●ベッチー的映画三昧日記
年に1回は会いたい大家族喜劇の誕生「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」
山田洋次監督による喜劇「家族はつらいよ」シリーズの第3弾。
2016年から始まった本シリーズの良いところは、予定調和であること。毎回ある程度先が読める話だが、”他人の不幸せは自分の幸せ”とは云うように、そこに至る登場人物たちのドタバタぶりと人情味が落語を聞いているかのごとく楽しいのだ。このシリーズも3作を数えて、「男はつらいよ」に代わる松竹伝統の家族を描いた喜劇となった感じがする。
今回のテーマは、主婦の仕事について、嫁の位置づけだ。主婦労働について正当な評価がされていないことは、かなり前から問題となっているが、昨今の中高年や熟年離婚の増加は本作での描かれていることも大きな原因である。
三世代で賑やかに暮らす平田家の家事を担う主婦・史枝(夏川結衣)が、ある事件をきっかけに夫の理解の無さに不満が爆発し、家出をしてしまう。食事の支度、掃除、洗濯とすべての家の機能が成り立たなくなり、もう平田家は上へ下への大騒動となる…。
主演の8人、橋爪功と吉行和子、西村まさ彦と夏川結衣、中嶋朋子と林家正蔵、妻夫木聡と蒼井優の4組の夫婦それぞれが決まった役割の演技を見せるが、息がぴったりで、その乗りの良さは観ていて気持ち良い。どこの家庭でも交わされていそうな今日的な問題なので自分のことのように共有意識が持てて(特に男性は)考えさせられる。
また、今回気付いたのは随所に「男はつらいよ」をイメージさせるシーンが入れられていることだ。三世代家族の平田家では些細なことでも何か事があると、すぐに兄弟家族が大集合し、一大家族会議となる。これはまるで車家の茶の間と同じである。
そして、事件の渦中の人長男の幸之助(西村まさ彦)がみんなから責め立てられ「もう家族なんてうんざりだ!」と捨てセリフを吐き、家を出ていくとき、「お兄ちゃん!」と後を追う妹(中嶋朋子)のやり取りは、“寅さんとさくら”を思い出させる。
山田監督の本シリーズに対する気持ちの表れが理解できて、ある意味感動した。
寅さんのまわりに出番は少ないが決まった常連キャラがいたように、このシリーズも4組の夫婦を支える小林稔侍(彼は死んでも別キャラで出てくる)、風吹ジュン、徳永ゆうき、笑福亭鶴瓶、広岡由利子、木場勝巳、笹野高史などの存在も大きい。
ラストの感じでは次回は子どもを授かった末っ子夫婦の妻夫木聡と蒼井優の話が中心になりそうな気もするが、過去3作一番まともな人格者として問題解決のキーファクターとして描かれてきたこの夫婦を笑いの中心にするのは難しいかも。
笑いのマエストロ山田監督がどのようなテーマを選び、どのように料理して、4作目を提示してくれるのか、それを考えるのも私はとても楽しみである。
年に1回は会いたい大家族喜劇の誕生「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」
山田洋次監督による喜劇「家族はつらいよ」シリーズの第3弾。
2016年から始まった本シリーズの良いところは、予定調和であること。毎回ある程度先が読める話だが、”他人の不幸せは自分の幸せ”とは云うように、そこに至る登場人物たちのドタバタぶりと人情味が落語を聞いているかのごとく楽しいのだ。このシリーズも3作を数えて、「男はつらいよ」に代わる松竹伝統の家族を描いた喜劇となった感じがする。
今回のテーマは、主婦の仕事について、嫁の位置づけだ。主婦労働について正当な評価がされていないことは、かなり前から問題となっているが、昨今の中高年や熟年離婚の増加は本作での描かれていることも大きな原因である。
三世代で賑やかに暮らす平田家の家事を担う主婦・史枝(夏川結衣)が、ある事件をきっかけに夫の理解の無さに不満が爆発し、家出をしてしまう。食事の支度、掃除、洗濯とすべての家の機能が成り立たなくなり、もう平田家は上へ下への大騒動となる…。
主演の8人、橋爪功と吉行和子、西村まさ彦と夏川結衣、中嶋朋子と林家正蔵、妻夫木聡と蒼井優の4組の夫婦それぞれが決まった役割の演技を見せるが、息がぴったりで、その乗りの良さは観ていて気持ち良い。どこの家庭でも交わされていそうな今日的な問題なので自分のことのように共有意識が持てて(特に男性は)考えさせられる。
また、今回気付いたのは随所に「男はつらいよ」をイメージさせるシーンが入れられていることだ。三世代家族の平田家では些細なことでも何か事があると、すぐに兄弟家族が大集合し、一大家族会議となる。これはまるで車家の茶の間と同じである。
そして、事件の渦中の人長男の幸之助(西村まさ彦)がみんなから責め立てられ「もう家族なんてうんざりだ!」と捨てセリフを吐き、家を出ていくとき、「お兄ちゃん!」と後を追う妹(中嶋朋子)のやり取りは、“寅さんとさくら”を思い出させる。
山田監督の本シリーズに対する気持ちの表れが理解できて、ある意味感動した。
寅さんのまわりに出番は少ないが決まった常連キャラがいたように、このシリーズも4組の夫婦を支える小林稔侍(彼は死んでも別キャラで出てくる)、風吹ジュン、徳永ゆうき、笑福亭鶴瓶、広岡由利子、木場勝巳、笹野高史などの存在も大きい。
ラストの感じでは次回は子どもを授かった末っ子夫婦の妻夫木聡と蒼井優の話が中心になりそうな気もするが、過去3作一番まともな人格者として問題解決のキーファクターとして描かれてきたこの夫婦を笑いの中心にするのは難しいかも。
笑いのマエストロ山田監督がどのようなテーマを選び、どのように料理して、4作目を提示してくれるのか、それを考えるのも私はとても楽しみである。