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米国アリゾナ州司法長官が不動産担保ローンを有する州民に対し前払いによる新返済戦略詐欺手口に警告

2013-01-11 17:40:55 | 消費者保護法制




 本ブログでも取り上げてきたアリゾナ州司法長官トム・ホーン(Thomas C. Horne)は、1月9日付けで一見、公式の法律文書または政府が発したように見える文書が郵便で届くが、その封筒や手紙自体には差出人の会社名や返信先が印刷されておらず、良く読むとニューヨークに事務所を有する“Fresh Start”が発した手紙であることが無料電話(toll free)先の番号から分かるという詐欺的勧誘状の監視を住宅ローン保有者に求める警告リリースを行った。

 この手紙は、一見して不動産担保ローンの融資先に対する国家訴訟(national lawsuit)に加わることにより詐欺的な貸し手から返済金利の削減、差し押さえの回避、最後に損害賠償の補償等の言葉が明記されている。
 このような釣り言葉を信頼させるために無料電話番号に架電すると調査費用として2,700ドル(約237,600円)および弁護士の雇用費用として2,500ドル(約220,000円)を要求してくる。

 同長官は、このような前払い費用(advance fees)請求行為は連邦規則やアリゾナ州消費者詐欺法違反にあたり、このようなアリゾナ州のローン保有者の弱みを狙った違法な不動産ローン軽減戦略(ploy)勧誘に対する警告を訴えている。
 このような是が非でも自宅の差し押さえを回避したいとする米国のローン保有者に対する勧誘手口は後を絶たないようであるが、他方でワシントン州司法長官府の例で見るようにワシントン州他49の州司法長官が米国の5大不動産ローンのサービサー(Ally/GMAC、Bank of America 、Citi、JP Morgan Chase、Wells Fago)と総額250億ドル(約2兆2,000億円)との和解が成立した情報もある。

 この種の詐欺的手口により集団訴訟参加手続を匂わせ前払い手数料を要求する郵送物問題は、すでに2011年4月に米国商事改善協会(BBB)から具体的な警告が出されている。
 また、連邦規制監督機関である連邦取引委員会(FTC)は2010年2月にFTCは2010年11月19日、不動産ローン救済詐欺から所有者を守るため前払い手数料、不正な請求の違法化および内容開示義務に関する最終規則(Final Rule to Protect Struggling Homeowners from Mortgage Relief Scams Rule Outlaws Advance Fees and False Claims, Requires Clear Disclosures)」(注1)制定、公布している。
 これらの詳細は、2011年12月8日付け筆者ブログで詳しく紹介しているので参照されたい。

 さらに2012年10月9日、FTCは連邦司法長官、FBI、連邦都市住宅開発省(HUD)幹部らとともにFTCが扱ったこれらの違法行為の阻止のための具体的な活動内容(住宅差し押さえ回避、返済内容の緩和、ショート・セール(注2)等の困窮するホームオーナーの弱みを狙う詐欺手口対策)を公表している。

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(注1) 16 C.F.R. Part 322: Mortgage Assistance Relief Services; Final Rule and Statement of Basis and Purpose, FTC File No. R911003 である。全文は次のURLである。
http://www.ftc.gov/os/fedreg/2010/december/R911003mars.pdf
 また、FTCが法執行や取締り強化につき援用した連邦規則や連邦法としては>“Telemarketing Sales Rule”“Federal Trade Commission Act”があげられる。

(注2) ショート・セール(任意売却)の解説例:任意売却とは、住宅ローン・借入金等の支払いが困難になったとき債務者(借主・貴方)と債権者(金融機関・サービサー)か協議をして不動産を競売にすることなく、所有者・債権者・買主(弊社)の納得いく価格で売却を成立させることです。
 しかし、債権者は少しで多く回収を図りたい、債務者は、売却後の残債の心配でなかなか承諾できない理由から、債務者と債権者だけの判断ですとどうしても相 場より高い価格になってしまい不動産物件情報が市場で滞留してさらし物件になってしまう。そうなると、買い手が急激に少なくなり、この悪循環が続きさらに 価格の下落がつづく。
任意売却をする為には、不動産の知識はもちろん金融や法律に関する知識、その他債権者との交渉能力、経験が必要となり価格査定を自らできる能力が必要となってきます。(以下略)

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