運転手

　一昨年３月から５月までの約３か月間、全米横断ドライブ旅行をした。ロサンゼルスでレンタカーを借りて、サンディエゴに南下、テンピで大谷翔平のキャンプ試合を見物。フェニックス、ツーソン、エルパソ、サンタフェ、ダラス、ニューオリンズなど、春先なので南回りで東行。マイアミビーチで遊んで、フロリダ半島先端からあこがれのキーウエストまで島伝いにドライブ。そこから北上してワシントン経由ニューヨーク入りして1週間滞在。ナイアガラの滝を見学して、五大湖沿いに西行。イエローストーンやグランドキャニオンなどの国立公園巡りをして、ラスベガスで３日間ルーレットなどをしながら旅費を回収。ロスに戻った。ハイウエーを連結コンテナ・トラックやタンクローリーを縫いながら睡魔と争いつつ長距離運転するのも大変だったけれど、ニューヨークやロス市内運転は命がけと言ってよいほど過酷なカーチェイスの連続だった。それでも無事故無違反で生還できたのは、類い稀な運転技術の賜物と言ってよい。だから日本スポーツ界の金の宝ともいえる桃田賢斗選手の生命を守るのは、この私だと手を挙げることにした。今後の桃田選手の移動には私が運転手を務めてもよいので、日本バドミントン協会関係者はぜひ連絡してきてほしい。
　Amazonプライム・ビデオで無料公開となった『日日是好日』を観た。初釜の席で一期一会の気の持ち様の大事さを説いたお茶の先生役の樹木希林さんが実人生で間もなく亡くなり、余計にその言葉が響いた。日産のカルロス・ゴーンも伝記映画を作るそうである。伝記小説も合わせヒット間違いなしだろう。商才はいまだ衰えず、日産から吸い取った報酬以上稼ぐかもしれない。15億円の保釈金を没収して喜んでいる日本の司法関係者が馬鹿に見える。
　年寄りの最高の娯楽、大相撲の初場所がきのう開幕した。もちろん炎鵬が腰の重い実力派の宝富士を曲芸技の下手投げで破った一番も面白かったけれど、私にはベテランの松鳳山が、怪力栃ノ心に真っ向の力相撲で寄り切ったのに、一番感銘を受けた。勝つためには引いたりいなしたり、飛んだり跳ねたり、張ったりカチ上げたり、何でもありの力士が多い中、ただ愚直に相撲という字は撲り合いと書くんだという神代からの精神を貫いている松鳳山に今場所、朝乃山とか正代とかいろいろ贔屓力士は居るけれども、最も注目したいと思う。
　相撲では、むかし栃錦の尻の評判が話題になったことがある。私など、どうも人の人品骨柄を、尻の形を見て判断する癖がある。昔から小股の切れ上がったいい女と言われる。民族によっては、尻が横に派手に膨らんだのが好まれたり、性的魅力を感じたりすることもあるようだけれども、個人的には垂れ尻とかお椀型よりも、きりりと引き締まったのに見惚れてしまう。しかし、人間は好みが犬派と猫派だけでなく、爬虫類派なども居たりして、嗜好や性向が千差万別なところが種族保存の目的に合致し、神が作り給いしものだということが納得できる。
　冬の陽が優しく差し、寒さが束の間和らぐと、神の摂理に従い、水仙の花が綻び始める。

尻の型
口より物を
言ふらくは
顔を見ずとも
品こころ分く