ヘチマカス

「泣いてみようとしたが泣けなかった…」「笑ってみようとしたが笑えなかった…」そんな心の不感症カモンが送る無意欲文章群。

ジジにたかったババばかり

2006-05-19 | Weblog

それにしても、なんで病院ってあんなに混むんだろうね。



今日病院に行ってきた。
ふつうのちょっと大きな老人病院。


なのに10時に着いて、診察されたのが13時。

大袈裟じゃなく、その待ち時間、ざっくり3時間。で、診察はぽっきり5分。


どうにかならないかなー、ほんとに。


「ジンバブエまで飛行機で3時間!!」っていうなら、あっという間だけどね、
「ジジババの病院で3時間!!」、待つのは、あっという間じゃない。


苦痛。くつう。



いい眺めの景色が広がってるわけでもない、
特別空気がうまいわけでもない、
とろけるようなカルビが出てくるわけでもない、

至ってふつうの、そこそこ大きな老人病院で3時間、待ちつくす。

見渡せば、ジジババばっか。


ジジババの人だかり、ジジにたかったババばかり。。


今日はジジババのお祭りでもあんのか、ってくらいほんとにすごいんだ。

ジジババで代表決めて、病院対抗のゲートボール大会でもすんのかなってくらい、

ゲームが終わったら互いの検討を称え合って入れ歯の交換でもすんのかなって、
もっと白熱した試合のあとには、ペースメーカーも交換しちゃったりして、って、

そのくらいジジババばっか集まって、この病院には何かあるって空気。



ちなみに1年くらい前、この病院で同じように待ってると、中年の男が、

かなり長い時間の待ち時間に、苛立ち隠せず、病院の受付に怒鳴ってた。


「おれはいいよ!おれは、いいんだよ!

けどな、こんなジジイとババアこんな待たせやがって!

待ってるあいだにくたばったらどうすんだよ!待ってるうちに寿命来ちまうよ!!」って。


ジジババ、死んだように、固まってました。

 





 


英雄記

2006-05-19 | Weblog

今日は朝から少し熱ぽいので、病院に行って来た。

午前中の病院の待合室はジジババばかりだ。
そこにあるベンチ型のイスの一番端にスペースをみつけて
腰掛けてると

おれの横に黒いナイロンのジャンパーを着た男がスウっと現れ
いきなり首を羽交い絞めにして、包丁を突きつけ
「金を出せ!!」と捲くしたてた。

その声は待合室中に響き渡り、
150はいる人の数の叫びも同時にこだました。

待合室はこの一瞬にしてパニック。

おれは包丁を持つ男の手首をピントを合わせるように下目で見つめ
正直、なぜおれなんだ・・・と思った。

もっと力の弱い人質候補はいくらでもいたはずだし、
ナース、ジジババ、車椅子の少女
男にとって、そっちのほうが有利なはずだ。

なのに、



なぜおれなんだ・・・


そういえば、男は顔を特に隠そうとはしていない。
ふつう金銭目当てなら顔を覆うだろうし、何よりも病院じゃなくたっていいはずだ。

銀行や信用金庫、郵便局のほうがお金ならあるだろうし
目撃者だって少なくて済む。

とすると
これは金よりも、病院に恨みのある者の犯行?

顔を隠さないのは自分という存在を病院に気づいてほしいから?

自分の主張を病院に受け入れてほしい男の突発的犯行?

だから、その瞬間一番近くにいたおれを人質にした、
そうすればすべて、つじつまが合う。

あれ?
なんか生臭い。

この男の凶器、ずっと包丁だと思っていたけど、よく見るとサバじゃないか

しかも男の手のほうが、おれよりもずうっと震えている。
脂汗だって、毛穴から粒ごと出てるのが見える。

やはりそうか

自分の主張が病院に受け入れてもらえなくて、逆恨みした気の弱い魚屋の犯行だな

だとしたら、抵抗するなら今!

犯行に踏み切ったばかりの今なら、この男にまだ迷いがある!!

そう思ったおれはサバを握る男の手首を掴みにかかると、そのままひねり、
柔道五段の腕前で男を投げ飛ばした

テェェイッ!!

これで、ひとまず、オオトリモノの完成。

明日の朝刊の見出しは
『天才イラストレーター凶悪強盗犯を天才的撃退!!@』

こんな感じかなと、
意味はないけど、後ろにアットマークついてるのも、いいかなと、

こんな英雄記を
病院の待合室でのあまりにも長い放置時間
ずっと考えてました。