●ベッチー的映画三昧日記
「平安絵巻の世界観を描いた究極のアニメーション」
竹から生まれた女の子が美しいお姫様になり、月に帰っていく…という童話「かぐや姫の物語」で、2時間17分をどうもたせるのかと思ったが、今までに観たことのないアニメーションの世界に酔っていたらあっという間に時間が過ぎてしまった。
宮崎駿監督の盟友、高畑勲監督の14年ぶりの新作は、宮崎駿作品とは違うアニメーションの世界を表現した作家性の強い作品となっている。
線画を強調した淡い色彩の画は、まるで1枚1枚の水彩画を観ているようだ。細部まで写真のように描き込まれた背景に代表されるリアルな表現のアニメーションが主流のなか、よくぞここまで冒険をしたものだと感心してしまった。
しかし、この一見粗く、へたのように見える絵が、非常に観る者にイマジネーションを湧かせてくれることにびっくりした。単に絵が粗いのではなく、上手い絵描きが敢えて極限まで単純化させて描いている感じだ。したがって、よく観ると小さく描かれたものまで、しっかりとした形を保っていてそのデッサン力の高さに驚かされる。最初は上手くない絵のように思えた翁や貴族たちなども、今までにない人間らしい表情を見せ、気が付いたら物語にぐいぐい引き込まれてしまった。
表現力を高めたもう一つの成功要因は先に役者がセリフを録音したプレスコ手法だ。かぐや姫を育てた翁夫婦を演じた地井武男と宮本信子は画の完成前に見事に感情移入したセリフを吹き込んだ。このことがかえってアニメーターたちのキャラクターに対するイマジネーションを確立させたという。まさに名優のなせる技で、地井武男渾身の遺作と言える。
今まであまり知らなかったかぐや姫がなぜ地上へ来たのかその秘密が本作で語られている。かぐや姫と天女をモチーフにした羽衣伝説が結びついていたことを本編で知り、羽衣伝説の三保松原の所在地に住む住人として、これについても目からうろこだった。
「平安絵巻の世界観を描いた究極のアニメーション」
竹から生まれた女の子が美しいお姫様になり、月に帰っていく…という童話「かぐや姫の物語」で、2時間17分をどうもたせるのかと思ったが、今までに観たことのないアニメーションの世界に酔っていたらあっという間に時間が過ぎてしまった。
宮崎駿監督の盟友、高畑勲監督の14年ぶりの新作は、宮崎駿作品とは違うアニメーションの世界を表現した作家性の強い作品となっている。
線画を強調した淡い色彩の画は、まるで1枚1枚の水彩画を観ているようだ。細部まで写真のように描き込まれた背景に代表されるリアルな表現のアニメーションが主流のなか、よくぞここまで冒険をしたものだと感心してしまった。
しかし、この一見粗く、へたのように見える絵が、非常に観る者にイマジネーションを湧かせてくれることにびっくりした。単に絵が粗いのではなく、上手い絵描きが敢えて極限まで単純化させて描いている感じだ。したがって、よく観ると小さく描かれたものまで、しっかりとした形を保っていてそのデッサン力の高さに驚かされる。最初は上手くない絵のように思えた翁や貴族たちなども、今までにない人間らしい表情を見せ、気が付いたら物語にぐいぐい引き込まれてしまった。
表現力を高めたもう一つの成功要因は先に役者がセリフを録音したプレスコ手法だ。かぐや姫を育てた翁夫婦を演じた地井武男と宮本信子は画の完成前に見事に感情移入したセリフを吹き込んだ。このことがかえってアニメーターたちのキャラクターに対するイマジネーションを確立させたという。まさに名優のなせる技で、地井武男渾身の遺作と言える。
今まであまり知らなかったかぐや姫がなぜ地上へ来たのかその秘密が本作で語られている。かぐや姫と天女をモチーフにした羽衣伝説が結びついていたことを本編で知り、羽衣伝説の三保松原の所在地に住む住人として、これについても目からうろこだった。