つれづれ日記(仮)

今年から入所施設で働いています。

色素性乾皮症(XP)

2006-08-20 00:24:16 | 映画・ドラマ
と言えば現在TBSで放送中のドラマ「タイヨウのうた」で主人公が患っている病名です。
映画はドラマより先に同名で公開されました。


映画は見ていません。
ドラマは毎回ではありませんが、少しだけ見たことがあります。

ドラマの最後に
「本作は、実際の色素性乾皮症(XP)の症状とは異なる表現もあります。」

というようなテロップが流れていて嫌な予感がしていました。

私は、病気や障害を扱ったドラマや映画は見るのを躊躇することがあります。

それは、病気や障害の正しい症状や当事者の生活の実態を丁寧に取材しているとは思えない作品が残念ながら見られるからです。


どうやら「タイヨウのうた」もそのような残念な作品の一つだったようです。
wikipedia色素性乾皮症について 色素性乾皮症に関する誤った認識という項に詳しく載っています。

そのように感じたことの理由として4点挙げます。

1、19歳の主人公は、徐々に指などから神経症状が出だすが、19歳まで神経症状(皮膚疾患、知的障害、聴覚障害)がまったく出ていなくて、その後急速に進行するような例はないという事実。

2、「太陽に当たると死んでしまう」ような表現があるが、(日光に当たって皮膚がんになる確率は健康人の約2000 倍といわれているが)太陽に当たったからといって、死んでしまうわけではない。

3、主人公は昼は寝て夜はストリートミュージシャンという生活を送っているが、現実の当事者は昼間は家の中にこもっているわけではないということ。子どもの当事者は、紫外線が当たらないように適切に防御して、毎日学校に通っている。

4、太陽の出ていない夜ならば全く安全と言うわけではなく、照明やネオンにも紫外線を含むものが多くあるため、長袖やUVカットクリーム、帽子などの紫外線対策は欠かせないのが現実であること。




あのドラマを見て感動する人もいるかもしれません。
主人公に共感して涙を流す人もいるかもしれません。




しかし、あのドラマは色素性乾皮症の症状のドラマに使いやすいところだけ、あるいはもっと罪が重い、事実を曲げて製作されている作品です。


実際にこの病気で苦しんでいる人たちは、正しく理解されないことにとても傷ついているでしょう。


このような病気があることを知っただけでもいいのではないか、
これをきっかけに自分で調べれば誤った表現に気づくのだから結果的によいのではないか、


そのような意見もあるでしょう。
果たしてそうでしょうか。




私はそのようには思いません。




テレビと言うメディアの威力は絶大です。
関心を持って事実を調べる人の存在は喜ばしいものです。
しかし、そのような人は視聴者の何%でしょうか。
テレビで流れていたことを鵜呑みにする人も多いはずです。

製作サイドが、わざと誤った表現をして、視聴者に事実を突き止める作業をさせることでこの病気の正しい知識を習得させることが目的だとは考えられません。

このドラマの製作スタッフは、色素性乾皮症の当事者の生活の困難さに加えて、
知名度は上がっても正しく病気を理解してもらえないという新たな苦しみの加害者になっていることを自覚すべきではないでしょうか。



今回の日記は、言葉がきつくなった部分もありますがご了承ください。

またこのドラマに感動したかたは嫌な気持ちになったかもしれません。
でも私はそのような人にこそこの病気のことを本当の意味で理解してほしいと思います。
感動された気持ちを否定するつもりはまったくありません。
相手の立場にたって喜んだり、悲しんだりすることができることはすばらしいことです。

色素性乾皮症に関心をもたれた方はこちらのHPをご覧ください。
色素性乾皮症連絡会(←クリックしてください。)

こちらでもドラマでの症状と実際の症状が異なっていると書かれています。

色素性乾皮症は、難病指定されていないために現在多くの当事者の方が経済的に困難を強いられています。
同時に難病指定されないことは研究も積極的に行われないのだそうです。

↑のHPで難病指定請願の署名も行っているそうなので(私は関係者ではありませんが)ご協力お願いします。




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