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ブレイブハート

2009年09月09日 | 映画(ハ行)
1995年公開

監督 メル・ギブソン

キャスト
メル・ギブソン
ソフィー・マルソー
パトリック・マクグーハン

あらすじ
13世紀末のスコットランド、イングランド王エドワード1世の侵略によって家族を殺害されるも難を逃れたウィリアム・ウォレス。成人して彼は故郷に戻り、そこで幼なじみのミューロンと恋に落ち、結婚する。しかし彼女はイングランド兵の手によって殺害され、ついに彼は復讐を決意、圧政に苦しむスコットランドの民衆の支持もあり、彼の抵抗運動は熱を帯びていく。

寸評
ナショナリズムを高揚させる映画。
イングランド対スコットランドの構図だが、この様な対立構造は世界中の至る所にあり、受け入れやすいテーマといえる。
スコットランド人が薄汚く貧乏くさいが、イングランド人は洗練されていて金持ちっぽく描かれている。

実在の人物を描いており、ギブソン演じるウィリアム・ウォレスやエドワード1世など、殆どが実在だ。
が、かなりのフィクションが混じっている。
本来ならば、映画にフィクションは付き物であり、重箱の隅を突くような行為は愚行だと思っているほうだが、本作はフィクションが過ぎる。
勿論、見方の差などもある。
勝者や権力者の側を悪く描いたり、実際は名君にも拘わらず悪として描くという事はいくらでもあり得る。
それよりも致命的なのは、時代考証が間違えており、歴史をもう少し調べる必要があったのではないだろうか。
いちいちフィクション部分を列挙はしないが、歴史を扱う場合はもう少し慎重になるべきだと思う。

かと言ってもこの作品が優れている部分は多い。
戦闘シーンが良い。
正規軍対ゲリラで圧倒的な兵力差がるはずなのに、大平原で堂々と対峙するのはどうかとも思うが、そこはそれなりにこれなら勝てるかもな、と思わせる描写もある。

映像は美しい。
音楽も好い。
演技もアツい。

が、時代考証が気になった。
大半の観客は気にしないだろうし、面白ければ良いというのはもっともだ。
が、戦時中の日本人を間違って描いたハリウッド作品があれば、それは気になるのと同様だろう。
これは英国の歴史を意図的かどうかは不明だが史実とは異なる内容で描いた作品である。
歴史はちゃんと描く責任があるのではないだろうか。


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