思われる。
※使臣 地方官吏。
※羈離 馬の手綱のことで、馬で旅立つと言う事。
※裘馬 高価な革衣と肥えた馬、軽裘肥馬の略。富貴で贅沢な生活をしている者。
唐詩選画本 七言絶句 巻第五
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