彼らは憧れの硬派グループだったのだ!
今日ご紹介するバンドは、初めて聴いた時がほんの数年の違いで、男っぽい“硬派バンド”というイメージと、耳に優しい“アダルト・コンテンポラリー”のバンドと云う両極端の印象を持たれてしまいます。
僕たちの心の中では、いつまでも、“政治色、メッセージ色が強い硬派バンド”として存在し続けています!
今日ご紹介するのは、まだシカゴが“アダルト・コンテンポラリー”というジャンルに入らない、“硬派ロック・グループ”だった頃の曲です。
1968年8月29日、シカゴで開催されていた大統領候補を決めるための民主党大会に、“ベトナム戦争反対”を掲げる反戦デモの人たちが雪崩れ込みました。
時のシカゴ市長の要請で、警察ばかりでなく軍隊までもが出動・・・
1週間に渡り繰り広げられたデモ隊とそれを押さえつけようとした睨み合いは、死者1名と重傷者を多数出すという、流血の惨事と発展して行きました。
TVカメラの前で警察、軍隊の連合軍と対峙するベトナム反戦のデモ隊の人々~
彼らは、圧倒的な武力の相手を前に前にこうシュプレヒコールするのでした・・・
“The Whole World is Watching!”
世界中の人たちがこれを見ているぞ!
こんな殺伐とした雰囲気の中でのシュプレヒコールがプロローグとして収められ、単調に重々しく鳴り響くベース音と共に始まるのが、今日ご紹介する「流血の日」です。
この緊張感溢れるベース音だけで、ことの深刻さが伝わり、この曲がラジオから流れて来るのを、初めて聴いた時は、何かしら“恐怖心”に似たものを感じたのをよく覚えています。
彼らのデビューは1969年の事、2枚組のデビュー・アルバムに収録されたこの「流血の日」は、日本でのみシングル発売されました。
“政治色、メッセージ色が強いグループ”と印象付けたいわくつきの曲といえるでしょう!
Someday,August 29,1968 - Chicago
流血の日 / シカゴ
周囲に目をやると
何が見えてくるのか教えてほしい
憎しみと恐怖心に満ちた顔
僕のような顔ばかりか
騒々しさを感じないかい?
君の顔が崩れ落ちるにつれて
僕の言うことがわかるかい?
逃げろ、早く逃げたほうがいい
再起の時は近い 頑なな風の口笛が
君の耳を横切る
奴らは君を捕まえようと
そこへ釘付けにしようとしてるんだ
わかるだろう
いつの日か君にもわかる どんなに長い間
僕らがこの日を待っていたか
君らと共に
僕らがどんな死に方をしたのかが
何もかもがよくわからなくなるまで
君の頭をねじ曲げる
何もかもがなくなるまで
君の腕をねじ曲げる
奴らは君を焼ききることや
少なくとも惑わせることはいとわない
わかるだろう
昔、「長い夜」を出していたのだと知った時は、
ホントに同じグループ?と思ったものです。
両極端ですね。
笑えますね~僕は全く逆で、今でも忘れられませんが、新橋の喫茶店で流れていた「素直になれなくて」を初めて聴いた時、「ピーター・セテラの声に似ているなあ」と思っただけで、シカゴの曲とは思いもしませんでした。