ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

ラストナイト / 薬丸岳

2020-04-05 | 本 薬丸岳

ラストナイト / 薬丸 岳 著

角川文庫 / 2019.8



片桐達夫、五十九歳。顔には豹柄の刺青がびっしりと彫られ、左手は義手。傷害事件を起こして服役して以来、三十二年の間に誘拐事件を三回、強盗を一回起こし、刑務所を出たり入ったりの生活を送る男には、胸に秘めた思いがあった。
菊池正弘が営む居酒屋「菊屋」に、刑務所を出所したばかりだという片桐達夫が現れた。三十五年来の友人を迎える菊池だが、刑務所から離れられない人生を送る彼に、忸怩たる思いを持っていた。片桐が犯罪に手を染めるようになったきっかけは、彼が「菊屋」で起こした傷害事件だった。しかしそれは因縁をつけてきた暴力団員から、店と菊池の妻を守るための行動だったのだ。
片桐は、なぜ、罪を重ねることになったのか?



これは、もー、なんともやり切れない切ないお話でした。
59歳になった片桐も、35年来の友人の菊池も、真っ当で優しすぎて、余計に、最初の事件が悔やまれました。
そして、謎の人物荒木の存在が、まさか、そっち(?)の展開で、ネタバレは面白くないので書きませんが、荒木の存在はとてもよかったと思います。
ラスト、これもネタバレになってしまっては面白くないのですが、そっち(?)を選んだ片桐の思いにグッときました。

で、少し驚いたのですが、今回は、ミステリー色が強かったです。
少年犯罪がテーマの作品が多い薬丸さんですが、そういえば、江戸川乱歩賞でデビューしているのだから、ミステリー作家なんですよね。
と言っても、『天使のナイフ』もミステリー色が薄かったという印象がありますが…。
でもやはり、ミステリーは面白いなーと思いました。
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