日本との出会い/ドナルド・キーン著/篠田一士訳/中公文庫/1975
日本を日本人以上に愛する、ドナルド・キーンが日本語を学ぶきっかけ、軍人として日本人捕虜に対応したこと、日本文学のみならず日本文化全般を知る過程について書かれた本。
戦争について、著者は多くを語りたがらないようだが、ガダルカナルでなくなった日本兵の事については、かく絶賛している一方、戦地で出会った朝鮮人については、日本人に敵意を抱いていると断定している。
なお、ドナルド・キーンは、2012年3月に日本に帰化した。
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25頁
交戦中に殺された男の最後の記録を読んではじめて、戦争というものが本当にどんなものかわかりはじめた。
その日記はしばしばガダルカナルのことを「蛾島」と呼んでおり、日本軍の兵士たちの耐えた困苦のほどは圧倒的な感動をよびおこした。それに引きかえ、週に一度検閲しなければならないアメリカ軍の兵士たちの手紙には、何の理想もなく、またたしかに何の苦しみもなく、ただただもとの生活に戻りたいということだけが書かれていた。戦争中ずっとこの対照が私の心につきまとってはなれなかったー大義のために滅私奉公する日本人と、帰郷以外のことには全く関心をもたない大部分のアメリカ人との対照である。私は日本の軍国主義者の理想を受け入れることは決してできないが、一般の日本の兵士に対しては、賛嘆を禁じえなかった。そして、結局、日本人こそ勝利に値するのではないかと信ずるにいたった。
日本を日本人以上に愛する、ドナルド・キーンが日本語を学ぶきっかけ、軍人として日本人捕虜に対応したこと、日本文学のみならず日本文化全般を知る過程について書かれた本。
戦争について、著者は多くを語りたがらないようだが、ガダルカナルでなくなった日本兵の事については、かく絶賛している一方、戦地で出会った朝鮮人については、日本人に敵意を抱いていると断定している。
なお、ドナルド・キーンは、2012年3月に日本に帰化した。
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25頁
交戦中に殺された男の最後の記録を読んではじめて、戦争というものが本当にどんなものかわかりはじめた。
その日記はしばしばガダルカナルのことを「蛾島」と呼んでおり、日本軍の兵士たちの耐えた困苦のほどは圧倒的な感動をよびおこした。それに引きかえ、週に一度検閲しなければならないアメリカ軍の兵士たちの手紙には、何の理想もなく、またたしかに何の苦しみもなく、ただただもとの生活に戻りたいということだけが書かれていた。戦争中ずっとこの対照が私の心につきまとってはなれなかったー大義のために滅私奉公する日本人と、帰郷以外のことには全く関心をもたない大部分のアメリカ人との対照である。私は日本の軍国主義者の理想を受け入れることは決してできないが、一般の日本の兵士に対しては、賛嘆を禁じえなかった。そして、結局、日本人こそ勝利に値するのではないかと信ずるにいたった。
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