今日の一貫

ローカルビジネスのGDPへの寄与は大きい 冨山和彦氏

昨年11月28日、有志が一般社団法人「次世代型FVC研究所」を立ち上げた。

その開所に当たって記念講演をさせていただいた.。地域経済活性化の重要性について。地域経済のGDPにしめる寄与率は大きい。雇用も大きい。経済成長を考えるならこの経済を如何に発展させるかが鍵になる、といった内容。この経済の振興発展には、一つ一つの経営の労働生産性の向上、産業間の融合によって固定資産の相互利用や全体最適の構築が肝要、如何にそれができるようにするか?。フードバリューチェーン(FVC)の構築を意図することは、融合産業化に大いに寄与する、フードチェーンマネージャー(オーケストレーター)が必要、といった内容だった。

地域経済は、経済学者の間では「ついでに」といった感覚があった。GAFAやトランスフォーメーション、金融のグローバル化、製造業の海外移転等々が主流で、地域は亜流といった感じ。もともと地理学やどちらかと言えば観念的な経済がすきな人々の世界でもあった。

そうではない、と言い続けてきた。一つ一つの産業は、人がいる限り、必要とされているものである。地域経済振興に足りないのはビジネスモデルの構築だと言い続けてきた。そうした一端をFVC研究所で話したものの、なかなか産業の現場感覚に基づくロジックを作りきれていなかった。

近年魅力的な地域経済論が出ている。オピニオンリーダーは、冨山和彦さん。G(グローバル)型産業、L(ローカル)型産業の二類型をキーコンセプトに、日本のG型企業が生み出すGDPはせいぜい三割程度で、雇用されている人々は全体で見れば二割程度。主に国公立や中堅以上の私大卒が中心。彼らの雇用は新しい技術革新で減っていく可能性すらある、と主張。日本の経済の主流と考えられてきた産業をばっさりと切る。

返す刀で、日本の経済発展にとって、目を向けるべきは、残りのGDPの七割、人材でみれば八割の世界と言う。

富山さんがL型企業群と呼んでいる産業群。小売、卸売り、飲食、宿泊、エンターテインメント、地域金融、物流、運輸、建設、医療や介護、農林水産漁業といった職種。地域に立地する経済(富山さんのL型産業)こそ日本のメイン経済なのだという主張だ。定義は、地域密着、その地域にいる人たちとフェイスートウーフェイスでサービスをしている産業。いずれも東京も含めローカルに商売している。

大切なのは「密度」だという。「密度」というところで、私の「融合産業論」とも接点を持つような気もするのだが、我田引水か?

地域産業の議論が新たなステージを迎えたと感じている。この人は刺激的だ。これからも富山さんをウオッチしていこうと思う。

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