かもめのぶろぐ(JIA神奈川ブログ)

日本建築家協会関東甲信越支部 神奈川地域会(JIA神奈川)のブログです。

「ソウルの建築・都市空間-現代と伝統」

2008-08-08 | イベント・セミナー・見学会
 冨井正憲(韓国漢陽大学招聘教授・神奈川大学助教)の講演会に参加して

オリンピックの開催された1980年代に都心から周辺に開発が進んだソウルの街は、2000年代に入り朝鮮王朝時代の歴史ある中心地域に戻ってプロジェクトが展開で、景福宮等の王宮の修理復元や全長18kmの城郭も昔の姿を忠実に取り戻す計画が進められているとの事。講演の中で特に興味深かったものは、李明博現大統領がソウル市長時代に選挙公約として実現した「ソウル中心部の清渓川復元再生プロジェクト」で、これは現行の中心市街地の現役交通路を取り払い、約6kmにわたって元の川を掘り起こし復元したというのですが、川の両側の遊歩道がのどかな市民の憩いの場所になっているのが、写真でよく伝えられていました。
当初計画に反対していた岸辺近くの住民が従来の交通路が絶たれる事によるデメリットを克服し、結果的にプロジェクトに対し一番のサポーターとなっていったエピソードは,朝鮮王朝時代に美しかった川とその周囲の情景ー「親水空間」をもう一度取り戻したいという素朴な気持ちが、事を動かす大きな力となり得る証なのでしょうか。
しかし本当にこんな事が2年3ヶ月でできてしまうのは驚きです。その他韓国の現代建築の作品の数々も紹介されていましたが、旧ソウル大学敷地付近、東大門市場に隣接する運動場跡に計画されている芸術複合施設と公園(ザハ・ハディド案)は印象深く、是非訪れてみたいと思いました。

7月26日 横浜市開港記念会館

最新の画像もっと見る

post a comment