ただの映画好き日記

観た映画と読んだ本の自分用メモ。

罪の境界 / 薬丸岳

2022-12-22 | 本 薬丸岳

罪の境界 / 薬丸岳

幻冬社(2022.12)


「約束は守った……伝えてほしい……」
それが、無差別通り魔事件の被害者となった飯山晃弘の最期の言葉だった。
自らも重症を負った明香里だったが、身代わりとなって死んでしまった飯山の言葉を伝えるために、彼の人生を辿り始める。この言葉は誰に向けたものだったのか、約束とは何なのか。



薬丸さんは本当になんていうか、簡単に言葉にできない深い闇を見ることができる人なんだなーと思いました。
犯人と自分の境遇が似ているからと事件と犯人の軌跡を追うジャーナリスト。
同じ境遇だから理解し合えるということなのか、そこはなんとも謎でした。
だけど、やはり、虐待を受けた子供が大人になって全員が他人を傷付けたり殺したりはしないと、本当にどうしようもなく、それしか思えませんでした。

ジャーナリストの、虐待をした母親を殺してしまったことには正直、仕方ないと思いましたし…、でもその後、他人に迷惑をかけることなく人生を送っているジャーナリストに、よかったと思えましたし…。
でも、犯人の、母親への復習とは、ただ、母親に甘えたいだけでしかなく、でも、それが虐待を受けてきた子供の本心なのかもしれず、読みながら、どうやって気持ちを整理すればいいのか悩みました。

人それぞれとしか言いようがなく、犯人やジャーナリストを虐待した母親を育てた親、さらにはその親が元凶であって、どうして、いつから、親は自分勝手になってしまったのかという問題かなと思いました。

そして、無差別通り魔事件で切りつけられた明香里の強さと優しさに救われたことと、その明香里を見守った家族と婚約者の存在に助けられ、モヤモヤしながらも読み終えました。

こんなことを言ってしまうと身も蓋もないけれど、どういう親の元に生まれるのかも、無差別通り魔殺人の被害者になるのかも、運でしかないように思えて、どちらも、自分で選ぶことができず、不運としか思えず、何をどう飲み込めばいいのか、やはり答えは出ませんでした。
選ぶとすれば、その後の人生を自分がどうするかだけなのかなと思いました。
とにかく、何よりも、本当に、せっかく生まれてきた子供を虐待するのはやめて下さい。
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