2009年11月19日(木)「しんぶん赤旗」http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-11-19/2009111915_02_1.html
父子家庭にも児童扶養手当を 連絡会が勉強会 山下議員ら参加
「母子家庭と同じように父子家庭にも、児童扶養手当(所得に応じ最大月約4万2千円)を支給してほしい」。父子家庭の親などでつくる「全国父子家庭支援団体連絡会」(片山知行代表)は18日、衆院第2議員会館で、超党派の国会議員に呼びかけて「勉強会」を開きました。全国から父子家庭の父親ら約10人が参加しました。
父親の一人は「子どもと私、扶養する両親合わせて4人の生活費を稼ぐために、仕事をかけもちし、夜勤を月21回もしている。将来の親の介護も考えると不安でしょうがない」と発言。
別の父親は「先日、子どもが交通事故にあい、仕事を休まなければいけなかった。そんなとき、児童扶養手当があれば、どんなに助かるか」と訴えました。
「勉強会」には、日本共産党の山下芳生参院議員や、佐々木憲昭衆院議員秘書、民主党の国会議員ら十数人が参加しました。
山下氏は「実現のために建設的野党として、党派を超えて協力してやっていきたい」と発言。民主党議員は、来年度予算の厚生労働省概算要求で「事項要求(金額を明示しない検討事項)」として児童扶養手当の父子家庭への支給が盛り込まれていると説明し、「鳩山政権としてその実現のためにがんばる」と述べました。
以下、二週間ほど前の記事。
児童扶養手当、父子家庭へも 首相「予算つける決意」http://www.asahi.com/politics/update/1109/TKY200911090329.html
2009年11月9日23時25分
鳩山由紀夫首相は9日の参院予算委員会で、母子家庭に支給されている児童扶養手当を父子家庭にも拡大することについて、「しっかりと予算がつくよう、その決意でやりたい」と述べた。島田智哉子氏(民主)への答弁。
児童扶養手当は現在、年収365万円未満の母子家庭に支給されている。子どもひとりの場合、所得に応じて月9850~4万1720円。厚生労働省は10年度予算の概算要求で、父子家庭への拡大分を事項要求している。金額は盛り込んでいないが、長妻昭厚生労働相は必要経費を約100億円と見込んでいる。
事項要求について、藤井裕久財務相は「厳しく査定する」方針。ただ、鳩山首相はこの日の答弁で、「父子家庭においても大変暮らしが厳しいご家庭は、たくさんある」として、支給拡大の予算を確保する姿勢を明確にした。
対象拡大には児童扶養手当法の改正が必要で、通常国会への法案提出が予定されている。
父子家庭の過酷さについて、あまり報道されていないようだ。
母子家庭はもちろんだが、貧困が蔓延する現在は、男であっても、低所得である。
母子加算の復活については少しは国民の理解があったように思うけど、父子家庭については、ほとんど関心を持っていないようだ。今朝のテレビで、父子家庭の過酷さを伝える放映されていたのをちょうど見た。それを伝える局の姿勢は、とてもすばらしいと思う。多くの人たちにそれを知ってもらえるようになると、政治を動かす力となると思う。
以下、さらに記事紹介。
ひとり親家庭県調査 父子78%「苦しい」http://mytown.asahi.com/tokushima/news.php?k_id=37000000911250003
2009年11月25日
新政権が来年度から児童扶養手当を父子家庭にも拡大する方針を示すなか、県は24日、県内のひとり親家庭の現状を探るアンケート結果を発表した。母子家庭に比べ経済的にゆとりがあると見られる父子家庭だが、収入は5年前に比べ減少し生活が苦しくなっている。そのため、行政に経済的支援を望む声が多かった。
(花房吾早子)
アンケートは5年に1回あり、今年は7、8月に県内のひとり親家庭1400世帯を対象に調査。父子家庭からは91世帯が回答した。「ひとり親になって困ったこと」について、父子家庭の58・2%が「育児」、42・9%が「家事」、38・5%が「経済状態」と答えた。
父子家庭の平均年収は328万円。前回調査した04年より24万円減った。生活状況については「苦しい」「やや苦しい」と答えた人が全体の78%で、04年より約10ポイント増加。希望する行政の支援策には81・3%が「父子家庭に対する経済的支援」を挙げた。
母子家庭には「児童扶養手当」や病院に入院した場合に保険医療の自己負担分が全額助成される「医療費助成」があるが、父子家庭に限った経済支援はない。
県はひとり親家庭の自立促進を目指す計画の中に今年度、「父子家庭支援策の推進」を目標に加えた。ひとり親の相談窓口や優先的に入れる公営住宅などの情報を、父子家庭にも積極的に提供するという。県こども未来課の板谷充顕課長は「両親がいても生活が苦しい家庭はいくらでもある。不公平にならないためには、どういう施策が一番よいのか悩ましい」と話す。
小松島市田浦町に住む会社員根本拓也さん(32)は妻と離婚してから1年間、小学6年の長男(12)、同4年の次男(10)、幼稚園児の三男(5)の3人と暮らす。約17万円の月収と月2万円の児童手当は毎月ほぼ使い切る。
11月中旬、次男が原因不明の全身けいれんを起こして入院した。入院費は1日5250円。父子家庭は行政の助成の対象外だ。「母でも父でも苦しいのは同じ。なぜ母子家庭だけなのか分からない」と話す。
ひとり親家庭を支援する民間団体「母子父子家庭のいのちと暮らしを守る会」(徳島市)の大谷綾子会長(39)は「父親でも仕事に就けない人は多い」と話す。同会に相談に来た父親の中には、子育てを理由に会社から正社員を辞めるよう言われた人、うつ病を患って仕事を続けられない人もいるという。大谷会長は9月、県議会事務局に児童扶養手当を父子家庭にも広げるよう請願書を提出した。「行政の考え方は何十年も前のもの。もっと現実を見てほしい」
子ども第一に考えると仕事が…父子家庭、厳しい現実 仙台でシンポhttp://www.kahoku.co.jp/news/2009/11/20091126t15046.htm
「子どもと過ごす時間を大事にすると、正社員での再就職が厳しい」―。仙台市青葉区のエル・パーク仙台で「ひとり親家庭を考えるシンポジウム」が開かれ、3人のシングルファーザーから、仕事と子育てをめぐる父子家庭の厳しい現実が報告された。
シンポジウムは仙台市の市民団体「MIYAGI子どもと家庭支援プロジェクト」が企画。児童扶養手当が受給できないなど、母子家庭に比べて支援制度の少ない父子家庭にスポットを当てた。
宮城県大和町の谷田勉さん(38)は、小学5年の長女と2人暮らし。離婚とほぼ同時に職も失い、「子どもを連れて軽自動車で2カ月ほど暮らした。生活するために消費者金融業者の自動契約機で借金を重ね、自殺も考えた」と振り返った。
現在はIT関係の派遣社員として働くが、借金返済のため、5―6種類のアルバイトも掛け持ちしている。完済まであと7年ほど。「行政に頼ったが何もしてくれなかった。貸付制度があれば、借金をせずに済んだのに」と悔しがる。
名取市の杉村直己さん(37)はシングルファーザーになって約10年。実家で両親、小学6年の長女と暮らす。当初は販売業に就いていたが、「転勤か退社を迫られて辞めた」と言う。
杉村さんは「以前は子どもの寝顔しか見られなかった。子どもと話す時間ができたのはうれしい」と話すが、再就職活動は難航している。正社員を目指すと拘束時間が長くなりがちで、2年ほど前から臨時のパートやアルバイトで食いつないでいるという。
「それでも、子どものことを第一に考えていきたい」と杉村さん。父子家庭の知人がなく、支援などの情報が的確に入手できないのも悩みの種という。
2児の父である村上吉宣さん(30)=仙台市太白区=は昨年、父子家庭の父親でつくる「宮城県父子の会」を設立した。難病を抱えた長男の看護で長く職に就けず、生活保護だけの生活を続けながら、行政へ支援の拡充を訴えている。
父子家庭対象の公的支援は少なく、父親が就業できない場合、母子家庭以上に厳しい生活を迫られる場合がある。宮城県の父子家庭が利用できる支援は現在、低所得者対象の児童手当と、子どもの医療費の一部を補助する母子・父子家庭医療費助成程度という。シンポに参加した仙台市の守政一子供企画課長(49)は「父子家庭支援が非常に弱いのは認識している。市も子育ては重要な課題と考えいる」と改善へ向けた姿勢を強調した。
プロジェクトからは、10月に始まったひとり親家庭への新しい支援制度も紹介された。仙台市内の児童一時預かり施設を利用したひとり親家庭の児童1人に対し、1回500円を助成するという。現在は5施設で利用でき、10月だけで既に16人の利用があった。
プロジェクト事務局の小林純子さん(58)は「シンポを通じ、シングルファーザーが『周囲に言っても仕方がない』という理由で現状を発信できず、支援制度の情報も届いていないと分かった。もっと声を上げてほしい」と話し、新たな制度の利用を促した。
プロジェクトの助成制度への問い合わせは022(279)2883。
(生活文化部・矢嶋哲也)
2009年11月26日木曜日