飄評踉踉

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「夢」の昭和40年代

2007-02-08 16:27:15 | 
先週の『ポケット』で唐沢俊一氏と半田健人君が「昭和40年代の捉えにくさ」の話をしていました。
この「捉えにくさ」については私も大いに同感なので、放送終了後、大澤真幸氏の①『虚構の時代の果て』や②『戦後の思想空間』を読みつつ、その「捉えにくさ」の理由について考えてみました。
①②の冒頭に書いてあることは以下のように要約できると思います

①「見田宗介によれば、日本の戦後史は理想→夢→虚構の三段階に区分できる。この中で、『夢』というのは中間段階にすぎないので、理想→虚構という二段階に圧縮することもできる。そして、1960年代とりわけその前半が『理想』の黄金時代だった。その後、1970年前後に転換が生じ、1970年代とりわけその後半以降は『虚構』の時代になった。」
②「昭和30年代という言い方はするが、昭和50年代や昭和60年代という言い方はほとんどしない。その代わり、1970年代や1980年代という言い方ならよくする。この点、昭和40年代という言い方は微妙であり、昭和45年までだったら昭和40年代とも言いえた。」

どうやら、1970年代であり昭和40年代でもあった時代に「転換点」がありそうです。
以上を私見も混ぜながらまとめてみます。

1945年~1969年(昭和44年):「理想」の時代
1970年~1974年(昭和49年):「夢」の時代
1975年~現在         :「虚構」の時代

こうしてみると、昭和40年代が捉えにくい理由は、昭和40年代が「夢」の時代を含んでいる点にあると言えます。というのも、大澤さんも指摘しているように、「夢」という語は二重性を持っているからです(cf.「将来の夢」と「はかない夢」)。

ついでに年表も作ってみました。
昭和40年=1965年:北爆開始
昭和41年=1966年:TV『ウルトラQ』『ウルトラマン』 
昭和42年=1967年:TV『ウルトラセブン』
昭和43年=1968年:三億円事件
昭和44年=1969年:安田講堂の封鎖解除

昭和45年=1970年:大阪万博・よど号ハイジャック事件・三島由紀夫自殺
昭和46年=1971年:TV『仮面ライダー』
昭和47年=1972年:連合赤軍事件
昭和48年=1973年:金大中事件
昭和49年=1974年:三菱重工爆破事件

昭和50年=1975年:ベトナム戦争終戦
昭和51年=1976年:ロッキード事件
昭和52年=1977年:映画『宇宙戦艦ヤマト』
昭和53年=1978年:映画『さらば宇宙戦艦ヤマト』
昭和54年=1979年:TV『機動戦士ガンダム』

年表を作ってみると、「夢」の時代がすごいですね。時代が激しく変化していっているのがわかります。
私としては、第1次ウルトラシリーズが「理想」の時代に入っていて、第2次ウルトラシリーズが「夢」の時代に入っていることに注目したいです。年表を見る限りでは、第2次ウルトラシリーズが第1次ウルトラシリーズと比べてある種の「痛さ」を有していることにも何となく納得できるからです。すなわち、「夢」の時代においては「理想」だけを語っているわけにはいかなくなったということですね。
それでも、まだヒーローが存在しえただけ「夢」の時代はまだ良かったともいえます。何と言っても「虚構」の時代はヒーロー受難の時代ですから…。


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