a2:
2、全農概算金7千円ショックというのがある
全農というのは農協の全国組織。全農がコメ販売額の概算金を7,000円にするとこの夏決定した。概算金、内金、あるいは仮渡金といわれるもの。米の代金は、まず夏ごろに概算金を農家に渡しておく。1―2年ほど経った最後に差額を精算する。ところが清算段階で追加される現金は近年はほとんどないものですから、農家にとっては概算金がほぼ米価と感じられてきた。その額が7,000円という話です。これに単協によって上乗せするところもあり結果おおよそ1万円程度にはなってるところが多いようですがそれにしても、相当なショックであった。
農家の経済がどう回っているかというと、大体年内に概算金で、稲作にかかったいろんなコスト、資材費や土地改良費、共済掛金、機械代金、等々を払ってしまうわけです。それが1表7,000円だと多分払えなくなってしまいます。
小規模農家の多くはそれでも兼業所得がありますから、何とかなる可能性がある。問題は農協に米を出荷している大規模なコメ専業農家。どこからも払えないわけです。将来破産するかもしれない状況にある。今年の秋の大問題はここにある。
Q3:農業をどう支えていくかと言うことになるが、政府の支援対象農家を一定規模以上に絞った「品目横断的気鋭安定対策」に対して民主党の対策が参院に提出された。大泉さんはあるべき支援策をどうお考えか?
A3:
1,まず、外国産コメを入れないこと。日本のコメ市場を狭めない対策が必要。関税を高くしろというのではなく、外国から入ってきているMA米を、現在の7.2%およそ77万トンの枠を5%程度に狭めるWTO交渉をすること。
参考(その実現の為には、コメの高額関税をやめる必要がある。コメの高額関税をやめても、日本のコメは充分に価格競争力も、品質競争力もあるということ。日本の米農家はもっと自信を持って良い。(根拠 778%関税に「一般品目」で最高の73%の削減を適用とすると210%になる。ここ3年の輸入米の最低価格122円だと関税込みでキロ378円となる。これに対し国産米は60キログラム当たり年間加重平均入札価格は3年間では1キロ当たり247円から261円となる。国産米の方が安い。関税込み価格では国産米価格の方が安くなり、価格から見る限り充分に競争可能な環境にある )
2,国内的には① 稲作の構造改革をより一層進めること。ところが構造改革の担い手となると、価格低下にもっとも弱い、稲単作の大規模農家に期待するより他無いのが現状。そこで、彼らが販売力を強化したり、複合集約経営への転換がしたり、しやすいような支援策を講じ経営基盤を強化させることが必要。これが第2点
3,国内的には② とはいえ、需要と供給の関係から、今後も低米価が続くと予想される。そこで第3点として、構造改革を進める担い手に対し、セーフティネットを張る必要がある。当面、財政的支出によって経営を直接支援・保障する制度を構築すること。仕組みとしては、品目横断政策の、コメに関わる部分に変更を加え、コメ所得の足りなくなる部分にゲタをはかせること。それをWTOの高額関税の譲許と併行して整備すること。
Q4:年金や格差問題に比べ農業政策についての関心は高いとは言えないようだが
今農業政策に向ける視線の重要性についてお考え・提言を
A4:年金や格差問題は国民全てに関係する不利益と認識されていて、そのことによって関心が高い。しかし国民の食べ物は飽食といわれる状態にあり満足していて、
農業問題は農家だけの問題という意識が強く、国民の関心を呼ばない。農業を農家だけがするものといった意識や制度を今後どんどん変えていかなければならないと思います。
農業は、今後地域経済の活性化や地域の格差問題を考えるには無くてはならない産業になるはずだし、21世紀の成熟社会で農業の果たす役割は大きいものがある。
実際に農家以外の人々で、農業をやってみたい人や農業にビジネスチャンスがあるととらえる人は多い。こうした人々に農業を開放し、多くの知識やアイデアを農業に注入し、多くの産業と融合する農業を作っていく必要がある。そのためには、それを阻む様々な制限が残る農業は改革されなければならないし、制度的にも多くの規制改革が必要になる。
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あづみのうか
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