忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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オムニバスの必要性は?「いぬのえいが」

2005年03月12日 | 作品紹介(映画・ドラマ)

■DVD:「いぬのえいが プレミアム・エディション」


素朴な疑問なのだが、
犬が出てくる映画というのは、何故こうも犬が死ぬのだろう。
少なくとも邦画の場合、犬が出てくる映画で
犬の死を扱わない映画はほとんど無いような気がする。
近年公開された「さよなら、クロ」や「クイール」も
やはりこのパターンだった。
日本人の犬に対する心情の根底には、
間違いなく「忠犬ハチ公」が息づいているのだと思う。
今回紹介する「いぬのえいが」は、
そういったルーチンワークからはみ出した映画なのではと
密かに期待していた映画だったのだが・・・

ストーリーは、中村獅童の演じる主人公と
主人公が可愛がっていた犬との交流を描いた
「ポチは待っていた」(以下「ポチ」)をメインに、
アニメやコメディなど合計11編から成るオムニバス映画になっている。
だが、どう見てもオムニバスにした必要性を感じないのだ。
「ポチ」以外の短編が、「ポチ」の持つ空気感や
心地良いテンポをぶち壊す効果しか生んでいない。
これぐらいなら、犬童監督の手掛ける「ポチ」4編と、
中村獅童の登場する「CMよ、どこへ行く」の合計5編のみで
構成した方が断然良い出来に仕上がっていたように思う。

どうしてもオムニバスにするなら、中途半端な連作は入れず、
完全に独立した短編ばかりで構成した方が良かったのではないか。
「うちの子No.1」「CMよ、どこへ行く」「恋するコロ」など、
挿入される短編の多くがコメディなのだが、
私的にはほとんど笑えなかった。
「下妻物語」のように映像的にも演出的にもパワフルな作品が
出てきている今、このレベルはかなりキツい。

最後に持って来た宮崎あおい主演の
「ねえ、マリモ」の出来が卑怯なぐらいに良く、
結局ここで泣かされてしまったわけだが
まとまりの悪い本編を泣けるラストで誤魔化されたようで
なんともすっきりしなかった。
現実でも映画でも、愛情を注いだペットの死は無条件に泣ける。
泣けるからこそ、安易な使い方はして欲しくないのだ。

コテコテ・ベタベタの笑いが好きで、
「クイール」でも号泣出来たという人ならお勧めだ。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:いぬのえいが
    配給:ザナドゥー
   公開日:2005年3月19日
    監督:犬童一心 他
    出演:中村獅童、宮崎あおい、天海祐希
 公式サイト:http://www.inunoeiga.com/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
コメント (11)    この記事についてブログを書く
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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
クイール号泣しましたので (ichikino)
2005-03-13 00:02:32
クイール号泣してしまったのでとりあえず見てみようと思います。
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む、 ()
2005-03-13 00:55:03
>ichikino殿



うむ、私のように物事を斜めに観てしまう人間でなければ

本作も十分お勧めだ。

返信する
狗~ (1917)
2005-03-13 01:27:33
はんなりした感じの場所になったきましたね。春の地雷映画の鉄人も感想聞かせてください。
返信する
クロ (hotateonna)
2005-03-13 02:18:31
はじめまして。私は今日ブログを始めたばっかりの新人ブロガーです。こんばんは。

偶然にも私も「さよなら、クロ」を録画してあったので見ました。しかし、クロが死んで用務員のおじさんがクロの遺品を燃やしているシーンで録画が終わってしまっていたのです。なので最後まで見る事が出来ず、かなり気持ち悪い状態です。

どうやってラストを迎えるのですか?

是非教えてください。
返信する
?? (オコタでミカン)
2005-03-13 02:32:21
犬と歩けば チロリとタムラはどうでしょう。

私はシマウマの映画でも観るとします!
返信する
獅童 (どぶ)
2005-03-13 03:16:13
今年の春は獅童の当たり年ですがやっぱり「隣人13号」ですね。
返信する
死なない映画 (しんぼう)
2005-03-13 14:56:26
お、コメント欄復活ですか?

映画だけでも復活してもらえると嬉しいです。いろいろと感想を述べたいですし……。

犬の映画ですか……。確かに犬の自己犠牲って場面が多いですね。そういう意味では食傷気味のような感じもあります。

最近の映画を見て思うんですが、死ぬ場面が多すぎですね。死ぬことによって盛り上げるのを狙っているというか……。

無理矢理誰かを殺してストーリーを盛り上げていくのはそろそろ飽きてきたかなと。大人から子供まで安心して感動できるドラマ性を持った映画ができないかなと思ってます。

アニメや宮崎監督の作ったものなら大前提で「死なない」というのがありますが、一般の映画でもそういうものが欲しいなぁ……と思う今日この頃です。
返信する
Unknown (豆しば)
2005-03-13 16:46:55
私が、始めて劇場で見た邦画は

「南極物語」でした(笑)

あの映画は、死んだ犬もいますが

「生き残った」映画ですよね。

健さんもカッコイイし。



死を描くことが悪いとは思いませんが

悲しみを引き出すための道具にはしてほしくないなぁ・・

黒澤の「生きる」には肝心の死ぬ場面は無いですし

あの映画には笑いもあふれてます。

でもそこはかとなく、リアルなんですよね。



ちなみに私が一番好きな黒澤映画は

「野良犬」です。(洒落じゃないですよ)

返信する
む、 ()
2005-03-14 00:54:22
>1917殿



うむ、時間を置くだけで静まるなら今後もこれでいこうかと思う。

ちなみに「鉄人28号」は既に書き上げているのだが

いつ出そうか思案中。

ちなみに、決して地雷ではなかったぞ。



>hotateonna殿



ようこそ、場末のBLOGへ。

「さよなら、クロ」の続きは是非レンタルで、

と言いたいところだが簡単に教えよう。

クロの葬儀を学校主催で行うことになるのだ。

校長先生(渡辺美佐子)の弔辞は泣けるので

「あぁ、すっきり」などと言わずぜひご覧いただきたい。

ちなみに私はDVDを持っている。

クロのストラップの付いた限定版だ。



>オコタでミカン殿



チロリは観たかったのだが上映期間に間に合わず

未見のままなのだ。

ココリコの田中直樹の演技力は「みんなのいえ」で

実証済みなのでかなり期待しているのだが・・・

「レーシングストライプス」は

「ベイブ」のスタッフではなかったか。

こちらも未見なのでまた感想などお寄せいただきたい。



>どぶ殿



うむ、「隣人」はもうすぐ公開だな。

私も観る予定だが、個人的に中村獅童より小栗旬の方が気になる。



>しんぼう殿



うむ、私も同意だ。<死ぬ場面が多い

ゲームもFCの「FF2」あたりで死が解禁になって以降、

死を使った悲劇的イベントが多用されるようになってきたと思う。



ちなみにコメント欄は完全に停止していた時期は

実は1日もないのだ。

最近は記事アップから数日おいてオープンしている。



>豆しば殿



おぉ、「愛のオーロラ」(荻野目慶子)の「南極物語」であるか。

犬好きなら「奇跡の山」という映画も良いぞ。

ベタだが、中江有里が良い。

豆しば殿なら「吠える犬は噛まない」という韓国映画も

未見ならお勧めしてみたい。(以前に書いたかも知れぬ)

ブラックジョークとサスペンスの融合した

なんとも言えない味わいの映画なのだ。

「殺人の追憶」(これも傑作)の監督のデビュー作でもある。



ちなみに黒澤映画は、

皆あまり好きではないと言うのだが「夢」が好きなのだ。

伊丹作品では酷評されている「大病人」も実は好みだったり。

返信する
Unknown (豆しば)
2005-03-17 19:21:37
「吠える犬は噛まない」さっそく、見ました。

ちょっと長いかもしれませんが感想失礼します。



最初の一時間は正直それほど映画にのめり込む感じではありませんでした、がそれを越えてからが面白い。

私は、本格的な映画を志す監督だなと思いました。

理由は二つ、まず絵を大事にする人だなというところです。冒頭の、息で窓が曇る絵、道路にトイレットペーパーを転がす絵、煙に包まれてしまう絵、こういう印象に残る絵が随所にある。

コレには大変感心しました。もともと、私自身が絵にこだわった映画が好きなんですが、最近の、特にハリウッド系ジェットコースタームービーのなんと絵の軽いことか・・・

かつてのスピルバーグ(未知との遭遇まで)は素晴らしい絵を見せてくれたものです。

日本の監督では、北野武監督は非常に面白い絵にこだわってて好きなんですが、ロッキンオンのインタビューで「写真を4枚並べて(起承転結)映画になるならそれが一番いい」と言ってました。

結局、見終わって、ストリーは自分の言葉で語れないと思うんですね、あらすじとしてしか語れない。でも、絵は自分の好きな絵をいつまでもとっておける。

私の、漫画でも「●●の巨大な●●がよかった」ばかり言われます。私も、そういう面白い絵がいくつ描けるかが勝負だと思ってます。

もう一つの理由は、人間の描き方ですね、「おかしみ」を描こうとしている。伊丹十三さん、今村昌平さんにも通じる人間臭さが良かったです。

汗をかいても無味無臭のような踊る大走査線的な映画は娯楽にはなってもそれ以上にはならないと。



最近のしょっぱい映画には飽き飽きしてたので、大変刺激になりました。
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