税理士 堀江の五反田日記

~あなたの会社のホームドクター、きままな日常を記録します。~

人材

2008-08-19 10:21:32 | Weblog
会計事務所に勤務していたころ、採用を担当したことがあります。
条件は、9-17時勤務で残業なし。主な仕事は伝票作成や会計ソフト入力、
宛名書き等の雑務。これらは本来派遣やパートがやる仕事ですが、
その会計事務所では社員として雇用していました。

待遇は社会保険加入で、賞与は年2回支給。
給与は安いですが、定時に帰れるのが魅力のためか、
派遣経験者を中心に30名近い応募があり、女性を2名採用しました。

3か月の試用期間が終わった後、彼女たちと今後についての面談をした際、
いまは単純な仕事が多いけど、簿記の資格をとるなど自分のステップ
アップに積極的に取り組んでほしい旨の話をしたところ、
そのうちの一人に「私は社会保険に加入できて定時に帰宅できる環境で
十分であり、勉強するつもりはない。」とはっきり言われました。

当時の事務所のスタイルが関与先へ資料を取りに行き、
試算表を作成して終わりという方法だったので、
少しでも付加価値をつけるにはどうしたら良いか考えていた私は、
彼女の言葉にしばらく理解できませんでした。
またいま思うと、かなりなめられていました。

小さな会社は、明日存続しているかもわかりません。
大口の入金がなくなればあっという間にENDです。
そのような不安定な環境で働くわけなので、常に自分に投資をし、
たとえ今の会社がどうなろうと、自分は社会で生き抜くだけの術を
身につけるぐらいの気概は必要と考えます。

ただ彼女たちからすれば、社会保険に入れて賞与も貰える環境に
就職できたことがすでにゴールなのです。
彼女たちの友人は30近くになっても、いまだアルバイトや契約社員として
働いている人が多く、その人たちと比べればある意味”勝ち組”なのです。

そこには不安定だからこそ、自分を磨いてより付加価値を高めるという発想は
最初からありません。またそのような考え方をもつ人は、おそらく
”とらばーゆ”を読んで就職活動はしないでしょう。

先日、自分の父親ぐらいの年齢の経営者とそんな話をしました。
社長は世代の差以上に、考え方や仕事に関する哲学が違いすぎるとも、
おっしゃいました。私は文法が違うのでどうしようもないと思います。

周囲を見回しても、意欲のある人とそうでない人との差がどんどん開いています。
長い目でみれば、所得の格差につながることは間違いありません。

気づいた時はすでに手遅れです。