Financial and Social System of Information Security

インターネットに代表されるIT社会の影の部分に光をあて、金融詐欺・サイバー犯罪予防等に関する海外の最新情報を提供

メジャーリーグベースボール(MLB)プレーヤー大谷翔平氏の通訳水原一平が「銀行詐欺」で告訴、起訴状などに基づき法的に見た事実関係の正確な再現を試みる

2024-04-13 15:30:26 | 金融犯罪と阻止策

 我が国のメデイアも詳しく報じているとおり、2018年以来、起訴状が明らかとしているように、被告である元通訳 水原一平はMLBスタープレーヤ 大谷翔平氏を信頼を極めて裏切ることを意図しており、スポーツ賭けでなくとも通訳の特性を悪用しようと考えて聞いたことは間違いない。

 一部メデイアは、被告が司法取引(注1)により刑の減軽を交渉するとあるが、はたしてこのような事実を踏まえるとそう簡単なものではないと考えるのが筆者の見解である。

  今回のブログは、4月11日の連邦検事局のリリース文や起訴状を詳細に読むうえでのポイント解説を試みる。

 なお、後述するとおり、今回の捜査の中心となったのは内国歳入庁(IRS)と国土安全保障調査局(Homeland Security Investigations:HSI)であり、特に従来わが国ではなじみがない後者につき詳しく解説を加えた。

■カリフォルニア州中央部連邦検事局リリース「Japanese-Language Translator Charged in Complaint with Illegally Transferring More Than $16 Million from Baseball Player’s Account」の仮訳

 4月11日、日本語の通訳者 水原被告がカリフォルニア州中央区連邦地方裁判所への連邦刑事告訴により起訴された。起訴状によると、大谷翔平氏の銀行口座から本人が知らないまま、または本人の許可なしに違法なスポーツ賭博の賭け業者(bookmaking)で発生した彼自身の相当なギャンブルの借金を返済するために総額1600万ドル(約21億1200万円)を超える金額を不正.に電信送金(wire transfer)等した 。

 アメリカ合衆国のカリフォルニア州のオレンジ郡ニューポートビーチ(注2)住の39歳の被告たる水原一平は、連邦刑務所で法定刑たる最高30年の拘禁刑を宣告される重罪である銀行詐欺(bank fraud)(注3)で起訴された。

 被告 水原一平は、ロサンゼルスにある米国連邦地方裁判所に初めて出廷する予定である。

 訴状とともに提出された宣誓供述書(affidavit)によると、2021年11月から2024年1月まで, 水原被告は、当座預金口座からの本人たる大谷氏の無許可の電信送金(wire transfer)で 1600万ドル以上も送金し、宣誓供述書で“ Victim A、”として識別されたMLBスタープレーヤー実際にはMLBスターの大谷翔平氏である。この銀行口座からの送金は、大谷氏の通訳および事実上のマネージャーを務めた水原被告に関連するデバイスとIPアドレスから行われたとされている。

 2018年、水原被告は英語をほとんど話せない大谷氏をアリゾナ州の銀行支店に連れて行き、大谷氏が口座を開設するのを支援し、口座の詳細を設定するときにも大谷氏の通訳を担った。宣誓供述書によると、大谷氏のプロ野球球団の給与はこの口座に入金されることになっていたが、水原被告はこれまたは他の財務口座の制御権を第三者に決して与えなかった。かつ水原容疑者は、大谷氏本人が銀行のアカウントへのアクセスすることを拒否し、さらに大谷担当の米国を拠点とする金融専門家は、いずれも日本語を話せなかった。

 2021年9月、水原被告は違法なスポーツ賭博の本でギャンブルを始め、数か月後、かなりの金額を失い始めた。この間、大谷氏の銀行口座の連絡先情報は、アカウントを水原容疑者の電話番号と水原に接続された匿名の電子メールアドレスにリンクするように変更されたとされている。

 また被告水原は、銀行に電話をかけ、銀行の従業員を騙して大谷氏の銀行口座から違法なギャンブル業務の従業員への電信送金を承認するように騙して偽の本人識別を行わせた。

 さらに水原被告は2024年1月から2024年3月まで,この同じアカウントを使用して、“eBay” (注4)“Whatnot”(注5)を介して約1,000の野球カードを約 325,000 ドル(約4290万円)のコストで購入し、偽名Jay Minを使って水原被告に郵送するとともに大谷氏の現在のMLBチームのクラブハウスに郵送したとされている。

 先週の法執行機関へのインタビューで、大谷氏は水原被告の電信送金の承認の事実を拒否した。また、大谷氏は彼の携帯電話を法執行機関に提供した。これにより法執行機関は、大谷氏が水原被告の違法なギャンブル活動またはそれらの借金の支払いを認識したり、関与していることを示唆する証拠はないと判断した。

 今回の刑事告訴はあくまで検察側の主張であり、被告は、法廷で合理的な疑いを超えて有罪が証明されない限り、無実であると推定される。

 本件は、連邦内国歳入庁・犯罪捜査局(注6)と国土安全保障調査局(Homeland Security Investigations:HSI)(注7)がこの問題を調査している。

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(注1) 米国の司法取引については、宇川 春彦(前京都地検検事正)「米国における司法取引」が詳しい。

(注2) Newport Beachの市内の4分の1の世帯の平均年収は3000万円といわれ、全米有数の水準にある。

(注3) U.S. Code Title 18 U.S.C. 1344.「銀行詐欺(Bank fraud)」条文を仮訳するとともに、具体的な詐欺手口を例示する。

【条文】

故意に計画や策略を実行する、または実行しようとするいかなる者は—

(1) 金融機関を騙すこと。 または

(2) 金融機関が所有する、または金融機関の管理または管理下にある金銭、資金、債権、資産、有価証券、またはその他の財産を、虚偽または詐欺的な見せかけ、表明、または約束によって取得すること。

を行った場合、最高100 万ドル(約1億5300万円)以下の罰金または最高 30 年以下の拘禁刑、またはその両方が科せられる。

【手口例】Law Offices of Seth Kretzerの解説を仮訳.

粉飾会計詐欺(Accounting fraud))

 粉飾会計詐欺は主に企業向け融資に影響を与える。 粉飾会計詐欺を行う企業は「帳簿を捏造」するため、紙の上では実際よりも儲かっているように見せる。 これらの不正な声明に基づいて、銀行はこれらの企業に融資を許可する。 それでも最終的には、企業は主張していたよりも収益が低いため、あるいは場合によっては破産することもあり、融資を返済することができないし、中には破産を宣告して銀行を窮地に追い込む者もいる。

ローン詐欺

 会計不正と似たものに融資詐欺がある。 この詐欺は企業と個人の両方によって行われる可能性があり、どちらも返済不可能な金額を受け取るために信用申請書に嘘をつく可能性がある。別のタイプのローン詐欺には、誰かの身元を盗んでローンを組み、その金融情報が詐欺師の情報であるかのように手続きを進めることが含まれる。

電信送金詐欺

 電信送金詐欺には、電信送金またはインターネットに関連するすべての詐欺事件が含まれる。 場合によっては、詐欺師が銀行顧客のユーザー名とパスワードを盗み、自分自身に送金することがある。より一般的な手口では、詐欺師が被害者を説得して、困っている人であると主張し、個人的またはビジネス上の必要のためにお金を要求する場合がある。

 極端な例では、他国出身だと主張する人物が米国内の誰かを説得して自分と恋に落ち、その人物が待ちに待った対面としてアメリカに遊びに来るのに十分なお金を貯められるよう、暗号通貨の支払いという形で金銭を要求し続けた。 残念なことに、その愛は報われないままで、米国の被害者には詐欺師を追跡して返済を要求する手段が残されていなかった。

フィッシング詐欺

 フィッシングとは、詐欺師が電子メール、電話、テキストメッセージ、またはその他の方法を使用して、被害者の銀行口座の詳細を入手することである。たとえば、直接尋ねたり、間接的に情報を収集することを目的とした継続的な通信を通じて被害者に「通話状態」を維持したりすることによって行われる。 個人情報を提供した場合に何らかの利益や利益を約束するコミュニケーションには常に注意されたい。

現金自動預け払い機(ATM) 詐欺

 ATM詐欺には、ATM機械そのものの再プログラミング作動を始め、カード自体のの詳細を盗むためのスキマーの設置まで、あらゆるものが含まれる。これは、特に交通量の多い場所のATMで頻繁に発生する。

(注4) “eBay Inc.”は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンノゼに本社を置くアメリカ合衆国のグローバル電子商取引(EC)企業で、世界中で1.6億人、Sellerは2,500万人(個人・法人含む)とインターネットオークションでは世界最多の利用者を持つ。事業内容は自社ウェブサイト上で消費者間取引](C2C)および企業間取引(B2B)など個々間での取引を可能にするグローバルマーケットプレイスの運営である。(Wikipedia から抜粋)

(注5)“Whatnot” は、ライブストリーム・ ショッピング ・・・プラットフォームおよびマーケットプレイスで、人々が売買したり、コレクターや他の志を同じくする人々とライブをしたりすることができる。 Whatnot は、スポーツ カード、ポケモン カード、NFT、スニーカーなど、コレクターや愛好家向けの製品カテゴリーに焦点を当てている。(Wikipedia から抜粋)

(注6)内国歳入庁のうち脱税、金融に関する犯罪を主に取り締まる組織がCriminal Investigation(犯罪捜査局)であり、IRS-CIと呼ばれる。CIの本部はワシントンDCにあり、全米にある6つのリージョナルオフィス及びリージョナルオフィス内にある35のフィールドオフィスの管轄内の脱税、金融関係の犯罪、マネーロンダリングにかかわる犯罪捜査の指針を決定し、また大規模な場合には指揮を取ることもある。(Wikipedia から抜粋)

(注7) HSIは国土安全保障省の主要な捜査部門で、国境を越えた犯罪と脅威、特に国際取引、旅行、金融が移動するグローバル・インフラストラクチャを利用する犯罪組織の調査を担当する。HSIの使命は、米国の税関および移民法を脅かしたり、悪用したりしようとするテロリスト、多国籍およびその他の犯罪組織を調査、混乱させ、解体させることである。

 HSI の特別捜査官は、米国内および海外の戦略的パートナーと協力して、多国籍犯罪組織 (Transnational Criminal Organizations (TCOs))、テロネットワークとその助長者、および米国を脅かすその他の犯罪分子に対する刑事事件を特定し、立件するための証拠を収集する。 HSI は検察と協力して、違反者の起訴と逮捕、刑事捜査令状の執行、犯罪に由来する金銭や資産の押収など、世界中で活動する犯罪組織の混乱と解体を目的としたその他の措置を講じる。 これらの取り組みは、米国の国家、国境、経済の安全を守り、国民とコミュニティの安全を確保する。

【組織の概要】

 HSI の従業員は 8,700 名を超える従業員で構成されており、その中には特別捜査官、犯罪分析官、任務支援要員、米国および世界中のオフィスに配属されている契約職員も含まれる。

 HSI の 6,000 人の特別捜査官のほとんどは、全米国内にある HSI の 237 か所の特別捜査官 (Special Agent in Charge (SAC)) オフィスまたは支署のいずれかに配属されている。 HSI の国内拠点は、国境を越えた犯罪組織との戦いにおける主要な戦略的パートナーである連邦、州、地方自治体を代表する 2,800 名を超える特別部隊職員によって補完されている。

 また、HSI の国際部隊は、DHS の海外における最大の捜査拠点であり、世界中の米国大使館、領事館、および国防総省 (DOD) 戦闘部隊に割り当てられた特別捜査官が中心となっている。 HSI は、米国の法執行機関において最大規模の国際的な足跡を持っている。

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オーストラリア銀行協会(ABA)と参加しているABA加盟銀行は増大する詐欺の脅威から顧客を保護するために一般の意識向上メディア・キャンペーンを開始

2022-11-05 10:26:03 | 金融犯罪と阻止策

筆者の手元に7月18日つけのAustralian Banking Association(以下、ABA)リリースが届いた。「オーストラリアの銀行:あなたを守るために働く」PayIDキャンペーンは、オンラインおよびモバイルバンキングを介して支払いを行う際に、2018年2月から利用可能なPayIDを使用することを顧客に奨励している。

わが国ではインターネット・バンキングの普及はなお遅れている一方で、PayPay等スマホ決済(注1)は急速に広がっている。

 特殊詐欺被害がいっこうに減らない中で“PayID”に関する一般人向け解説例は見たことがない。わが国の金融関係者への注意喚起の意味で本ブログをまとめた

1.PayIDの仕組みの概要

「私たちは顧客にPayIDについてもっと知ることを奨励しており、始めるのに良い場所はウェブサイトのpayid.com.au である」とABAのCEOであるAnna Blighは7月18日に以下のとおり述べた。

Anna Bligh 氏

「このウェブサイトは参加銀行のウェブサイトに直接リンクしており、各銀行で利用可能なものを強調し、可能な場合はサインアップ方法に関する情報が含まれている。

PayIDは無料で登録でき、使いやすく、現在までにオーストラリアには1,100万を超えるPayIDが登録されているが、さらに多くのPayIDが登録が進んでいる。銀行の顧客は、電話番号、登録済みの電子メール、またはビジネスの場合はABNを含む複数のPayIDを持つことができる。

現在、すべてのリアルタイム決済の17%がPayIDを使用して行われており、このキャンペーンはこれらの支払いの成長を加速することを目的としている。

PayIDは、BSBコードと口座番号の両方を必要とする従来の送金・支払いとは異なり、支払いを希望する個人または企業の携帯電話番号または電子メールアドレスを使用して支払いを行うのと同じくらい簡単である。

BSBコード:オーストラリア銀行の銀行・支店コード例

重要なことは、従来の支払いとは異なり、支払者は支払いを確認する前に、目的のPayID名を含む確認画面を表示できるため、詐欺をあらかじめ阻止するのに役立つ。PayIDを使用した支払いが増えれば増えるほど、顧客の保護が強化されるのである。

*銀行はPayIDであなたを保護するのに役立つ。その意味は?

ABAキャンペーンは、PayID登録者数の増加と、BSBとアカウント番号ではなくPayIDへの支払いの増加の両方を追跡し、オンラインビデオ、ラジオスポット、デジタルポスター、ソーシャルメディアタイルなどのさまざまな資料を使用して、詐欺とPayIDを使用して支払いを意図した場所に確実に行う方法を強調する。

ABAのオンラインバンキングでのPayID参加銀行一覧

2021年、オーストラリアの銀行は詐欺を含む金融取引の脆弱性の復元・回復力強化を構築するためにITシステムに約190億ドルを費やしたが、残念ながら、これらの問題は銀行だけに限定されていない。

他のセクターやサービスは顧客を詐欺するために使用され、銀行はこの増大する課題と戦うために、オンライン・ショッピングプラットフォーム、通信プロバイダー、政府や法執行機関などの他の主要セクターと協力し続ける。

この問題の背景とオーストラリアの詐欺問題と取り組むACCCサイトを参照されたい。

2.PayIDに関するよくある質問

 ABAサイトのFAQを仮訳する。

 複数のアカウントを持っていますが、どのアカウントに PayID をリンクしたか思い出せません。

登録した PayID の詳細は、オンライン バンキングで確認できます。これらの詳細が見つからない場合は、PayID を提供している銀行があなたに代わって調査を行い、PayID がリンクされているアカウントを見つけることができます。

PayID を作成しようとしましたが、既に登録されていると言われました。

PayID を最初に起動したときに作成し、登録した銀行を忘れた可能性があります。口座を持っている各銀行に確認してください。それでも見つからない場合は、PayID を提供している銀行があなたに代わって調査を行うことができます。

③誰かが私の PayID に送金しましたが、まだ届いていません。

PayID への支払いは、正しい PayID に送信されていれば、1 分以内に到着するはずです。一部の支払いは、支払いが遅れる可能性があるセキュリティ チェックの対象となる場合があります。詳細については、銀行にお問い合わせください。

④PayID を使用して別の人に支払いましたが、お金が届いていません。

PayID への支払いは、正しい PayID に送信された場合、1 分以内に到着するはずです。支払いを試みた個人または企業が支払いを受け取っていない場合は、銀行に連絡してください。

⑤だまされて、他人の PayID にお金を支払わせられました。

使用する支払い方法に関係なく、常に詐欺に注意してください。PayID を支払い方法として使用する詐欺は、銀行と警察に報告できます。詐欺から身を守る方法の詳細とサポートについては、こちらのACCCの Scamwatch(注2)にアクセスされたい。

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(注1) スマホ決済は、①非接触型決済(非接触IC決済):スマホに搭載されたNFC・FeliCa・Bluetoothなど無線通信系の技術を利用した決済方法。スマホの決済アプリにクレジットカードやデビットカード、電子マネーなどを登録しておき、支払時にスマホを専用の端末にかざして決済する。

QRコード決済では、決済方法が2通りある。1つ目は、インストールしておいたスマホのアプリを立ち上げてQRコードやバーコードを表示させ、画面を店側に読み取ってもらう方法で、2つ目は、店側のQRコードやバーコードをスマホで読み取る方法である。

QRコードタイプのスマホ決済サービスには、次のようなものがある。

    PayPay、LINE Pay、au PAY、楽天ペイ、メルペイ、 ゆうちょPayなど

なお、スマホ決済の支払い方法は「前払い」「即時支払い」「後払い」の3通りがある。(risona 銀行サイト解説から抜粋、引用)

(注2) Scamwatchは、オーストラリア競争消費者委員会(ACCC)によって運営されている詐欺報告・啓蒙サイトである。詐欺を認識、回避、報告する方法に関する情報を消費者や中小企業に提供する。以下、HPを仮訳する。

①ACCCのScamwatchの役割(限定的)

Scamwatchの目的は、詐欺を認識して回避できるようにすることである。

ACCCは、州および準州の消費者保護機関やその他の政府機関と協力して、詐欺に関するコミュニティの認識を高めています。ACCCは、毎年恒例の全国詐欺啓発週間キャンペーンを共同で提供する詐欺認識ネットワーク(SAN)を調整する。ACCCの役割は、詐欺の防止にとどまらず、消費者保護、インフラ規制、カルテル、その他の形態の反競争的行為の他の分野も含まれる。

ACCCは法的助言を提供せず、個々のケースで支援を提供したり、報告された各詐欺を調査したりすることはできない。

②詐欺の報告

ACCCとScamwatchチームは、詐欺関連データの収集への貢献に大いに感謝している。この情報は、流通している最新の詐欺についてオーストラリア人に情報を提供するために使用される。

この情報は、詐欺の傾向を監視し、業界との協力や詐欺を阻止する革新的な方法を探すなど、必要に応じて行動を起こすのに役立つため、ACCCにとって重要である。

報告を行うと、記録が保持され、さらに情報が必要な場合はACCCから連絡を受ける場合がある。ACCCは、大量の受信のため、詐欺フォームの詐欺ウォッチレポートを介して行われた報告には応答しない。

③ACCCの標的型詐欺の報告

ACCCは、毎年詐欺活動に関するレポートを作成するターゲティング詐欺を作成する。このレポートでは、詐欺活動の主要な傾向を説明し、詐欺がコミュニティに与える影響を強調している。また、詐欺を阻止し、消費者を教育するためのACCCおよび他の規制当局および法執行機関の共同作業も示している。

③法律の施行

多くの詐欺は、法廷でテストされた場合、オーストラリア消費者法(Australian Consumer Law;ACL)に違反する可能性がある。ただし、多くの詐欺師の「夜間飛行」の性質により、法執行機関がそれらを追跡して行動を起こすことは非常に困難である。これは、ほとんどの詐欺師が海外に拠点を置いているという事実によってさらに複雑になる。

また、対処している状況が詐欺ではなく、ACLの対象となる合法的なビジネスとの取引である可能性もある。消費者の権利の詳細については、ACCCのウェブサイトを参照されたい。

④刑事犯罪

一部の詐欺は刑事犯罪である可能性もある。詐欺を犯した人は、故意に誰かを欺くために不正または不作為によって行動した。詐欺は、州および準州の刑法やオーストラリアのコモンローなど、さまざまな法律の下で規制されている。消費者保護法、詐欺、その他の刑法に基づく誤解を招く行為と欺瞞的な行為の間には重複がある可能性がある。

実際の犯罪が行われた場合は、地元の警察に連絡するか、犯罪がオンラインで発生した場合はReportCyberに報告することを勧める。ReportCyberは、法執行機関がオーストラリアで増大するサイバー犯罪の脅威にうまく対処するのに役立つ。サイバー犯罪の一般的な種類には、ハッキング、詐欺、詐欺、個人情報の盗難、コンピューターシステムへの攻撃、違法または禁止されているコンテンツなどがある。

⑤私的訴訟行動を取る権利

消費者は、連邦裁判所または州または準州の最高裁判所に私的訴訟を起こすことができる場合がある。訴訟が成功した場合、求められる救済策には、損害賠償、差止命令、その他の命令が含まれる可能性がある。

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米連邦司法省はマドフ・ねずみ講(Ponzi Scheme)の被害者にマドフ被害者基金(MVF)が40億ドル以上の総額分配を行った旨発表

2022-09-30 16:38:52 | 金融犯罪と阻止策

 

 筆者に届いた米連邦司法省のリリースは、9月28日、マドフ被害者基金(Madoff Victim Fund :MVF)が、バーナード・L・マドフ投資証券LLC(BLMIS)詐欺スキームに関連して米国政府に没収された約3億7,200万ドル(約535億6800万円)の資金の8回目の分配を開始したと発表したものである。

 この被害者への分配では、世界中の27,219人の被害者に損害補償支払金が送られ、彼らの総回復額は88.35%に上る。BLMISの破綻で被った損失の補償として、40,000人以上の犠牲者に分配された総額は現在40億ドル(約5760億円)を超えている。

 この問題を改めて考えると、被害者数や被害額の規模の大きさもさることながら、果たして(1)わが国のねずみ講やマルチ商法の規制法制の中身との比較、(2)事前の被害予防体制、さらには(3)効果的被害者救済制度の充実問題である。

  特に被害者救済の実態の日米比較は極めて重要な問題でありながら、詳細に論じたレポートが極めて少ない点が気になった。

 また、わが国において中立的な金融専門解説サイトが皆無に近い点も気になる。その一方で後述するとおり、BLMISは投資顧問会社または証券会社の投資顧問部門による投資一任契約に基づく投資一任運用(brokerage wrapper)(注1)を巧妙に利用した。わが国において金融庁が薦めているNISA非課税の対象となる金融商品リスクもこれからますます大きくなる一方で、投資リスク問題、被害者救済対策は依然手つかずのままである。

 このため、今回のブログは、まず(1)連邦司法省のリリースの中身を補足しながら事実関係を明らかにする、(2)最優先で保護すべき被害者の補償、とりわけ被害額の財源として犯罪に関与したとされる投資家からの的確な回収をいかなる方法で確実に行うかという問題を米国の例をもって論じたいと考えた。

 なお、わが国でも国をあげてNISAに基づく投資への強い働きかけが今後進むであろう。高齢者をターゲットにした特殊詐欺の次に現れるであろう投資一任契約、金融庁が音頭を取っているNISA等にかかる投資詐欺リスクについては、別途筆者ブログで取り上げる予定である。

 さらに、この事件の主犯犯罪者や関係者がいずれも死亡している点も気になる。

1.10年以上前のバーナード・L・マドフ(Bernard L. Madoff)への起訴事実の経緯と犯罪の概要

(1) 米国証券取引委員会(SEC)リリース(訴訟公開第 20889 号 / 2009 年 2 月 9 日証券取引委員会対バーナード ・L・マドフおよびバーナード L. マドフ インベストメント セキュリティ LLC (SDNY Civ. 08 CV 10791 (LLS))

「被告バーナード・L・マドフは、恒久的差止命令を課し、その他の救済を継続する部分判決に同意」を以下、仮訳する。

 米国証券取引委員会は、2009 年 2 月 9 日に、ニューヨーク州南部地区の連邦判事であるルイス L. スタントン判事に、バーナード L. マドフの同意を提出したことを発表した。マドフは、2008 年 12 月 11 日に提出された SEC の訴状の主張を認めるまたは否定することなく、部分的判決(partial judgment)に同意した。裁判所が部分的判決を下した場合、恒久的差止命令により、マドフが連邦証券法の特定の詐欺防止規定に違反することは引き続き抑制される。 また、提案された部分的判決は、2008 年 12 月 18 日の命令で課された資産凍結命令を含むマドフに対する救済を継続する。 提案された部分的判決は、マドフに対して課せられる不当利得支払い(pay disgorgement)、最終判決前の利息(注2)、および民事罰の金額の問題を後に決定することになる。 マドフの不当利得の支払い(pay disgorgement)、最終判決前の利息および/または民事罰を支払う義務を決定する目的で、提案された部分的判決は、苦情の事実が確立され、マドフが異議を唱えることができないと見なす。

 2008 年 12 月 11 日にマンハッタンの連邦裁判所に提出された SEC の訴状は、被告マドフと被告が所有するバーナード L. マドフ ・インベストメント・ セキュリティーズ LLC(バーナード・L・マドフ投資証券LLC(BLMIS)   が 500 億ドルの詐欺を犯し、1933 年証券法第 17 条 (a)1934 年証券取引法第 10(b) 条およびその下の規則 10b-5、および 1940 年投資顧問法第 206(1) 条および第 206(2) 条に違反したと主張している。 2008 年 12 月 11 日、マドフは 2 人の幹部上級従業員に、彼の投資顧問業は詐欺であると告げた。マドフはこれらの従業員に、自分は「終わった」、「まったく何も持っていない」、「それはすべて 1 つの大きな嘘だ」、「基本的には巨大なポンジ・スキーム」であると語った。上級従業員は、彼が何年もの間、他の異なる投資家から受け取った元本から特定の投資家にリターンを支払っていたと彼が言っていることを理解した。 マドフはこの会話の中で、会社が何年もの間、支払不能であり、この詐欺による損失は少なくとも 500 億ドルであると見積もっていることを認めた。

 詳細については、以前の訴訟のリリース番号を参照されたい。

(2) 2021.4.14 BusinessInsider記事 を引用する。

AP通信によると、バーナード・マドフは水曜日、連邦刑務所で自然死した。

2009 年、彼は史上最大のポンジ・スキームを実行したとして 150 年の拘禁刑を言い渡された。マドフがどのようにして投資家を 650 億ドルから騙し取り、何十年も気づかれなかった方法を次に示す。

〇水曜日に、バーナード・マドフは連邦刑務所で死亡した。AP通信の報道によると自然死したと考えられている。 82 歳の男性は、刑務所に入る前に、米国史上最大の詐欺計画の 1 つを実行した。

2009 年、マドフはねずみ講を実行したとして 150 年の拘禁刑を宣告された。2020 年の時点で、米国司法省は約32 億ドルをマドフによって騙された個人被害者に返還した。

〇一見尊敬されている投資家として、マドフは何千人もの投資家に貯蓄を引き渡すよう説得し、見返りに一貫した利益を誤って約束した。彼は 2008 年 12 月に逮捕され、11 件の詐欺、マネーローンダリング、偽証罪、窃盗の罪で起訴された。

〇マドフがどのようにして投資家を 650 億ドルから騙し取り、何十年も気づかれなかった具体的方法を次に示す。

・ポンジ・スキームは、異常に高いリターンを保証することで投資家を惹きつける。この名前(ポンジ・スキーム)は、わずか 90 日間で 50% の投資収益率を約束し、1920 年に 14 年の拘禁刑を言い渡された詐欺師、Charles Ponzi に由来する。

・ポンジ・スキームは、新しい投資家からの資金を使用して、古い投資家に約束された収益を支払う中央オペレーターによって運営されている。これにより、実際の利益が得られていなくても、操作が有益で正当なものに見える。一方、計画の背後にいる人物は、余分なお金をポケットに入れるか、それを使用して操作を拡大する。

・あまりにも多くの投資家が「利益」を取り戻さないようにするために、ポンジ・スキームは彼らがゲームにとどまり、さらに多くのお金を稼ぐことを奨励する。 そこで使用される「投資戦略」はあいまいで、秘密主義であり、策略家は自分たちのビジネスを守るためだと主張している。その後、彼らがしなければならないことは、実際に実際のリターンを提供することなく、定期的にどれだけ稼いでいるかを投資家に伝えることだけである。

・ポンジ・スキームは通常、あまり持続可能ではない。運用者が残りの投資資金を手に入れて実行すると、最終的にはセットアップが崩壊し、新しい投資家を見つけるのが難しくなり、つまり現金の流れが途絶え、あまりにも多くの現在の投資家が撤退してリターンを要求し始める。

・マドフがこれほど長い間目立たなかったもう 1 つの理由は (ポンジ スキームの疑いについて SEC に複数の苦情報告があったにもかかわらず)、マドフが金融業界に精通した活発なメンバーだったからである。彼は 1960 年に自身のマーケット メーカー会社を設立し、ナスダック株式市場の立ち上げに貢献した。彼は全米金融取引業規制機構(Financial Industry Regulatory Authority: FINRA)の理事を務め、証券取引委員会に証券取引について助言した。業界のベテランが自分のしていることを正確に知っていると信じるのは簡単であった.

・CNNMoneyによると、マドフは実際には 200 億ドルしか稼げなかった 。とはいえ、それは彼の何千人もの投資家にとって慰めにはならない。

・刑期150 年の判決 — 文字通りというよりも象徴的なもの — に続いて、マドフの計画に関連する他の有罪判決が下された。

・法的措置に直面したのはマドフだけではない。2014 年、マドフの従業員のうち 5 人が、ポンジ・スキームへの関与で有罪判決を受けた。2009年、マドフの会計士兼弁護士デビッド・G・フリーリング(David G. Friehling)は、最高で114年の懲役刑に直面したが、後に罰金を科され、代わりに1年間の自宅軟禁とさらに1年間の監視付き釈放を宣告された。

David G. Friehling(NewYork Times 記事から引用)

DOJリリース】に戻る

関連する一連の手続きで提示された裁判所の文書および情報によると、バーナード・L・マドフ(Bernard L. Madoff)は何十年もの間、1960年に設立された投資顧問会社BLMISの会長としての地位を利用して、クライアントから数十億ドルを盗んでいた。2009年3月12日、マドフは11の連邦重罪につき有罪を認め、ウェルスマネジメント事業を世界最大のポンジスキーム(Ponzi scheme)に変え、自分自身、家族、そして彼の内部サークルの選ばれたメンバーに利益をもたらしたことを認めた。

Bernard L. Madoff

司法省・刑事局のケネス・A・ポライト・ジュニア( Kenneth A. Polite, Jr.)司法次官補は

 Kenneth A. Polite, Jr.

「司法省・刑事部は、同省が監督した最大の寛解プロセスを通じて被害者に補償を提供し続けることを誇りに思う。「世界中に配布された数十億ドルは、バーナード・マドフの大規模な詐欺の被害者のために正義を確保するための同省の持続的な努力の証である」と述べた。

ニューヨーク州南部地区の連邦検事ダミアン・ウィリアムズ(Damian Williams)は、

Damian Williams 氏

「マドフ被害者基金(MVF)事務所は、マドフの凶悪犯罪の犠牲者のための司法による正義を求める歴史的な活動を続けている。本日、この事務所と刑事局のマネーロンダリング・資産回収セクションによる3億7,200万ドル(約535億6800万円)の追加支払いは、被害者に損失の88%以上を補償する一連の分配金の8番目であり、本当に驚くべき結果である。しかし、我々の仕事は完全には完了しておらず、マドフの犯罪の結果として苦しんだ犠牲者を補償するというこのMVF事務所のたゆまぬコミットメントは続いている」と述べた。

FBI犯罪捜査部のルイス・ケサダ副部長(Assistant Director Luis Quesada)は、

「バーナード・マドフが史上最大のネズミ講で犯した被害は世界中に響き渡り、何千人もの犠牲者に壊滅的な打撃を与えている。本日配布された資金は約3億7,200万ドルで、以前に配布された資金は現在40億ドルを超えており、マドフの貪欲な犯罪の被害者に正義をもたらすという揺るぎないコミットメントを示している」と述べた。

【マドフ被害者基金(MVF)の資金源】

 2009年6月29日、当時は米国地方裁判所のデニー・チン(Denny Chin)判事は、マドフに史上最大の詐欺計画を実行したとして150年の刑を宣告した。被害者が利用できるようになった財源40億ドル以上のうち、約22億ドルは、亡くなったマドフの投資家ジェフリー・ピカウアー(Jeffry Picower)の財産からの歴史的な民事没収回収の一環として集められた。(注3)JPモルガン・チェース銀行N.A.との起訴猶予契約の一環としてさらに17億ドルが集められ、並行訴訟で民事上没収された。(注4)(注5)残りの資金は、投資家のカール・シャピロ(Carl Shapiro)、

Carl Shapiro

その家族に対する民事没収訴訟、およびバーナード・L・マドフ(Bernard L. Madoff)、弟ピーター・B・マドフ(Peter B. Madoff)

Peter B. Madoff

およびそれらの共謀者(co-conspirators)に対する民事および刑事没収訴訟を通じて集められた。

Madoff Family Photo (New York Postから引用)

 MVFの支払いは、マドフの犯罪の訴追と本件の没収を支援する資産の回収における刑事局のマネーローンダリングおよび資産回収セクション、ニューヨーク州南部地区の連邦検察局、およびFBIの並外れた努力なしには不可能であった。

 米国証券取引委員会のリチャード・C・ブリードン前委員長(Former Chairman Richard Breeden of the U.S. Securities and Exchange Commission)は、

Richard Breeden氏

被害者の被害救済手続きを支援するために司法省によって任命された特別マスター(Special Master)としての資格でMVFを監督している。また同省は、COVID-19パンデミックのために、この配布が発生し、スケジュールどおりに維持されることを保証するために困難な状況で働いた多数の個人の継続的な犠牲を認めている。

MVFとBLMISの被害者に対する補償の詳細については、MVFのウェブサイトで入手できる。www.madoffvictimfund.com(適格性基準、プロセスの更新、よく寄せられる質問など)参照。さらに質問がある場合は、MVF (866-624-3670 または info@madoffvictimfund.com) に問い合わせされたい。

2.わが国のねずみ講やマルチ商法の被害者救済策の実態

 参考となると思われる解説を抜粋、引用する。なお、いずれもわが国の被害者救済策制度のあり方については言及していない。

①  マルチ商法の被害者救済の法理論( 弁護士 菊池捷男氏)

ねずみ講で作った借金、被害金の返還請求は可能か? (弁護士 力武伸一氏)から一部抜粋する。

・・・残念ながら消費者金融など金融機関から借りたお金は、借入理由がどうあれ借りた本人に返済義務があります。返済が厳しいのなら、ねずみ講の被害と合わせて法律事務所へ相談すると、最適な解決策を提示してもらえるでしょう。

ねずみ講は「会員になり、他人を勧誘することでお金がもらえる」という形態のビジネスです。

「必ず儲かる」などの誘い文句に乗って契約してしまう人もいますが、ねずみ講は無限連鎖防止法で禁止された違法行為であり、犯罪です。

【弁護士監修】「ネズミ講とマルチ商法の違いとは?」

(A)ねずみ講「無限連鎖講の防止に関する法律」で禁止されています。

無限連鎖講の防止に関する法律   第二条  この法律において「無限連鎖講」とは、金品(財産権を表彰する証券又は証書を含む。以下この条において同じ。)を出えんする加入者が無限に増加するものであるとして、先に加入した者が先順位者、以下これに連鎖して段階的に二以上の倍率をもつて増加する後続の加入者がそれぞれの段階に応じた後順位者となり、順次先順位者が後順位者の出捐する金品から自己の出捐した金品の価額又は数量を上回る価額又は数量の金品を受領することを内容とする金品の配当組織をいう。   

ねずみ講では、「儲かるビジネスがありますよ。」と勧誘して高額の会員費を請求します。他人を勧誘すると、会員費の半分が自分に、もう半分が上のメンバーに分配されていきます。(取り分は組織によって異なります)

マルチ商法と違って特定の商品を扱っておらず、勧誘による会員の登録料でまわしているので、勧誘ができなくなると収入が途絶えビジネス自体が破綻します。勧誘するだけで金品が得られ手軽なため蔓延しやすいですが、人口は有限で最終的に必ず崩壊するシステムのため、上にいる人は得をし、下にいる人は会員費を回収できず損します。

(B)マルチ商法の特徴

マルチ商法は特定商取引法の中で連鎖販売取引と定義されており、一応合法とされています。

    (1) 特定商取引法の規制対象となる「連鎖販売取引」 (法第33条)

    特定商取引法は、「連鎖販売業」を次のように規定しています。

    1.物品の販売(または役務の提供など)の事業であって

    2.再販売、受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をする者を

    3.特定利益が得られると誘引し

    4.特定負担を伴う取引(取引条件の変更を含む。)をするもの

3.ラップ口座等に潜む投資リスク問題への警告

 投資家が証券会社などと投資一任契約を結び、運用を一任する専用口座をいう。運用報酬や口座管理料などの手数料を口座残高に応じて一括徴収し、資産運用サービス全般を提供するのがラップ口座である。かつては富裕層専用のサービスであったが、今では最低預け入れ額が引き下げられ、利用しやすくなった。投資信託など長期投資に向いた金融商品に投資することが多いので、長く付き合える証券会社で口座を開設するのが賢明ある。(東海東京証券株式会社の解説から一部抜粋)

 このように高齢者をターゲットにした特殊詐欺の次に現れるであろう投資一任契約、金融庁が音頭を取っているNISA等にかかる投資リスクについては別途筆者ブログで取り上げる予定である。

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(注1) ラップ口座:ラップとは包む(Wrap)の意味で、SMA(Separately Managed Account)とも呼ばれる。投資顧問会社または証券会社の投資顧問部門による投資一任契約に基づく投資一任運用証券会社の専用口座での売買の執行、保管・管理、報酬(売買・保管などの証券手数料、投資一任運用の投資顧問料)の一括徴収などがパッケージ化(包括=ラップ)されたトータル資産運用サービスのこと。

(注2) prejudgment interest: 裁判で勝訴が決定された時点から、最終判決が下される時点までの金銭の使用の損失の補償として、訴訟の勝訴当事者に与えられる利息(Marriam -Websterを仮訳)

(注3) ジェフリー・M・ピカウアー( Jeffry M.Picower)は、マドフの投資スキャンダルに関与したアメリカ人投資家であった。 彼はマドフのポンジ・スキームの最大の受益者であり、彼の未亡人は、マドフの管財人であるアーヴィング・ピカードによる72億ドルの請求を、アメリカの司法史上最大の没収である彼の財産に和解させることに同意した。(Wikipedia から抜粋、仮訳した)

 なお、2009年10月25日、ジェフリー・M.ピカワー(67歳)はフロリダ州パームビーチの自宅で死亡した。ピカワーの妻バーバラは、正午過ぎにオーシャンフロントの不動産で彼を「プールの底に」見つけたとディスパッチャーに語った。彼はグッドサマリタンメディカルセンターに連れて行かれ、約80分後に死亡したと宣告された。パームビーチ警察によると、「今朝、ジェフリーM.ピカワーの遺体の剖検が行われた。パームビーチ郡検死官事務所は、ピカワー氏がプールにいる間に大規模な心臓発作を起こし、偶発的な溺死を引き起こしたと判断した。

(注4) 2014年1月7日連邦司法省のリリース「マンハッタンの米国検事兼FBI次官補が、バーナード・L・マドフの数十億ドルのポンジ・スキームに関連して、JPモルガン・チェース銀行との刑事告発および起訴猶予契約の提出を発表」を以下抜粋し、仮訳する。

JPモルガンにその違法行為を認めるよう要求する契約に基づき、2年間延期される請求マドフの詐欺の被害者に17億ドルを支払う。JPモルガンによる17億ドルの支払いは、「連邦銀行等に対する機密性が高くまたは不審な現金払いおよび海外との金融取引等に関する報告義務法(federal Bank Secrecy Act:「機密取引報告義務法」という)」(注5)に対する史上最大の銀行没収と司法省のペナルティである。

ニューヨーク州南部地区の連邦検事プリート・バララ(Preet Bharara)

Preet Bharara氏

と、連邦捜査局(以下「FBI」)ニューヨーク事務所のジョージ・ヴェニゼロス(George Venizelos)担当副部長は、バーナード・L・マドフ・インベストメント・セキュリティーズ(以下「マドフ証券」)との関係に関連して、JPモルガン・チェース銀行(以下「JPモルガン」または「銀行」)に対する刑事告発を発表した。この事件は、米国地方裁判所のルイス・A・カプラン判事に委ねられている。

Lewis A. Kaplan判事

1月7日、バララ氏はJPモルガンとの合意(以下「本契約」という)を発表し、その上で、世銀は広範な事実の陳述書の正確性を規定することにより、その行為に対する以下の責任を受け入れることに同意した。①マドフ詐欺の被害者に17億ドルの罰金を、並行して民事没収の申し立てを通じて支払うこと、②将来の犯罪行為を慎み、政府と全面的に協力すること、③機密取引報告義務法(「BSA」)/マネーロンダリング防止コンプライアンスプログラムに対応する改革を継続すること。この刑事告発には、2カウント重罪情報(以下「情報」という)に含まれる。同銀行が引き続き本協定を遵守していると仮定すると、連邦政府は本情報に関する訴追を2年間延期することに合意しており、その後、連邦政府はJPモルガンの起訴を棄却するよう努めることで合意した。

(注5) 「連邦銀行等に対する機密性が高くまたは不審な現金払いおよび海外との金融取引等に関する報告義務法(federal Bank Secrecy Act:「機密取引報告義務法」という)」の(注2)参照。

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ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)は暗号資産取引ユニットである“Robinhood Crypto, LLC”に対し、同意命令(Consent Order)と3,000万ドルの罰金を課す旨発表

2022-08-07 11:54:36 | 金融犯罪と阻止策

 8月3日、筆者の手元にSquire Patton Boggs 法律事務所の所属弁護士である シェイ・M.リーチ(Shea M.Leitch)とジセル・トミンビン(Gicel Tomimbang)の共著レポートが届いた。

Shea M.Leitch氏

Gicel Tomimbang氏

  8月1日、ニューヨーク州金融サービス局(「NYDFS」または「DFS」)は、Robinhood Financial LLCによる人気のある投資アプリの完全所有の暗号資産取引ユニットである「Robinhood Crypto, LLC(以下、「RHC」という)」に対し、同意命令(Consent Order)(注1)と3,000万ドル(約39億9900万円)の罰金を課す旨発表したとある。

 同命令の中で、NYDFSは、RHCが「連邦銀行等に対する機密性が高くまたは不審な現金払いおよび海外との金融取引等に関する報告義務法(federal Bank Secrecy Act:「機密取引報告義務法」という)」(注2)、州および連邦のマネーロンダリング防止規則(「BSA/AML」)およびNYDFSのサイバーセキュリティ規則に関するNYDFS規則を遵守しなかったと主張した。

 さらにDFSが発行したプレスリリースによると、この調査では、RHCのBSA/AMLコンプライアンスプログラムの「重大な欠缺(significant deficiencies)」と、同社のサイバーセキュリティ・プログラムの「重大な違反(critical failures)」が明らかとなった。

 今回のブログは、初めに(1)OCC のBank Secrecy Act (BSA) & Related Regulations の仮訳、解説を行い、次に(2)両弁護士の解説blog内容を補足しながら仮訳する。

Ⅰ.OCC のBank Secrecy Act (BSA) & Related Regulations解説

 機密取引報告義務法(BSA)(31 USC 5311 et seq)は、以下のとおり国法銀行、連邦貯蓄機関、連邦支店および外国銀行の代理機関に対するプログラム、記録管理および報告要件を確立している。

(1) 機密取引報告義務法/マネーロンダリング防止:取引主体の顧客に対する顧客のデューデリジェンスと受益所有権の要件の概要と審査手続き

(2) 機密取引報告義務法/マネーロンダリング防止:改訂されたFFIEC BSA/AML 審査マニュアル

(3)連邦財務省、国家マネーロンダリングとテロ資金供与のリスク評価の発表

 OCCの実施規則は、12 CFR 21.11および12 CFR 21.21に定める。BSAは、すべての銀行がBSAコンプライアンスプログラムの一環として顧客識別プログラムを採用することを義務付ける米国テロ阻止愛国者法の規定を組み込むために改正された。

1.BSAおよび関連法令

 連邦銀行等に対する機密性が高くまたは不審な現金払いおよび海外との金融取引等に関する報告義務法(Bank Secrecy Act:BSA) - 31 USC 5311 – 5330 

外国資産管理規則 (Foreign Assets Control Regulations (OFAC)) 31 CFR 500 

通貨および外国取引の財務記録の保持と報告に関する規則 (Financial Record Keeping and Reporting of Currency and Foreign Transactions)- 31 CFR 1010.310 

テロ行為阻止のための適切な手段の提供よる米国民の団結強化に関する法律(USA PATRIOT Act:「米国テロ阻止愛国者法」  筆者ブログ の(筆者注4)参照。

2.BSAコンプライアンスを監視するための手順 - 12 CFR 21.21

  この規制は、すべての国法銀行および貯蓄貸付組合(savings association)が、BSAの遵守を保証および監視するために合理的に設計された書面による取締役会承認したプログラムを持つことを義務付けている。このプログラムは、少なくとも次のことを行う必要がある。

(1)継続的なコンプライアンスを保証するための内部統制システムを提供する。

(2)コンプライアンスのための独立したテストを提供する。

(3)日々のコンプライアンスの調整と監視を担当する個人を指定する。

(4)適切な人員のためのトレーニングを提供する。さらに、米国テロ阻止愛国者法第326条の実施規則では、すべての銀行がBSAコンプライアンスプログラムの一環として顧客識別プログラムを採用することを要求している。

3.連邦法違反または疑わしい取引・活動の報告 - 12 CFR 21.11 および 12 CFR 163.180

 この規則により、すべての国法銀行は、マネーロンダリング活動またはBSA違反に関連する連邦法違反または疑わしい取引の特定の既知または疑いを検出した場合、疑わしい活動報告書(SAR)を提出する必要がある。SARの提出は、次のとおり潜在的な犯罪のために必要とされる。

(1)金額に関係なくインサイダー取引の濫用を伴う。

(2)特定可能な容疑者がいて、取引に5,000ドル以上が含まれる場合。

(3)識別可能な容疑者がいないが、取引に25,000ドル以上が含まれる場合。潜在的なマネーロンダリングまたはBSA違反を示す疑わしい活動の場合にもSAR提出が必要であり、取引には$ 5,000以上が含まれる。

4.一次ロンダリングに関する懸念の機関(Institutions of Primary Laundering Concerns)

 米国テロ阻止愛国者法第311条によって追加された機密取引報告義務法第5318A条は、財務長官が外国の管轄権、機関、取引クラス、または口座の種類を「マネーロンダリングの主な懸念事項」として指定し、5つの「特別措置」のうちの1つ以上を課す権限を与えている。

5.BSAの報告要件(BSA Reporting Requirements)

 国法銀行および貯蓄金融機関のBSA関連の報告要件は、米国財務省の金融犯罪執行ネットワーク(FinCEN)によって管理されている。金融機関は、BSA Eファイリングシステム(注3)を通じて電子的に報告書を提出する必要がある。

■通貨取引レポート (CTR)

Currency Transaction Report (CTR)

■通貨又は貨幣商品の国際輸送に関する報告書(CMIR)

Report of International Transportation of Currency or Monetary Instruments (CMIR)

■外国銀行及び金融口座の報告書(FBAR)

Report of Foreign Bank and Financial Accounts (FBAR)

■疑わしいアクティビティ レポート (SAR)

Suspicious Activity Report (SAR)

BSA E-Filing Systemの免除者の指定

Designation of Exempt Person Form

Ⅱ.ニューヨーク州金融サービス局(「NYDFS」または「DFS」)は、「Robinhood Crypto, LLC(以下、「RHC」という)」に対し、同意命令(Consent Order)と3,000万ドルの罰金を課す旨発表

1.NYDFSのBSA/AML 違反の立証内容

 同意命令の中で、NYDFSはRHCのBSA/AMLプログラムの調査で多くの欠陥が明らかになったと主張している。NYDFSおよび連邦BSA/AML規制の下では、企業、組織等は疑わしい活動を検出して報告し、米国連邦財務省の金融資産管理規則局によって禁止されている取引をブロックするためのポリシーと手順を実装および維持する必要がある。

しかし、DFSはRHCがこれらの要件を満たすための適切なポリシーと手順を実装していないと主張した。特にDFSは、RHCが「ライセンシーのリスクプロファイルに見合った」BSA/AMLプログラムを維持できなかったと主張し、RHCが2019年9月30日時点で1日あたり合計530万ドルの平均106,000件の取引を処理したにもかかわらず、RHCが手動の内部報告システムに依拠し続けたと指摘している。手作業による報告システムと不十分な人員配置の結果、NYDFSは「[RHCの]AMLスタッフが単にトランザクション・アラートに追いつくことができず、アラート処理の[a]重大なバックログ」をもたらしたと主張した。RHCは、2019年12月にBSA/AMLプログラムを見直すために第三者のコンサルタント(以下「コンサルタント」)を雇ったため、BSA/AMLの方針と手順が不十分であることを認識していたようである。コンサルタント契約中、コンサルタントはRHCにBSA/AML手順が「最小限の価値」であったと報告した。それでも、RHCの最高コンプライアンス責任者は、2019暦年のニューヨーク取引監視規則の遵守を認定した。

3.RHCのサイバーセキュリティ遵守義務の欠陥の指摘(Cybersecurity Deficiencies)

 NYDFSはまた、RHCサイバーセキュリティ・プログラムの重大な不備を特定した。他の不備の中でも、DFSはRHCが親会社のポリシーと手順に過度に依存しており、RHCの運用、リスク、報告ライン、またはサイバーセキュリティ規則の完全な要件に完全には対応していなかったとRHCを非難した。他の欠缺に関し、DFSの調査は、RHCが(i)サイバーセキュリティリスクを管理し、サイバーセキュリティ規則に規定されたコア機能を実行するために、不十分なサイバーセキュリティ要員を採用したと判断した。(ii) データガバナンスと分類、IT資産管理、ビジネス継続性と災害復旧計画、システム運用、システムとネットワークの監視、システムとアプリケーションの開発、リスク評価、インシデント対応活動を導くための詳細なポリシーと手順が不十分であった。(iii)サイバーセキュリティ規則の要件を満たすリスク評価を実施しなかった。

  特定されたコンプライアンスの欠缺に加えて、NYDFSはRHCのDFS監督協定に違反して、RHCが連邦および州の規制当局による調査を開示しなかったと指摘し、調査におけるRHCの協力と率直さに異議を唱えた。

4.同意命令の要件

 同意命令に基づき、RHCはDFSに3,000万ドルの民事罰金を支払わなければらない。特に、この命令は、RHCが保険証券、補償、または税額控除を通じて罰金の費用を回収することを禁じている。またRHC は、既存のコンサルタントを再雇用して、BSA/AML およびサイバーセキュリティ規則の要件に対する RHC の現在のコンプライアンス・プログラムの包括的なレビューを実施し、RHC の改善を支援する必要がある。新しい契約の下では、コンサルタントはRHCの規則の遵守についてDFSに定期的な報告を提供する義務を負う。

【金融企業、組織における本事案における主な重要ポイント】

(1)以上述べたとおり、米国金融サービス業界は長年にわたり厳しい法規制の対象となっており、スタートアップはこれらの義務を免除されていない。非伝統的産業の革新的な組織は、しばしば独自のコンプライアンスの課題に直面している(たとえば、詐欺、マネーロンダリング、暗号通貨分野での違法行為のリスクの高まりと、従来の金融機関が直面する同様のサイバーセキュリティの課題)。指数関数的な成長はすべての組織の夢であるが、急速な拡大は多くの場合、コンプライアンスの負担の増加(そして潜在的に規制の精査)も伴う。したがって、組織は思慮深いコンプライアンス評価と、特定されたギャップの迅速な修復に取り組み、適用される法的、規制的、および契約上の要件を満たしていることを確認する必要がある。

このような評価を実施する場合、金融組織、機関は、可能な限り、評価結果が特権で保護され、裁判所または規制調査での後の生産を防ぐために、弁護士を介してコンサルタントや他のベンダーを関与させることを検討する必要がある。このような評価は、法律上およびコンプライアンス上および情報技術上の目的に役立ち、弁護士の監督下でそのような評価を実施することにより、弁護士は、適用される法律および規制の遵守に関する法的助言を組織に提供することができるといえる。

(2)特定のサイバーセキュリティ制御と評価を義務付ける既存の法律に加えて、多くの金融組織はまもなく、今後のカリフォルニア州、コロラド州、コネチカット州、バージニア州のプライバシー法の下でプライバシー影響評価を実施することが義務付けられる。したがって、複数の管轄区域で金融事業を展開する企業は、適用される法律や規制(これらの法律に含まれる比例性、データの最小化、保持義務など)に基づいて確立された要件を満たしていることを確認するために、プライバシーおよびセキュリティ評価プログラムを確立する必要がある。

さらに、企業は、適用される業界固有の義務(金融サービス業界のAMLなど)に留意し、それらのニーズを満たすようにコンプライアンスプログラムを調整する必要がある。チームSPBは、「2023年州プライバシー法コンプライアンスガイド(2023 State Privacy Law Compliance Guide)」を作成した。この無料で読むことができるリソースは、現在施行されている各州のプライバシー法の要件に関する情報と、新しい2023年の州プライバシー法の計画と準備でコンプライアンスチームを支援するための効率向上のために定められた一連の作業や優先事項サンプル(sample workstreams)を提供する。

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(注1) 同意命令(同意審決とも呼ばれる)は、すべての当事者の同意を得て裁判官によって行われた命令または審決である。厳密には判決ではなく、裁判所が承認した「和解合意」である。合意は、当事者が和解に達した後に書面で裁判所に提出され、裁判官によって承認されると、合意は両当事者に拘束力があり、執行可能となる。同意命令は、一方の当事者の詐欺、または両当事者の側の誤りのために裁判所によって脇に置かれることを除いて、上訴することはできない。(コーネル大学ロースクールの解説を仮訳)。

(注2) わが国では「Bank Secrecy Act」を「銀行秘密法」と直訳されるケースが未だに多い。

 これでは何が秘密なのか、誰の秘密なのかが分からない。同法は、現在では「愛国者法」に基づく改正も行われており、テロ資金防止法(BSA/AML)と引用されることが多いが、1970年に制定された当時は脱税のための資金洗浄阻止も重要な目的であったようであり、企業に対する同法の報告義務に関し、連邦財務省内国歳入庁(IRS)が多く関与している。分かりやすく言うと「銀行等に対する機密性が高くまたは不審な現金払いおよび海外との金融取引等に関する報告義務法」である。つまり、報告義務を課されるのは、狭義の金融機関(規制内容や罰則は金融機関の場合が厳しいが)だけでなく、現在は外国の銀行に金融資産を有する企業、さらに貴金属・宝石取扱業者もFinCENへの報告義務が課されるなど範囲が広がっている。IRSのサイトでは企業向けにBSAについて報告義務の内容や罰則規定についてQ&A等で詳しく説明している。(2009.4.3 筆者ブログの(筆者注4)参照)

(注3) BSA Eファイリングシステムは、FinCENセキュアネットワークを介した機密取引報告義務法(BSA)フォームの電子ファイリング(個別またはバッチ)をサポートしている。BSA Eファイリングは、BSAフォームを提出するためのより速く、より便利で、より安全で、より費用対効果の高い方法を提供します。BSA Eファイリングの詳細については、こちらを参照されたい。連邦財務省の解説を仮訳。

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米ノースカロライナ州アッシュビルの被告男性(70歳)、2,200万ドルのポンジ・スキーム(いわゆる「ねずみ講」)等を画策、実施した罪で17.5年の拘禁刑や1,700万ドル以上の賠償金判決

2020-07-19 09:55:18 | 金融犯罪と阻止策

 7月10日付けで米連邦司法省・ノースカロライナ西部地区連邦検事局のリリースが筆者の手元に届いた。

 その内容は「ノースカロライナ州アッシュビル住の被告男性(Hal H. Brown Jr., 70歳)は、2,200万ドル(約23億5,400万円)のポンジ・スキーム(Ponzi scheme :いわゆる「ねずみ講」)等を画策、実施した罪で17.5年の拘禁刑1,700万ドル(約18億1,900万円)以上の賠償金の判決を受けた。被告は定年またはそれに近い人を含む60人以上の犠牲者から金をだまし取ったとする裁判結果」というものである。

被告 Hal H. Brown Jr.

 筆者は同裁判の被害額の大きさだけでなく、1)この裁判は本年1月21日に被告が有罪を認め判決が出ているのにかかわらず、今時点で再度判決が出された利用は如何、さらに、2)Ponzi schemeや取引マネー・ローンダリング(Transactional Money Laundering)の適用条文や量刑の根拠は如何という点についても同時に調査した。

 特に不正資金の洗浄運び屋犯罪(Money Mules)の種類(注1)の相違点につき詳細などを検証した。

 さらに裁判官の連邦量刑ガイドラインや具体的犯罪の適用条文等の判断根拠などについても必要な範囲で専門レポートも参照した。

 これらについて詳細に解析したものは、米国のローファームの専門記事でも意外と少なく、連邦検事局のリリース自体も言及していなかった。

 他方、わが国のねずみ講の規制・取締法は如何、「ネズミ講」と「マルチ商法」の差は如何についてもその根拠法も含め簡単に論じる。いうまでもないが、ネズミ講の手口構成は金融犯罪に欠くべからざるものである。高齢者を狙うのは振込詐欺だけでなく、詐欺師たちは組織的にかつ合法的な似非ビジネスを模倣して、投資をはじめ儲け話しや貴金属ビジネスなどあらゆる違法な手口を用いている。(注2)

 取締強化の観点からも、わが国の法執行機関のさらなる研究と具体的取り組みを期待したい。なお、筆者は9年前の2011.8.16に 「⽶国スタンフォード⼤学と⾦融取引業規制機構 (FINRA)が「⾦融詐欺」阻⽌の共同専門調査セン ターを設⽴」を取り上げている。今回のブログ執筆にあたりその内容も見直し更新した。併せて、御覧いただきたい。

1.2020年1月21日判決にかかるノースカロライナ西部地区連邦検事局のリリース仮訳

(1)犯罪手口にかかる筆者の補足説明と判決要旨

証券詐欺罪(securities fraud)(注3)には最高20年の拘禁刑と500万ドル(約6億3,500万円)の罰金が科せられる。また、トランザクション・マネーロンダリング罪(transactional money laundering charge)」には、最高10年の刑期と取引における犯罪的に派生した財産の2倍以上の罰金または25万ドル(約2,675万円)が選ばれる。なお、ブラウン被告の判決言い渡し日が設定されていない。

 検事局のリリースではこの2つの有罪の法律の根拠に関し詳しく説明されていないので、筆者なりにFBI7/11(22)等の資料にもとづき補足する。(2)から検事局のリリース文に戻る。

A.証券詐欺の手口の例示(筆者の補足解説)

「証券詐欺」という用語は、さまざまな違法行為を網羅しており、そのすべてが投資家の欺瞞や金融市場の操作を伴うものである。以下で、SECの詐欺対策専門サイトから引用、仮訳する。(注3-2)

High Yield Investment Fraud(Program)

 インターネットは、いわゆる「高利回り投資プログラム」または「HYIP」であふれている。これらは、通常、無認可の個人によって実行される未登録の投資であり、しばしば詐欺である。HYIP詐欺の特徴は、投資家にほとんどまたは100%リスクを負わせる一方で信じられないほどの運用益(return)を約束する。HYIPのウェブサイトは、年間(または毎月、毎週、または毎日)のリターンを30%または40%以上と約束するかもしれない。これらの詐欺のいくつかは、「プライム・バンク(prime bank)」プログラム(注4)という用語を使用する可能性がある。あなたがこれらの1つに投資するためにオンラインでアプローチされた場合は、細心の注意を払う必要があり、それは詐欺である可能性が高い。

Ponzi SchemesPyramid Schemes

 ポンジ・スキームには以下のような特徴がある場合が多い。

 投資機会の詐欺の仕掛け人たるプロモーターが投資家から1,000ドルを受取る。同時に、そのプロモーターは事前に設定された期間(例えば、90日後)に10%の利子をつけて、払い戻すことを約束する。 このプロモーターは90日が来る前に追加で2人の投資家を見つけることができた。そうしたら、2番目、そして3番目の投資家から集めた2,000ドルから、約束どおり元利で1,100ドルを最初の投資家に支払う。そして、プロモーターは最初の投資家にもう一度1,000ドルを投資することを勧める。

 あたらしい投資家から資金を集めることで、詐欺師は早期投資家に約束したリターンを支払うことができ、その投資家に再投資をして、さらに多くの人を集めるように促す。

 このシステムが成長するにつれて、プロモーターはより多くのスキームに参加する新しい投資家を探す必要がある。探すことができなければ、プロモーターは約束したリターンを支払うことができなくなり、最終的には、ポンジ・スキームは不安定になっていき、プロモーターは破綻し、逮捕されるか、もしくは手に入れた資金と一緒に逃げ去り、消えてしまう。

 また、ピラミッド・スキーム(ねずみ講)はそのスキームに参加するメンバーに対して報酬や支払いを約束するだけでなく、そのメンバーが新しいメンバーを誘うことに対しても報酬や支払いを約束するビジネス形態でもある。

 例えば、不正なプロモーターがAliceとBobにそれぞれ1,000ドルである企業の販売権を購入できる機会を提供する。これによって、AliceとBobには保有している販売権を売却する権利と勧誘した全ての追加メンバーからの配当を受ける権利を持つことになる。彼らが販売した販売権からの売り上げの1,000ドルはプロモーターと1:1で配分する。

 上記のシナリオでは、AliceとBobは販売権を販売する毎に500ドルを手に入れることができるので、元を取るためには販売権を2人に販売する必要がある。初期投資分を確保するために販売権を2人に販売しないといけないという負担は彼らが販売した顧客に渡される。

 このプロセスを継続するには、どんどん新しいメンバーが必要になるため、このピラミッド・スキームは最終的には崩壊する。このスキームが長期に持続不可能であることが、ピラミッド・スキームが違法となっている理由である。

 ポンジ・スキームはたいていの場合、投資管理サービスと名乗っていて、利回りは合法な投資の結果によるものと信じさせる。詐欺師は基本的に新しい投資家からの資金を使って、昔からの投資家に支払いを行う。

 一方、ピラミッド・スキームはネットワーク・マーケティングに基づいており、参加者はお金を稼ぐためには新しいメンバーを勧誘する必要がある。それゆえ、それぞれの参加者はピラミッドの頂点に資金を渡す前に自分の分け前として手数料を取る。  

Advanced Fee Schemes(前払い料金詐欺:ナイジェリアの手紙詐欺ナイジェリアの手紙詐欺)

 あえて、説明は略す。

Foreign Currency Fraud架空外国為替証拠金取引(FX取引)詐欺

 FX取引とは、証拠金(保証金)を業者に差し入れ、差し入れた証拠金の何倍もの額(日本では証拠金の25倍が上限)の外国通貨の取引を行うものです。取引終了の際は、取引開始時と反対の取引(例えば、円をドルに換えた場合にはドルを円に換える)を行い、その差額を損益として清算します(差金決済)。 例えば100万円の証拠金を差し入れ、10倍の倍率を設定した場合、1,000万円分の外国通貨を買うことができます。このとき1ドル100円なら、10万ドルを購入でき、1ドル105円の時に取引を終了すると50万円の利益になりますが、1ドル95円の時に取引を終了すると50万円の損失が発生します。 このようにFX取引では、元手となる証拠金よりも大きな金額の取引ができますが、為替相場の変動等によっては預けた証拠金以上の多額の損失が短期間のうちに出てしまう可能性があります。

FX取引を取り扱う業者は金融商品取引法に基づいて金融商品取引業の登録をする必要があります。海外の業者が日本の居住者と取引をする場合も登録が必要です。また登録業者には、顧客から依頼がない限り勧誘を行ってはならないなどの厳しい規制が設けられています。(金融広報中央委員会:知るぽると「架空FX取引詐欺」から一部抜粋)

Broker Embezzlement(ブローカーの横領詐欺)

 証券会社などの従業員による盗難とも呼ばれる横領(embezzlement)は、誰かが自分のケアに委ねられたが、他の誰かが所有している資金を不当に割り当てる行為である。最も一般的な横領は従業員ですが、受託者の責任を持つ他の人も横領罪で起訴することができる。

 横領は、特定の種類の詐欺であり、「真実の虚偽表示または重大事実の隠蔽を知って、他人に自分の損害に対して行動するよう誘導すること」と定義されている。

 横領は、刑事詐欺や民事詐欺として起訴することができる。民事詐欺の場合、雇用者は従/業員に対して訴訟を起こすことができる。(より詳しくはFind Lawの解説 参照)

Hedge Fund Related Fraud 

金融庁「いわゆるファンド形態での販売・勧誘等業務について」証券会社の解説例を参照されたい。

 ⑦Late Day Trading (レイト・デイ・トレーディング)

Criminal Lawyers Group:Late Day Tradingを抜粋し、仮訳する。

1)「レイトデイ・トレーディング」とは、時間外に取引を実行し、その日の市場取引の終了前に実行されたかのように記録する方法をいう。レイトデイ・トレーディングでは、他の市場参加者がトレーディング時間中に利用できなかった可能性のある市場情報をトレーダーが使用できる。

 深夜の取引に従事することは重罪であり、そうすることは証券詐欺の民事上および刑事上の告発につながる可能性がある。

 この取引慣行は違法であるが、投資信託のマネージャーがこれらの取引をあたかも記録するように許可しているため、一部のヘッジファンド・マネージャーおよび特定の有利な投資家は、注文が数時間後に受け取られたとしても、通常の取引時間中に発生したものとして、前の取引日の価格を取得することが許可されている。

 連邦法執行機関はこれらの個人を標的としており、深夜の取引に従事している人はだれでも厳しく取り締まっている。

 2)SECのサイトから抜粋、仮訳する。

レイト・トレーディングとは、通常午後4時に取引が終了した時点で、ミューチュアル・ファンドがその純資産価値(NAV)を計算した時点以降に、ミューチュアル・ファンドの株式を購入または償還する注文を出すことを指す。基準は東部標準時であるが、その日の時点ですでに決定されている以前のNAVに基づく価格を受け取ることができる。

 レイト・トレーディングは、ミューチュアル・ファンドの株式を購入または償還しなければならない価格に関する連邦証券法に違反するとともに、他の投資家には利用できない利点をレイト・トレーダーに与えることにより、これらのミューチュアル・ファンドの無実の投資家を詐欺したことになる。特に、この場合トレーダーは、市場の動きに関する情報を知り、市場の動きに関する情報が公開される前に設定された価格で投資信託の株式を購入または償還できることから、ミューチュアル・ファンドの無実の他の株主を犠牲にしてアドバンテージを獲得できる点で違法性が高い。

レイト・トレーディングを含む最近のSECの法執行活動を検索するには、SECサイトをクリックされたい。

B.証券詐欺に関する罰則法規定の詳細の仮訳

a) 証券詐欺の罰則規定

 証券詐欺の罰則は、18 USC § 1348(Securities and commodities fraud)(法律名:Sarbanes-Oxley Act of 2002 (注5))の下で犯罪を構成する行為または不作為の性質に応じて異なる制裁により異なる。

・証券詐欺の各事例につき最長5年の拘禁刑

・有価証券の価値に応じた罰金の支払い

・詐欺金額の返還(賠償)

・虚偽であると知る必要がある報告書を証明する者は、500万ドル以下の罰金または20年以下の拘禁刑またはこれらを併科した責任を負う。

b) 連邦現行法律集第18編§ 1348 の連邦証券詐欺の有罪判決に基づく罰則規定

18 U.S.C.§1348の下での連邦証券詐欺の有罪判決は、最長25年連邦刑務所での拘禁刑と罰金の刑罰を受け、これらの併科もある。

 ただし、実際の判決は、米国の連邦量刑ガイドライン・マニュアル(注釈付き)の適用、および重要な量刑裁量権を有する裁判官によって考慮されるその他の関連要因によって常に異なることを留意すべきである。

 証券詐欺などすべての連邦金融詐欺犯罪では、総損失額を計算することは大多数のケースで科された実際の刑に大きな影響を与える。

 また、量刑ガイドラインは、実際の損失ではなく、意図したとおりに損失を定義することに留意すべきであるが、このアプローチを使用することの公平性について懸念を表明している連邦裁判所の裁判官もることに留意すべきである。

c) 連邦証券詐欺罪の具体例

わが国でも詳しい解説は少ない。JUSTIAサイトの解説仮訳する。 

①Insider Trading:インサイダー取引は、公開されている情報へのアクセス権を持つ人による上場企業の株式または有価証券の取引を含むもの。この情報にアクセスできない投資家にとっては不公平という事実があるため、違法である。

②Churning:過剰売買(チャーニング)は、クライアントの利益を犠牲にしてブローカーに手数料を発生させるために、過剰な株式を売買するスキームをいう。ブローカーは、顧客のアカウントの投資決定を制御する必要があります。

③虚偽(不実)表示(Misrepresentation)

 不実表示は、誰かがセキュリティに関する価値観を操作することを意図して、セキュリティに関する誤った説明や表現を他の人に意図的に行い、その不実表示の効果から利益を得る場合に発生する。

④ポンプ・アンド・ダンプ(Pump and Dump)

 これは通常、コールド・コール(一般的に電話、電子メール、またはソーシャルネットワーク上の接続を介して、そのような相互作用を期待していない、将来の顧客またはクライアントに接近するセールスプロセス。通話を受信している人が通話を期待していないか、販売担当者が連絡を取るよう特に要求していないため、「コールド」という言葉が使用される。コールドコールは通常、一般にテレマーケティングとして知られている販売プロセスの始まりである)のテレマーケティング担当者が高圧の販売手法で疑わしい株を購入するように人々を説得できるときに発生する。このタイプの活動は、株価を「押し上げる」のに十分な需要を生み出す可能性があるが、株式が望ましい価格に達した後、相当の利益を確保するために売却または「ダンプ」され、投資家には損失だけが残る。

会計不正・粉飾決算詐欺(Accounting Fraud)

 会計帳簿詐欺は、会計士が上場企業の財務記録を操作または改ざんして、資産と負債を偽って表現することを目的としている。

⑥ 部外者の違法侵入詐欺(Outsider trading)

 金融システムデータベースをハッキング後のデータ侵害により、部外者取引詐欺はSECによって起訴される。言い換えれば、主な標的は、企業に不法にハッキングして、一般に公開されていない情報を入手する人々が犯人である。

裁判実務上の米国弁護士のアドバイス

 上記のとおり、証券詐欺は厳しい罰則を伴い、連邦法の下でクラスC重罪(Class C felony)として知られている。これは、個人が多額の罰金と実刑判決を受けるという意味である。これら2つのペナルティは、組み合わせることができるか、または別々に科すことができる。最長20年の実刑判決が出される可能性があるが、通常、これは証券詐欺の各犯罪ごとに5年の実刑判決が下される。

 *罰金と賠償

 最大500万ドルまでの相当な罰金を命ぜられる。場合によっては、保護観察を受ける可能性がある。もちろん、これは事案の個々の事実に依存し、金銭的損失がないときに下される。

 また、証券詐欺の被害者の損失の応じた額を補償する賠償も可能である。

(2)犯罪手口の解析

この部分に関し、7月16日の連邦検事局のリリース文の事実関係は1月21日のリリース文とほぼ同一であり、以下では異なる部分のみ引用し、仮訳する。

 起訴に関し提出された裁判所文書および7月10日の裁判官が量刑に関する当事者の主張を聴取する量刑聴聞(Sentencing Hearing)によると、少なくとも2007年から2019年9月までの間、被告ブラウンは自身の会社である「Oodles Inc.」およびそのさまざまな関連会社(これらを総称して「OODLES」という)を通じて巧妙なポンジー計画に従事することにより、少なくとも60名の犠牲者から、2,250万ドルを不正に入手した。

 裁判所の記録によると、ブラウンは建築家であり、唯一ではないにしても、詐欺の主な運営者であり、彼の宗教的評判と地元コミュニティでの尊敬される地位を利用して、投資家の犠牲者に金銭で彼を信頼させるよう仕向けた。

 法廷文書によると、ブラウンはOODLESに数千ドルから数百万ドルを投資した家族、友人、隣人および仲間の教会員を騙した。ブラウンは被害者に自分のお金を投資させるために、OODLESが数億ドルの知的財産、つまり家族向けのエンターテインメントショーや宗教をテーマにした映画を所有していると意図的に誤って表明した。ポンジ・スキームの一環として、ブラウンは被害者に対し、これらの知的財産をさまざまな有名メディア企業への差し迫った売却について繰り返し嘘をついた。不正行為を永続させるために、ブラウンはOODLESへの投資または融資を勧誘するマーケティング資料を開発した。

 ブラウンが以前の法廷で認めたように、被害者を説得するためのスキームは合法的であり、支払いの遅延についての説明を求めた投資家をなだめるために、ブラウンは偽の銀行取引明細(bank statements)や偽造された会社の合意を含む、詐欺的で誤解を招く声明や架空の情報を被害者に提供した。とりわけ、ブラウンはまた、有名なメディア企業の従業員と少なくとも1つの法律事務所になりすまして、彼のポンジ計画に正当性を持った外観を追加させた。

2.1月21日判決後のブラウン被告の罪状の見直し内容と7月10日判決への反映

 法廷文書と7月9日の裁判所の量刑聴聞によると、ブラウンは裕福なライフスタイルを送り、OODLES取引とは無関係の個人経費に被害者のお金のかなりの部分を使った。また、ブラウンは一般に「ポンジ支払」(Ponzi payments)と呼ばれる、既存の投資家への支払いを行うために、新しい投資家から提供された資金を回して使用した。

 量刑聴聞で、裁判所はブラウンの詐欺的な計画によって引き起こされた甚大な被害について、ブラウンの犠牲者の一部からの声明を含む証拠を聞いた。これには、被害者の巣の卵の一部を教育および退職のために取っておいたなけなしの資金を用用いた投資を強いたこと、および被害者の一部を退職から職場復帰すことを含む被害者の一部に深刻な経済的および心理的被害を与えたことであった。

 2020年1月21日、ブラウンは「証券詐欺」と「取引マネーロンダリング」に対する有罪を認めた。ブラウンに対する増刑判決(enhanced sentence)(注6)について7月10日に伝えたとき、裁判所はブラウンの反省や説明責任の欠如、およびブラウンによるさらなる犯罪から国民を保護する必要性を検討した。

 すなわち、被告が何十年も前にボランティア組織で彼の良い性格のためのサポートの手紙を求めるために働いていた多くの個人に送った被告の無実を訴えるビデオの存在、ブラウンがそのビデオで提示した誤った情報に基づいて、電子メールの受信者の一部はブラウンを支援する手紙を書き、裁判所に提出したなどの事実が明らかとなった。

 また、判所所はブラウンに代わって送信された最近の電子メールの証拠も受け取り、ブラウンの無実とブラウンが費用を支払うのを助けるためにローンを勧誘することについてのブラウンが嘘を繰り返し、ブラウンは近い将来に利益を持って返済すると繰り返している事実をも確認した。

 長期の刑期判決を科す際に、ベル裁判官(Judge Bell)はほとんどのポンジー計画は恐ろしいものであり、ブラウンの行為は最悪の方法で犯され、最も脆弱な犠牲者の一部に害を及ぼす最悪の詐欺の一部であると指摘した。ブラウン被告は判決の聴聞会の終わりに拘留され、直ちに刑の執行が開始された。

3.高齢者詐欺を阻止するためのノースカロライナ州西部地区の連邦検事局のイニシアティブの概要と連邦司法省の取り組み

(1) 7月10日リリースの最後に、連邦司法省やノースカロライナ州西部地区の連邦検事局の取り組みの概要を引用している。わが国でも国民生活センター等での警告(注2)にもかかわらず被害が減らない原因や具体的対処策を考える上で参考となると主あるのでやや詳しく引用、仮訳する。 

 2019年3月、ノースカロライナ州西部地区の連邦検事Andrew Murrayは、同州において高齢者を狙った金融詐欺の調査と訴追の取り組みを拡大することにより、高齢者の金融搾取と闘うことを目的とした「高齢者司法支援イニシティブ部(Office’s Elder Justice Initiative)」(注7)を立ち上げる旨発表した。その目的は、詐欺を特定し、金融詐欺の被害者にならないようにする方法について高齢者を教育するとともに法執行パートナーとの連携を強化するものである。

(2) ノースカロライナ州「高齢者司法支援イニシアティブ(NCW Elder Justice Initiative)」等の概要

 米国ノースカロライナ州西部地区検事局は、高齢者ヘの保護者の放棄(neglect)、虐待、金銭的搾取と闘うことに力を注いでいる。このイニシアティブの一環として、事務局は以下の活動に積極的に取り組んでいる。

 つまり、高齢者を標的とする、または不釣り合いに影響を与える金融詐欺犯罪を調査して起訴する。

【NCWエルダー・ジャスティス・イニシアティブの詳細】

①高齢者への虐待を特定して対応するために、法執行機関にトレーニングとリソースを提供する。

②高齢者の搾取と金融詐欺を特定して対応する方法について、米国の高齢者とヘルパ―等のための実践的なトレーニングセミナーを開催する。

③高齢者に著しく低水準のケアを提供する老人ホームやその他の施設を責任などを追求する。

④高齢者への虐待と戦うために、州や地方のパートナーとの調整を促進する。

 我々の地区の公共サービスのお知らせは、https://youtu.be/qBGGAA7Mxboにある。

 連邦司法省の高齢者司法支援構想の詳細については、elderjustice.govを参照されたい。そこには、検察官向けトレーニング・リソース(PROSECUTOR TRAINING & RESOURCES)学際的チーム・ツールキット(MDT Guide and Toolkit)、およびアウトリーチ・リソース も確認できる。

【添付資料】

パンフレット:https://www.justice.gov/usao-edky/page/file/1038056/download  (各2頁)

4.わが国におけるネズミ講とマルチ商法の相違点と行政処分および処罰規定

 弁護士サイトで寺垣俊介氏が比較的わかりやすく解説している。抜粋して引用する。なお、リンク、補足は筆者の責任で行った。

(1) ネズミ講の特徴

ねずみ講は昭和五十三年法律第百一号「無限連鎖講の防止に関する法律」で禁止されている。  

    第二条  この法律において「無限連鎖講」とは、金品(財産権を表彰する証券又は証書を含む。以下この条において同じ。)を出えんする加入者が無限に増加するものであるとして、先に加入した者が先順位者、以下これに連鎖して段階的に二以上の倍率をもつて増加する後続の加入者がそれぞれの段階に応じた後順位者となり、順次先順位者が後順位者の出えんする金品から自己の出えんした金品の価額又は数量を上回る価額又は数量の金品を受領することを内容とする金品の配当組織をいう。

 ねずみ講では、「儲かるビジネスがありますよ」と勧誘して高額の会員費を請求します。他人を勧誘すると、会員費の半分が自分に、もう半分が上のメンバーに分配されていきます。(取り分は組織によって異なります)

 マルチ商法と違って特定の商品を扱っておらず、勧誘による会員の登録料でまわしているので、勧誘ができなくなると収入が途絶えビジネス自体が破綻する。勧誘するだけで金品が得られ手軽なため蔓延しやすいが、投資家人口は有限で最終的に必ず崩壊するシステムのため、ねずみ講の上にいる人は得をし、下にいる人は会員費を回収できず損をする。

(2) マルチ商法の特徴

 マルチ商法は昭和五十一年法律第五十七号 「特定商取引に関する法律」(特定商取引法)の中で連鎖販売取引と定義されており、一応合法とされています。

    (1) 特定商取引法の規制対象となる「連鎖販売取引」 (法第33条)

    特定商取引法は、「連鎖販売業」を次のように規定しています。

    1.物品の販売(または役務の提供など)の事業であって

    2.再販売、受託販売もしくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をする者を

    3.特定利益が得られると誘引し

    4.特定負担を伴う取引(取引条件の変更を含む。)をするもの

ただし、以下述べるとおり厳格な要件をクリアーしないと違法となる。消費者庁の特定商取引法ガイドから以下、一部抜粋する。

連鎖販売取引に対する規制としては以下述べるとおり 、(1)行政規制、(2)民亊ルールに大別される。

(1) 行政規則

1.氏名などの明示(法第33条の2)

2.禁止行為(法第34条)

3.広告の表示(法第35条)

4.誇大広告などの禁止(法第36条)

5.未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止(法第36条の3)

6.書面の交付(法第37条)

7.行政処分・罰則(業務改善指示(法第38条)や業務停止命令(法第39条)、業務禁止命令(法第39条の2)などの行政処分のほか、罰則(三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する; 六月以下の懲役又は百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科)の対象となる)

(2)民亊ルール

8.契約の解除(クーリング・オフ制度)(法第40条)

9.中途解約・返品ルール(法第40条の2)

10.契約の申込みまたはその承諾の意思表示の取消し(法第40条の3)

11.事業者の行為の差止請求(法第58条の21)

********************************************************

(注1)マネー・ミュール(不正資金の運び屋:Money Mules)として行動することの結果について連邦司法省・FBIのマネ―・ミュールに関する小冊子の一部を概観、仮訳する。

 マネー・ミュールとして行動する個人は、個人情報の盗難・なりすまし、個人での責任債務、信用スコアへの悪影響、将来的に銀行口座を開くことができないというリスクにさらされる。また、彼らとその家族は、暴力で犯罪者に脅かされたり、マネー・ミュールとして活動し続けなければ、身体的に攻撃される可能性がある。さらに、これらの個人は拘禁刑、罰金または罰となる社会奉仕サービスを負うことなどに直面する。

 特に米国では、連邦法に基づく潜在的な責任を負うものとしては、1)郵便(Mail Fraud :18USC §1341 )、2)通信詐欺(Wire Fraud:18USC 1343 )、3) 銀行等金融機関向け詐欺(Bank Fraud:18USC 1344 ):筆者ブログ (筆者注5-3)参照、マネー・ロンダリング(Money Laundering:18 USC 1956 )、トランザクション・マネー・ロンダリング(Transactional Money Laundering:18 USC1957 )、無許可の金銭送信ビジネスの禁止(Prohibition of Unlicensed Money Transmitting:18USC 1960 )、および悪質なID盗用(Aggravated Identity Teft:18 USC 1028A )が含まれる。 これらの犯罪の有罪者には、最大100万ドルの罰金、最長30年の拘禁刑が科せられる(両者の併科もある)。

(注2) 最近時の国民生活センターからの警告ニュースでも、以下のように違法投資詐欺手口等の関連する警告が引用されている。

(注3) 証券詐欺罪(securities fraud)」といってもその構成要件の内容は複雑である。

株式や商品取引市場に関わる詐欺的または詐欺的な活動は、一般に証券詐欺として知られている。「証券」という用語には、投資家の収入に対する権利、議決権、その他の利益を表す幅広い金融商品が含まれる。株式、自己株式、債券、および債務証券(notes)は、膨大な数の有価証券のごく一部である。現金や有形資産とは異なり、証券には本質的な価値はない。それらの価値は、市況、発行者による表明、およびその他の外的要因に基づいている。

 他の詐欺行為と同様に、証券詐欺は通常、1つまたは複数のスキームを介して実行され、他の人に金銭などの価値のあるものを喜んで拠出する。ただし、一部の種類の証券詐欺には横領が含まれる場合があり、これは盗難犯罪である。連邦および州レベルの法令は、証券詐欺を禁止しているが、証券取引委員会(SEC)などの連邦政府機関は、申し立てられた犯罪の調査および起訴において重要な役割を果たしている。オンライン取引などの比較的新しい開発により、サイバー犯罪スキームが増加し、犯人容疑者を起訴するための振り込め詐欺法の使用が増加した。

【証券詐欺に係る連邦および州法】

アメリカ合衆国法典には、証券業界を規制する一連の複雑な法律がある。連邦法で定義されている証券詐欺行為には、以下の法令違反が含まれる。

    1933年証券法(The Securities Act of 1933)

    1934年証券取引法(The Securities Exchange Act of 1934)

    1939年信託証書法(The Trust Indenture Act of 1939)

    1940年投資会社法(The Investment Company Act of 1940)

   1940年投資顧問法(The Investment Advisers Act of 1940)

 連邦政府による証券および商品詐欺の犯罪は、商品、商品オプション、または証券に関連して、「スキームまたは策略(artifice)」を用いて個人を詐欺したり、不正にお金を取得したりすることを禁じている。

①法人証券詐欺(Corporate Securities Fraud): 場合によっては、企業全体が証券詐欺に従事している。例としては、2000年代初頭のエンロンスキャンダルや2007-08年のサブプライム住宅ローン危機などがある。上級幹部役員は、企業の構造を使用して詐欺的な計画を実行したり、株価を操作するために公的書類に企業に関する情報を偽ったり、差し控えたりする場合がある。また、企業はポンジ・スキームのような行動を通じて投資家を欺くこともある。

②個人証券詐欺:証券ブローカー、投資銀行家、アナリスト、トレーダーは、証券業界のいくつかの専門職を挙げれば、彼らの仕事を通じて得たアクセスとリソースで証券詐欺を犯す可能性がある。株価に影響を与えるためにインターネット上で虚偽または誤解を招く情報を広めることは、証券詐欺の一般的な形式である。証券詐欺のもう1つのよく知られた形式は、「インサイダー取引」である。これは、一般には入手できない情報を利用して株式市場で取引することを含む。

(注3-2) 2019-07-06 「FBIが紹介する Common Fraud Schemes 23の詐欺」は詐欺全般につき平易に解説している。

(注4)  プライム・バンク詐欺のしくみ:SECの” prime bank work”仮訳する。(Prime Bank Instrument Fraud 参照。

 プライム・バンク・プログラムは、投資家が共有する莫大な利益を生み出すために、投資家の資金が秘密の海外市場で「プライムバンク(prime bank)」の金融商品を購入および取引するために使用されると説明されることがよくある。ただし、実際はこれらの商品も、それら金融商品が取引されているとされる市場も存在しない。スキームに正当性を与えるために、詐欺師たるプロモーターは複雑で専門化した公的な文書を配布する。売り手は頻繁に潜在的な投資家に、そうでなければウォールストリート、またはロンドン、ジュネーブ、または他の世界の金融センターでトップレベルの投資家のために予約されるプログラムへの特別なアクセス権があることを伝える。また、投資家はリスクがほとんどなくても100%以上の利益が可能であると説明される。

 この見込み投資家たる被害者は、市町村、慈善団体、その他の非営利組織を含む個人および団体が対象となる。これらのスキームの推進者は、“USA Today”や“Wall Street Journal”などの全国紙に広告を掲載して、驚くべき大胆さを示した。これらのスキームの一部のプロモーターは、「プライム・バンクノート」という用語の使用を避け、彼らのプログラムが不正ではないことを実証するためにプライム・バンク商品を含まないことを見込み投資家に伝える。用語に関係なく、基本的な提案–プログラムには国際金融商品の取引が含まれる–点は同じであり、投資家はこのような詐欺に引き続き警戒する必要がある。

 国際的な詐欺師たちは、比較的短期間で非常に高い利回りをもたらすと思われる投資計画を発明する。このスキームでは、割引で購入し、プレミアムで販売できる「銀行保証」を利用できると主張する。「銀行保証」を数回再販することにより、彼らは投資に対して卓越した利益を生み出すことができると主張する。たとえば、1000万ドル相当の「銀行保証」を2回の利益で10回に分けて販売する場合、または「トランチ(tranches)」(注8)の場合、売り手は20%の利益を受け取れる。このようなスキームは、しばしば「ロール・プログラム(roll program)」と呼ばれる。

 スキームをより魅力的にするために、詐欺師はしばしば「保証」を世界の「プライム・バンク」によって発行されたものと呼び、したがって「プライム・バンク保証」という用語を使用する。 「プライム・バンク・ノート」や「プライム・バンク・ベンチャー」など、他の公的な用語も使用される。そのようなスキームに関連する法的文書では、被害者が機密保持および迂回回避契約を締結し、「1年1日」で投資収益を提供し、国際商工会議所(ICC)が必要とするフォームを使用することを要求することがよくある。実際、ICCはすべての潜在的な投資家に対して、そのような投資が存在しないという警告を発している。

(注5) Sarbanes-Oxley Act of 2002の概要を引用、仮訳する。

 「2002年サーバンズ・オクスリー法」は、企業による不正な財務報告から投資家を保護するために、その年の7月30日に米国議会が可決した法律である。また、「2002年SOX法」または「2002年企業責任法」とも呼ばれ、既存の証券規制に対する厳格な改革を義務付け、法律違反者に厳しい新たな罰則を科した。(同法の名称は法案上程者である上院Sen. Paul S. Sarbanes (D-Md.) と下院Rep. Michael G. Oxley (R-Ohio)をとったもの)

 2002年サーバンズ・オクスリー法は、エンロン・コーポレーション、タイコ・インターナショナルplc、WorldComなどの上場企業が関与した2000年代初頭の金融スキャンダルに対応して行われた。知名度の高いこれら詐欺は、企業の財務諸表の信頼性に対する投資家の信頼を揺るがし、多くの人が数十年前の規制基準の見直しを要求した。

 2002年のサーバンズ・オクスリー法に概説されている規則および執行方針は、1934年の証券取引法および証券取引委員会(SEC)によって施行されたその他の法律を含む、セキュリティ規制を扱う既存の法律を改正または補足した。この新しい法律は、4つの主要な分野で改革と追加を設定した。

① 企業責任の明確化

② 刑事処罰の強化

 ③ 会計規制の明確化

 ④ 新しい保護規定

 同法の規定で重要なものは、Section 302, Section 404, and Section 802である。(以下は略す)。

(注6) Enhanced Sentence Law and Legal Definition仮訳する。

 増強された量刑判決(enhanced sentence)は、通常、前の有罪判決または犯罪のある分類から別のより高いレベルの犯罪の分類に関わる状況の重大な性質によって増加した判決文を意味する。増強された量刑は州により異なる連邦法および州法に準拠する。

 この場合の"増強事実(enhanced facts)"とは、犯罪の有罪判決に科される可能性のある判決文を強化するために陪審員によって明らかとなる憲法上必要となる事実である。量刑ガイドラインは、特定の有罪判決に対するガイドラインに規定されている推定文を超える判決を裁判所が科すために頼る可能性のある事実を記述するために、「加重要因(aggravating factors)」という言葉を使用することができる。

(注7) ノースカロライナ州「高齢者司法支援イニシアティブ(NCW Elder Justice Initiative)」等の概要を仮訳する。

 米国ノースカロライナ州西部地区検事局は、高齢者ヘの保護者の放棄(neglect)、虐待、金銭的搾取と闘うことに力を注いでいる。このイニシアティブの一環として、事務局は以下の活動に積極的に取り組んでいる。

 つまり、高齢者を標的とする、または不釣り合いに影響を与える金融詐欺犯罪を調査して起訴する。

【NCWエルダー・ジャスティス・イニシアチブ(ノースカロライナ州 Elder Justice Initiative)の詳細】

①高齢者の虐待を特定して対応するために、法執行機関にトレーニングとリソースを提供する。

②高齢者の搾取と金融詐欺を特定して対応する方法について、米国の高齢者とヘルパー(caretakers)のための実践的なトレーニングセミナーを開催する。

③高齢者に著しく低水準のケアを提供する老人ホームやその他の施設を責任などを追求する。

④高齢者への虐待と戦うために、州や地方のパートナーとの調整を促進する。

我々の地区の公共サービスのお知らせは、https://youtu.be/qBGGAA7Mxboにある。

連邦司法省の高齢者司法支援構想の詳細については、elderjustice.govを参照されたい。そこには、検察官向けトレーニング・リソース(PROSECUTOR TRAINING & RESOURCES)学際的チーム・ツールキット(MDT Guide and Toolkit)、およびアウトリーチ・リソースの解説がある。

(注8) traunches:証券化商品を、リスクレベルや利回りなどの条件で区分したもの。特定の条件により区分することをトランチング(tranching)といい、区分された各部分をトランシェ(tranches)という。社債の場合であれば、優先出資証券、劣後債あるいは中間のメザニン債といったものに分割され、それぞれ投資家に販売される。

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【DONATE(ご寄付)のお願い】

本ブログの継続維持のため読者各位のご協力をお願いいたします。特に寄付いただいた方で希望される方があれば、今後公開する筆者のメールアドレス宛にご連絡いただければ個別に対応することも検討中でございます。 

◆みずほ銀行 船橋支店(店番号 282)

◆普通預金 1631308

◆アシダ マサル 

【本ブログのブログとしての特性】

1.100%源データに基づく翻訳と内容に即した権威にこだわらない正確な訳語づくり

2.本ブログで取り下げてきたテーマ、内容はすべて電子書籍も含め公表時から即内容の陳腐化が始まるものである。筆者は本ブログの閲覧されるテーマを毎日フォローしているが、10年以上前のブログの閲覧も毎日発生している。

このため、その内容のチェックを含め完全なリンクのチェック、確保に努めてきた。

3.上記2.のメンテナンス作業につき従来から約4人態勢で当たってきた。すなわち、海外の主要メディア、主要大学(ロースクールを含む)および関係機関、シンクタンク、主要国の国家機関(連邦、州など)、EU機関や加盟国の国家機関、情報保護監督機関、消費者保護機関、大手ローファーム、サイバーセキュリテイ機関、人権擁護団体等を毎日仕分け後、翻訳分担などを行い、最終的にアップ時に責任者が最終チェックする作業過程を毎日行ってきた。

 このような経験を踏まえデータの入手日から最短で1~2日以内にアップすることが可能となった。

 なお、海外のメディアを読まれている読者は気がつかれていると思うが、特に米国メディアは大多数が有料読者以外に情報を出さず、それに依存するわが国メデイアの情報の内容の薄さが気になる。

 本ブログは、上記のように公的機関等から直接受信による取材解析・補足作業リンク・翻訳作業ブログの公開(著作権問題もクリアー)が行える「わが国の唯一の海外情報専門ブログ」を目指す。

4.他にない本ブログの特性:すべて直接、登録先機関などからデータを受信し、その解析を踏まえ掲載の採否などを行ってきた。また法令などの引用にあたっては必ずリンクを張るなど精度の高い正確な内容の確保に努めた。

その結果として、閲覧者は海外に勤務したり居住する日本人からも期待されており、一方、これらのブログの内容につき著作権等の観点から注文が付いたことは約15年間の経験から見て皆無であった。この点は今後とも継続させたい。

他方、源データの文法ミス、ミススペリングなどを指摘して感謝されることも多々あった。

5.内外の読者数、閲覧画面数の急増に伴うブログ数の拡大を図りたい。特に寄付いただいた方で希望される方があれば今後公開する筆者のメールアドレス宛にご連絡いただければ個別に対応することも検討中である。

【有料会員制の検討】

関係者のアドバイスも受け会員制の比較検討を行っている。移行後はこれまでの全データを移管する予定であるが、まとまるまでは読者の支援に期待したい。

                                                                                               Financial and Social System of Information Security    代表           

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