ただの映画好き日記

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野生の猛禽を診る 獣医師・齊藤慶輔の365日 / 齊藤慶輔

2018-06-02 | 本 その他


  野生の猛禽を診る 獣医師・齊藤慶輔の365日

  齊藤 慶輔 著     北海道新聞社 / 2014.5




  釧路湿原内にある野生生物保護センターを拠点に、全国でも数少ない野生専門の獣医師として働く著者の活動の記録。
  特に傷ついたシマフクロウ、オオワシ、オジロワシといった希少猛禽類の救護と治療を担い、
  野生復帰という大目標に向け日々心血を注ぐ。
  エゾシカ猟が原因の鉛中毒、鉄道・自動車や風力発電施設への衝突事故など、
  絶滅の危機に瀕する鳥たちを取り巻く人為的危機が増す中で、
  被害状況の把握とその予防に力を尽くす著者が訴える「環境治療」の考え方とは何か。


  1章 猛禽類を守る(なぜ猛禽類を守るのか/野生生物保護センターの役割 ほか)
  2章 鉛中毒(ワシが大量死/エゾシカ猟増加に連れて ほか)
  3章 人間界との軋轢(事故予防と専門家との連携/具体的な予防策を提示 ほか)
  4章 大量死防止と「野へ返す」こと(サハリン資源開発の脅威/人獣共通感染症への対応 ほか)
  5章 未来へー(厳しい台所事情の中で/苦い経験が生んだ診療具 ほか)






先日の情熱大陸を見て初めて猛禽類医学研究所のことを知りました。
オオワシ、オジロワシ、シマフクロウを保護?
保護されるような事態が起こるってこと?、まずそこから驚きです。

保護の原因。
ハンターが鉛弾でエゾシカを撃ち、そのまま適切に処分(持ち帰り)すればいいものを、その場で解体し、残骸を置いていく…、それをワシたちが食べて鉛中毒。

JR北海道、列車が轢いたエゾシカの轢死体をすぐに撤去しないため、オオワシたちが轢死体を見つけ食べている最中、列車に気付くのが遅れ列車と衝突。

シマフクロウの生息地近くで、車と衝突。

北海道電力、送電線のてっぺんで休憩したがために感電死…、風力発電の風車に激突。

知床観光船、観光客にオオワシを見せたいがために餌付けし、餌を狙ったオオワシ同士が衝突。

温泉旅館、シマフクロウを餌付けし、宿泊客がカメラで撮影する際、夜行性のシマフクロウはフラッシュの光に一瞬盲目になり、木から落下。

知識不足の餌付けによる、高病原性鳥インフルエンザの発症。

2014年の本なので、それぞれ対策はされていることだとは思いますが、いずれにしても、人間が便利を求めた結果、他の生物が行き場を失った…という事実があると言えると思います。
ですが、今更、便利を捨てろとは言いませんし思ってもいませんが、でも、人間が追いやってしまったことを受け止め、今更ながらでも何かしら出来ることがあるのだろうと思います。

環境省 釧路湿原野生生物保護センター内 猛禽類医学研究所 とのことですが、年々、予算は減額され、台所事情は厳しそうです。
保護された猛禽類のうち4割は野生に返せるようですが、残りは、研究所で生涯暮らすことになるそうです。
それらの食餌代は寄付でまかなっているそうです。
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世界に5000〜6000羽しかいないオオワシのうち、2000〜3000羽が北海道で越冬するそうです。
少しでも事故を無くし、無事に旅立って欲しいですし、また戻って来て欲しいと願う次第です。

と言いつつ、知らぬとはいえ、私はやらかしています…。
シマフクロウがやってくる温泉旅館、私もシマフクロウ見たさに行きました。
生簀の魚を食べるところを見ることができて、写真もたくさん撮りました。
私はiPhoneで撮影しましたが、他の宿泊客の方はプロが持っているような大きなカメラでした。
フラッシュが使われたかは覚えていませんが、私のような無知な人間がシマフクロウに危害を与えてしまっているんだなーと情けなく思いました。
今回、知ることができて本当に良かったと思っています。



寄付受付
猛禽類医学研究所


鉛弾使用禁止の賛同
『狩猟における鉛弾(ライフル弾、散弾)の使用禁止をいますぐ、日本全国で。』

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