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▼ディズニープラス「コネクト」「ガンニバル」ファミリー路線を塗り替える残虐ドラマ2本の完成度
＜Disney+＞
全6話完結済み■洋ドラ：ディズニーオリジナル｜コネクト
ディズニーとマーベル、スターウォーズの3本柱でシェアを伸ばしてきた
ディズニープラスが昨年末より新たな視聴者層の開拓に乗り出している。
昨年12月に配信された「コネクト」と「ガンニバル」は
どちらも残虐表現がかなりストレートで、これまでのファミリー路線一辺倒からの
脱却を強く印象付けている。
ホラー映画好きな私はどちらも楽しく見ているので
「コネクト」を見終わった現段階での2作品の印象を簡単にまとめておきたい。
「コネクト」は三振かホームランかの二択しか存在しない
豪快なスイングでお馴染みの三池崇史監督が「愛の不時着」などの制作で知られる
スタジオドラゴンと韓国の新世代俳優として人気沸騰中のチョン・へインと組んで撮った
ディズニープラスオリジナルの日韓合作のスリラードラマ。
細胞の治癒能力持つ不死身の男、ハ・ドンスはある日何者かに誘拐され眼球を奪われてしまう。
しかし奪われた眼はドンスと視界を共有したまま別の男へと移植され
時折その男の見る光景が飛び込んでくるようになってしまう。
ある見た光景は、テレビで話題になっているシリアルキラーの犯行計画だった。
犯人逮捕と眼を取り戻すため、ドンスはひとり捜査を開始するが・・・。
全6話だったので意外とあっさり見終わった。
これは明らかにシーズン2があるな。
劇中で語られる主人公のコネクト（再生能力を持つ不死身の人間）について
出自や仕組みがほとんど解明されていないし
X-MENのように「世界には多くのコネクトがいる」と触れておきながら、
ドンス以外のコネクトは最終回までに二人しか出てこない。
ディズニープラスはNetflixのように視聴数ランキングが出ないこともあり
次のシーズン制作にGOサインが出るだけのヒットになっているかが分からないが
ドラマの出来から察するに、続編があるかは50/50ぐらいではないかと思う。
三池崇史監督はいつものおふざけを封印し、最終回に少しだけ「らしさ」が出てくる以外は
終始オーソドックスなサスペンスに徹していて、
いつものような三振かホーランの豪快なスウィングを期待していると肩透かしを喰らう。
少なくとも、三池監督のファンであるタランティーノがこのドラマを見たら
「これならミイケである必要ないジャン」と憤ることだろう。
ストーリーは「寄生獣」「東京喰種」の変形的な展開なのだが、物語の土台となる部分の作り込みが甘く、
どの程度まで破損しても再生可能なのか、切り離された体の一部が他人に移植された場合にどうなるのか、
死ぬことはあるのかなど今ひとつわからないことが多い。
例えば「寄生獣」ならば、人間と寄生生物で別のコミュニティが形成されていて
彼らの目的も、体が乗っ取られるまでのプロセスもちゃんと解明されている。
しかし本作は「それは聞かない約束」とでも言わんばかりに
細かな疑問には目もくれずストーリーを進行していく強引さがあり、
最終回を見終わった後にも多くの謎が残ったままだった。
コネクトに対し意外と理解のある刑事や、ドンスに協力する少女の惚れ惚れする強さといった
脇役の魅力はしっかりあったので、もう少し土台作りに時間をかけて欲しかった。
毎週水曜日新エピソード配信中■邦ドラ：ディズニープラスオリジナル｜ガンニバル
柳楽優弥主演のサイコスリラー「ガンニバル」は1月13日現在4話まで配信中。
閉ざされた村社会を舞台にしたM・ナイト・シャマランげな設定で、
警察官・阿川大悟が村に流れる「ここでは人を喰っている」との噂の真相に迫る。
監督は単館系で公開された「岬の兄妹」が絶賛されるやすぐさまメジャー配給（アスミック）を獲得して
映画「さがす」を撮るなど、今最も映画界から注目を集めている片山慎三。
脚本家には「ドライブ・マイ・カー」でカンヌやオスカーからも高い評価を受けた大江崇允と
まさに世界を視野に入れたメンバーで制作されている。
共演は笠松将、吉岡里帆、六角精児、中村梅雀、倍賞美津子など。
吉岡里帆の芝居を上手いと感じたのはこれが初めてかもしれない。
メガトン級ツバサ（本田翼）の単独トップは当分安泰か。
という戯言は良いとして、ドラマは面白い。
この原作で片山監督を起用したのは大正解だろう。
田舎町特有の閉塞感や新参者を嫌う村意識の厄介さは
実際に経験したことのある方ならトラウマを掘り返されかねないレベルにリアリティがあり
そこに「人を喰って自らの地肉とし、共に生きる」とする奇習で故人を葬う人々の
異様な瞳のギラ付きが加わって、何か起こらなくても十分ホラーな空気が充満している。
美しい山々の風景と、どこからか漂ってくる死と血の匂い。
言葉を話さない娘と、行方不明の前任者、問題を起こして田舎にやってきた主人公と
敵味方の区別が難しい近隣住民達と、「コネクト」と違いこちらの舞台設定はほぼ完璧。
始まってすぐは「彼岸島」に似てるなと思っていたのだが
リアリティよりもダイナミズムを優先した展開の「彼岸島」よりも
横溝正史的な人間ドラマに力点を置いた本作は、より私の好み。
原作未読なので今後も楽しみ。
しかし、サブスクで毎週配信はできればやめてほしい。
もう配信開始で即全話見られる状態でなければ興味が持続しない体になりつつあるので。
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