『tokotoko』

Fortune comes in at the merry gate.

『ツナグ』

2011-10-31 | 立ち直っていく、という時に。
最近の4冊目は、
辻村深月さんの『ツナグ』です

人は必ず死ぬ。
誰かから生まれて、そして、いつかいなくなる。

もし『ツナグ』が、私の目の前にいて、
たった一度、亡くなった誰かと会わせてくれるのなら、

私はどうするのだろう。



会いに行くひと、来るひと。
それぞれが、誰かを思い、思われている。

そう、感じる本でした。



急死したアイドルに会いたいと願うOL。

     「平ちゃんさぁ、謝るのって癖?」

     「・・・・あんまりよくないよ。
      謝っても解決しないこと世の中にはたくさんあるし、
      甘ったれんな。・・・」

アイドルはかわらずに、言いました。

私は、あるタレントさんを思い出しました。

亡き母親に会うことを希望する横柄な中年男性。

     本当は、聞きたかった。
     生きているうちに。
     俺は、正しかったのか。

会ってよかった・・・と言った男性の、

不器用な表情が、
その限られた時間の中で変わったことが、
あったかかった。

自転車事故で死んでしまった親友に会いたいと願う女子高生。

痛み、を、感じました。

突然に失踪してしまった恋人の安否を確かめたいサラリーマン。

     自分の前から消えたものの重さ・・・

     何にも残せなくてごめんね。

会ってしまうことで、
受け止めなくてはならないこと、

この章を読んで、
現実にも、そういうことがあるなぁと思いました。

目を瞑ったままに、していることで、
目を開かなくてはいけないこと。



     「私はね、死んだ人間を呼び出して、
      生きた人間に会わせることができるんだ」

     「・・・・・この世に残ってるその人の欠片や記憶をいろんな場所からかき集めて・・・」

人間という動物が、こうして感情を持って、
こうして生きていることも、不思議。

だから、本当にこういうことがあっても不思議じゃないと、思えた。

     失われた誰かの生は、何のためにあるのか。

     どうしようもなく、そこにある、逃れられない喪失を、
     自分たちはどうすればいいのか。

生きている誰もが、死んだことがない。

だから、わからないし、怖い。

だけど、本当に死んでしまっても、
心が、こんなふうに生きてるなら、

何か、大丈夫かなぁと思えました。



会いたいひとに会ったことで、
生きているひとも死んだ人も、思い残すことなくすすめるか?

この本は違います。

とくに、女子高生の章を読んで、
心の水たまりにチャポンと大きな波紋が広がりました。

痛かった同じ著者の、
『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』を思い出しました。

そして、だからこそ・・・
簡単ではない今を、私たちは生きている。と思いました。

使者が男子高校生・・・で、
そして、その理由があって・・・

じっくり味わって読めました。

素敵な1冊でした



『禅語』

2011-10-31 | 
最近の3冊目は、
石井ゆかりさんの『禅語』です

日常で起こる苦みや痛み、悩み、

言葉が、優しい逃げ道をくれたり、
厳しく諭してくれたり、出口をくれることがある。

禅語と写真の、素敵な本です。



『宇宙無双日』
『乾坤只一人』

宇宙に太陽は二つとなく、
天地の間にわれひとりがただある。

『鯨呑盡海水』
『露出珊瑚枝』

クジラが海水を飲み尽くして、海底から珊瑚の枝が姿を現す。

迷いがすべて取り払われたところに、
美しい真実の姿が現れる、の意。

『雪後始知松柏操』
『事難方見丈夫心』

柏や松が緑のまま姿を変えなかったことは、
冬が過ぎて雪が溶けてみてはじめてわかる。

難事があったとき、はじめてその人の強さが見えてくる。
ここで言う柏は、柏槙といい、ヒノキの一種のこと。
従って「末柏」は常緑樹を意味する。

『知足』

足るを知る。
満足することを知る、の意。

『自返照看』

自分を深く省みよ。
外に答えを求めるのをやめよ、という意味・・・

『落花流水太茫々』

「茫々」は、果てしなく流れていく様。
花が散り落ちて、それが川に流されていく光景。
転じて、無心に、流れに逆らわず身を任せて生きよ・・・



こころに響く美しい禅のことば。
禅語とは、禅の教えを伝える言葉。

禅僧(仏教の一派。内観・自省によって心性の本源を悟ろうとする宗門。)
道人(仏道(仏の説いた教えを修行する人。)などの禅宗独自の言葉や述語のこと。



「一期一会」「雪月花」「無事」など、

日常の中の言葉となっているものも多く、
その一つ一つには、深い意味が込められている。



写真は井上博道さん。





『Charice/ ∞(インフィニティ)』

2011-10-28 | 音楽
今日は、Chariceの∞(インフィニティ)を聴いています



1曲目の「ラウダー」は、 めざましTV占いコーナー曲。

2曲目の「ニュー・ワールド」は、
「FINAL FANTASY XIII-2」のテーマソング。



4曲目「 ファー・アズ・ザ・スカイ」は、
2011年7月~9月に放映していた、
日テレ系ドラマ「ブルドクター」の主題歌でした。





元気になれる1枚です



『トッカン~特別国税徴収官~』

2011-10-27 | 立ち直っていく、という時に。
最近の2冊目は、
『トッカン~特別国税徴収官~』です

税金滞納者から取り立てを行なう徴収官。
その中でも、特に悪質な事案を担当する特別国税徴収官(トッカン)のお話です。



「たくわん」を投げられる鈴宮深樹(通称ぐー子)、

こんなかんじですすんでいくのか・・・と思ったら、

違った



生きてると、いろいろあります。

私たちは、この国に生きる義務として、税金を払ってる。

そこにある、いろいろな人の、いろいろな人生が、

読めます。

それぞれの立場で感じる、人生。

向き合えない、向きあう、人生。

徴収する者、される者、

それぞれの家族や過去・・・に、

自分の人生を並べて、

最後には、

「さて、もうちょいがんばろう」と思いました。



カフェの二重帳簿を暴く潜入捜査とか、

銀座の高級クラブのママと闘うところとか、

読み応えがありました



最後にみえた、

人と、人の、くっつきが、

よかった。



『芸人交換日記~イエローハーツの物語~』

2011-10-27 | 
最近の1冊目は、
「クイック・ジャパン」で連載していた小説を単行本化した『芸人交換日記』

発売当初、

「泣いた
泣いた」
感動した」と、話題になり、

夏に、東京グローブ座で、
オードリーの若林さんと田中圭さんのダブル主演で上演されました。



結成11年目、
いまだ鳴かず飛ばずのお笑いコンビ「イエローハーツ」が書く交換日記。

実在する芸人さんも登場しながらの、
リアルな進行で、

いつのまにか心をグワッとつかまれます



私は芸人ではないけれど、
エンタテインメントの世界のあれこれで生活しているので、

このお話は、
一粒ももらさず・・・というくらいに、
よくわかる世界で、

苦しく、痛くて、あたたかくて、

せつなかったです。



何が幸せなんだろう・・・
そんなことを、最近よく考えます。

売れたひと、売れていないひと、

売れたひとが幸せか・・・と、
まわりを見まわすと、

そうとばかりは、言えません。

ものすごく売れても、
とても不幸なひとは、ひとりやふたりではなく、います。

でも、だったら売れなかったらいいのか?というと、
それは違います。

難しい世界です。

だから・・・生半可ではない腹のくくり方が必要だなと、
本当に、本当に、思います。

それくらい『夢』と一緒に生きて行くのは、
難しいことです。

長い人生の中で、その道の右や左には、
いろんなものや、いろんな人が立っていて、誘います。

夢は、常に試されて、

『私が1番か』
『私は必要か』

と、確認してきます。

そして、
それを選んでも、

『選ばれる』とは限りません。



「笑い」という社会で生きる人と人の半端ない厳しさ。
「才能」という、見えなくて「見える」ものとの闘い。

必死な人たちが描かれていて、
フィクションの域を超えています。

そして、最後の・・・部分。



私も、まわりのひと同様に、
大泣きしてしまいました

そして、

自分の目の前にある『夢』を、

確認していました。