かもめのぶろぐ(JIA神奈川ブログ)

日本建築家協会関東甲信越支部 神奈川地域会(JIA神奈川)のブログです。

LRT(次世代型路面電車)について

2008-10-21 | お知らせ
昔勤めていた自由が丘の設計事務所が、自由が丘の駅から街中を通り、会社を経由するルートを持つ「天ぷら油で走るバス」を走らせていたので、交通機関と街づくりの関係にとても興味がありました。横浜にも、次世代の公共交通機関で、街の活性化やCO2排出削減といった環境問題に取り組んでいる「横浜にLRTを走らせる会」があります。この会の理事を務めている栗原さん(栗原正明建築設計室)のお話と資料でLRTを紹介致します。

LRTとは「ライト・レール・トランジット(Light Rail Transit)」の略で、路面電車のシステム全体を近代化・ハイテク化した新しい都市交通システムです。従来の路面電車の車両とは違って、低床、バリアフリー、振動が少ない、大きな窓で町の景色がよく見える、スタイリッシュな車両なので街のシンボルになる。。。等の特徴がある事、又ユニバーサルデザインなので高齢者、障害者、子供でも簡単に移動できる、利用者に優しい乗り物とされています。

日本で「路面電車」と聞くと、「古い」「遅い」「懐かしい」という言葉が浮かんできますが、日本だけでなく、海外でも多くの都市の路面電車は、モータリーゼーションが進むにつれて、廃止されました。しかし1970年代から欧米では新しい都市交通機関としてこの路面電車に着目し、路面電車がLRTへと進化し、再び活躍するようになっています。

実際にLRTの導入によって街の活性化が図られた都市の例として、ストラスブール(仏)、フライブルグ(独)、ポートランド(アメリカ)がよく紹介されています。特にストラスブールの写真をみる限り、敷設面が芝で覆われているゾーンもあって、とても美しい。候補の横浜駅周辺は難しいとしても、新しく整備発展中のみなとみらい地区やかつて横浜の中心的商業地区であった伊勢佐木町、野毛、本牧の一部にグリーンで覆われた路面があれば、町おこしの効果以上にとても魅力のあるランドスケープになると思います。日本のLRT事情はというと、富山市が富山港線を路面電車化した例もあり、こちらは行政主導の取り組みではあるものの、市民からの寄付による基金なども設立されています。沿線の街並みへの観光客の訪問者数が増大しているとの事ですが、地域の公共交通を利用者皆で支えるといった、基本的な街づくりの姿勢が感じられます。

海外の路面電車に乗ると乗車コインやチケッティングマシーンがとても印象的で温かみがあったりします。乗り物であっても、まちのシンボルとして位置づけられて、市民の所有物として親しまれているからではないでしょうか。会の冊子には「LRTは都市交通機関としてではなく都市計画の一部と捉え、あらゆる面で総合的に検討、整備される事で、より効果的で魅力ある存在となります。」と記してありますので、横浜にいつかLRTが走る時は、まちに賑わいを取り戻すだけのツールとしてでなく、車両、停留場やサイン等全ての面でデザイン性の高いものが計画されて、横浜のイメージを内外に充分アピールできるようになる事を心から望みます。

広報委員 谷田部 淳子

撮影:栗原正明

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1 Comments

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追加情報 (マサアキ)
2008-10-21 23:17:20
「横浜にLRTを走らせる会」は以下のウェブログに情報を掲載しています。
LRTに限らず、地域交通や街づくり、環境問題に関する話題も取り上げていますので、是非一度ご覧下さい。
http://lrt.cocolog-nifty.com/yokohama/
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