新・ヒット商品の発想&開発方法

ロングセラー商品やヒット商品のアイデア発想と開発方法を探り、未来のヒット商品を生み出す。

ロングセラー商品③~理研ビタミン「ノンオイルスーパードレッシング青じそ」

2008年11月01日 | ロングセラー商品
ドレッシングの概念を覆す、「ノンオイル」という新領域を開拓したのが、1988年発売の理研ビタミン「ノンオイルスーパードレッシング青じそ」だ。
時あたかもヘルシーブームの真っ只中、低糖、低カロリーなどを切り口にした新商品の開発が相次いでいた。そうした中、最初からノンオイルドレッシングの開発を目指したわけではなかった。
同社は、「わかめスープ」「ふえるわかめちゃん」などのヒット商品を持つ。その強みの海草、特にわかめを”生で、しかもサラダとして食べてもらいたい”と開発をすすめていたのが、86年発売の「生海草サラダ」。添付するドレッシングには、「素材本来の美味しさを残しつつ、わかめ独特の海草臭を抑えることができるもの」を探したが、既存のドレッシングでは見つからなかった。そこで専用のドレッシングの開発に着手したのだ。
「青じそ」は、本タラ貝エキスの旨み、しその苦味をマスキングする梅肉エキスのほのかな酸味、青じそのさわやかな風味が絶妙のハーモニーを醸し出した。これまでにない新鮮なテイストが、ノンオイルという新機軸と相まって好評を得たのである。予想を超える顧客やバイヤーから反響やドレッシングの発売を要望する声が多数寄せられ、単体で発売することになった。
「安くて良い原料を安定して入手することが基本」(堺社長)、その素材を最大限生かすため取り組んだドレッシング開発・市場参入。顧客基点の商品開発が大きな支持を得た代表例だ。

ロングセラー商品②~森永乳業「アロエヨーグルト」

2008年10月18日 | ロングセラー商品
ヨーグルトに新しいカテゴリーを構築し、フルーツヨーグルトの市場をリードしているのが、95年発売の森永乳業「アロエヨーグルト」だ。
93年にデニーズがメニューに取り入れ大ヒットしたナタデココに次ぐ新しい素材はないだろうかと模索している中、アロエに注目した。店頭で見つけたレトルトパウチのシロップ漬けのアロエを「どのようにしたらおいしいデザートがつくれるだろうか」と検討したのがキッカケだ。
健康志向を背景に堅調に推移していたヨーグルト市場で、メーカー各社は、独自の効能を持つ乳酸菌やより果汁感ある大粒のフルーツなどに差別化を追い求めていた。だが視点はそこにはなく、独特の食感やこれまでにない組み合わせによる新しいテイストが潜在需要としてあったのである。
加えてパッケージデザインにも斬新さが溢れている。キャッチコピーにあるように、「素肌とからだのために(現在は、カラダのキレイをつくる)」通り、一見すると化粧品のようなデザインだ。しかも食品には不向きと通説のあった緑色を多用している。
これまでにないパッケージデザインの斬新さ、プチっとした独特の食感と健康イメージのある「アロエ」を独自のクリーミィーなヨーグルトに組み合わせた優しい絶妙なハーモニーが、幅広い年齢層に支持されたのである。

ロングセラー商品①~丸美屋食品工業「のりたま」

2008年10月13日 | ロングセラー商品
゛ふりかけの丸美屋゛を全国に知らしめたのが、昭和35年に発売された「のりたま」である。
商品開発の発想は、現社長の父である末吉氏が、ふりかけの売り込みに出かけた先の宿泊旅館でのある出来事がキッカケであった。末吉氏は、朝食時に定番ともいえる「ノリ」と「生たまご」に着目し、「これを一つの商品に出来ないだろうか」と考えたことだった。
朝食時は、ちょっとデキるビジネスマンであっても、「今日一日の活力の源となる朝食をしっかりと食べて、バンバン売り込むにいくぞ」と戦闘モードに入ろうとする時である。しかし、末吉氏は違った。常に「どのような商品があれば、手軽に美味しく食べてもらえるだろうか」と考えていたのである。
「のりたま」は親しみやすいネーミングと翌35、36年に投入した大量のテレビ広告により大ヒットした。素朴で飽きのこない゛庶民の味゛は、時代を経ても世代を越え愛され続けている。「のりたま」は、現在も同社のふりかけの売れ筋ナンバーワン商品になっているのだ。

ロングセラー商品はなぜ支持されたのか~プロローグ~

2008年10月12日 | ロングセラー商品
モノや情報が溢れ、商品に対する愛着が薄れている。作り手は、日夜しのぎを削って商品開発を繰り広げている。やっとのことで商品化にこぎつけ店頭に並ぶことができても、その多くはPOSデータ管理により市場から消えてなくなっていく。あらゆる商品の寿命が短くなり、ロングセラー商品といわれるものを見受けなくなった。ロングセラー商品は、なぜ支持され続けているのか。そんな商品を今一度見つめ直し、その魅力を探っていきたいと思う。