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『tokotoko』

Fortune comes in at the merry gate.

『最強のふたり』

2013-01-25 | 映画・ドラマ・舞台
昨日<最強のふたり>を観てきました
(以下ネタバレ注意)



監督・脚本/エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ

監督・脚本は、エリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュ。
コラボ長編は4作目となります。

2003年にフランスのテレビ局で放映されたドキュメンタリー。

←本物です。

それは、事故で全身不随となった大富豪フィリップと、
彼の身の回りの世話をするスラム出身の介護人ドリス(アブデル)のお話でした。

この物語に強く感動したトレダノとナカシュが、
『最強のふたり』の製作に乗り出すことにしたのです。



撮影/マチュー・ヴァドピエ
音楽/ルドヴィコ・エイナウディ

音楽を担当するイタリア人のルドヴィコ・エイナウディは、
ヨーロッパで絶大な人気をもつ作曲家でありピアニストです。

<そして、デブノーの森へ>の音楽も担当していました。

心地よいけれど力強く、なつかしい音。

昨年発売された、来日記念ベスト盤は、
入口にするならば、最高の1枚です。



出演/フランソワ・クリュゼ/オマール・シー/アンヌ・ル・ニ
オドレイ・フルーロ/クロティルド・モレ/グレゴア・オスターマン ほか。

フランソワ・クリュゼは、
フランスのセザール賞で主演男優賞を受賞しています。

受賞作は<唇を閉ざせ>


オマール・シーは、俳優さんでありコメディアンでもあります。
コメディアン名はユニットで「オマール・エ・フレッド」



<最強のふたり>は、ハリウッドがリメイク権を獲得した話題の作品。

主人公のひとりフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、
パラグライダーの事故で首から下が麻痺して、車椅子生活を送る大富豪。

もうひとりの主人公は、
スラム出身で無職の黒人青年ドリス(オマール・シー)。

他人の同情にウンザリしていたフィリップは、
不採用の証明書にサインをもらうことで得られる失業手当が目当てというドリスを、
介護士に採用します。

フィリップは、クラシック音楽を愛し現代美術に造詣が深い富豪。
ドリスは、アース・ウインド&ファイヤーが好きで、会話も下ネタが多い。

何もかもが違うふたりが、
互いを理解しあっていく過程が素敵でした。

フィリップを車に乗せる際に、慣例の<荷台に乗せる>行為を、
「馬みたいだ」と嫌がって助手席に座らせたるドリス。

深夜発作を起こした彼を静かになだめ、
街へ連れ出して、落ち着くまで何時間でも付き合ったり。
早朝の街は久しぶり・・と笑顔のフィリップ。

楽しい日々を送るふたりのもとに、ドリスの弟がやってきて・・・

各シーンで流れる音楽がすばらしいです。
サントラも素敵だけれど、劇中で使われた曲の選曲も素敵

オープニングではアース・ウインド&ファイヤーの、
<September>をBGMにしてノリノリでドライブしていたし、

フィリップのお誕生会でドリスがダンスを披露するときの曲は、
<Buggie wonderland>だった。このシーン大好きです。

オーケストラの演奏会の演目も、
ショパンやバッハ、モーツァルトにビバルディと楽しい選曲でした。



原題<アンタッチャブル>には、
いろいろな意味があると思います。

<<触れてはいけない>>とされる障害者の性や、
生活のあれこれに触れているところが、

多くのひとの心を響かせたのだと思います。

食べれば排泄するし、着飾れば脱ぐ。
スピードや女性に興奮する。恋もする。

人は、ひとりでは何もできない。

自分が健常者だからと言って、
明日のことはわからないし、健常者でも、助けはいる。

障害を持っていても、助ける立場になることもある。

<こうだから>という決めつけは、邪魔になることの方が多い。

大切なのは、人と人のむすびつき・・・そう感じる映画でした。



<千年の愉楽/若松孝二>

2013-01-21 | 映画・ドラマ・舞台
先週、東京・テアトル新宿で行われた、
<千年の愉楽>の先行上映に行ってきました

<血>とか<業>とか、
そういう人間の奥深いところにある、濡れた場所に触れるお話でした。

簡単に手を出したらいけない、
そんなところに、丁寧に入っていく、

それが、若松監督の作品だ・・・と思いました。



監督/企画/プロデューサー 若松孝二

  

 

若松監督の作品は、
衝撃的な、でも大事なところに触れる作品が多かったです。

先日お亡くなりになった大島渚監督の、
<愛のコリーダ>のプロデュースもされています。

若松監督、大島監督の、ご冥福をお祈りします。



原作/中上健次
脚本/井出真理
音楽/中村瑞希/ハシケン
撮影/辻智彦/満若勇咲

キャスト
寺島しのぶ/佐野史郎/高良健吾/高岡蒼佑
染谷将太/井浦新 ほか。 



作家の中上健次さんが、
故郷和歌山を舞台に書いた小説。

年老いたオバ(寺島しのぶ)は思い出します。

紀州の<路地>で生まれて、
女たちに<愉楽>を与え、亡くなっていった男たちのことを。

冒頭、衝撃の登場をする、
井浦新さの演じる中本彦之助、

その息子高良健吾さんの演ずる半蔵、
高岡蒼佑さん演ずる半蔵の叔父三好、
染谷将太さん演ずる半蔵の従兄達男・・・。

彼らの誕生から死まで、
助産師のオリュウノオバは見つめ続けていたのでした。



出演者のみなさんの、
映画に、若松監督に対しての<愛>を、

上映後の舞台挨拶で、すごく感じました。



『サイド・バイ・サイド~フィルムからデジタルへ』

2013-01-18 | 映画・ドラマ・舞台
先日、東京・アップリンクで行われた、
『サイド・バイ・サイド~フィルムからデジタルシネマへ~』(現在上映中)の、
トーク付き上映会<ゲスト/吉田大八監督/山下敦弘監督>に行ってきました



『サイド・バイ・サイド~フィルムからデジタルシネマへ~』は、

キアヌ・リーブスが製作総指揮をつとめ、
映画のデジタル化をめぐる問題を、

ハリウッドの著名映画監督やスタッフに聞き、
シネマの未来を探っていくドキュメンタリーです。

これだけの監督が、
それぞれの思いを述べているのは、すごいことです

マーティン・スコセッシ(タクシードライバー/ヒューゴの不思議な発明 ほか監督)
ジョージ・ルーカス(スター・ウォーズ/レッド・テイルズ ほか)
ジェームズ・キャメロン(タイタニック/アバター ほか)
デヴィッド・フィンチャー(ソーシャル・ネットワーク/ドラゴン・タトゥーの女 ほか)
デヴィッド・リンチ(マルホランド・ドライブ/インランド・エンパイア ほか)
クリストファー・ノーラン(インセプション/ダークナイト ほか)
スティーヴン・ソダーバーグ(オーシャンズ11/マジック・マイク ほか)
ラナ&アンディ・ウォシャウスキー(マトリックス/スピード・レーサー ほか)
ラース・フォン・トリアー(ダンサー・イン・ザ・ダーク/メランコリア ほか)
ダニー・ボイル(トレインスポッティング/127時間 ほか)
ロバート・ロドリゲス(デスペラード/シン・シティ ほか)
リチャード・リンクレイター(スクール・オブ・ロック/バーニー ほか)
ジョエル・シューマカー(バットマン・フォーエヴァー/ブレイクアウト ほか)
レナ・ダナム(Girls/タイニーファニチャー ほか)
バリー・レヴィンソン(レインマン/トラブル・イン・ハリウッド ほか)

ヴィットリオ・ストラーロ(地獄の黙示碌/ラスト・エンペラー ほか撮影監督)
アンソニー・ドット・マントル(スラムドッグ&ミリオネア/第九軍団のワシ ほか)
ウォーリー・フィスター(インセプション/マネーボール ほか)
リード・モラーノ(フローズン・リバー/フォー・エレン ほか)
ミヒャエル・バルハウス(ギャング・オブ・ニューヨーク/ディパーテッド ほか)
ヨスト・ヴァカーノ(トータル・リコール/インピシブル ほか)
ヴィルモス・ジグモンド(未知との遭遇/ブラック・ダリア ほか)
ウォルター・マーチ(ゴッド・ファーザー/イングリッシュ・ペイシェント ほか)



20年ほど前にも<ビジョンズ・オブ・ライト/光の魔術師たち>という、
フィルム映画の撮影技法についてのドキュメンタリーがありました。



取り上げられた映画監督は31人、
作品は86本あり、

<市民ケーン>などのグレッグ・トーランドのこと、
フィルムノワールで活躍したジョン・アルトンの仕事、
女優の顔を美しく撮るライティング、
<ピクニック>での初めての空中撮影のことなど、

ネストール・アルメンドロス、ヴィットリオ・ストラーロなど、
海外から来たキャメラマンの仕事がクローズアップされ、

ゴードン・ウィリスからアーネスト・ディッカーソンまで、
活躍中の撮影監督たちが自作を解説したのでした。



トークゲストは、
吉田大八監督(映画監督/CMディレクター)と、

CMディレクターとして数々のCMを手がけ、様々な広告賞を受賞。
ミュージックビデオやテレビドラマ、ショートムービーなども演出。

2007年に長編劇場用映画
『腑抜けども、悲しみの愛 を見せろ』を監督。



その後も『クヒオ大佐』(2009年)
『パーマネント野ばら』(2010年)





吉田大八監督は『桐島、部活やめるってよ』のなかで、
神木隆之介さんの演じる映画部の主人公が、
ビデオよりもフィルムがいいと力説するシーンについて、

でも、僕はそれをビデオで撮ってますから」と笑って、
「僕はフィルムとデジタルどっちでもいいと思ってるんです」とおっしゃっていました。

<<フィルムかデジタルかは信頼できるカメラマンがすすめてくれるものを選ぶ>>
というスタンスだという吉田監督は、

「はっきり「これはカニじゃない」とわかるカニカマのような、
<<カニカマ感>>の強い昔のビデオカメラだったら、

観客に観続けられるのが怖かったから、
カットを細かく割ろうとしたり、カメラを振り回そうと思ったこともありました」と。

CMの世界も主流は35ミリからビデオに移行していて、

それなのにフィルムで撮ろうとプロデューサーを説得する理由は、
「前後のCMと区別化したいから。」

「映画は観客を一度引込めばいいが、CMは連続しているので、
 絵のトーンが変わることで、見ている人に強い印象を与えることができる」とのこと。

「プリントでの編集は、ひとつの決定が重い。
<サイド・バイ・サイド>の中で、
<<選択肢が増えるのは最悪だ>>という言葉があったけど、本当ににそう思う」とも。

 『桐島、部活やめるってよ』(2012年)



一方山下敦弘監督(映画監督)は、
『リンダ リンダ リンダ』(2005年)はロングラン上映を記録、



以降も『天然コケッコー』(2007年)
『マイ・バック・ページ』(2011年)





山下監督は<マイ・バック・ページ>
そして最新作の<苦役列車>を16ミリのフィルム撮影で挑まれており、

「完璧に作りたいと常に思っているけれど、
 デジタルになると、偶然を自分で作り出していかなければいけない。」と。

また「映写の面でデジタル化の影響は大きい」と、
上映面での急激なデジタル化に対する戸惑いも述べていました。

「<苦役列車>をフィルムとDCPの上映で観比べると、
 フィルムのほうがまろやかな感じだった。
 質感で救われているところもある。」と語られていましたが、

その<差>が何なのか明確な言葉は持っていないとも言われています。

編集作業については、
「フィルムは、ひとつのカット割りを決めるのにすごく時間がかかったけれど、
 デジタルはとりあえずやってみよう、とアイディアをいろいろ試すことができる。」と。

また、ご自身が撮られた経験から、
カメラの小ささにより、歌舞伎町で撮影してもほとんど見つからなかったと、
演出面での変化についても解説していました。

『苦役列車』(2012年)

私はなんとなく<ニュー・シネマ・パラダイス>を思い出していました。



ミニシアターや名画座は、
どうなっていくのだろう

本当に大切なもの、
残したいものは何なんだろうって、

便利になることだけがいいことじゃないっていうことも、
ちゃんと知っておく必要があると思います。

大型店が増えて、
老舗の商店がなくなってしまったことなんかも思いながら、

デジタルの良さと、フィルムの良さが、
共存できたらいいなと思いました



<INU-KERAVOL.28>

2012-12-26 | 映画・ドラマ・舞台
先日、ケラリーノ・サンドロヴィッチ+犬山イヌコpresents、
<<INU-KERAVOL.28>>に行ってきました

毎回、本当に楽しい
ゲスト盛りだくさんで、幸せな時間を過ごしました。

プラスワンのあの空間は、大きなお茶の間で話してるような気持ちになります。
何度か友人のゲストで、あの、掘りごたつみたいなかんじのところに座ったけれど、

めちゃんこ近いお客さんの顔が、
下向いて茶呑んで上向いた時にはもう友達みたいな気分でした。
(わたしだけか・・・

最近、何かもう、やってられんということが多かったけど、
すご~く救われた、やさしい時間でした。楽しかった。



ケラさんとイヌコさんは、現在、
<<祈りと怪物〜ウィルヴィルの三姉妹〜>>の舞台中です。



4時間10分は長い!!と、
上演前から、あちらこちらで心配の声があったけれど、

2回休憩があるし(ただし10分だから、トイレに行くか、何か食べるか、
どっちか決めておいた方がベターです。トイレは外に走っていった方がいいかも。
あと、駐車場は、終わった時には出せなくなっているはずなので、注意!!)

何しろ、登場人物が、裏の裏??まで素敵で、
見落とさないようにと、緊張したまま過ごしちゃったから、
全く長く感じませんでした

ちなみに音楽は、パスカルズさん。
井の頭公園ではじめて見た(聴いた)時、三度見した、
あの、パスカルズさんです。

 <17才 発売中です。>

東京公演は30日までです。

作/演出/ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演/生瀬勝久/小出恵介/丸山智己/安倍なつみ/大倉孝二/緒川たまき
大鷹明良/マギー/近藤公園/夏帆/三上市朗/久保酎吉/峯村リエ、
犬山イヌコ/山西惇/池田成志/久世星佳/木野花/西岡徳馬

原金太郎/楠見薫/加藤弓美子/野中隆光/日比大介/皆戸麻衣
猪俣三四郎/水野小論/中林舞

1月11日から14日は、
大阪・シアターBRAVA!にて上演されます。

友人がお正月休みを延長して大阪公演を観ようとしたら、
soldoutだったと言ってましたが、当日券があるかも・・・なので、
確認してみてください。



『つやのよる~ある愛に関わった、女たちの物語~』

2012-12-26 | 映画・ドラマ・舞台
先日、<つやのよる~ある愛に関わった、女たちの物語~>を、
観てきました

愛は、愛は、愛は、奥が深い。と思いました



監督/行定勲
<GO><今度は愛妻家><春の雪><パレード>など。



<今度は愛妻家>が好きです。
哀しいけれど、面白くて、強く誰かを思う映画でした。
今回の<つやのよる>にも、共通するところがあるような気がしました。

原作/井上荒野



脚本/伊藤ちひろ
<今度は愛妻家><女たちは二度遊ぶ><パーティーは終わった>など。



キャスト
阿部寛 /小泉今日子/野波麻帆/風吹ジュン
真木よう子/忽那汐里/大竹しのぶ/羽場裕一
荻野目慶子/岸谷五朗/渡辺いっけい/永山絢斗
奥田瑛二/田畑智子 ほか。



春二(阿部寛)は、艶という女性と駆け落ちをして大島で住んでいました。
不貞をくり返し自由に生きる艶と、翻弄され続けてきた春二。
艶は病気となり、そのまま昏睡状態に陥ってしまいます。
彼女を愛し、必死に<後を>追い続けてきた春二は激しく動揺して・・・
艶と深い仲だった男性たちのもとに、危篤状態であることを知らせるのです。

そこには、そこに<居た>のは、
艶を愛した男性であり、また、その男性を愛した妻や女たちでした。

それぞれ、とても<<印象的>>でした。

クリスマスを前後するこの<頃>には、
いろいろな<恋>や<愛>のお知らせが届きます。

その中には、結婚7度目というツワモノや、
3股がバレて部屋を追いだされたという女性、
離婚したら妻がストーカーになってしまったという男性も、

<愛>は見失わないようにしないと、

迷路をさまよい、人を巻き込んで、
びっくりするような場所に連れていかれたりします。

艶は、特別な女性のようだけれど、
実は、まわりを見まわせば、あそことかそこに、
隠れた<艶カード>を持つ人たちがいるのです。

そして、そのまわりにもまた、
心の中に、熱くたぎる思いを持つ人たちが、いるのです。

<<つやのよる>>を観て、自分の中にある、
<艶>や<春二>、様々登場する男性や女性を、みつけてみたら、

明日から、違う人生が待っているかもしれません。