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日本共産党長岡京市会議員団のブログです。

2021年度一般会計決算の反対討論

2022年11月18日 | 日記

9月議会で行いました、昨年度の決算の反対討論を紹介します。(本論部分。この後の各論部分は省略します)



ただいま議題となっております第66号議案 令和3年度長岡京市一般会計歳入歳出決算の認定について、日本共産党議員団を代表して反対の討論を行います。

中小路市政2期目で最後の市政全般への討論の機会です。この4年間も踏まえて討論させていただきます。


日本共産党議員団は、中小路市政の基本姿勢に批判的な立場をとってきました。

もちろん、事業所へのコロナ緊急対応支援補助金の創設や、公共交通の利用促進策、中学卒業までの医療費無料化をはじめ、市民の願いにこたえる施策は大いに歓迎しますし、特にコロナ禍のご苦労には大いにねぎらいと感謝を申し上げたいと思いますが、反対討論の場ですので反対理由を中心に述べさせていただきます。


観点は主に3つです。


第一に、受益者負担論でくらしを厳しくさせながら、大型開発には熱心である点です。

令和3年度には下水道使用料の2割値上げを強行しました。

1.3億円の値上げであり、その年市民に給付されたながすく応援券や高齢者・障がい者へのタクシーチケットの額を上回る負担増です。

4年度には通年で2.6億円の値上げとなり、今行っている2.7億円の金銭給付の効果を大きく相殺しています。


この値上げは下水道事業の充実ではなく、受益者負担の徹底が目的であり、値上げ分は一般会計に還元されています。

小田市政が何度も値上げを中止・延期したことも紹介しましたが、今どうしても値上げが必要だったのでしょうか。


一方、庁舎部分だけで現庁舎の1.5倍となる新庁舎等建設には、108億円の継続費が組まれています。

阪急長岡天神駅東西の区画整理事業や再開発事業の検討報告書と、本市がこれまでに答弁している費用と加えますと、長岡天神駅周辺整備基本計画を素直に具体化すれば、総事業費600億円、市の負担だけで180億円以上かかることが明らかになりました。


市長は学校給食の無償化の議論をした際に、中学校給食の整備だけで35億かかり、1.5億の償還が20年以上続くと言われましたが、長天周辺整備については財政負担や人員配置の見通しを議論することを避けられました。どこまでならできるのか、考えるのが当然です。



第二に、公の役割を軽んじ民間に差し出す点です。

神足保育所の民営化、長4学童保育の民間委託を決定したのに続き、令和3年度には「いずれ全ての放課後児童クラブを民間委託する」と表明しました。


本市の学童保育はそもそも、保護者の運動の中で、学校施設を一部間借りしての自主運営から始まりました。

それから公営となり、保護者・指導員・市民・そして行政の協働のもとで、公営でも充実・発展させてきました。

すべて民間委託となれば、本市の学童保育の現場でこれまでの豊かな蓄積を受け継いでいく人がいなくなり、保護者会の運営もきわめて困難になるでしょう。

指導員が業務時間外に、保護者が仕事の後や休みの日に、子どものために知恵と力を出し合ってきたことは、本市の子育て環境を豊かにするとともに、自治の実践、学びだったのではないでしょうか。

保護者会で、協力する楽しさや行政との関わりの大事さを知った人が、体振や自治会でも活躍しています。

民間委託によって、減らせた労力以上の貴重なものを失うと、強く指摘したいと思います。



また、コロナ禍のもと、指定管理施設は厳しい運営が迫られましたが、市は利用者の減少分の一部しか補てんを行いませんでした。

もし直営ならばすべてのリスクを市が負ったわけであり、民間委託が行政の責任を民間に転嫁するものだということが改めて示されました。



第三に、国政・府政の矛盾に立ち向かい市民を守る役割を果たせていない点です。

待機児童数を国の基準に合わせ、入所保留児童がいるにもかかわらず「ゼロ」にしました。学童保育の面積基準も、出席率に合わせて8掛けにしました。


障がい者施設の運営補助金は、令和3年度に4千円から2千円に、4年度にはゼロにしました。5年度には、旧共同作業所への運営整備補助金も、なくそうとしています。


しかし、そもそも国の基準というものが子どもや利用者、現場の実態にふさわしいのかが問われなければなりません。

そして市民の権利や利益を守るため、市が独自ででも底上げしようという姿勢が必要です。



府営水道ビジョンの改定では、将来的に本市の地下水を放棄させるような案も書かれていますが、市長は地下水を守ると言い切りませんでした。

国の進める広域化・民営化路線を黙って受け入れることが、市民の利益を損なう危険を直視し発信するべきです。



そして「国のする通りに自治体がやっていてよいのか」が最も鋭く問われたのが3年にわたるコロナ禍です。

検査と保護が重要であるにもかかわらず、検査を抑制し、補償も行わない。感染拡大の波がおさまっているうちに次の対策を打たない。GOTOやオリンピック強行など逆のメッセージを発する。そのような政府のもとで、国のやる通りでは住民を守れないと、独自に創意工夫をこらす自治体に注目が集まりました。

党議員団としても繰り返し検査・医療体制の充実、福祉関係をはじめとする事業者への補償、ケア労働者の処遇改善等を求めてきました。

しかし本市は基本的に、検査・医療体制は府の仕事とし、ケア労働者の処遇改善は政府の行った分すら現場に適用しませんでした。

事業者の緊急対応支援補助金は大いに評価しますし、全市民的に行った給付もありましたが、コロナで生活や営業が急変したり悪化した市民に直接光を当てた独自施策は少なかったように思います。

発信も求めましたが、「やってる感」を求めていたのではありません。市民の立場、現場の目線に立って、国の悪政から市民生活を守る防波堤になることを求めていました。



一般会計の決算内容は、令和2年度に続いて前代未聞の実質単年度黒字・翌年度への繰越額となりました。

税収や地方交付税の上振れもありますが、それは結果的に本市の実力よりも予算編成が小さかったとも言えないでしょうか。

また、コロナ禍のイレギュラーのもとでの不用額の増もあるのではと推測されますが、それは市民還元が求められるのではないでしょうか。


そして黒字を支える重要な要因として、下水道使用料値上げによる歳入のベースアップがあると考えます。

また、コロナ対策として交付された地方創生臨時交付金も、令和3年度の話ではありませんが、コロナ禍にわざわざ決めた下水道使用料の1年延期のために流し込んだり、バンビオのエアコン更新や新庁舎のデジタル化などにも費やされました。


私たちは、財政的な視点で言えば、もっとコロナ対策、市民生活の支援ができたと考えます。

そしてこの4年は、市民負担増と、コロナ禍でも歳出を抑制し、大型開発への地ならしを行った4年だったとも見ることができると考えます。

 

しかし私たちは決して、市役所で働くみなさんの人格や仕事ぶりを否定したいのではありません。

総括質疑でも繰り返し市長が述べていたように、このコロナ禍で責任も業務の負担も大幅に増えるなかで、迷いながらも決断をかさね、全力で立ち向かってこられたことに、心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。


そもそもコロナ禍が明るみにしたのは、行財政改革の名のもとに、あるいは国民の不満をそらすために、大幅に公務員を減らし、感染症の対策をはじめ市民生活を守る体制を細らせてきた政治の結果、危機に対して弱い国、行政となってしまっていたことです。

もとからギリギリの人員体制で、あれこれのコロナ対策、市民生活を守る対策をやりたくても、次々と実行できる余力がないのは当然であり、議会での議論もむしろみなさんへの単なる重荷になっているのではないかと悩みます。


私たちは、市民の声と必要性がある以上、求めることをやめるわけにはいきません。

でもそれは市役所だけでやれというのでなく、国の政治から変えなければならないことが多々あります。

どうか私たちの訴えを重荷に感じることなく、困難のもとにある市民の味方として、ともに国の政治に立ち向かっていきたいと願います。

国の無策や逆行のもと、まず地方が動き、それが大きなうねりとなり、国を動かすというのも、コロナ禍で起こった特徴の一つであると思います。



下水道使用料の値上げも、国が下水道財政の支援から手を引き、受益者負担を押しつけたのがそもそもです。

民間委託や民営化も、公務員数の抑制や、民間にした方が有利になる制度などによって、国に強く誘導されてきました。

大型開発が国庫補助の前提になっていることもあります。

財政運営も、社会保障費や地方財政を削減する政府によって苦しめられています。


それでは市民を守れないと、ともに声をあげていきたいと願います。


大企業・富裕層を優遇し、多くの国民に所得の低下と負担増、社会保障の切り捨てをもたらしてきた自民党政治を根本から変え、ためこまれた大企業の内部留保を労働者の賃金や下請けへと還元し、税の再分配機能と社会保障をたてなおし、国民の所得と購買力を高め将来不安を減らし、経済・財政も立て直していく。

いのちと暮らしが最優先され、憲法にもとづく諸権利と個人の尊厳が花開く社会をともに実現したいと願います。



また、総括質疑で市長は、転入者を呼び込むことには一定成功をしたが、子どもを産み育てたい社会かという点では課題があるとも述べられました。同感するところです。

自治体間競争は、日本全体の人口減少が加速すると一層厳しくなります。

いま全国で都心の再開発やリニア新幹線・北陸新幹線など、これからの社会状況に目をそむけるような政治が続いていますが、むしろ地方自治体が競争すべきは、そこに住む住民が安心でき、将来に希望がもてる、社会保障や環境保全、地域内経済循環を豊かにしていく政策ではないかと考えます。

それが今めざしている大型開発と両立できるのか、引き続き問うていくことを申し述べて、本決算の認定に反対を表明し、以下に各分野で指摘したいことを若干述べます。


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