プリオン説はほんとうか? タンパク質病原体をめぐるミステリー
福岡 伸一 著 講談社 / 2005.11
ノーベル賞評価への再審請
遺伝子を持たないタンパク質が感染・増殖するという新しい発病機構を提唱し、
ノーベル賞を受賞したプルシナー。
彼の唱えるプリオン説は、狂牛病対策など公衆衛生にも、重大な影響を持ち、
科学的真実として受け入れられている。
しかし、プリオン説はいまだに不完全な仮説であり、説明できない不可解な実験データも数多い。
はたして、プリオン説は、ほんとうに正しいのか?
まさしくミステリーです。ドキドキもんです!!
ノーベル賞を受賞したスタンリー・プルシナーのプリオン説が正しいのか正しくないのか、そんな事、私には解りません。
解らなくても、プルシナーが唱えるプリオン説が疑わしいと思われている以上、危険は避けたいと思うのが正直なところ。
よって、米国産牛肉、例え特定危険部位が取り除かれていたとしても、私は自分の身体に入れるつもりは毛頭ありませんでした。
もともと、羊のスクレイピー病や牛のBSE、人間のクロイツフェルト・ヤコブ病、他にもミンク、シカ、猫など、それぞれのスポンジ状脳症は存在していたワケで、それが種の壁を越えたことが問題なんだと思います。
1997年(1994年が最初らしい)にイギリスで変異型ヤコブ病が発症し、その時の衝撃は今も覚えています。
変異型(BSE汚染肉に由来すると考えられるケース)ヤコブ病は、なんせ潜伏期間が長期である事、発症すれば6ヶ月で死亡する事、そして、致死率100%である事。何より、起立不能の病牛をニュースで見た時はとてもショックで、汚染牛を経口すれば自分も・・・と思わずにはいられませんでした。
当時私は、リチャード・プレストンの『ホット・ゾーン』『コブラの眼』を読んで、ウイルスの怖さに神経質になっていた頃で、そのプレストンが推奨していたリチャード・ローズの『死の病原体プリオン(草思社)』を読んでみたのでした(巻末の解説が福岡伸一氏でした)。
その中の「最悪のシナリオ」という項を読んで血の気が引いたのを覚えています。
「2015年にはヒトの間でピークとなり、年間20万人が死亡」というのはありえない仮定ではないと書いてありました。
ハンバーガーを食べて死ぬんですよ。しかも、脳がスポンジ状になって・・・。
さて、本書の「はじめに」を引用させてもらいます。ちょっと長いです。
羊のスクレイピー病、牛のBSE、そしてヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病、これらの病気は名前こそ異なるが、それは宿主の違いであって、すべて同じ病気であり、同じ病原体によって引き起こされる。この病原体は経口的に、つまり食べ物を介して感染する。感染した動物の肉を食べる事によってうつる。草食動物であるはずの牛がBSEになったのは、羊や牛の死体から作られた人工タンパク飼料、いわゆる肉骨粉を強制的に食べさせられたためである。
この病原体は、通常のウイルスや細菌なら簡単に死んでしまうような加熱処理に対しても生き残ることができる。加熱だけではなく、殺菌剤、放射線照射などに対しても抵抗性を示す。これは病原微生物学の常識では普通、考えられないことであり、それがゆえに不死身の病原体として恐れられることになった。
この病原体に感染してもすぐには何も起こらない。自覚症状もなく、感染を知るための診断方法もない。しかし、病原体はゆっくりと増殖と侵攻を進めている。それは何年、場合によっては何十年もの年月をかけて密かに行われる。やがて病原体は、どのような経路を通ったのかは定かではないが、脳に到達する。ここで病原体は急速に増殖を行う。病原体が脳で繁殖しだすと、脳の神経回路が侵され、死滅していく。神経が死んで脱落すると、そこには細かいスポンジ状の空砲ができる。神経が死に始めると、当然、宿主は正常ではいられなくなる。クロイツフェルト・ヤコブ病の場合、最初、症状は不安、焦燥、健忘などの形で現れる。ついで歩行障害、運動異常、起立困難などを引き起こす。意識が失われ、食事を取れなくなり、衰弱して、ついには死に至る。発症すると回復することはない。致死率100%の病である。いまのところ薬も治療法もない。
以上を踏まえて、本文を読んで印象に残った事を。
BSEの原因ともいえる肉骨粉の中には羊スクレイピーの肉が入っていたと言われている。羊は草食動物であり、もちろん共食いなんてありえない。ならば、羊スクレイピーはなぜ発生するのか(羊スクレイピーの発生は250年前と言われていて、現在でも発生している。日本でも何年か前に発生)。可能性のある仮説として、病気にかかった羊の出産の際の胎盤、または排泄物によって牧草や飼料が汚染された可能性もあると言われている。って事は??
何より、WHOは、病畜はその個体全体を破棄・焼却処分して、再び食物連鎖に入り込まないようにすることが安全対策上、重要なのである、と勧告しているのである。
そして、恐るべき事実として、日本では牛や羊の死体から作られた肉骨粉は全面的に焼却処理されているのに対してアメリカは、さすがに牛に与えることは禁止されたが、牛以外の家畜、ブタ、ニワトリ、ペット、養殖魚などの飼料として使用することに規制はされていない。つまり、未だ、死体のリサイクルをしているってワケ。
そういえば、ドッグフードには病気や交通事故で死亡した犬や猫、たとえ人間用の肉でも腐ってしまったものなど、果ては革靴まで原材料となっていた事実もあることだし、は~。
アメリカもアメリカだけど、なんといっても、ことの発端はイギリス。
イギリスでBSEが発生し、その発生源が肉骨粉だと特定された時、国内での使用は禁止したけど、輸出は禁止しなかったためにヨーロッパや日本、アメリカ、カナダにBSEを広めてしまった、というワケで・・・。
ちなみに、オーストラリアとニュージーランドはBSE洗浄国と呼ばれている程、かなり厳しい規制が敷かれているので、もちろん安心でしょう。食に対しての意識が違うんでしょうね。
食べることは生きることなのに、アメリカも、そして昨年末に輸入再開をあっさり決めた日本も、食(それは命!)に対してきちんと考えて欲しいものだ。
それから、ヤコブ病は医療ミスによって、ヒトからヒトへ感染した事実もあるそうだ。
あくまで、経口感染と言われているので、食べる食べないは自己責任と言えると思うけど、いくらミスとはいえ、ヒトからヒトへ感染した事実がある以上、ウイルスを避けることができるなら避けるべきではないかと思ってならない。
新種のウイルスが現れる度に、真っ先にリスクを負うのはなんといっても医療従事者なワケで、少しでも(1人でも)迷惑をかけないように努めてもおかしくないと、私は思う。
結局は、人間の雑食性、悪食性が人為的(人工飼料)に食物連鎖を組み換えてしまい、それが原因ともいえるのかな・・・。
※関連として、1/18付けのニュース
牛海綿状脳症(BSE)を人為的に発症させる感染実験をしている北海道立畜産試験場(北海道新得町)は18日、実験に成功したと発表した。実験でBSEの初期とみられる症状が表れた3頭を解剖したところ、3頭とも感染が確認された。同様の実験は英国で成功しているが、国内では初めて。BSE発症の仕組み解明や、飼育段階でBSE感染牛を見分ける方法の確立などに役立つと期待される。
国内のBSEの発症は、食肉検査所や死亡牛の検査で発見され、飼育段階で異常が疑われた例はない。人為的発症の成功で、様々な実験ができるようになるという。
※1/24追記
本日、北海道で国内22頭目となるBSE感染牛が確認された。
肉骨粉が禁止される前、2000年9月1日生まれの乳牛だったそうだ。
ってことは、当然、まだまだ感染牛が出てくるってことも言えるワケだけど、これって、禁止される前であっても、後であっても、感染牛は出てくるんだろうな~。
もちろん、これは日本だけに限ったことではないのよ・・・。
やっぱり、全頭検査して欲しいよね。
ふざけろよ!ブッシュ!!何が「カンザス牛が恋しいだろう」だ!!
っていうかさ~、堀江ごときに振り回されて、何が号外だ!!何が特別番組だ!!そんな個人レベルの犯罪はどうだっていいんだっつーーーーーの!!もっと大事なことがいっぱいあるだろう!!しっかりしてくれよ~~~~。
※2/1追記
何を今更騒いでる??
現地調査を待たずに輸入再開された事を、どうして今頃国会でわーきゃー騒いでるんだろう??
どうしてその時に問題にしなかったんだろう??
っていうか、中川くん、せめて身だしなみくらい綺麗にしなさいよ~!!いつも酔っぱらいみたいな顔してみっともない。脊柱付きの牛肉が発見された時の緊急会見、あれはさっきまで泥酔してました・・ってバレバレだよ。ホント、みっともない。
と、こんな事を書きたいワケじゃなかったのですが、
昨夜、筑紫哲也さんのニュース番組をご覧になった方はいらっしゃるでしょうか?
イギリスで変異型ヤコブ病に感染し16歳で亡くなった少女の映像が放送されました。これを観たアメリカ人や、米国産牛の輸入再開にGOを出す日本のトップはどう思ったでしょうか?
※2/9追記
ダウナー(へたり牛)20頭が食用に??
牛が正常に歩けない状態はBSE感染の兆候ともされ、米政府は国内で初めてBSE感染牛が見つかった直後の2003年12月、食用にすることを全面禁止している。
今月2日に公表された監査報告書によると、12施設のうち2カ所では2004年6月から2005年4月の約10カ月間、29頭が歩行困難なまま食肉処理されていた。施設の記録から、うち9頭は脚のけがなどが原因と確認されたが、残る20頭については「ダウナー(へたり牛)」などと記されていただけだったという。
これらの牛は、施設到着時点での目視検査で正常と判定されたが、その後、処理されるまでの間に歩けなくなっていた。
はぁ??? あ~、そうですか。脚の怪我ですか。他の20頭はどう説明するんですか?
ほ~んと、いい加減。もう、絶対に信用できないし、アメリカ人の食に対する意識ってどうしようもなく低過ぎ!
今が美味しくて幸せだったらそれでいいんだろうか? お金儲けが何よりのご馳走だから、日本人がどうなろうが関係ないって事だね。うんにゃ、日本人だけじゃないよ、自分たちも今が美味しくて幸せならそれでいいんだから、10年後、20年後にどうなったって関係ないって事なんだろうね。は~、可哀想。自分はよくても、子供たちはどうするんだろう?? 不思議な国だわ。
izumiさんのレビューすごく興味深く貪るように読ませて頂きました!
それにしても…いやはやゾッとしますよね。
正直私ももうアメリカの肉は口にもしたくないですよ~。
症状を想像するだけでも怖くて寒気がします。
今回はなんとか瀬戸際で防げたけど毎回そうとは限らないし…もう少し米国には食に対する知識と真摯な気持ちを持って欲しいですよね。
でも前に観た「スーパーサイズ・ミー」からしても国内であの状態じゃ…って感じですかねぇ。
これで輸入再開なんて目も当てられない
私は元々あまり肉類が好きじゃないので「別にカンザスだろうがなんだろうが恋しくなんてないやい!」とあのニュース見たとき叫びたくなりましたよ~!
全く…あの大統領さんは軍事強化も結構ですけど肝心の健康にも気遣えよって感じですよね。
おお~~、読んでくれたんですね~。ありがとうございます。コメントまで頂けて嬉しいですよぉ~。
ホント、ゾゾゾ~~~ですよね。
昨日のペン!!の発言、許せませんね~。
車の事故と一緒にするな~~って感じですよね。
おまけに、日本は22頭目だけどアメリカは2頭だ!って、あんた、何言ってんの??って感じです。アメリカの恥ですね、ペン!!
全頭検査をやっているから22頭なワケで、アメリカは全頭検査していないでしょ~?比較にもならないっての。アホ~~~~!!解ってないし、まったく・・・。
おっ!『スーパーサイズ・ミー』、観てません~。話題になってましたよね~。う~~~、観たくなってきました。
輸入再開なんて止めて欲しいですよ~。だって、こちらがいくら買わなくたって、外食やお弁当、レトルト食品、どこに入ってるかなんてこちらには分かりようがないもん!!
本当に、ブッシュって、金儲けしか頭にないんですよね~。堀江と一緒だ!!