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2011年12月26日 No.1757 殿様も犬も旅した東海道五拾三次
『殿様も犬も旅した東海道五拾三次』は歌川広重（１７９７～１８５８）が江戸を出発して五拾参の宿駅を経て京都に至るまでの道のりを五拾五枚の大判錦絵シリーズを保永堂から出版してヒットした作品で、これに味をしめた広重は２０種以上の東海道ものを制作したそうです。その中で「隷書東海道」という揃物は保永堂版に次ぐ高い評価を受けていたそうで、サントリー美術館が所蔵しているそうです。
広重の父は江戸の火消しをしていた下級武士「火消同心」の安藤家ですが、広重はここに生まれましたが生来好きな絵を習いたいと、１５歳の頃に浮世師・歌川豊広に入門。東海道五拾参次が彼の出世作であり、代表作であり、メガヒットした唯一つの作品だそうです。
私はサントリー美術館のメンバーズ・クラブの会員だから毎度会報が送られてくる。会期は１２月１７日～１月１５日と短く、、私は中国出張が１２月２７日からで帰国するのも１月５日なもので見れる時に見よう、先日あたふたと会場に足をはこびました。『 殿様も犬も旅した広重・東海道五拾参次』出発点は、もちろん、お江戸日本橋・・・
この展覧会は保永堂版を所蔵している那珂川町馬頭広重美術館と隷書版を所蔵しているサントリー美術館の作品を比較し、宿場を描く際に広重がどのような工夫を行って描いているのか、その制作背景を追っていくそうです。 まず・・・
保永堂版 東海道五拾参次之内 日本橋 朝之景 那珂川町馬頭広重美術館蔵
日本橋は慶長八年（１６０３）に徳川家康が街道交通網の整備に際して日本橋川に架けた橋で慶長九年に五街道（東海道・中山道・奥州道中・日光道中・甲州道中）の起点として定められたそうです。現在とほぼ同じ場所（東京都中央区日本橋一丁目）に初代の橋が建てられた後、幕末までに何度と火災で焼け落ちたが、その度に架け替えられている。
上の絵は早朝明けられたばかりの町の木戸から参勤交代の大名行列が橋を渡って国元に帰るところ。先頭は挟箱を持ち、続いてけ槍を持つ槍持奴が続く。橋のたもとでは、魚河岸で仕入れたばかりの魚を担ぐ男達が行列に道をあける。その後ろに見えるのは高札場で幕府が発したお触れが掲げられている。右手に犬が見えるが、その奥には罪人の晒場あった。現在は警察派出所が立っているそうです。
保永堂版 東海道五拾参次之内 日本橋 行列振り出し（変わり図）だそうです。
この絵は上の変わり図で、版元の異なる後版が存在する理由について、初版があまりにも売れて板が磨耗したため、新しく版をおこしたのだろうとか、火事で板が燃えてしまい作り直したのだろうとかさまざまな推測がなされているが判然しないそうです。
初版と同じ様に日本橋を大名行列が通る様子を描かれているが画面右手にいた二匹の犬は中央に移され、犬をかまう小僧の姿が見えます。前景の人数も増えて木戸のところまで広がり、初版に登場する魚売りや野菜のほか住吉踊、小僧、花売り、御高祖頭巾の女性、貸本屋、読売などが加わって賑やかになっている。
隷書版 東海道一 五拾参次 日本橋 サントリー美術館蔵
日本橋やその界隈の風景画には町の賑わいとともに富士山や江戸城が描かれることが多いが、この絵は日本橋川に架かる一石橋の向こうに江戸城の城郭を、そして西空遠くに雪を頂く富士山を描いている。
橋の南側にはたくさんの蔵が立ち並び、橋の上には行きかう沢山の人々。中央は魚河岸で仕入れたばかりの大きな鰹を天秤棒に下げた いなせな若者だ。剣菱の印の酒樽を担ぐ人や按摩、袴を着た侍とその従者、振り分け荷物を持つ旅人、商家の女性などさまざまの階級、職業の人で賑わっている。
この保永版東海道五拾参次と変わり図と隷書版を見比べて、広重の制作意図を勘案して書く宿場を一つ一つ京まで上ってみたいと思います。 次は品川の宿まで参りましょう。
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