バンマスの独り言 (igakun-bass)

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この曲が好き! vol. 16  「アクアラング 」 ジェスロ・タル

2009年05月05日 | この曲が好き!
今まで聴いてきた膨大な量の音楽の中でも特に大好きでかつ思い出深く、そして自分の音楽スタイルやライフ・スタイルに少なからず影響を与えた曲を一曲づつ紹介していくシリーズの16回目。


ジェスロ・タル 「アクアラング」   「アクアラング」(1971)より

驚くべき高い演奏能力とエンターテイナーぶり。そして辛辣で意味深い歌詞と曲中時折みせる英国風の翳りのあるサウンド。

これらのどれもがその完成度において'71年発表作品とは思えない驚嘆に値するものだ。
正統的なハードロックであるが、特有のクラシカルなエッセンスを垣間見せるその作風(芸風?)のこのバンドにはかなりの影響を受けたし、今でもこういう音楽をやりたいとさえ思っている。

ジェスロ・タル

ロック界の奇人・鬼才:イアン・アンダーソン兄貴が率いるイギリスのこれぞ(本当の意味で)元祖プログレッシブ・バンドである。

イアンのあの一本足でのフルート・プレイは非常にエモーショナルでありながらどこかに伝統の響き(クラシカル)があって、同時期のオランダの「フォーカス」のキーボード&フルート・プレーヤーのタイス・ヴァン・レアーとよく比較されるロック界の2大フルーティストだ。
しかしイアンはフルートやアコースティック・ギターの持ち替えによる場面チェンジの見事な演出において他を圧倒するアーティストだ。

ステージでの多くの場合、彼の一人ギターになったとたんバックのサウンドは深く沈みこんで、英国伝統の暗く陰りのあるサウンドに一変する。
簡単に言うとトラディショナル・フォーク・ソングの香りだ。そこでの彼のヴォーカルは限りなく優しい。温かみのあるその声に癒される。
しかし再び燃え上がるようなサウンドに復活するやいなや、漫画「おそ松くん」のキャラクター<イヤミ氏>のような恰好でステージを盛り上げる。
いやはや、このイアン・アンダーソン兄貴は天才であり奇人である!



そしてジェスロ・タルはバンド全体でもその破天荒な外面にもかかわらず緻密な構成力と高度な演奏力をもって観客を100%楽しませることのできる超一級のバンドなのだ。
<他にもこんなバンドはいるだろう?>とビッグネームを羅列するロックファンもいるだろうが、大抵それらは商業主義に走り、絶えずヒットを狙い、高い入場料を取る形骸化したロックバンドであることが多い。
その点、ジェスロ・タルは独自の路線を歩みつつ、いつでも客を楽しませるプロ集団であり、レコード・セールスの競争からは一歩身を引いている印象がある。

僕はたくさんのアーティストから音楽的影響を受けてきたが、イアン率いるこの「ジェスロ・タル」のいくつかのアルバムは僕にとってのグレート・バイブルである。

今回紹介した彼らの4thアルバム「アクアラング」は1971年作品である。
当時はもちろんLP。
レコジャケを見ただけで買ってしまったこのアルバムの1曲目で当時の僕はすぐさまノックダウンしてしまった。

タイトル・チューンの「アクアラング」。

LP収録バージョンはさすがに少しおとなしいが、今現在YOUTUBEで見ることのできる彼らのライブ・ステージは圧巻だ。ここから。

ブリティッシュ・ロックの重いリフに始まる印象的なイントロ。
盛り上がったころに突然照明が消えるかのように陰りのあるモノローグとなるイアン一人のアコギの部分。
それがまた再び熱を帯びてくる時の激しくも理知的なハードロック・サウンド。
繰り返されるベースのリフの上に重なっていく各パートの熱演ぶり。

こんなステージを僕はかつてのNY時代にMSG(マジソン・スクエア・ガーデン)で体感した。
時には笑いも出てしまうようなイアンの「シェー!」、激しいフルートの息遣い、バックのテクニシャンぶり、そしてあのマイルドな声のイアンの温かさ。

彼らの超名作アルバム「ジェラルドの汚れなき世界」とともに今また僕のファン魂はメラメラと燃えている。
イアン・アンダーソンは僕のロック・ヒーローの一人である。
そして彼の率いるジェスロ・タルは僕が好きなロック・スタイルの見事な実例でもある。

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