日銀が24日に公表した6月金融政策決定会合の「主な意見」では、次の利上げに積極的な見解が展開される一方、消費者物価が明確に反転上昇するのを経済指標で確認してからでもよいとの意見が併記されるなど、バランスの取れた構成になっていた。市場から過度に「ハト派」とみられないよう「利上げ」というタームが何カ所も出てきているところをみると、利上げは7月会合ではなく、9月会合以降という日銀ボードの本音が透けて見える内容と筆者には映った。
<複数個所に「金利を引き上げる」という表現>
今回の主な意見では、「金利を引き上げる」という単刀直入な表現が複数個所で見られたことが特徴の1つといえるのではないだろうか。
中でも「次回会合に向けてもデータを注視し、目標実現の確度の高まりに応じて、遅きに失することなく、適時に金利を引き上げることが必要である」との意見は、データ次第で7月会合での利上げもありうると受け止めることが可能な積極的な見解をだった。
一方で、「個人消費が盛り上がりを欠く中、一部自動車メーカーの出荷停止という想定外の事態が続き、これらの影響も確認する必要がある」との指摘は、7月会合時点での利上げ決断は時期尚早との見方を強くにじませたと解釈できる発言だろう。
全体として日銀展望リポートでの見通し通りに経済が進展していけば、金利引き上げによる緩和度合いの調整が必要になるとの見解が多数を占めていた可能性が濃厚で、さらに最近の円安による物価押し上げの効果を指摘する声も加わって、次の利上げに肯定的な見解が多かったと市場が受け止め、結果として外為市場で円安が進展することを防止する構成になっていたと筆者は感じた。
<消費動向を確認し、9月以降に利上げ議論か>
ただ、足元での消費がⅤ字回復とは程遠い停滞感を伴い、一部自動車メーカーの認証不正による出荷停止のインパクトが不透明な状況で、7月会合で利上げを決断できるのか、という問題は残っていることも率直に示したともいえる。
筆者は、上記で指摘したような背景に加え、日銀が7月会合で国債買い入れ額の減額計画を公表し、その減額幅が「相応の規模」になるとの植田和男総裁の発言を踏まえれば、市場の想定外の乱高下を回避するために7月会合での利上げは見送り、夏場の消費などの回復を確認して9月会合ないし10月会合で利上げを決断するのではないかと予想する。
リスク要因は、円安の急進展だろう。ドル/円が160円を突破し、日銀が7月会合の結果を発表する30日に接近する時期に165円に届こうとする動きが出てくれば、主な意見で指摘されていた「円安は物価見通しの上振れの可能性を高める要因」という現象が表面化するリスクが高まる。これから1カ月間の市場動向からも目が離せない。
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