●ベッチー的映画三昧日記
「恐るべき奥田瑛二ファミリーの0.5ミリ」
賞レースの時期になり何かと話題になっている作品だが、本作は奥田瑛二ファミリーのクリエイティブな力を見せつける作品となっている。父の奥田瑛二がエグゼクティブ・プロデュサーを務め、長女の安藤桃子の原作を基に彼女が脚本、監督をし、妹の安藤サクラが主演、母の安藤和津がフードスタイリストとしてサポートをした。
まず「0・5ミリ」というタイトルが意味深だ。他人と他人が寄り添って生きて行かなければならない社会においてそれがだんだん失われているのが現実の社会。その距離を埋めて行く一歩が0・5ミリということなのか。本作が介護を題材に笑いの中に提示したメッセージは、超高齢社会を背景に時代を投影した新鮮な映画となった。
介護ヘルパーとして派遣先の老人の世話をしていたサワ(安藤サクラ)は、家主からある依頼を受けてしまったことから事件に巻き込まれ、仕事も家もお金もなくしてしまう。生きていくため、サワはいわくありげな年寄りを見つけては押しかけヘルパーとして、彼らの人生の中に踏み行っていく。孤独な年寄りたちは、ある意味純真なサワとの生活の中で、生きることの意味を問い返して行く…といった物語。
彼女が電車に全財産を置き忘れて一文無しになるくだりは、話の持っていきかたが少し強引すぎるが、最初のエピソードが3つの話を経てラストにひとつのメッセージとして結実していく本作りは巧い。
最近の映画界で、この手の物語で3時間20分というのは長い。しかし、4つのエピソード(正確には5つ)の話の面白さと中心をなす超熟練俳優たちの演技の巧さと安藤サクラの自然体の演技が化学反応を生んで、各エピソードの完成度が極めて高いので、飽きさせないで全く長さを感じなかった。
まさに安藤サクラという女優の生きざまが役に投影していて傑作になった感じがする。近年美人ではない女優で、これだけ多くの作品でタイトルロール(主役)を張れる女優がいただろうか。彼女の演技が上手いかどうかは別にして、スクリーン上の彼女の存在感は凄いと言わざるを得ない。
女の子は父親似になるという逆境を逆手に取り、他の美人女優と一味違う存在感を示す安藤サクラの活動は注目せざるを得ない。
「恐るべき奥田瑛二ファミリーの0.5ミリ」
賞レースの時期になり何かと話題になっている作品だが、本作は奥田瑛二ファミリーのクリエイティブな力を見せつける作品となっている。父の奥田瑛二がエグゼクティブ・プロデュサーを務め、長女の安藤桃子の原作を基に彼女が脚本、監督をし、妹の安藤サクラが主演、母の安藤和津がフードスタイリストとしてサポートをした。
まず「0・5ミリ」というタイトルが意味深だ。他人と他人が寄り添って生きて行かなければならない社会においてそれがだんだん失われているのが現実の社会。その距離を埋めて行く一歩が0・5ミリということなのか。本作が介護を題材に笑いの中に提示したメッセージは、超高齢社会を背景に時代を投影した新鮮な映画となった。
介護ヘルパーとして派遣先の老人の世話をしていたサワ(安藤サクラ)は、家主からある依頼を受けてしまったことから事件に巻き込まれ、仕事も家もお金もなくしてしまう。生きていくため、サワはいわくありげな年寄りを見つけては押しかけヘルパーとして、彼らの人生の中に踏み行っていく。孤独な年寄りたちは、ある意味純真なサワとの生活の中で、生きることの意味を問い返して行く…といった物語。
彼女が電車に全財産を置き忘れて一文無しになるくだりは、話の持っていきかたが少し強引すぎるが、最初のエピソードが3つの話を経てラストにひとつのメッセージとして結実していく本作りは巧い。
最近の映画界で、この手の物語で3時間20分というのは長い。しかし、4つのエピソード(正確には5つ)の話の面白さと中心をなす超熟練俳優たちの演技の巧さと安藤サクラの自然体の演技が化学反応を生んで、各エピソードの完成度が極めて高いので、飽きさせないで全く長さを感じなかった。
まさに安藤サクラという女優の生きざまが役に投影していて傑作になった感じがする。近年美人ではない女優で、これだけ多くの作品でタイトルロール(主役)を張れる女優がいただろうか。彼女の演技が上手いかどうかは別にして、スクリーン上の彼女の存在感は凄いと言わざるを得ない。
女の子は父親似になるという逆境を逆手に取り、他の美人女優と一味違う存在感を示す安藤サクラの活動は注目せざるを得ない。