089:テスト（ほたる）

心理テストで暴かれていく領域が深く静かに覚醒をして

088:編（ほたる）

二枚目の扉が開く真夜中の編集画面にログインをして

087:気分（ほたる）

青い鳥を手の中に飼うささやかな祈りのような気分の朝は

086:符（ほたる）

感情をいくつも押し殺して送る感嘆符のない静かなメール

085:クリスマス（ほたる）

ポインセチアが赤すぎるせいクリスマスソングがうまく歌えないのは

084:河（ほたる）

泥の河を裸足で渉る窮屈な靴はきちんと岸に揃えて

083:憂鬱（ほたる）

口紅の輪郭暈ける月曜の朝の鏡に潜む憂鬱

082:源（ほたる）

泣き声の音源オフにできるのは頭を撫でる厚いテノヒラ

081:早（ほたる）

早すぎる後悔抱え空っぽのペットボトルをいくつも潰す

080:午後（ほたる）

溶けきった氷で二層になっている午後のカルピス薄まる母性

079:恥（ほたる）

恥ずかしい過去だけ舐める動物をペットショップで買い与えられ

078:アンコール（ほたる）

アンコールアワーで流すドラマより再生したい過去のいくつか

077:屑（ほたる）

アスファルトに貼りつく花屑ももいろで踏まれても春、踏まれても春

076:住（ほたる）

絵に描いた未来予想図塗りこめる住宅展示場に降る雨

075:おまけ（ほたる）

Re:だけで続くメールに添えられたおまけのような絵文字が笑う