今日の一貫

カウンターが好きな伊藤洋一氏に本の紹介をしていただきました 日経ビジネス09年7月13日号

伊藤洋一氏、TVのコメンテーターとしてご活躍だが、実は、カウンターが好きな国際経済学者。
私は『カウンターから日本が見える』新潮社新書が気に入っていて、2007年1月にこの本を紹介したことがある

その伊藤さんに拙著『日本の農業は成長産業に変えられる』をご紹介いただいた。
本の紹介と言うより、伊藤氏の持論を述べたといった感じだが、それでも、農業を成長産業にすることの意義に関して共有できている。

今おきてる派遣切りなどの雇用の受け皿として、今すぐ農業がその機能を十分に発揮できるかとなると疑問が多いが、、しかしそのための仕組みを構築することができる。
その仕組みの構築はすなわち、日本農業の成長産業化と期を一にする。

以下日経ビジネス2009年7.13「売れない時代に私が売る」
62P引用

『日本の農業は成長産業に変えられる』
仕事に生かすならこの1冊
現場重視が創意を生む大泉一貫著 新書y(洋泉社)760円(税抜き)
lSBN978・4・86248-403-1

評者伊藤洋一(住信基礎研究所主席研究員)

 現下の経済危機を乗り越えた後の世
界で、最大の問題として残るのは雇用
だろう。危機は産業界の生産性を高め
るが、生産性の向上はより少ない働き
手でのより多い生産を意味する。多く
の労働者がいらなくなるのだ。この間
題が深刻化するのは、安い労働力の人
海戦術で何事も進めてきた中国だ。
 日本も他人事ではない。日本の成長
力は弱いし、さらに製造業で雇用を抱
えるには限界がある。ほかに雇用を吸
収する成長産業が必要で、介護と農業
が有力候補とされる。農業の現場では、
就業者の高齢化が進み、担い手の入れ
替えが急務だ。これに失敗すれば日本
の農業の先行きが危うくなるし、日本
経済全体の雇用吸収力も落ちる。
 どうやって農業を成長産業にできる
か。本書は、この難問に真正面から取
り組む。「農業は育み、成長してもら
わなければ日本の将来は危ない」と考
える私には実に示唆に富む本だし、そ
れは多くの読者にとって同じだろう。
本の提案はぜひ今後の日本の政策プロ
セスの中に入れてほしいと思う。
 一番支持したいのは徹底した現場重
視の考え方だ。米ゼネラル・モーター
ズ(GM)が破綻する一方、日本の自動
車産業が強さを維持している。その差
は「現場力」で説明できる。「カイゼン」
も現場でこそできる。GMは最後まで
それができなかったから破綻した。
 日本の農業はどうか。箸の上げ下ろ
しまで農林水産省や族議員、農協が管
理し、個人や農業法人の創意をくじい
てきた。世界的な食糧不足になってい
るのに、米の減反を続けるという愚行。
議論は複雑化し、農業はバラマキの対
象になってまともな産業とは見なされ
なくなった。海外からの日本の農産物
への強い需要は鮮明なのに、それに十
分応える体制もできていない。日本の
農業に関わる個々の参加者(農業者、
流通業者、行政担当者など)は善意で
も、総体として日本の農業の立ち位置
は他の産業に比べて悲しいほど低い。
 この本はそんな日本の農業を「普通
の産業として考え直せ」と言っている。
提案も具体的だ。産地直送の営業で成
長している千葉県の農事組合法人や、
観光業との融合に力を入れている愛知
県の農園が奮闘しているように、日本
の農業は成長産業に成り得ると考え
る。国内にも海外にも市場はある。一
消費者としても、安全性や品質に関し
て、日本の農業や農業者の倫理の高さ
は特筆に値するのだから。
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