ただの映画好き日記

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ゴリラ ウィリーBとアトランタ動物園の再生 / テリー・L・メイプル 著

2024-02-13 | 本 その他
ゴリラ ウィリーBとアトランタ動物園の再生 / テリー・L・メイプル 著 松原 幹 訳

昭和堂(2023.10)


動物福祉と経営問題で炎上した動物園で25年以上も孤独だったゴリラ ウィリーB。彼が5頭の子の父親になり、動物園が飼育と研究、保全の功績で受賞するに至った鍵は市民や企業、大学や研究機関との連携だった。

第1章 改革と再生への長い道のり
第2章 執拗なる野生ゴリラ探求
第3章 街に新しい霊長類がやってきた
第4章 フォード・アフリカン・レインフォレスト
第5章 自然界を模倣する
第6章 ゴリラの心理生物学
第7章 類人猿の次世代を守れ
第8章 類人猿の知性と性格
第9章 集団生活、求愛、父性
第10章 シルバーバック達の市場
第11章 動物園長にとっての最悪の夢
第12章 最も偉大なる類人猿ウィリーBへの感謝と賛辞
エピローグ ウィリーBの生涯を回想して
父の日にウィリーBを思い出す





素晴らしい内容でした。
25年間も檻に閉じ込めていたアトランタ動物園に今でこそ憤りを感じますが、それは、日本も同じだっただろうし、研究が足りていないが為の愚かな行為だったのだろうと思います。
何度も言いたくなりますが、そもそもが、野生動物を捕獲し展示しようと考えた人間どもの罪です。
連れてきてしまった以上、謝罪の気持ちを持って、動物たちの暮らしを少しでも野生環境に近いものにしてほしいです。
日本の動物園でも改善はされてきているでしょうが、それでも、なぜか、毎年のように動物たちが事故死していることが不思議でなりません。
客寄せの為に動物の行動を見やすく展示することを第一とせず、動物たちがいかに自然に近い形で暮らせるかを責任を持って取り組んでほしいです。

25年もの長きにわたり、その最も溌剌といきたであろう青年期を檻の中で孤独にさせてしまったことを、ウィリーB亡き後も、全ての飼育動物たちに謝罪の気持ちを持つことを忘れてはいけないと思います。
ウィリーBがその後、アトランタ動物園の大改造のもと、檻から土や木の自然あふれる環境になったこと、シルバーバックとして立派に成長し、子孫を残し、子どもたちにゴリラの本能を繋げられたことは本当に素晴らしいことだと思いました。
「第12章 最も偉大なる類人猿ウィリーBへの感謝と賛辞」は涙が出てきます。
それぞれがウィリーBに愛情を持っていたことを知り、残酷な25年を悔いている人達が多くいたことも、ウィリーBにも伝わっていたらと思いました。

日本はもう近親交配しかできません。
今後、今いるゴリラたちをどうするのか。
どうか、孤独にだけはしてほしくない、でも、オスは群から出ていかなくてはならない、本当に、罪なことをしていると思います。
赤ちゃんゴリラはかわいいけれど、未来はどうなるんだろうと思うと、本当に切なくなります。
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