今日の一貫

平成農政改革に見る農業の構造改革の可能性

政府の農政調査委員会の報告書に上記タイトルで原稿を書いた。

主な主張は、「米政策改革大綱(02年」」に関しては、構造改革推進力としての市場原理の不在を、「17年食料・農業・農村基本計画(04年)」では、需給計画での飛躍的生産向上のためのシステムの不在を、また「経営所得安定対策大綱(05年)」では、対象となる担い手限定の不全とそのことによる構造改革の遅れ、をそれぞれ指摘し、これまた構造改革にとっては致命的な欠陥を抱えていると言った内容。

したがって、このスキームを粛々と進めて、担い手の引き受け面積が拡大し、さらに彼ら担い手が増える方向に誘導できるかに関しては、期待せざるを得ないが、次の様な難点のため、期待がそがれている。

①構造改革を推進する経済法則が見られない、②施策を、中心となる経営者に集中しきれない、③中心となる経営者のライバルを市場原理という共通の土俵で作るのに失敗している、という状況が、この間の政策である。こうした状況ではとても構造改革が成功裏に進むとは思えない。

ただ本稿でのこうした見方は、おそらく農政改革政策への最悪の見方であろう。これが、最悪の状況を脱して、意外にも構造改革推進的に機能することがあるのかもしれない。その様な淡い期待感もないではない。
というのも、成功するかどうかは現場の力量にかかっており、結局人次第ということになるからである。かつて各地に優良事例が見られた様に、構造改革はある意味、人々の意識が結集したところに成立する。そうした事からすれば、経済原理がどうあれ、また政策が担い手限定に不全をかこっていたとしても、それを乗りこえる力は今の農業にはまだあると考えて良い。

ただ、経済学からすれば、少なくてもソフトランディングによる成功のロジックはこれらの政策には見いだせないといってよい。
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