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「みんなの年金」公的年金と企業年金の総合年金カウンセリング!                 

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厚生年金基金資産運用

2013年04月09日 | 厚生年金基金
厚生年金基金の資産運用に取り組むことになった昭和50年(1975)当時、中学野球・電気科・哲学科出身の当方(35才)にとって、資産運用は全くの別世界でありました。
年金資産が積み上がりつつあるなかで、効率的な資産運用で収益を出さなければならない事情が高まりましたが、あいにく日本にも企業にも資産運用のノウハウはありませんでした。
そこで、ド素人が以下のような試行錯誤の切磋琢磨に取りかかりました。

金融本読書報告(140回)
系列・お任せ運用からの脱却
戦略アセツト・ミックスの構築
外資系運用機関の採用
資産運用機関の勝手格付け
資産運用委員会の運営
資産運用基本方針の策定
欧州資産運用状況調査旅行等


厚生年金基金資産運用





資産運用機関の勝手格付け

2013年04月06日 | 厚生年金基金
この対策として、我々の基金では、英国の資産運用経験と米国の金融理論の成果をミックスした「資産運用総合評価表」(添付事例の様式第1号を参照)を使って、母体企業等の理解を促進し運用機関の選択・解約を実行しています。「英国の資産運用経験」というのは、定性・定量評価に際して定性評価のウェイトを80%にしたこと、「米国の金融理論の成果」というのは格付けの手法を利用すること、これら2つを組み合わせて基金が<運用機関の勝手格付け>を行なうところがコロンブスの卵となっています。


資産運用機関の勝手格付け


「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 終了

2013年03月19日 | 厚生年金基金

「人様のお金」OPM(A4・224頁)の連載が昨日で終了いたしました。

1.延訪問者 2489名 閲覧 5035
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 kobo  準備中・年金カウンセラーで検索


ご高覧ありがとうございました。




「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 18

2013年03月18日 | 厚生年金基金
15.通知・統計・名簿類
厚生省通知(制度発足から平成12年度)
厚生年金基金連合会『厚生年金保険法令集』と通知編
厚生省年金局数理課監修『目でみる年金』 社会保険研究所 各年度版
厚生年金基金連合会『企業年金に関する基礎資料』各年度版
ライフデザイン研究所『企業年金白書』各年度版
厚生年金基金連合会『厚生年金基金役職員名簿』各年版
(財)日本證券投資顧問業協会『投資顧問会社要覧』各年版
(財)日本證券投資顧問業協会:業務活性化懇話会『投資顧問業の展望』―専門型経営による新しい展開 1999年
国勢社編『日本国勢図会』
厚生省年金局監修『平成9年度版年金白書』 社会保険研究所 平成10年
厚生省年金局監修『平成11年度版年金白書』 社会保険研究所 平成11年
住友生命保険相互会社編『年金運用用語集』
館龍一郎編『金融辞典』 東洋経済新報社 1994年

16.その他
岡田哲也(シップ・ブローカー)『住んでみたギリシャ』 サイマル出版会
川島重成『ギリシャ旅行案内』 岩波書店 同時代ライブラリー 1995年
坂斎まち子『エーゲ海岸の町に暮らして』 じゃこめてぃ出版 1982年
楠見千鶴子『ギリシャ神話の女たち』 筑摩書房 1984年
布井敬次郎『海外で暮らす』 ビジネス社 平成10年
グローバル・リンクス・ネット編『海の向こうで暮らす―海外移住の完全データ・ファイル』 ㈱コスモの本 1996年
野地一尾『スペイン便り―海外移住の手続きと暮らし』 地中海書房 1998年 限定8部手造本
中村ブン『風の中の天使たち―ボクらの甲子園』東京新聞出版局 平成7年
上田正三『シルバーエイジの反乱』 集英社 1993年
佐々淳行『平時の指揮官 有事の指揮官』 クレスト社 平成7年
野口悠紀雄『「超」整理法―情報検索と発送の新システム』 中公新書 1995年
諏訪邦夫『パソコンをどう使うか―活字から電子メディアヘ』同上 1995年
新村鋭男『パソコンLAN入門』 東洋経済新報社 1996年
村上和雄『生命の暗号―あなたの遺伝子が目覚めるとき』 サンマーク出版 1997年
アリアドネ編『思考のためのインターネット』―厳選サイト800 ちくま新書 1999年
杉山勝行『インターネットで稼ぐ!』―極めつけ10社.成功の法則 祥伝社文庫 平成11年


・ 年金関係インターネツト・サイト

(省略)




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人様のお金 -厚生生年金基金は何になるのか?

                              
高野 義博


平成8年6月5日起稿
平成12年8月29日脱稿

A4・横書き・223ぺ-ジ・218,853文字

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「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 17

2013年03月17日 | 厚生年金基金
7.確定拠出年金制度
経団連「確定拠出型企業年金制度の導入を求める」 1998年9月17日
自民党・私的年金等に関する小委員会「確定拠出型年金制度の導入について」 1998年12月2日
浦田春河『401(k)プラン』―アメリカの確定拠出年金のすべて 東洋経済新報社 1998年
越中秀史「企業年金「混合型」へ転換 加速」 日本経済新聞 1999年5月25日
政府・自民党「確定拠出型年金」(日本版401Kプラン)制度案 読売新聞・国際版 1999年6月8日
朝日新聞:脱不安の経済学(「日本版401k」だれのため) 1999年7月17日
政府・自民党「確定拠出型年金 概要固まる」 日本経済新聞 1999年7月28日
(株) 企業年金研究所「米国401K視察ツアー資料」 1999年6月6日~13日
"THE 401(k)Millionaire", K.IWASZKO・B.O'CONNELE, Villard Books, RANDOM
    HOUSE, New York 1999
"THE Millionaire KIT" S.L.NELSON, TIMES BUSINESS, RANDOM HOUSE, New
    York 1998
"401(k) Take Charge of Your Future" E.Schurenberg, WANER
    BOOKS, New York 1996
"IRAs,401(k)s & Other Retirement Plans Taking Your Money Out", Twail
    a Slensnick & attomey John C. Suttele, NOLO PRESS, BERKELEY 1999
"How to BUILD WEALTH with Your 401(k)" S.Merritt, Hal
    yard Press, Melbourne, Florida 1995
"Unofficial Guide to Investing in Mutual Funds" S. Zoe Berg, Mac
    millan, New York 1999
"CREATING RETIREMENT INCOME" V.B.MORRIS, LIGHTBULB PRESS, New
    York 1998
"CHARLES SCHWAB'S GUIDE TO FINANCIAL INDEPENDENCE" C. SCHW
    AB, THREE RIVERS PRESS, NEW YORK, 1998
"Scudder University Curriculum for Employees" Scudder Investor Se
    rvices, inc., New York 1998
"FOCUS ON THE Savings Plan" Johnson & Johnson September 1995
"RETIREMENT INCOME BENEFITS" ーSAVINGS PLAN PENTION PLAN, Johnsn
    & Johnson
"Fidelity Retirement Services Overview" Fidelity
    Investments, June 9, 1999 Presentation配布資料
"ASSET ALLOCATION:Helping Savers Invest for Retiremet"
    Fidelity Investments, June 9, 1999 Presentation配布資料
"Welcome to Sony Benefits Rewards & Recognition" 1999
"Speech Works Telephone Demonstrations" Atlantic
Financial, Wellesley MA
"HewlettーPackard Company Retirement Program” Japan 401(k) Plan Study
Mission, June 10, 1999
“Welcome to APL" APL Limited 新入社員用福利厚生説明パンフレット
“REVIEWING YOUR PLAN APL Limited SMART Plan" Fidelity Investments
Institutional Services Company, Ink. APL社員向けフィデリティのプラン説明書
“BENEFITS HANDBOOK 2" APL Conpanies, LTD. 1994
“USA TODAYーMONEY” MONDAY, JUNE 7,1999 & THESDAY, JUNE 8, & WEDNESDAY,
JUNE 9, & FRI/SAT/SUN., 11―13,
"San Ffrancisco Chronicle” SATURDAY, JUNE 12, 1999
村田純一「日本版401(k)プラン構築に向けて」 http://www.nenkin.co.jp『負け ない年金』
1999年6月17日 年金経営問題研究会提出レポート
高野義博「401(k)の百聞は一見にしかず」 30部限定私家版 平成11年7月18日
富士総合研究所企業年金コンサルティング室編『確定拠出型年金導入ハンドブック』 日本法令 平成12年(著者鈴木成昌氏贈呈本)

8.金融ノウハウ
寺田 徳『企業年金の資産運用』 厚生年金基金連合会
寺田 徳『債券投資の実務』 厚生年金基金連合会
トレイン『ファンド・マネージャー』
トレイン『新ファンド・マネージャー』
安田信託銀行編『ザ・ポートフォリオ・マネージメント』
山田正次『年金基金のための資産運用入門』 東洋経済新報社 1992年
大竹慎一『ウォール街の常識 兜町の非常識』 ダイヤモンド社 1996年
大竹慎一『ウォール街から東京市場を読む』 ダイヤモンド社 1991年
ホロウェイ/ゼレンスキー『日本金融制度の罪と罰』 TBSブリタニカ 1992
P.リンチ『株で勝つ』 ダイヤモンド社 1990年
P.リンチ『株式投資の法則』 ダイヤモンド社 1994年
ビァーズタウン・レディーズ投資クラブ編『おばぁちゃんたちの株式投資大作戦』 NK社 1995年
小川秀一郎『ファンド・マネージャーの投資戦略』 東洋経済新報社 1991年
玉手義朗『円相場の内幕』 集英社 1995年
R.スレイター『ソロス―世界経済を動かす謎の投機家』 三上義一訳 早川書房 1995年
R.バクストロームJr『株で富を築く―バフェットの法則』 三原/土屋訳 ダイヤモンド社
1995年
安田二郎『国際マネーハンター』
安田二郎『兜町最前線』
モリス『世界同時好況が来る』
メイヤー『大暴落』
C.ウッド『マネービジネス』 藤本直訳 朝日新聞社 1990年
安田信託銀行編「今、年金資産の運用は信託なのか生保なのか?」
ウォーバーグ投資顧問株式会社編「円ベース資金の為の国際分散債券投資のご案内」
證券広報センター『初心者のための株式入門』 1992年
日本公社債研究所『会社概要とサービスのご案内』
フランク・ラッセル・ジャパン㈱『パフォーマンス測定及び要因分析』
阿部哲雄『金融新時代の読み方ー自由化・国際化の金融経済学』 ㈱ぎょうせい 昭和60年
マッキンゼー金融グループ『銀行の戦略革新―強い銀行はこうしてつくる』 東洋経済新報社
大前研一、丸山嘉浩『證券・金融市場改革―東京市場が世界の仲間入りをするために』 プレジデント社 1991年
安田隆二、川本裕子『崩壊は防げるか―日本金融再生への提言』 東洋経済新報社
大前研一/丸山嘉浩『證券・金融市場改革』 プレジデント社
マッキンゼー金融グループ編『銀行の戦略革新』 東洋経済新報社
加藤仁『円の戦士』 講談社 1989年
D.バーンスタイン『YEN!―円がドルを支配する日』 草思社 1989年
A.アベール他『株価崩壊―ブラック・マンデーは再来するか』 講談社 昭和60年
岡田晃吉『證券業25時間―先端證券業務とその変貌』 ダイヤモンド社 1989年
岡田晃吉『株式沈没』 ダイヤモンド社 1995年
三井銀行能力開発室編『円は世界の回りもの―ビジネスマンのための国際金融入門』 ごま書房 昭和61年
田中泰 『マーケットはなぜ間違えるのか』
倉都康行『カオスで挑む金融市場』 講談社ブルーバックス 1996年
風間浩『兜町のカラクリ』 三一書房 1994年
朝日新聞経済部編『セイホ―世界経済を動かす巨大マネー』 朝日新聞社
小林信彦『外貨預金・外債投資の損得勘定』 エール出版 1996年
佐高信『住専問題の本質』 岩波ブックレット 1996年
山田厚史『銀行はどうなる』 岩波ブックレット 1993年
日本経済新聞社編『宴の悪魔』 日本経済新聞社 1991年
C.ウッド『マネービジネス』 朝日新聞社 1990年
林敏彦『大恐慌のアメリカ』 岩波新書 1992年
浅井隆『大不況サバイバル読本』 徳間書店 1993年
NHK企業社会プロジェクト編『金融・證券スキャンダル』 日本放送出版協会
堀内俊洋『世界経済をどう変えるか』 TBSブリタニカ
日本経済新聞社編『株は死んだか』 日本経済新聞社 1991年
P.アードマン『ゼロクーポンを買い戻せ』 森英明訳 新潮文庫 1994年
P.アードマン『無法投棄』 森英明訳 新潮文庫 平成11年
M.リドバス『架空取引』 染田屋茂訳 NHK出版 1995年
寺沢芳男『ウォール・ストリート日記』 主婦の友社 昭和62年
菅下清廣/清水正明『ザ・ファイナンシャル・ウォー』欧文社 1985年
三輪芳朗『四酔人株価問答―日本の株価の決まり方』 有斐閣 1991年
和気義一『銀行マンの掟』 三笠書房 1994年
竜門冬二『江戸のリストラ仕掛け人』 集英社文庫 1993年
浅井隆・戦略経済研究所『円高災害・株安パニック』 総合法令出版 1995年
水沢渓/立山学『野村證券スキャンダルの検証』 建友館 1991年
財部誠一『銀行の支店長はいま・・・』 日本実業出版社 1991年
山本雄二郎『銀行がふつうの会社になる日』 TBSブリタニカ 1991年
山田智彦『東京・マネーマーケット』 文春文庫 1995年
島野清志『コルサルタント会社の裏事情』 エール出版社 1995年
A.クレイグ.カピタス『メタルトレーダー』 飯島宏訳 新潮文庫 昭和63年
新保恵志『デリバティブ』―リスクヘッジが生み出すリスク 中公新書 1996年
多胡秀人 金融派生商品市場から見る『新しい金利の読み方』 金融財政事情研究会 1994年
太田晴雄『預金封鎖』―歴史は繰り返す財産没収のサイクル オーエス出版社 1998年
R.M.ナッシュ『日本人のためのオフショア金融センターの知識』―新・国際資産運用の衝撃 1997年 ダイヤモンド社
岡本栄司・満保雅浩『電子マネー』 岩波科学ライブラリー 1997年
沢井智裕『トリプルA資産運用法』―誰も教えてくれなかった優良海外ファンドのしくみ オーエス出版社 1998年
堀内昭利『市場の神々』―為替ディーラーの光と陰 ゼネックス 1997年
咲村昇『オレが外資系を辞めた理由』 あっぷる出版社 1998年
本田敬吉『これならわかる為替』 有斐閣 1996年
J.D.シュワッガー『マーケットの魔術師』 日興証券開発運用部訳 日本経済新聞社 1999年
J.D.シュワッガー『新マーケットの魔術師』 清水昭男訳 同友館 1999年
R.クー『金融危機からの脱出』ー沈みゆく日本経済をどう救うか PHP研究所 1998年
松村謙三『円資産消滅』 第二海援隊 1998年
有澤沙徒志『日本人はウォール街の狼たちに学べ』 中経出版 1998年
山崎俊太郎『銀行が沈む日』―私が東京三菱銀行を辞める理由 とりい書房 1998年
M.ルイス『ライアーズ・ポーカー』―ウォール街は巨大な幼稚園 東江一紀訳 角川書店 1990年
D.レビン/W.ホファー『インサイドアウト』―ウォール街証券マンの栄光と転落 三原敦雄監修 高梨昌彦/中川保典訳 KDDクリエィテブ 1992年
F.パートノイ『大破局(フィアスコ)』―デリバティブという「怪物」にカモられる日本 森下賢一訳 徳間書店 1998年
D.B.ヘンリーケス『フィデリティ』―市場最強の投信王国 井手正介・鶴田知佳子 日本経済新聞社 1998年
大小原公隆『裏切り』―野村証券 読売新聞社 1999年
大小原公隆『野村告発者』―ガリバーを震憾させた男、ひとりぼっちの戦い 構成板垣英憲 KKベストセラーズ 1999年
P.スタイルズ『さよならメリルリンチ』 村上雅夫・佐々木かをり訳 日経BP社 1999年
末永徹『メイク★マネー!』―私は米国投資銀行のトレーダーだった 文藝春秋社 1999年
C.P.キンドルバーガー『金融恐慌は再来するか』―くり返す崩壊の歴史 日本経済新聞社 昭和55年
高野孟『世界地図の読み方』 講談社現代新書 1999年
藤野英人『トップファンドマネジャーの明快投資戦略』 ビジネス社 1999年
大崎貞和『インターネット証券取引の真実』 日本短波放送 1999年
J.B.スチュアート『ウォール街 悪の巣窟』 小木曽昭元訳 ダイヤモンド社 1992年
D.A.バイス/S.コル『ウォール街から来た男』 鈴木主税訳 日本経済新聞社 1992年
R.トムソン『デリバティブの非情な世界』 前田俊一訳 TBSブリタニカ 1999年
水野隆徳『ナスダックの脅威』―ここまできたネット資本主義 PHP 2000年
Deutsche Bank "The capital guide to Alternative investment" ISIpublications 2000Editin
WILLIAM SHARPE "Portfolio Theory & Capital Markets" THE ORIGINAL EDITION McGrawーHill
寺澤芳男『ウォール・ストリートの風』 ネスコ 1988年
Deutsche Bank 編 『The capital guide Alternative Investment』 ISI 2000年

9.経営
自由企業研究会『新しい資本主義』 PHP出版 1993年
R.フォスター『イノベーション』―限界突破の経営戦略 大前研一訳 TBSブリタニカ 1987年
P.F.ドラッカー『見えざる革命―来たるべき高齢化社会の衝撃』 佐々木実智男/上田惇生訳 ダイヤモンド社 昭和51年
P.F.ドラッカー『イノベーションと企業家精神』
P.F.ドラッカー『非営利組織の経営―原理と実践』 上田惇生/田代正美訳 ダイヤモンド社 1991年
ジョエル.バーカー『バラダイムの魔力』仁平和夫訳 日経BP出版センター 1995年
八城政基『よみがえれ!日本企業ーグローバル・スタンダードへの転換』 日本経済新聞社 1997年
J.L.ケーシー『金融・證券ビジネスの倫理』 奥村有敬訳 日経BP社 1990年
R・ロウリー『グッド・マネー―資本主義は倫理的でありうるか』 昌文社 1992年
ナヤック/ケタリンガム『ブレイクスルー―事業飛躍の突破口』 山下義通訳 ダイヤモンド社 昭和62年
G.ナドラー『ブレイクスルー―ニュー・パラダイムを創造する7原則』 日比野・佐々木訳 ダイヤモンド社 1994年
日本ビクター<高野さんを偲ぶ本>製作委員会編『夢中で……―ミスターVHS高野鎮雄さんを偲ぶ』 日本ビクター㈱ 1994年
産業能率大学編『経営戦略』全6巻(通信教育教材)
宮崎義一『世界経済をどう見るか』 岩波新書 1992年
神埼倫一他『證券改革―市場再生をどう進めるか』 東洋経済新報社 1991年
堀内俊洋『世界経済をどう変えるか―日本の国際金融戦略』 TBSブリタニカ 1988年
W.スマイサー『入門現代ドイツ経済』 寺尾正敬訳 日本経済新聞社 1992年
サンプソン『銀行と世界危機』 田中融二訳 TBSブリタニカ 1982年
M.モフィット『ワールズ・マネー』 青島祥大他訳 河出書房新社 昭和60年
松本道弘『メリルリンチVS.野村證券―火を噴く世界金融戦争の最前線を行く』 ダイヤモンド社 昭和61年
朝日新聞経済部『Tokyo Money―金融戦線異常あり』 朝日新聞社 1988年
及野正男『国際マネー戦争―金融危機は来るか』 講談社現代新書 1991年
奥村宏『無責任経営「銀行の罪」』 講談社 1996年
向寿一『国家破産―累積債務とマネー循環』 講談社現代新書 1990年
H.マウハー『グローバル経営成功の否決』 小泉摩耶訳 日本経済新聞社 1995年
P.タスカ『日本の時代は終わったか』 講談社 1992年
P.タスカ『日本は甦るか』 講談社 1994年
P.タスカ『不機嫌な時代』 講談社 1997年
I.ツェリシェフ『系列国家 日本の逆襲』光文社 1993年
日経ビジネス編『1ドル80円工場』 日本経済新聞社 1995年
城山三郎『もう、君には頼まない―石坂泰三の世界』 毎日新聞社
城山三郎『百戦百勝―働き一両・考え五両』 角川文庫 昭和54年
邱永漢『香港の挑戦―日本経済人への警告』 実業之日本社 1981年
邱永漢『海の向こうが面白い』 中央公論社 1990年
猪口孝『世界変動の見方』 ちくま新書 1994年
天名茂『合理を越える経営』 ダイヤモンド社 1995年
ドン.タプスコット『デジタル・エコノミー』―ネットワーク化された新しい経済の幕開け 野村総合研究所訳 野村総合研究所リソース部 1996年
久米均『品質による経営』 日科技連出版社 1996年
川本隆『現代倫理学の冒険』―社会理論のネットワーキングへ 創文社 1995年
T.E.ディール、A.A.ケネディ『シンボリック・マネジャー』 城山三郎訳 岩波書店 同時代ライブラリー 1997年
R.B.タッカー『価値革命への挑戦』―価値イノベーターのマーケティング戦略 井関利明・諏訪晴美訳 TBSブリタニカ 1997年
R.B.タッカー『超躍進10の決め手』 牧野昇監訳 諏訪晴美訳 学習研究社 1994年
西部邁・栗本慎一郎『立ち腐れる日本』―その病毒は、どこから来たのか 光文社 1991年
多胡秀人・山口健一郎・松尾順介・大久保勉『グローバル・スタンダード』―金融ビッグ・バンが求める「意識改革」 金融財政事情研究会 1997年
菊地悠二『ビッグ・バン成功への条件』―量から質への意識改革 中公新書 1997年
菊地秀英『銀行ビッグ・バンン』―21世紀・日本の銀行像 東洋経済新報社 1997年
土屋守章『ハーバード・ビジネス・スクールにて』 中公新書 1974年
和田充夫『MBA』―アメリカのビジネス・エリート 講談社現代新書 1991年
伊藤元重『市場の法則』 講談社 1998年
藤井清孝「シリコンバレーに見る日本産業復活の鍵」 ユナイテッド航空日本語版機内誌ライジングスター 1999年6月号
R.ハイルブローナー『二十一世紀の資本主義』 中村達也・吉田利子訳 ダイヤモンド社 1994年
R.オーブレー・P.M.コーヘン『「考える組織」の経営戦略』―次なる繁栄への企業創造 小林薫訳 PHP研究所 1996年
T.モリス『アリストテレスがGMを経営したら』―新しいビジネス・マインドの探求 沢崎冬日訳 ダイヤモンド社 1998年
福地崇生『超天井への挑戦』―日本経済新たな目標 中公新書 1995年
吉田和男『日本型経営システムの功罪』 東洋経済新報社 1993年
日比野省三『突破の科学』―「ブレイクスルー」を使いこなす 同朋社 1997年
G.ナドラー/日比野省三『ブレイクスルー思考』―ニュー・パラダイムを創造する7原則 佐々木元訳 ダイヤモンド社 1994年
井手正介『日本の企業金融システムと国際競争』―日本型資本主義対アメリカ型資本主義 1999年
井手正介・高橋文郎『株主価値創造革命』―日本企業再生のキーポイント 東洋経済新報社 1998年
T.j.ピーターズ・R.H.ウォータマン Jr.『エクセレント・カンパニー』―超優良企業の条件 大前研一訳 講談社文庫上下 1986年
堀紘一監修ボストン・コンサルティング・グループ著『ケイパビリティ・マネジメント』―競争に勝つ組織能力 プレジデント社 1994年

10.政治・経済・社会学
W.C.ビブン『誰がケインズを殺したか』―物語・経済学 斎藤清一郎訳 日本経済新聞社 1990年
吉田和男『冷戦後の世界政治経済』―覇権システムから多極的協調システムへ 有斐閣 1992年
上志田征一『レーガノミックス』―供給経済学の実験 中公新書 昭和61年
小島明『グローバリゼーション』―世界経済の統合と協調 1990年
水田洋・杉山忠平編『アダム・スミスを語る』 ミネルヴァ書房 1993年
杉原四郎『J.S.ミルと現代』 岩波新書 1994年
高島善哉『アダム・スミス』 岩波新書 1968年
伊東光晴『ケインズ』―新しい経済学の誕生 岩波新書 1962年
伊東光晴・根井雄弘『シュンペーター』―孤高の経済学者 岩波新書 1993年
J.B.ビュアリ『思想の自由の歴史』 森島恒雄訳 岩波新書 昭和25年
宇沢弘文『経済学の考え方』 岩波新書 1989年
大塚久雄『社会科学の方法』―ウェーバーとマルクス 岩波新書 1989年
内田義彦『資本論の世界』 岩波新書 1966年
内田義彦『社会認識の歩み』 岩波新書 1971年
アダム・スミス『諸国民の富』 大内兵衛・松川七郎訳 岩波文庫全5冊 1960年
リカアドオ『経済学及び課税の原理』 小泉信三訳 岩波文庫全2冊 昭和27年
J.S.ミル『経済学原理』 末永茂喜訳 岩波文庫全5冊 昭和38年
J.S.ミル『ミル自伝』 朱牟田夏雄訳 岩波文庫 1960年
J.S.ミル『自由論』 塩尻公明・木村健康訳 岩波文庫 1971年
M.ウェーバー『社会学の根本概念』 清水幾太郎訳 岩波文庫 昭和47年
M.ウェーバー『社会科学方法論』 富永・立野訳 岩波文庫 昭和11年
M.ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 梶山・大塚訳 岩波文庫全2冊 昭和30年
K.マルクス『賃労働と資本』 長谷部文雄訳 岩波文庫 昭和10年
K.マルクス『賃金・価格および利潤』 長谷部文雄訳 岩波文庫 昭和10年
中川久定編『林達夫評論集』 岩波文庫 1982年
石田梅若『都鄙問答』 足立栗園校訂 岩波文庫 1935年
清水ケイ八郎『「日本文明」の真価』―日本人が忘れてしまった 祥伝社 平成11年
岩井克人『不均衡動学の理論』 岩波書店 1987年
岩井克人『資本主義を語る』 講談社 1994年
岩井克人「身分から契約と“信任”へ」 日本経済新聞 経済教室 1998/1/1
岩井克人『二十一世紀の資本主義論』 筑摩書房 2000年
樋口範雄『フィデュシャリー[信認]の時代』―信託と契約 有斐閣 1999年
J.グレイ『グローバリズムという妄想』 石塚雅彦訳 日本経済新聞社 1999年
S.ストレンジ『マッド・マネー』―世紀末のカジノ資本主義 櫻井公人/櫻井純理/高嶋正晴訳 岩波書店 1999年
R.クー『日本経済回復への青写真』―診断、治療そしてリハビリ PHP研究所 1999年
中西輝正『なぜ国家は衰亡するのか』 PHP研究所 1998年
L.サロー『大接戦』―日米欧どこが勝つか 土屋尚彦訳 講談社 1992年
刈屋武昭『金融工学とは何か』―「リスク」から考える 岩波新書 2000年

11.プレゼンテーション資料
厚生年金基金連合会・日本経済新聞社主催企業年金シンポジウム冊子『金融革命と企業年金』
日経シンポジウム「年金資産の国際分散投資」配布資料
日経シンポジウム「年金運用手法とその評価」配布資料
日本公社債研究所「会社概要とサービスのご案内」
フランク・ラッセル・ジャパン㈱「パフォーマンス測定及び要因分析」
安田信託銀行「今、年金資産の運用は信託なのか生保なのか?」
ウォーバーグ投資顧問㈱「円ベース資金の為の国際分散債券投資のご案内」
ウェルズ・ファーゴ日興投資顧問第1回年金セミナー講演録「米国年金の「敗者のゲーム」の戦い方」
ウェルズ・ファーゴ日興投資顧問第2回年金セミナー講演録「米国における年金運用の変遷」
野村・日興・大和・山一各投資顧問運用セミナー配布資料
外資系投資顧問プレゼンテーション配布資料
東京単独・連合厚生年金基金連絡協議会 資産運用問題委員会と高度運用分科会 配布資料
日本公社債研究所「投資理論研究会」配布資料
日本公社債研究所「運用コンサルティング」資料
富士総合研究所「財政コンサルティング」資料
(財)野村マネジメント・スクール「上級ポートフォリオ講座」案内
柏崎重人「ビッグ・バンン時代の企業年金」 たん・れん運用問題委員会連続3回講演資料
須永晃「ヘッジ・ファンドを設立したい方々の為に」 ダイヤモンド フォーラム 平成10年1月14日
田中雅「ヘッジ・ファンドを設立したい方々の為に」 ダイヤモンド フォーラム 平成10年1月14日
シティ・バンク「Hedge Fund/Managed Futures Fund ご案内」
シティ・バンク「Alternativ Investment Strategies」―拡大する代替投資商
品(Alternativ Investment)への需要 平成9年6月6日
チェイス信託銀行「グローバル特金に関する資料」
池田秀雄「資産運用管理者のための年金基金をめぐる法的問題点の解明」―受託者責任ガイドラインの把握から法的防御へ 企業年金研究所・企業年金マネジメント・スクール講演記録 1997年
池田秀雄「法的問題の解明」 企業年金研究所・企業年金マネジメント・スクール講演記録 1999年
浦田健一郎「企業年金制度改革に関する提言(私案)」 年金経営問題研究会第11回会議録
島田勲「国際会計基準と厚生年金基金の対応について」 単独連合厚生年金基金協議会資産運用委員会オープンセミナー 平成10年4月23日
日本総合研究所「年金債務シミュレーションツールのご紹介」
パリバ証券㈱レポート「欧州通貨統合への道」 1998年
パリバ証券㈱セミナー「EURO ―その実力と可能性」 1998年
パリバ証券㈱セミナー「EURO ―その実力」 1998年
KINZAI FINANCIAL REPORT「米国年金基金に対する受託者責任」スカダー・スティー ブンス・アンド・クラーク山木智子 1994年
大和総研企業年金勉強会配布資料 ポートフォリオ・基本方針・ALM 1994年
ラザードAMプレゼンテーション資料 1998年
野村総合研究所:年金マネジメント研究会田中弘之「運用期間の評価と選定」 98年度下期 年金勉強会第2回 1998年
インベスコAM「グローバル投資セミナー」資料 1998年
JPモルガン「年金運用セミナー」資料 1998年
永原裕一「リスク・マネジメントに関する一考察」 明治大学『政経論叢』第66巻 第5・6号
永原裕一「多変量混合正規分布による為替リスク・マネジメント」 明治大学『政経論叢』第66巻 第3・4号
山本昌弘「国際会計基準が日本企業の会計行動に及ぼす影響の研究」 明治大学社会科学研究所紀要  第38巻第1号抜刷
プランスポンサー誌「第4回年金セミナー」配布資料 於アーバンネット大手町ビル21階 1999年6月16日~17日
東京地区学識経験幹事協会セミナー「受託者責任」SCUDDERKENPER INVESTMENTS配布資料 1999年10月
企業年金研究所セミナー「運用機関選択をなぜまちがうのか? 」配布資料 1999年10月
チェイス信託銀行セミナー「グローバル・アセツト・アロケーション他」配布資料 1999年1月
同 島崎健治「年金基金の資産運用ー次の課題」
日産関連基金連絡会職員研修会・講演資料 日本投資信託制度研究所杉田浩治「日本 版401(k)(確定拠出型年金)のしくみと留意点」平成11年10月
AiC有料セミナー「日本の年金セミナー」会場資料 於パレスホテル 1999年12月2日~日
マーケット メーカーズ インク主催「年金基金の資産運用のニユー・パラダイム」 会場資料 於大手町JAホール 2000年3月23日
IMN主催「日本インデクシング・サミット」会場資料 於ロイヤルパークホテル 平成12年5月10日~11日
プランスポンサー誌主催「Pension2000年金セミナー」会場資料 於アーバンネット大手町ビル21階 2000年6月7日~9日
インスティテューショナル インベスター主催「2000年日本年金シンポジウム」 会場資料 於帝国ホテル 2000年6月15日~16日

12.雑誌
厚生年金基金連合会「企業年金」各号
日本公社債研究所「年金情報」創刊以来の各号
単独連合厚生年金基金協議会「たん・れん」各号
日本証券アナリスト協会「証券アナリスト ジャーナル」1994.10月号「資産運用のコスト」以降の各号
「週刊ダイヤモンド」―辰巳憲一:最新投資戦略解剖 1994.9.10、24
大和企業年金研究会編「年金ニュースレター」各号
大和総合研究所 「年金調査情報」各号
野村総合研究所 年金マネジメント研究会「年金コンサルティング」各号
山一證券経済研究所「年金レポート」各号(廃刊)
日興リサーチセンター 年金研究部「年金レビュー」各号
東洋経済新報社「金融ビジネス」1994.4、7、10、11月号
東洋経済新報社「週刊東洋経済」1998.8.29.特集:年金破綻の足音
東洋経済新報社「週刊東洋経済」1999.5.15.Top Story企業年金大ピンチ
東洋経済新報社「週刊東洋経済」1999.7.17.EMS―驚異の生産請負工場
年金総合研究センター「年金と雇用」1993.10、1994.2、5月号
中央経済社「企業会計」1994.11月号
毎日新聞社「エコノミスト」―銀行・證券 襲いかかる金融革命 1994.11月号
日本経済新聞社「日経広告手帖増刊」日経金融新聞特集 ’95以降の各号
㈱日本投資信託制度研究所「Fund Manegement」’97.夏季号 ’98.冬季号 ’99.秋季号
有斐閣「ジュリスト」1999.7月1日号 パブリック・コメントの手続き
有斐閣「ジュリスト」1999.9月1日号 新しい金融のルールに向けて
有斐閣「ジュリスト」1999.10月1日号 信託制度の将来展望
野村総合研究所「知的資産創造」’97.秋
AN ASSET INTERNATIONAL PUBLICATION 「PLANSPONSOR」 SPECIAL REPORT ON MASTER CUS
   TODY & SECURITIES LENDING 1998
AN ASSET INTERNATIONAL PUBLICATION 「GLOBAL CUSTODIAN」SPRING 1998
日本バンカース・トラスト信託銀行:年金ニュース「SEASONS」創刊号から
安田年金研究所「安田年金レポート」 1998.6創刊号から1999.10
DKFTB年金研究所「DKFTB年金レポート」 1999.11から
ワトソンワイアットレビュー:保田和彦「リスキーな投資、安全な投資」vol.14.NO.2
AN ASSET INTERNATIONAL PUBLICATION 「PLANSPONSOR」 SPECIAL REPORT ON futue shock APRIL 1999
AN ASSET INTERNATIONAL PUBLICATION 「PLANSPONSOR」 SPECIAL REPORT ON education.com MAY 1999
AN ASSET INTERNATIONAL PUBLICATION 「GLOBAL CUSTODIAN」SPRING 1999
「WEDGE」JULY 1999 Vol.11 No.7
季刊「年金と雇用」第18巻 第3号抜粋 平成11年11月 厚生省年金局長矢野朝水<年金改正ざっくばらん> (著者より贈呈を受ける)
東洋経済新報社「週間東洋経済」臨時増刊日本版401k完全解剖 1999/11/24
年金福祉事業団「センター通信」第27号 田中章敬「年金基金にとっての執行コストの把握」2000/8

13.調査・研究資料
厚生年金基金連合会編『厚生省通知集』
厚生年金基金連合会編『欧米年次資産運用実態調査報告書』
厚生年金基金連合会編『平成2年度ヨーロッパ企業年金制度調査報告書』
同調査先運用機関のプレゼンテーション資料
厚生年金基金連合会「資産運用第一次・第二次専科研修配布資料」
東京単独・連合厚生年金基金連絡協議会「資産運用問題委員会」配布資料
Y厚生年金基金「投資運用方針」
「たん・れん」資産運用問題委員会「基金の資産運用に関する諸規制についての要望」 1992年
厚生年金基金連合会・資産運用専門委員会『年金資産の運用規制の見直しについて』 1993年
大蔵省・株式市場を巡る基本問題勉強会「レポート」 1993年
21世紀企業年金研究会報告『企業年金の将来像』厚生年金基金連合会 平成8年
中野誠「企業年金の<システム疲労>の回避と変革に向けて」企業年金研究所 1996年
厚生年金基金連合会「支払保証事業の充実をめざして」 平成9年
大蔵省(?)「我が国金融システムの改革」~2001年東京市場の再生に向けて~
厚生年金基金連合会 受託者責任研究会「わが国における受託者責任の確立に向けて」 平成8年
厚生年金基金連合会 受託者責任研究会「受託者責任ハンドブック(理事編)」
杉田浩治「年金と投信の結びつき」 年金経営問題研究会講演録 1996年
大場昭義「年金問題と企業経営者の意識」 年金経営問題研究会講演録 1996年
中野誠「アメリカ年金会計の基礎」 年金経営問題研究会講演録 1997年
村田純一「我が国の年金額の水準とは」 年金経営問題研究会講演録 1997年
右谷亮次「諸外国の企業年金制度の潮流」 年金経営問題研究会講演録 1997年
山崎元「運用のノウハウは存在するのか」 年金経営問題研究会講演録 1997年
高野義博「日産生命経営破綻問題」 年金経営問題研究会講演録 1997年
山崎元「資産運用三題」 年金経営問題研究会講演録 1997年
池田秀雄「年金基金をめぐる法的問題点の解明」 年金経営問題研究会講演録 1997年
浦田健一郎「年金基金の資産時価評価問題」 年金経営問題研究会講演録 1997年
山崎元「ヘッジ・ファンドの真実とは」 年金経営問題研究会講演録 1997年
浦田健一郎「企業年金制度に関する提言(私案)」 年金経営問題研究会講演録 1998年
右谷亮次「厚生省5つの選択肢を考える」 年金経営問題研究会講演録 1998年
中野誠「グローバル時代の企業年金会計」 年金経営問題研究会講演録 1998年
千田彰子「資産運用管理の実際」 年金経営問題研究会講演録 1998年
畠中勝英「資産運用の潮流」 年金経営問題研究会講演録 1998年
兼広崇明「EVA入門」 年金経営問題研究会講演録 1999年
千田彰子「富士通の年金改革」 年金経営問題研究会講演録 1999年
大場昭義「エクセレントな年金経営の条件」 年金経営問題研究会講演録 1999年
畠中勝英「運用機関の選び方、コンサルタントの選び方」―プランスポンサーは何に留意すべきか 年金経営問題研究会講演録 1999年
山崎元「日本の資産運用ビジネスに関する雑感」 年金経営問題研究会講演録 2000年
㈱日本興業銀行調査部「日本版ビッグ・バンについて」 1997年
中野誠「年金ファクターで分析する企業価値最大化戦略」 DHB 1998年
甲斐利春「日本版ビック・バンと年金資産運用」 単連協 資産運用委員会 運用評価分科会講演録 1997年
厚生省年金局運用指導課監修「厚生年金基金の資産運用関係者の役割及び責任に関するガイドラインの解説」平成9年
厚生年金基金連合会「日産生命と契約のある基金の皆様へ」1~8 FAX情報
若杉敬明「年金資産運用と受託者責任」常務理事セミナー講演集「企業年金」’97.8月号
末村篤「年金が企業経営を変える」―年金から見た日本資本主義論 「Fund Manegement」97.夏季号
㈱日本公社債研究所調査資料
加藤寛「日本の構造改革と企業年金改革」『平成9年版企業年金白書』
久野正徳「企業年金制度改正の影響と今後の課題」YRI證券月報 ’97.8
厚生年金基金連合会「運用自由化時代の基金の資産運用」 資産運用研究会報告書 平成10年
民間金融財政臨調「包括的金融再興構想」 PHP総合研究所 1998年7月
厚生年金基金連合会「企業会計基準と基金」第21回年金財政講座 平成11年3月1日
厚生年金基金連合会「厚生年金基金における年金資産の約定主義基準について」
資産運用委員会 資産時価評価検討委員会
高山憲之「厚生年金基金 国の代行、早期廃止決断を」 日本経済新聞 99.5.7経済教室「保険方式の利点生かせ」 日本経済新聞 99.5.13経済教室
伊藤邦雄「会計制度変更 日本企業の変革本番へ」 日本経済新聞 99.5.14経済教室
三好真「信用リスク管理高度化を」 日本経済新聞 99.5.18経済教室
大蔵省「国の財政に貸借対照表」 朝日新聞 99.5.21右上段トップ記事
企業年金研究所:インターネット年金情報サービスP.E.N.http://www.nenkin.co.jp)
「PENTION BUSINESS REPORT」Apr.1999 右谷亮次「21世紀の企業年金~決断する企業」、山崎元「間違いだらけの運用知識」
島田勲「新年金会計基準の導入について」 第22回年金経営問題研究会 平成11年5月17日
厚生年金基金連合会:受託者責任研究会1999年度ワーキンググループ配布資料
N.テサロマティス「計量的アプローチに基づく為替市場の予測」 現代投資理論研究会配布資料 1997年4月
浅野幸弘「国際証券投資:理論と実証」 現代投資理論研究会配布資料 1997年11月
竹原均「アセット・アロケーションと投資スタイル」 現代投資理論研究会配布資料 平成10年1月
高山俊則「最適資産配分理論に関する実務と最近の話題」 現代投資理論研究会配布資料 平成12年8月
日本証券投資顧問業協会:業務活性化懇話会「投資顧問業の展望」―専門型経営による新しい展開へ 1999年6月
山崎元「98年度下期の年金運用を考える」 企業年金研究所 年金セミナー 年金 エキスパート・コース 1998年
C.デイキン「イギリスにおける年金制度改革の方向と見通し」 厚生年金基金連合会 1999年8月
JMMウェブサイト金融・経済関係メール情報
リスク管理フォーラム「リスク管理ガイドライン」 大和総研年金運用コンサルティング部 2000年
厚生年金基金連合会 調査委託研究報告書:野村證券金融研究所・野村総合研究所 「基金のマネージャー・ストラクチャーのあり方について」 厚生年金基金連合会 平成12年
厚生年金基金連合会 樋口範雄教授講演録「契約法理とフィデュシャリー法理」 受託者責任研究会ワーキンググループ委員配布資料 平成12年

14.ビデオ・テープ等
ワーナーブラザーズ社映画「OTHER PEOPLE'S MONEY」(人様の金) 1991年
NHK衛星第一放送放映ビデオ「ヘッジ・ファンドの王ジョージ.ソロス」
NHK衛星第一放送放映ビデオ「ベアリングス破綻」
NHK衛星第一放送放映ビデオ「ウォール街」
ウェルズ・ファーゴ投資顧問ビデオ「米国年金からのメッセージ」
全米退職者協会「A GIFT OF AGES」(加齢の贈り物) 1996年
NHK企業社会プロジェクト「追及金融・証券スキャンダル」NHK 1991年
厚生年金基金連合会「シルバーエイジの設計図」「新しいライフスタイルを求めて」
12ChTV「マーケット・ライブ」月曜から金曜日午前6時15分放映(97.9.29.から6時放映、98.10.1から「モーニング サテライト」5時45分放映)
LGT投信・投資顧問株式会社 第2回、第3回GTグローバル投資セミナービデオ


「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 16

2013年03月16日 | 厚生年金基金
・情報収集先

1.雑誌
・ 厚生年金基金連合会発行 月刊:「企業年金」 ℡03(3597)0665(年金問題に関するオーソド  ックスな情報、基本資料)
・ 日本格付投資情報センター発行 第1・第3月曜日発行「年金情報」 ℡03(5644)3460 年間購読料120,000円
・ 日本証券アナリスト協会発行 月刊:「証券アナリスト・ジャーナル」 ℡03(366)1515(最先端の金融動向、金融理論、金融ノウハウ等) 年間購読料8,000円
・ 日本投資信託制度研究所発行 季刊:「FUND MANAGEMENT」 ℡03(3278)3030 年間購読料12,000円
・大和総研発行 月刊:「大和の年金ニュースレター」 ℡03(5620)5224
・日興リサーチセンター発行 月刊:「年金レビュー」 ℡03(5566)3873
・山一證券経済研究所発行 「YRI年金レポート」廃刊
・野村総合研究所発行 月刊:「年金コンサルティング」℡03(5644)0776
・野村総合研究所発行 「金融サービス動向レポート」 金融サービス研究室
・野村総合研究所発行 季刊:「知的資産創造」 ℡045(336)8535
・日本経済新聞社発行 「日経広告手帖増刊 日経金融新聞特集」 ℡03(3270)0251
・ AN ASSET INTERNATIONAL発行 「PLANSPONSOR」
・ IPE International Publishers Limited 「INVESTMENT & PENSIONS EUROPE」
・東洋経済新報社発行 「週刊 東洋経済」 ℡03(3246)5451
・東洋経済新報社発行 月刊:「金融ビジネス」 ℡03(3246)5451
・東洋経済新報社発行 季刊「会社四季報」 ℡03(3246)5451
・ 単独連合厚生年金基金協議会発行 冊子「たん・れん」 ℡03(5435)7303
・ みずほ年金研究所発行 月刊「みずほ年金レポート」℡03(3240)7020
・ 国際年金経済研究所発行 月間「IPERI」℡03(3519)2268
・ 厚生年金基金制度推進協議会 「年金情報」 ℡03(3597)0674

2.新聞
・ 日経金融新聞、日本経済新聞、朝日新聞、読売新聞
・ 「Pensions&Investments」

3.テレビ
・ 12c 月曜日~金曜日 AM5:45~6:37 「モーニング・サテライト」(欧米の前日市場動向、 ゲストスピーカーの刺激的なコメント)
・ 12c 月曜日~金曜日 PM4:00~4:30 「株式市場」(日々の東京株式市場動向、個別銘柄の 値動き)
・ 12c 日曜日 AM9:00~9:30 「大前研一のガラガラポン」(テーマごとの分析情報、特に第 3セクター等官営団体の実態)
・10c 日曜日 AM10:00~11:30 「サンデープロジェクト」
・1c 日曜日 AM9:00~10:00 「日曜討論」

4.Eメール
・「年金倶楽部」(基金関係者の情報交換のWEB) http://www.cnetーsc.ne.jp/ nisigori/ezbbs.cgi
・JMM(村上龍、金融経済の専門家たちに聞く) jmm‐info@cogen.co.jp

5.研究会
・厚生年金基金連合会:各種研究会・委員会
・単独連合厚生年金基金協議会主催:資産運用問題委員会・給付問題委員会
・野村総合研究所主催:年金勉強会
・日本格付投資情報センター主催:現代投資理論研究会(横浜国立大学・故青山護教授)
・企業年金研究所主催:年金経営問題研究会(日経BP社・右谷亮次氏)
・大蔵省:金融委員会
・学習院ティポート研究会
・東工大、東大、一ツ橋大等の金融工学研究会

6.プレゼンテーション
・厚生年金基金連合会:トップセミナー
・単独連合厚生年金基金協議会:オープンセミナー
・外資系金融機関のセミナー
・企業年金研究所主催「米国401(k)調査」1999/6 NY、ボストン、サンフランシスコ
・ マーケット・メーカーズ主催「年金基金の資産運用のニュー・パラダイム」2000/3/23 大手町J Aホール
・ ICS企画主催「日本インデクシング・サミット」2000/5/10~11 ロイヤルパーク・ホテル
・ プランスポンサー誌主催「Pension2000年金セミナー」2000/6/7~9 アーバンネット 大手町ビル21階
・ インスティテューショナル インベスター主催「2000年日本年金シンポジウム」2000/6/15~ 16 帝国ホテル
・ 国際年金経済研究所主催 「IPERI年金セミナー2001」2001/1/15~16 経団連会館・国際会議 場

7.資料
・ 厚生年金基金連合会発行 「企業年金に関する基礎資料」 ℡03(3597)0665
・ 厚生年金基金連合会発行 「厚生年金基金の理解のために」℡03(3597)0665
・ 社会保険研究所発行 「目で見る年金」 ℡03(3252)7901 
・ 社会保険研究所発行 「年金白書」 ℡03(3252)7901
・ ライフデザイン研究所発行 「企業年金白書」 ℡03(5221)4772

8.資料室
・厚生年金基金連合会:図書資料室 ℡03(3377)1311(年金関係図書の蔵書では日本一)

9.相談窓口
・厚生年金基金連合会:基金相談センター ℡03(3597)0666




・書籍等一覧

1.金融史
バジョット『ロンバート街』 岩波文庫 1994年
高橋亀吉・森垣淑『昭和金融恐慌史』 講談社学術文庫 1993年
M.H.ウォルフソン『金融恐慌』―戦後アメリカの経験 野下・原田・浅田訳 日本経済評論社 1995年
R.スミス『国際金融の内幕』 東洋経済新報社 1992年
マーコビッツ『ポートフォリオ理論40年の歩み』
J.K.ガルブレイス『バブルの物語―暴落の前に天才がいる』 ダイヤモンド社 1991年
宮崎義一『複合不況』 中公新書 1992年
内橋克人『ドキュメント恐慌』 新潮文庫 昭和58年
林敏彦『大恐慌のアメリカ』 岩波新書 1992年
保田圭司『アフター・ブラックマンデー』 日本経済新聞社 昭和63年
M.ニュートン『暴かれた聖域―米国中央銀行 THE FED』 昭和60年
G.ミルマン『ブァンダルの王冠―国際金融帝国の敗退』 渡辺靖訳 共同通信社 1996年
J.クルツマン『デス・オブ・マネー』 山岡洋一訳 講談社
G.アームストロング『ロスチャイルド世界金権王朝』 馬場周二監訳 徳間書店 1993年
R.チャーナウ『モルガン家―金融帝国の盛衰』上・下 青木栄一訳 1993年
アレツハゥザー『ザ・ハウス・オブ・ノムラ』 新潮社
武田康『野村商法物語』 中公新書 1995年
S.フェイ『ベアリングズ崩壊の真実』 宇佐美洋訳 時事通信社 1997年
井口俊英『告白』 文藝春秋社 1997年
大小原公隆『野村告発者』ーガリバーを震憾させた男、ひとりぼっちの闘い インタビュー構成 板垣英憲 KKベストセラーズ 1999年
ジョセフ.ノセラ『アメリカ金融革命の群像』野村総合研究所訳 野村総合研究所情報リソース部 1997年
R.C.スミス『カムバック』―アメリカの銀行は、いかにして再生したか 小野田純丸訳 プレジデント社 1994年
P.F.ドラッカー『ポスト資本主義社会』 上田・佐々木・田代訳 ダイヤモンド社 1993年
L.C.サロー『資本主義の未来』 山岡・仁平訳 TBSブリタニカ 1996年
R.ブートル『デフレの恐怖』 高橋乗宣監訳 東洋経済新報社 1998年
鯖田豊之『金(ゴールド)が語る20世紀』―金本位性が揺らいでも 中公新書 1999年
笠 信太郎 『“花見酒”の経済』 朝日新聞社 昭和37年

2.金融理論
シャープ『現代証券投資論』
C.D.エリス『機関投資家時代の証券運用』
C.D.エリス「敗者のゲーム」金融アナリスト・ジャーナル1975年7、8月号
C.D.エリス「敗者のゲーム」ウェルズ・ファーゴ日興投資顧問㈱翻訳
C.D.エリス「敗者のゲーム」―なぜ資産運用に勝てないのか 鹿毛雄二訳 日本経済新聞社 1999年
P.バーンスタイン『證券投資の思想革命』 東洋経済新報社 1994年
青山護編『現代証券投資技法の新展開ー運用評価の理論と実際』 日本経済新聞社 1989年
P.バーンスタイン『リスク』―神々への反逆 青山護訳 日本経済新聞社 1998年
B.マルキール『ウォール街のランダム・ウォーク』 井手正介訳 日本経済新聞社 1993年
J.D.ミラー他『プログラムトレーディング』 日興證券米州株式部訳 東洋経済新報社 1991年
井手正介『アメリカのポートフォリオ革命』 日本経済新聞社 昭和61年
大和正典『国際分散證券投資―拡大する投資フロンティア』 有斐閣ビジネス 1987年
阿達智彦、斎藤進『現代のポートフォリオ・マネジメント』 同文館 1992年
山崎元『ファンドマネジメント』 ㈱きんざい 平成7年
日米證券アナリスト協会共同セミナー『先物/オプションとポートフォリオ管理』 (財)日本證券アナリスト協会 平成2年
日米證券アナリスト協会共同セミナー『アセット・アロケーション』 (財)日本證券アナリスト協会 平成2年
日米證券アナリスト協会共同セミナー『グローバル・インベスティング』 (財)日本證券アナリスト協会 平成3年
日米證券アナリスト協会共同セミナー『投資政策』 (財)日本證券アナリスト協会 平成6年
日米證券アナリスト協会共同セミナー『デリバティブス―投資戦略とリスク管理』 (財)日本證券アナリスト協会 平成8年
日米證券アナリスト協会共同セミナー『資産運用会社の経営戦略』 (財)日本證券アナリスト協会 平成10年
R.A.プレーリー『機関投資家の株式運用』 安田信託銀行訳 東洋経済新報社 1989年
大和正典『投資政策』 ファンド・マネージャー研修講義録 日本証券投資顧問業会 平成6年
宮崎勇『世界経済図説』 岩波新書 1995年
野口悠紀雄『バブルの経済学』 日本経済新聞社 1993年
松本晃『有価証券取引の税実務』 中央経済社 平成5年
及能正男『金融のしくみ』 日本実業出版社 1994年
杉村冨生『株のしくみ』 日本実業出版社 1994年
塩沢由典『市場の秩序学』―反均衡から複雑系へ ちくま学芸文庫 1998年
桂木孝雄『自由社会の法哲学』 弘文堂 平成2年
井上達夫『共生の作法』―会話としての正義 創文社 1996年
佐伯 胖『「きめ方」の論理』―社会的決定理論への招待 東京大学出版会 1998年
政次満幸 『「私」の構造』―情緒社会と“個”の論理 PHP 昭和54年
P.S.ラプラス『確率の哲学的試論』 内井惣七訳 岩波文庫 1997年
J.L.グラント『EVA経済付加価値の基礎』 兼広崇明訳 東洋経済新報社 1998年
M.クリッツマン『証券投資のための数量分析入門』 青山護訳 日本経済新聞社 1997年
酒井康弘『リスクの経済学』―情報と社会風土 有斐閣 1996年
G.ソロス『グローバル資本主義の危機』 大原進訳 日本経済新聞社 1999年
榊原英資『資本主義を超えた日本』―日本型市場経済体制の成立と展開 東洋経済新報社 1990年
榊原英資『国際金融の現場』―市場資本主義の危機を超えて PHP新書 1998年
榊原英資『市場原理主義の終焉』―国際金融の15年 PHP研究所 1999年
堀坂浩太郎・細野昭雄・長銀総合研究所編『ラテンアメリカ民営化論』―先駆的経験と企業社会の変貌 日本評論社 1998年
R.バーノン『多国籍企業の新展開』―追いつめられる国家主権 霍見芳浩訳 ダイヤモンド社 昭和48年
小塩隆士『市場の声』―政策評価機能発揮のために 中公新書 1999年
荒川章義『思想史のなかの近代経済学』―その思想的・形式的基盤 中公新書 1999年
G.ミュルダール『社会科学と価値判断』 丸尾直美訳 竹内書店 1971年
F.A.ハイエク『市場・知識・自由』―自由主義の経済思想 田中真晴/田中秀夫 編訳 ミネルブァ書房 1986
F.A.ハイエク『隷従への道』―全体主義と自由 一谷藤一郎・一谷映理子訳 東京創元社 1992年
B.マンディビル『蜂の寓話』―私悪すなわち公益 泉谷治訳 法政大学出版局 1985年
J.S.ミル『自由論』塩尻公明・木村健康訳 岩波文庫 1998年
間宮陽介『市場社会の思想史』―「自由」をどう解釈するか 中公新書 1999年
M.クランストン『自由』―哲学的分析 岩波新書 1976年
A.K.ダスグプタ『経済理論の変遷』水上健造・長谷川義正訳 文化書房博文社 1992年
石坂・宮野・船山・諸田『新版西洋経済史』 有斐閣双書 1994年
中村隆英『昭和経済史』 岩波セミナーブックス 1995年
佐伯啓思『アダム・スミスの誤算』―幻想のグローバル資本主義(上) PHP選書 1999年
佐伯啓思『ケインズの予言』―幻想のグローバル資本主義(下) PHP選書 1999年
T.モリス『アリストテレスがGMを経営したら』―新しいビジネス・マインドの探求 沢崎冬日訳 ダイヤモンド社 1998年
L.ブライアン・D.ファレル『市場の時代』 横山禎徳・川本裕子訳 東洋経済新報社 1999年
M.サックス『相対論と量子論』―徹底討論・根本的な世界観の違い 原田稔訳 講談社ブルーバックス 1999年
S.ストレンジ『国家の退場』―グローバル経済の新しい主役たち 櫻井公人訳 岩波書店 1998年
今野浩『金融工学の挑戦』―テクノコマース化するビジネス 中公新書 2000年
刈谷武明 『金融工学とは何か』―リスクから考える 岩波新書 2000年
佐和隆光 『市場主義の終焉』―日本経済をどうするのか 岩波新書 2000年
宇沢弘文 『社会的共通資本』 岩波新書 2000年
 
3.為替
細見卓『激動する国際通貨―スミソニアンから十年』時事通信社 昭和57年
P.ボルカー/行天豊雄『富の興亡―円とドルの歴史』 東洋経済新報社 1992年
R.C.エンゼル『円の抗争―「ガイアツ」依存国家の陥穽』 時事通信社 1993年
宮崎義一『ドルと円―世界経済の新しい構造』 岩波新書 1991年
大場智満『二つの空洞化を越えて―円高克服の処方箋を探る』 日本放送出版協会 1995年
行天豊雄『「円」はどこへ行くのか』 講談社 1996年
吉野俊彦『円とドル』 NHKライブラリー 1996年
須崎雅夫『円・ドル・マルクの時代―日本経済ドルからの離脱』 東洋経済新報社 1995年
A.ヴァイナー『ジャパン・マネーの脅威』 斉藤精一郎訳 HBJ出版局
三国陽夫『円の総決算』 講談社 1994年
M.ノルドレッド『円バブルの崩壊』 服部美奈子訳 講談社 1995年
R.クー『良い円高 悪い円高』 東洋経済新報社 1994年
R.クー『投機の円安 実需の円高』 東洋経済新報社 1996年
山本清治『「円」世界制覇の秘密』 講談社 1990年
佐中明雄『為替市場の読み方』 講談社現代新書 1998年
D.バーンスタイン『YEN!―円がドルを支配する日』 草思社 1989年
多胡秀人・大久保勉『スワップ革命』―日本金融村に地殻変動が起きた シグマベイスキャピタル㈱ 1996年
本田敬吉『これならわかる為替』 有斐閣 1996年
及能正男『国際マネー戦争』 講談社現代新書 昭和62年
斉藤裕『日本のマネー戦士たち』 かんき出版 昭和61年
吉田和男『超円高時代の経済学』―戦略的政策から選択的政策へ 中公新書 1996年
土井秀生『エクスポージャー・マネジメント』―為替変動リスクの管理戦略 ダイヤ モンド社 昭和58年
西山千明編著『フリードマンの思想』 東京新聞出版局 昭和54年
若林栄四・佐中明雄『大円高時代』―1ドル=80円台の恐怖とその背景 ダイヤモンド社 1994年
岡正生『円が基軸通貨になる日』 角川書店 平成8年
編集長村上龍「通貨を語る―美しき為替市場の魔力」 JMMVOL.3 NHK出版 2000年
吉川元忠『マネー敗戦』 文春新書 平成10年
A.スミス『ペーパー・マネー』 風間禎三郎訳 TBSブリタニカ 1981年

4.金融インフラ
保田圭司『外国人投資家』 日本経済新聞社 1995年
保田圭司『グローバル・マネー』―「現代の妖怪」が世界経済を席捲する 徳間書店 1998年
山下竹二『青い目の相場師―外人投資家』 日経新書 昭和56年
国際金融研究会『金融メジャーの世界戦略』―巨大なカネを動かすマネー軍団の実態 PHP研究所 1987年
津田和夫『巨大機関投資家』 講談社現代新書 1990年
日本経済新聞社編『投資顧問―踊り出る「財テク」仕掛人』 日本経済新聞社 昭和 60年
坪内建『投資の見方・考え方―相場を勝ち抜く原理原則』 東洋経済新報社 1991年
今井澂『お金はこうして殖やしなさい』―金融開国時代 KKベストセラーズ 1997年
今井澂『[図解]日本版ビッグ・バンン』 東洋経済新報社 1995年
今井澂『日本を襲うヘッジ・ファンド』 ダイヤモンド社 平成6年
今井澂『良いデリバティブ悪いデリバティブ』 東洋経済新報社 1995年
今井澂『ヘッジ・ファンド革命』 日本経済新聞社 1997年
IMF編『ヘッジ・ファンドの素顔』―IMF報告書 松崎延寿訳 シグマベイスキャピタル 1999年
浜田和幸『ヘッジ・ファンド』―世紀末の妖怪 文春新書 平成11年
豊田博『シティ発―金融特別通信』 日本経済新聞社 昭和63年
渡辺重明『ザ・シティ見聞録―ユーロビジネスの内側』 日本経済新聞社 1990年
R.ソーベル『ウォール街の内幕』 原、新垣訳 有斐閣 昭和59年
R.ソーベル『変わるウォール街―リスクマネジメントの時代』 弘松昌芳訳 日本経済新聞社 昭和63年
M.スティーブンス『ウォール街の突然死―巨大證券会社ハットンの興亡』 植山周一郎訳 NTT出版 1990年
C.ビュッヘンバッハ『スイス銀行の秘密』 織田正雄他訳 昭和54年
J.ジーグレル『スイス銀行の秘密―マネー・ロンダリング』 荻野弘巳訳 河出書房新社 1990年
M.ルイス『マネー・カルチャー』 東江一紀訳 角川書店 平成4年
宮崎正弘『ニューヨーク野村證券―金融自由化最前線レポート』 アイペック 昭和 61年
A.B.フィッシャー『ウォール街の女たち』 ダイヤモンド社 1990年
H.ランパート『銀行重役会―アメリカ金融界の凄腕たち』 斎藤精一郎訳 東洋経済新報社 昭和63年
ビーティ/グウィン『犯罪銀行BCCI―史上最大の金融スキャンダルを追え!』 沢田/橋本訳 ジャパン タイムズ 1994年
P.ホフマン『アメリカ投資銀行の素顔』 東洋経済新報社 1990年
高月昭年『米銀 90年代への戦略』 日本経済新聞社 1989年
堀内俊夫『元銀行支店長の泣き笑い』 研修社 平成7年
糸瀬茂『銀行のディスクロージャー』 東洋経済新報社 1996年
糸瀬茂『なぜ銀行を救うのですか』―ポスト・ビッグバンの金融ビジネス 東洋経済新報社 1998年
林宏編『信託の時代』 きんざい 平成3年
金融財政事情研究会編『エレクトロバンキング』 金融財政事情研究会
畑秀夫『金融・證券のエレクトロニック戦略新事情』 日本工業新聞社
黒田巌他『エレクトロマネー』 有斐閣
依田真美「日本の保険産業」 クレディ・スイス経済調査部
浜田康行/沢田隆『邦銀ロンドン支店』 東洋経済新報社 1992年
横田濱夫『はみ出し銀行マンの勤番日記』 オーエス出版 1992年
日本経済新聞社編『銀行の凋落―逆境をどう生き延びる』 日本経済新聞社 1991年
鹿児嶋治利『リテール金融で銀行は生き残れるのか』 にっかん書房 1991年
奥村宏/佐高信『揺れる銀行揺れる證券』 社会思想社 1991年
浅井隆『證券業界 腐敗の構造』 KKベストセラーズ 1991年
奥村宏『日本の株式市場』 ダイヤモンド社 1989年
高橋文利『新版金融・経済がよくわかる本』 三笠文庫 平成7年
財界研究所編『野村證券の巨大情報戦略』
浅野幸弘『投資家から見た株式市場―バブルの構造と市場再生の条件』 中公新書 1996年
日本証券業協会編『証券外務員必携』全4冊 日本証券業協会 平成6年
S.N.レビン編『証券アナリスト・ハンドブック』 日本経済新聞社
青山護、井手正介編著『証券アナリスト』 東洋経済新報社 1990年
後藤猛『最新転換社債とワラント債』 東洋経済新報社 1992年
溝上幸信『3年後の證券業界激変の勢力地図』 ベストブック 平成4年
岩崎直『超投資法』 総合法令出版 1995年
大和證券「ヘッジ手法一覧」
桜井雅夫『カントリーリスク海外取引の危険にどう対応するか』 有斐閣選書 昭和61年
渡辺長雄『カントリーリスク投融資国をどう評価するか』 日本経済新聞社 昭和58年
青木雄二監修『ナニワ金融道 カネと非情の法律講座』 講談社 1994年
森田章『インサイダー取引―證券市場と日本人』 講談社現代新書 1995年
港監査法人編『アメリカの証券市場・資金調達』 中央経済社 昭和62年
伊藤廸子『アメリカにおける不動産取引の手引』有斐閣 1989年
犬飼貴博『タックス・ヘイブン活用の実際』 日本実業出版社 昭和62年
高野孟編『マフィア経済の生態』 東洋経済新報社
K.S.カーティス『見えざる富の帝国』 講談社 1994年
M.モビアス『エマージング・マーケツトとは何か』 荒木隆司監訳 ダイヤモンド社 1995年
恩田饒『爆発するアジア金融パワー』 東洋経済新報社 1994年
G.ソロス『相場の心を読む』 深谷淳一訳 講談社 1988年
原題 ”The Alchemy of Finance " (金融錬金術)
多胡秀人『金融焦熱』―X Dayに向け試練本番が始まった シグマベイスキャピタル㈱ 平成9年
向壽一『金融ビッグ・バンン』 講談社現代新書 1997年
中西孝雄『ディレギュレーション』 金融ファクシミリ新聞社 1997年
厚生年金基金連合会編『21世紀の企業年金』 東洋経済新報社 1997年
亀谷祥治『国際分散投資』―その理論と実践― 財経詳報社 平成9年
井手正介・大場昭義『資産運用ビッグ・バンン』―金融改革への対応と戦略― 東洋経済新報社 1997年
G.T.ハイト、S.モレル『アメリカの年金・資産運用』 中央信託銀行投資調査部訳 東洋経済新報社 1998年
上坂郁『1ドル=180円「新円安」時代の幕開け』 ぱる出版 1998年
澤上篤人『超インフレがやって来る』 明日香出版社 1997年
高橋文利『経済報道』―検証・金解禁からビッグ・バンンまで 中公新書 1998年
高杉良『金融腐食列島』 角川文庫 平成10年
小塩隆司『市場の声』―政策評価機能発揮のために 中公新書 1999年
竹内宏『金融敗戦』 PHP研究所 1999年
堀内昭義『日本経済と金融危機』 岩波書店 1999年
朝日新聞経済部『経済危機』―21世紀システムへの道 朝日新聞社 1998年
H.カウフマン『カウフマンの警告』 佐藤隆三訳 オータス研究所 1986年
L.サロー『大接戦』―日米欧どこが勝つか 土屋尚彦訳 講談社 1992年
大崎貞和『インターネット証券取引の真実』 日本短波放送 1999年
浜田康行/沢田隆『邦銀ロンドン支店』―金融最前線の実像 東洋経済新報社 1992年
N.フェイス『秘密口座番号』―スイス銀行の秘められた世界 斎藤精一郎訳 日本放送出版協会 昭和58年
ユーロ・マネー誌編 『実戦・国際財務』
安田弘道『東京国際金融市場』 アイペック 昭和61年
堀坂浩太郎 『ドキュメント カントリー・リスク』 日本経済新聞社 昭和58年
J.ジーグレル 『スイス銀行の秘密』―マネー・ロンダリング 河出書房新社 1991年
山内英貴 『アジア発 金融ドミノ』 東洋経済新報社 1999年
三ツ谷誠 『実践IR』ー自社株マーケティング戦略 NTT出版 2000年

5.金融官僚
日本経済新聞社編『官僚』 日本経済新聞社 1990年
小尾敏夫『日米官僚摩擦』 講談社 1992年
佐和隆光『尊厳なき大国』 講談社 1992年
屋山太郎『官僚亡国論』 新潮社 1993年
三輪芳朗『金融行政改革「役所ばなれ」のすすめ』 日本経済新聞社 1993年
飛岡健『官製不況ー日本銀行が犯した七つの大罪』 ごま書房 1993年
大前研一『平成官僚論』 小学館 1994年
楠本博『日本の金融行政・官庁・金融機関』 東洋経済新報社 1994年
米田匠滋『平成金融恐慌が来る』 ダイヤモンド社 1994年
糸瀬茂/藤原用二『しのびよる平成金融大恐慌』 東洋経済新報社 1995年
大前研一『金融危機からの再生』 プレジデント社 1995年
宝島社編『大蔵官僚の正体』 宝島社 1995年
松下光志総編集『大蔵官僚の病気』 宝島社 1996年
中北徹/財部誠一郎『住専の闇』 朝日新聞社 1996年
テリー伊藤『お笑い大蔵省極秘情報』 飛鳥新社 1996年
久水/及能/吉野『裸にされた金融ニツポン』 経済法令研究会 昭和60年
斎藤精一郎『マネーウォーズ in USA―日本を襲う金融革命の嵐』 PHP研究所 1985年
及野正男『金融革命がわかる本―アメリカン・ストリーム』 ABC出版 1985年
佐高 信『バブル・パージ』 東洋経済新報社 1998年
安田隆二/川本裕子『日本金融再生への提言』 東洋経済新報社
木村芳文『金融不況を乗り越えて』 日本経済新聞社
日本経済新聞社編『銀行不倒神話の崩壊』 日本経済新聞社
塩田潮『大蔵省Vsアメリカ仕組まれた円ドル戦争』 講談社文庫 1994年
栗林良光『大蔵省銀行局』 講談社文庫 昭和63年
貝塚敬明・金本良時嗣編『日本の財政システム』―制度設計の構想 1994年 東京大学出版会
加藤寛・黒川和美編『政府の経済学』 有斐閣 昭和62年
糸瀬茂『なぜ銀行を救うのですか』―ポスト・ビッグバンの金融ビジネス 東洋経済新報社 1998年
吉田和男『官僚集権からの脱出』 1993年
有斐閣「ジュリスト」1999.7月1日号 特集・規制に係る意見書提出(パブリック・コメント)手続き
通商産業省:電気事業審議会「第6回基本政策部会・専門部会議事録」平成10年11月25日 (http://www.miti.go.jp/report‐j/g81125oj.html)
通商産業省:電気事業審議会「第15回基本政策部会・第34回料金制度部会 合同部会議事録」平成11年1月21日 (http://www.miti.go.jp/report‐j/g90121aj.html)
藤原弘達『官僚の構造』 講談社現代新書 昭和49年
真渕勝『大蔵省はなぜ追いつめられたのか』 中公新書 1997年
石澤靖治『ザ・MOF』―大蔵省権力とデモクラシー 中央公論社 1995年
憲法問題研究会編『憲法読本』上下 岩波新書 1965年
小林直樹『新判憲法講義』上 東京大学出版会 1980年
西村吉正『金融行政の敗因』 文春新書 1999年
神谷一郎『大蔵省財務官榊原英資氏の大罪』―円安誘導政策は誤りだ! アスペクト 1999年

6.厚生年金基金制度
厚生省:社会保険審議会厚生年金保険部会議事録(抜粋)「厚生年金と企業年金との調整」について 昭和41年ガリ版印刷
三井信託銀行年金信託部編『調整年金ガイドブック』 東洋経済新報社 昭和42年
P.F.ドラッカー『見えざる革命―来たるべき高齢化社会の衝撃』 佐々木実智男 /上田惇生訳 ダイヤモンド社 昭和51年
P.F.ドラッカー『非営利組織の経営―原理と実践』 上田惇生/田代正美訳 ダイヤモンド社 1991年
P.F.ドラッカー『イノベーションと企業家精神』 日本セルフサービス厚生年金基金 設立10周年記念国際セミナー
厚生年金基金連合会編『厚生年金基金・資産運用の手引き』 同連合会 平成6年
寺田 徳『企業年金の資産運用』 厚生年金基金連合会
寺田 徳『債券投資の実務』 厚生年金基金連合会
右谷亮次『企業年金マネーウォーズ』 企業年金研究所
右谷亮次『21世紀の企業年金』―決断する企業 企業年金研究所 1999年
渡辺俊介『年金と社会保障の話』 新潮選書 平成2年
バーコヴィッツ/フィニー/ローグ『企業年金運用評価の基礎』 日本公社債研究所訳 日本経済新聞社 1989年
山田正次『年金基金のための資産運用入門』 東洋経済新報社 1992年
K.P.アムバクシア『年金ALMと財務戦略』 金融財政事情研究会 1992年
F.J.ファボッツィ編『年金運用のリスク管理』 きんざい 平成5年
安田信託銀行編「今、年金資産の運用は信託なのか生保なのか?」
山崎元『年金運用の実際知識』 東洋経済新報社 1997年
M.N.Carter&W.G.Shipman『Promises To Keep』―Saving SocialSecurity's Dream REGNERY PUBLISHING,D,C. ’96
同上日本語要約版『果たすべき約束』―社会保障の夢を救う
小塩隆士『年金民営化への構想』 日本経済新聞社 1998年
堀勝洋『年金制度の再構築』 東洋経済新報社 1997年
浦田春河『401(k)プラン』―アメリカの確定拠出年金のすべて 東洋経済新報社 1998年
池田秀雄「資産運用管理者のための年金基金をめぐる法的問題点の解明」―受託者責任ガイドラインの把握から法的防御へ 企業年金研究所・企業年金マネジメント・スクール講演記録 1997年
浦田健一郎「企業年金制度改革に関する提言(私案)」 年金経営問題研究会第11回会議録
島田勲「国際会計基準と厚生年金基金の対応について」 単独連合厚生年金基金協議会資産運用委員会オープンセミナー 平成10年4月23日
十菱龍・山本誠一郎『年金基金が変える資産運用ビジネス』―アメリカ年金運用の潮流 東洋経済新報社 1998年
K.P.アンバクシア・D.D.エズラ『エクセレントな年金経営の条件』 三木隆二郎訳 金融財政事情研究会 平成10年
厚生年金基金連合会編『21世紀の企業年金』 東洋経済新報社 1997年
厚生年金基金連合会編『運用自由化時代の年金基金の資産運用』 東洋経済新報社 1999年
浅野幸弘・金子能宏編著『企業年金ビッグ・バンン』―グローバル・スタンダードからみた課題と改革 東洋経済新報社 1998年
厚生年金基金連合会:受託者責任研究会ワーキンググループ・「運用機関等の受託者責任」取りまとめ資料 平成11年12月21日 パブリック・コメント公開文書
単独連合厚生年金基金協議会「たん・れん」2000/3 VOL.135 特集(座談会)「運用機関の受託者責任に関する中間報告」まとまる
河村健吉『企業年金危機』―信頼回復と再生に向けて 中公新書 1999年
広井良典『日本の社会保障』 岩波新書 1999年
厚生年金基金連合会 受託者責任研究会『受託者責任ハンドブック(運用機関編)』 厚生年金基金連合会 2000年4月
箕輪和夫『年金プランスポンサーのための実践講座』―経営戦略から見た企業年金改革 企業年金研究所 2000年4月
  R.A.イポリット 『企業年金の経済学』―年金制度と生産性 みずほ年金研究所監訳 シグマベイスキャピタル 2000年




「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 15

2013年03月15日 | 厚生年金基金
・厚生年金基金の経営フレーム・ワーク資料集

・厚生年金基金規程集
・厚生年金基金の経営フレーム・ワーク
・制度絵図
・退職に際して、年金・一時金該当フロー図
・一時金、それとも年金?
・財政運営規程
・ABC厚生年金基金の組織体制
・ABC厚生年金基金の資産運用委員会規程
・ABC厚生年金基金の業務一覧
・資産運用マネジメント
・基金の資産運用鉄則
・ABC厚生年金基金資産運用基本方針
・戦略アセット・ミックス
・個社別ガイドライン
・運用管理規程
・受託者責任の概要
・四半期資産運用配分状況表
・平成11年度資産運用報告
・厚生年金基金のリスク管理(フロー図)
・厚生年金基金のリスク管理規程
・厚生年金基金のリスク管理規程様式集
・加入員等への情報開示取扱い基準
・加入員向けPCホ-ム・ペ-ジ環境(A4×100枚)
・福祉施設事業
・ライフプラン事業



厚生年金基金規程集

1.厚生年金基金規約
2.代議員選挙執行規程
3.理事、監事および理事長選挙執行規程
4.代議員会会議規則
5.理事会規程
6.監事監査規程
7.財務および会計規程
8.事務費掛金算定規程
9.給付規程
10.文書取扱規程
11.職員就業規則
12.職員給与規程
13.役職員旅費支給規程
14.職員退職手当規程
15.厚生年金基金規約細則
16.代議員および理事報酬補償規程
17.慶弔見舞金支給規程
18.弔慰金支給規程
19.保養所等利用補助金内規
20.住宅資金斡旋規程
21.保養所等利用補助金規程
22.社内報送付取扱内規
23.長寿祝金支給規程
24.遺児育英資金支給規程
25.教養文化奨励補助金支給規程
26.シニアーズクラブ会則
27.生きがい生活助成金支給規程
28.電子計算機処理データ保護管理規程
29.学識経験監事旅費内規
30.




財 政 運 営 規 程

平成10年3月24日第113回代議員会決定

第1章 総 則
(目 的)
第1条 ABC厚生年金基金(以下、「基金」という。)は、加入員および加入員であった者の年金および一時金の給付を、将来にわたって確実に履行するため、法令等に定めるところによるほか、この規程に沿った財政運営を行い、効率的な基金運営を計ることを目的とする。
(趣 旨)
第2条 この規程は、基金の財政運営に関して、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)、厚生年金基金令(昭和41年政令第324号)、厚生年金基金規則(昭和41年厚生省令第34号)、関係通知およびABC厚生年金基金規約(以下、「規約」という。)に定めるもののほか、必要な細目を定めるものとする。

第2章 継続基準による財政運営
(基本方針)
第3条 財政運営にあたっては、基礎率の将来変動を織り込まずに掛金設定することを基本とし、基礎率の将来変動によって発生する過不足については、実際に発生し確定した段階で、速やかに対応することにより不健全にならないよう留意する。
  また、加入員および加入員であった者の受給権を保全するため、年金資産の額が最低保全給付を支給するために必要な原資の額を下回らないよう留意する。
(財政方式)
第4条 財政方式として、基本部分は開放基金方式、加算部分は加入年齢方式を用いる。
(基礎率の設定)
第5条 基金の基礎率を設定する際は、次の各号によらなければならない。
(1) 経済的要素に関する計算基礎率は、予定利率を使用し、その利率は年5.5%とする。
予定利率決定に際しては、基金資産運用の基本方針に基づく保有資産の長期期待収益率とリスクとの関係に留意し、母体企業の掛金増加への対応能力を考慮して見直すものとする。また、決定にあたっては、年金数理人、証券アナリストなどの専門家の助言、基金で採用している予定利率の分布統計など利用できる情報をできるかぎり多く参考にするとともに、代議員会において予定利率決定の根拠について十分な説明と情報開示を行うものとする。
(2) 予定死亡率
加入員以外の死亡率は、男子、女子ともに財政運営基準に示されている標準的な死亡率を用いる。
(3) 予定脱退率
原則として過去3年間の実績に基づく年齢別脱退率の平均を用いる。ただし、平均脱退率が低下傾向にあるときはその傾向を勘案する。
(4) 予定昇給率
財政計算の基準日における実績に基づく年齢別加入期間別昇給率の平均を用いる。ただし、賃金水準が上昇傾向にあるときはその傾向を勘案するかについて検討を行う。
(5)新規加入員の見込み
原則として以下の通り取り扱う。
(ア) 加入年齢は、過去3年間の実績に基づいて決定する。
(イ) 加入員数および加入時給与は、基準日の加入員の実態および過去3年間の実績に基づいて決定する。
(資産の配分)
第6条 財政計算における資産配分は、保有資産から別途積立金を控除した額をまず基本部分に充当し、残額を加算部分に充当する。
(別途積立金の処分)
第7条 決算の結果生じた不足金に充当するほかは、原則として年金経理に留保する。
(過去勤務債務の償却)
第8条 過去勤務債務は、元利均等償却(定率法)により20年以内に償却する。
(資産の評価)
第9条 財政運営上の資産の評価は時価による。
(財政検証)
第10条 年度末における不足金が、標準給与総額(3月末数値×12)に20年の確定年金現価率12.279と千分の4.8(5/1000に<準実額プラスアルファ%+100>/130を乗じた率)を乗じた額を上回ったときは、変更計算を行って掛金を見直す。

第3章 非継続基準による財政運営
(最低保全給付を支給するために必要な原資の確保)
第11条 財政再計算の際には、次の財政再計算までの間の最低保全給付を支給するために必要な原資である最低積立基準額を推計し、常にその資産額を確保できるよう留意する。
(財政検証)
第12条 年度末において資産の時価評価額が最低保全給付を支給するために必要な原資(平成13年度までは、当該原資に0.9を乗じた額)、または最低責任準備金の1.05倍を下回ったときには、翌々事業年度4月から7年以内に回復するよう、掛金の引上げを行う。
(選択一時金の停止)
第13条 第12条に定める基準に満たないなど積立て水準が低下している場合は、選択一時金を停止することを検討する。

第4章 指定年金数理人
(指定年金数理人)
第14条 指定年金数理人については、次の各号に掲げる事項に留意して指定を行う。
(1) 中立性、独立性
(2) 年金数理人としての経験
(3) 説明ぶり
(4) 所見の内容
(5) 担当基金数
(財政診断のための情報提供)
第15条 基金は、指定年金数理人が適切な財政診断を実施できるようにするため四半期
業務報告書のほか、必要に応じて母体企業や業界の状況についても情報提供を行う。
(意見書)
第16条 基金は、指定年金数理人が行う継続的な財政診断において、掛金見直しが必要である旨の意見書が提出された場合、速やかに厚生省に提出する。

第5章 財政運営規程の見直しおよび意思決定
(規程の見直し )
第17条 この規程は、財政計算ごとに、基金の状況や社会経済情勢を踏まえて、見直すこととする。
(意思決定)
第18条 財政運営に関して意思決定をする場合には、代議員会において、指定年金数理人や学識経験監事の意見を書面で提示して、議決を経なければならない。

第6章 情報公開
(各種報告書の公開)
第19条 基金は、基金の財政運営に関して厚生大臣に提出する報告書は、加入員および加入員であった者、ならびに事業主からの求めがあった場合には、基金の事務所においてすべて公開する。
(加入員等に対する報告)
第20条 毎年、前事業年度の決算の結果のうち次の各号に掲げる事項については、基金の広報誌等に掲載して加入員等に報告する。
(1) 貸借対照表
(2) 損益計算書
(3) 数理債務、責任準備金、最低積立基準額
(4) 財政再計算結果
(5) 資産運用基本方針
(6) 資産運用状況


附 則
この規程は、平成10年3月24日から施行する。




資産運用委員会規程

平成9年6月19日第108回代議員会報告

(目 的)
第1条 平成8年4月に従来の運用機関毎の運用規制が撤廃され、基金が全体資産配分を行えることになり、本格的な資産運用が始まることになった。
この新資産運用は、各事業主に与える経済的影響が大きくなり、有価証券運用、国際分散投資等のためリスク管理が重要となる。更に、専門性、機動性が高まり運用責任の度合いも高まったので、資産運用委員会を設置して対応する。
(根 拠)
第2条 当該委員会の取扱いについては、当基金の代議員会規程第4条から第10条の規定による。
(委員会の内容)
第3条 代議員会議長(理事長)の指名により、委員を指名する。
第4条 委員の互選により、委員長・副委員長を選出する。
第5条 委員会は代議員会議長(理事長)の許可を得て、参考人(コンサルティング会社等)の出席を求められる。
第6条 委員長は委員会の経過・結果の報告を代議員会に行う。
(委員会の役割)
第7条 委員会は次の各項目について調査・答申等を行う。
1 運用体制の方針策定
2 運用基本方針の策定・答申
3 資産運用配分の調査・答申
4 四半期毎の運用状況調査
5 委託運用機関の選定・罷免に関する立案
6 その他資産運用に関する重要事項の調査。答申
(委員会の構成)
第8条 委員会の構成は次の通りとする。




(委員会の開催)
第9条 委員会は定例開催と随時開催を次の通りとする。
1 定例開催は毎年12月に開催する。
2 随時開催は四半期毎又は必要の都度開催する。
(会 計)
第10条 この委員会の諸経費は基金の業務経理・業務会計で支払う。
(事務局)
第11条 この委員会の事務局は基金の運用担当職員が当たる。


(附 則)
(施行期日)
第1条 この規程は、平成9年4月1日から適用する。


ABC基金の資産運用マネジメント




ABC厚生年金基金資産運用基本方針

平成6年2月10日第96回代議員会決定
平成10年3月24日第113回代議員会決定
平成10年9月16日第116回代議員会決定
平成12年6月27日第21回資産運用委員会決定
平成13年1月15日第23回資産運用委員会決定


1.目 的
ABC厚生年金基金(以下、「ABC基金」という。)の資産運用の目的は、将来の年金受給権の確保と加入員ならびに年金受給者等の年金給付水準ならびに福祉向上のために最も合理的かつ効率的な資産運用を図ることであり、許容できるリスクのもとに長期的にみて可能な限りの収益の最大化を目指すことで掛金負担を減らし加入事業所の財務コストを軽減することである。

2.期待収益率
(1) ABC基金の給付形態は確定給付型の加算型であり、業務委託形態ⅠA型で業務委 託している連合型の基金である。
(2) 負債特性分析
ABC基金では、基金の目標達成のため、最善の予測を財政シミュレーションで行い、基金にとって最適な積立金の算出を行うため年金ALMを実施した。 その結果、ABC基金の掛金収入額と年金給付額は今後数年で同額になり超えていくことが見込まれている。
(3) 目標収益率
財政シミュレーションの結果、繰越不足金が発生することのない最低必要実質利回りは年5.30%、各年度で剰余金が発生する財政安定実質利回りは年5.95%となった。
   また、年金ALMの結果を考慮してABC基金の単年度の経営要最低実質利回りを次の通り6.20%と設定する。




(4) 期待収益率
 ABC基金は平成6年度決算の結果、設立以来始めて総資産と責任準備金が同額となる財政状態になっている。このため、当面は期待収益率6.20%目標で不足金発生を押さえつつ5・3・3・2規制撤廃を受けて剰余金を生み出す方向へ体制を整え、長期期待収益率9.00%を目指す。
(5) 標準偏差
    前項の期待収益率を達成するには所要のリスクを負担しなければならないが、年度開始に当たり標準偏差による統計な下落予想額を承知し、資産運用委員会等に周知する。
(6) 運用の考え方
1. 慎重な運用者として年金受給権確保のため分散投資を実行する。
2. 従来運用のローリスク・ローリターン(債券運用)を改め、年金給付額が掛金額と運用収益の合算額を上回らない間は、多少リスクを取り高収益狙いの運用を行う。
3. 平成12年度よりパッシブ運用機関とアクティブ運用機関等を鮮明にする。

3.資産構成の決定
(1) 政策アセット・ミックス
1. ABC基金は次の政策アセット・ミックスで当分の間資産運用を行う。
2. 各運用機関はこの政策アセット・ミックスを基本とした基金全体の資産配分(戦略アセット・ミックス)で複合ベンチマークを上回る収益を目標とする。
3.この政策アセット・ミックスの資産配分・資産クラスは運用執行理事等の報告・提案により資産運用委員会等で協議して見直すものとする。




(2) 戦略アセット・ミックス
イ.ABC基金は、各運用機関等の意見を聴取したうえで資産構成およびその運用方法等につき戦略アセット・ミックスを決定する。
ロ.各運用機関は別に定めるところによる戦略アセット・ミックス(別紙1)にて資産運 用を行う。
ハ.上下許容巾の調整は、都度運用執行理事が諸般の事情勘案のうえ実行する。
ニ.戦略アセット・ミックスの見直しは、運用執行理事等の報告・提案により資産運用委員会で協議して行なう。
ホ.市場対応の機動性はパッシブ運用機関で行なう。
(3) 個社別ガイドライン
イ. 各運用機関は別に定めるところによる個社別のガイドラインにて運用を実行する。

4.運用上の遵守事項
(1) 分散投資に努めること。
(2) 運用機関の担当者の交替はABC基金の了解がなければ行わないこと。
(3) 運用目的が明確なファンドのみを運用対象とすること。
(4) 有価証券の売買回転率は極力抑制すること。
(5) 買占め等の仕手戦には参加しないこと。
(6) 信用取引は行わないこと。
(7) 為替のヘッジは経験豊富な運用機関で機動的に対処し、先物の使用も検討すること。
(8) 金融派生商品の「売りオプション」のみは使わないこと。両建ては検討すること。

5.運用業務に関する報告の内容および方法
(1) 運用機関等報告の内容
イ. ABC基金は6営業日までに月次の資産運用に関する報告書の提出を運用機関に求めるものとする。
ロ. ABC基金は8営業日までに四半期ごとの資産運用に関する報告書の提出を運用機関に求めるものとする。
ハ. 前項のほか、資産運用に関してABC基金から求められた場合には運用機関はその指示にしたがって報告を行う。
ニ. ABC基金は(株)格付投資情報センターに資産運用評価を依頼しているので、各運用機関は月次データを翌月20日頃を目処に直送すること。
(2) 報告会の方法
イ. ABC基金は運用機関と原則として四半期ごとに資産運用に関しABC基金事務所で「報告会」を行い、運用に関する当面の重要事項について協議を行うものとし、協議内容を勘案し運用について指示することがある。
(3) 委員会報告
イ. 運用執行理事等は、資産運用状況について資産運用委員会に報告しなければならない。
ロ. (株)格付投資情報センターは、分析・評価の結果を資産運用委員会に報告しなければならない。

6.資産運用の評価
(1) 財政運営上の資産評価
ABC基金の財政運営上の資産評価は時価による。
(2) 資産運用評価
資産運用評価は定性評価と定量評価をウェイト付けした総合評価で行う。




(3) 定性評価
定性的要素(経営、人材、運用プロセス等)、運用チーム、組織としての適性、ディスクローズ、サービス、運用手数料等の評価を他の運用機関との相対評価で行う。
(4) 定量評価
イ. 株式、債券、転換社債、外国株式および外国債券等の個別資産の運用成績の評価は、時価を基準にして四半期ごと並びに年間の時間加重収益率によって個別資産ごとに市場における収益率であるベンチマークとの比較を行う。
ロ. 各運用機関の資産全体の運用成績の評価は、時価を基準にして四半期ごと並びに年間の時間加重収益率によって個別資産ごとのベンチマークを資産構成比に応じて組み合わせた複合ベンチマークとの比較によって行う。また、ユニバースによる評価、トラッキングエラー・インフォーメーションレシオ等も参考とする。
ハ. ABC基金全体の運用成績は、上記2.の(3)の目標収益率中、基金経営要最低実質利回り6.20%を参考とする。
ニ. ベンチマークは、個別資産ごとに次の指数等を用いる。




ホ. シェア変更等
・定性評価に定量評価をウェイト付けした総合評価により、資産シェアについては5年を原則とし、掛金シェアについては3年を原則として変更する。ただし、次期の運用成績に著しく問題がある場合、または資産保全等の観点から緊急に対策を打つ場合等においては、直ちに変更することもある。
・掛金シェアは原則として資産シェアに対応する。ただし、総合評価が悪化した場合は変更する。
・ 給付専用ファンドは使用しないで、給付シェアにより行う。

7.リスク管理
   ABC基金の資産運用に関わるリスク管理は、別に定める厚生年金基金リスク管理規程に基づいて行なう。

8.その他
(1) この基本方針を変更する場合は、ABC基金から運用機関に対して変更する事項を文書で示すことによって行う。
(2) ABC基金および各運用機関は、ABC基金の年金資産に対して同様の受託者責任を負うものであり、運用収益の追及という目標を共有している。資産運用に最適の努力を傾注し、運用成績を高めることの意義は両者共通のものである。
この意味において、信頼感によるパートナーシップに基づく良好な協力関係が両者の所期の目的を達成するために不可欠である。


附 則
この資産運用基本方針は、平成6年4月1日から適用する。

附 則
この資産運用基本方針は、平成10年4月1日から適用する。

附 則
この資産運用基本方針は、平成10年10月1日から適用する。

  附 則
この資産運用基本方針は、平成12年7月1日から適用する。

  附 則
この資産運用基本方針は、平成13年1月1日から適用する。




厚生年金基金リスク管理規程(案)

                     平成13年2月 日第128回代議員会決定

(目 的)
第1条 ABC厚生年金基金(以下、「基金」という。)は、設立趣旨である年金給付を長期安定的にしかも確実に達成することを目的にして、リスク管理の最良執行を図るための組織的取組みの一環として、各種リスクに対する意思決定過程の透明性確保の文書化を計ると共に理事等の職責と権限とを明確にする等のため、基金のリスク管理を規定する。

(当該規程の位置付け)
第2条 当該規程は、平成9年前後に発生した本邦金融機関の不祥事に際して基金の原資産保全が危惧された事態に学習し、経済のグローバル化の進展と国際会計基準の本邦導入等に伴なうボラティリティ増進の経済環境を見据えてリスク管理が要請される事態を受け企画した。 このため、現段階での厚生年金基金のリスク管理の第一歩として、理想には程遠いが平易な形で定性的にリスクに対処することとし、受託者責任の観点から基金関係者にリスクに対する<注意喚起>を行なうことを主眼としている。 よって、専門的、金融工学的な定量管理等は後日の課題とし、切磋琢磨な試行錯誤の積み重ねによりおいおい改良されていく類いの規程と位置付ける。

(厚生年金基金のリスク)
第3条 基金は、設立趣旨である年金給付を確保するため、①加入員等のデータ管理、②年金等の確実な給付実行、③福祉・広報の展開、④原資産保全、⑤資産運用等の事業を行うが、これらに関わる様々なリスクに常時晒されていることを認識しつつ、基金の基盤を揺るがす「年金給付不能リスク」に対処する必要がある。
2 年金給付不能リスクのひとつ、「原資不足リスク」には、掛金不足リスク、負債変動リスク、資産・負債ミスマッチリスク、資産運用リスク等々が考えられる。
3 年金給付不能リスクのいまひとつ、「給付不可リスク」には、信用リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク、リーガルリスク、コンプライアンスリスク、カストディアンリスク等々が考えられる。

(リスク管理の考え方)
第4条 基金は、厚生年金保険法、基金規約、厚生年金基金連合会の『受託者責任ハンドブック(理事編)』等に準拠しつつ、忠実義務達成のため基金にとり好ましからざる事態を好ましい方向へ「制御」し、注意義務達成のため制御し得ない事態の発生を「監視」し続け、これらが実際に発生した場合には適切な対策が打てる体制を構築しておき、被害を回避または最小限にして、株主や加入員等の負託に応えなければならない。

(リスクに対する理事等の職責・権限)
第5条 理事長は、設立趣旨達成のため基金のリスクに全面的に対処し基金を統治する。
2 常務理事は、資産運用リスクの管理のほかに、財政上のリスク、並びに業務執行上のリスク等を管理する。
3 運用執行理事は、資産運用の基本である「分散投資」義務を達成しつつ、資産運用リスクを専務する。
4 運用執行理事は、受託者責任の忠実義務・注意義務達成のために、「熱意を有するもの」(年発第4187号・平成10年10月14日・厚生省年金局長)として、法制、財政、行政、会計等の動向を掌握し、金融理論・金融工学等の研究・研鑚に励み、研修会・研究会等へ積極的に参加し、インターネット・読書等々を通じて自ら情報収集に務めると共に、コンサルタント等の他の人から適切な助言を求め、リスク管理ツールを駆使する等して、最新の情報を理事長等へ報告する義務を負っている。
5 事務長は、職員を督励し最良執行義務に基づき業務運営を行い、リスク管理に関する基礎的データを運用執行理事等に報告する。
(基金の情報収集)
第6条 基金は、受託者責任をまっとうするために、行政・厚生年金基金連合会・各種協議会・数理人・監査人・内外金融機関・コンサルタント・他の厚生年金基金・母体企業等から情報収集を図ると共に、厚生年金基金連合会発行の「企業年金」、格付投資情報センター発行の「年金情報」、日本経済新聞社発行の「日経金融新聞」等を購読し、インターネット・Eメール等を駆使する等して、情報収集を常に、そして終わることなく努めなければならない。

(資産運用リスク以外のリスク監視)
第7条 常務理事は、資産運用リスク以外のリスク監視のため簡便な「厚生年金基金リスク監視表」(様式第1号)を作成し、四半期毎に理事長に報告しなければならない。
2 常務理事は、各項目についてコメントを付し、裏付け資料を添付して報告する。
3 帳票中の評価は、良好(〇)、疑問(△)、不可(×)の3区分で行なう。

(資産運用リスクのリスク監視)
第8条 運用執行理事は、資産運用リスクのリスク監視のため簡便な「厚生年金基金リスク監視表」(様式第2号)を作成し、四半期毎に理事長等に報告しなければならない。
2 運用執行理事は、各項目についてコメントを付し、裏付け資料を添付して報告する。
3 帳票中の評価は、良好(〇)、疑問(△)、不可(×)の3区分で行なう。

(資産運用リスク管理の方法)
第9条 基金の資産運用における資産配分については、「分散投資」義務を第一義とし、市場予測のタイミング狙いや一局集中投資とか政策運用等の行動は受託者責任上、慎重さに欠けるところとなり注意義務・忠実義務に反し「任務懈怠理事」とされ損害賠償責任を求められる恐れもあるので厳に慎まなければならない。このため、常務理事は基金の資産運用や受給権保護等に関する受託者責任について抵触の恐れがある場合や理事等の就任に際して、母体企業、理事長、資産運用委員会、代議員会等々に常に啓蒙し続けるのとは別に、理事等の賠償責任保険付保を必要とすることがないように理事等の職責に齟齬が生じないようにするため意見具申を文書(様式第3号)で行い受託者責任の認識を高める義務がある。
2 基金は、受託者責任を全うするため資産運用に関するリスク管理を、リスク管理フォーラムの「リスク管理ガイドライン」等に準拠しつつ、金融市場環境等の制御不能リスクに注意義務に則って前条により監視すると共に、制御可能リスクについては忠実義務に則って管理し、資産運用の効率化と原資産保全の万全を期すこととする。
3 制御可能な資産運用リスクは、当面、次の項目について基金が管理する。
イ.政策アセット・ミックスレベル(リセット)
ロ.戦略アセット・ミックスレベル(リバランス)
ハ.総合評価(委託先運用機関等の採用・解約・シェア変更等)
ニ.金融派生商品等の事前審査
4 これとは別に、各四半期ごとに資産運用委員会に基金委託業者㈱格付投資情報センターを出席させ、当該四半期の資産運用に関する分析・評価の結果について第三者の意見具申を行なわせ、資産運用リスク管理の万全を期すこととする。

(資産運用リスク管理表)
第10条  前条第3項①並びに②の目的達成のために、政策アセット・ミックス(原資産保全上の処置)レベルと戦略アセット・ミックス(資産配分許容巾内への調整)レベルのリスク管理のために汎用性と実効性を希求して作成した「資産運用リスク管理表」(様式第4号)を使用する。

(事務的判断)
第11条  前条の「資産運用リスク管理表」は、年度内リスク管理の一環として、リセット並びにリバランスが必要か否かを事務的に判断するために使用する。
2 この帳票は、基金事務局作成の「月次・四半期資産配分状況表」並びに「月次ベンチマーク指標推移」等に異常値が発生した際に運用執行理事が作成し、理事長、常務理事並びに資産運用委員会等に報告し、併せて、評価が不可(×)となった場合には運用執行理事は変更案を提案しなければならない。
3 帳票中の「時価下落率」は、各資産クラスの過去10年の標準偏差下振れリスク値で代 替する。
4 帳票中の市場指標制限巾は、各資産クラスの期初市場指標に標準偏差を乗じて「下値制限」と「上値制限」について算出を行なう。 
5 帳票中の市場指標制限巾の「上値制限」を超えた場合、 市場下落局面という認識で運用執行理事が資産運用委員会等に注意喚起の報告を行なう。
6 帳票中の時価並びに市場指標は、期初数値を基準にして作成する。
7 帳票中の「戦略AM」・「許容巾」は、当該帳票作成時の戦略アセット・ミックスの諸数値を使用する。
8 帳票中の評価は、良好(〇)、疑問(△)、不可(×)の3区分で行なう。
9 この帳票は、汎用性を主として作成しているので、 専門的な金融技術・手法に関する部分は個別の事案で運用執行理事が検討する。

(資産運用総合評価取扱い基準)
第12条  第9条第3項③の目的達成のために、平成10年5月22日付資産運用委員会決定の「資産運用総合評価取扱い基準」をこの規程に取り込むこととする。

(資産運用総合評価表)
第13条  「ABC厚生年金基金資産運用基本方針」(以下、「基本方針」という。)の6.(2)資産運用評価における「総合評価」の客観性、透明性確保のため、以下の通り定め実施する。
2 基本方針における6項目について、各項目ごとに1(悪い)点から5(良い) 点の常識的な評価を行い、各項目ごとのウェイトを乗じた指数を求め、その累計値を5で除した数値を総合評価(期待達成率)とする。
3 運用執行理事が各項目ごとに入手出来る限りの情報を勘案し、運用機関の業態内で評価期間中の相対評価を行い評価点を付与し作成、最終的に資産運用委員会の同意を得る。
4 総合評価が60.0%以上(総合評価格付けA)を委託適格とし、60.0%に達しない場合は委託不適格とする。60.0%から40.0%の場合(総合評価格付けB)は資産シェア等の変更見直しを行う。更に、40.0%以下の場合(総合評価格付けC)は資産運用委員会に報告し解約等を検討する。
5 新規に運用機関を採用・委託する場合、総合評価を事前に行い、60.0%以上が見込まれることを確認する。
6 この総合評価を実施する場合は、運用執行理事が「資産運用総合評価表」(様式第5号)を作成し、理事長等に報告する。

(金融商品等事前審査)
第14条  基金一般において特化運用の進展と共に資産運用が高度化してきているのと新たな金融派生商品等の採用が始まってきたが、これら新商品等はリスクが内部に人知れず秘匿されているのが一般であるので、受託者責任の忠実・注意義務の観点から新規の運用機関並びに運用商品等を採用するに際しては十全な事前精査(デューディリジェンス)を行なわなければならない。
2 第9条第3項④の目的達成のために、前項の金融商品等を基金の資産運用に採用するに際しては、運用執行理事は「金融商品等事前精査表」(様式第6号)を当該運用機関に聴取し、「金融商品等選択審査表」(様式第7号)を作成し、その結果を「資産運用総合評価表」(様式第5号)で評価したうえで資産運用委員会に報告し、委員会等の協議を得るものとする。

(リスク管理に関する情報開示)
第15条  理事長等は、事業主に対し、定期的に、又はその求めに応じて、リスク管理に関する情報を提供しなければならない。
2 常務理事は、代議員会に対し、リスク管理に関する情報を、正確に、かつ、わかりやすく報告しなければならない。
3 常務理事は、加入員等に対し、基金のホ-ム・ペ-ジ等を使ってリスク管理に関する情報を、的確に、かつ、わかりやすく提供しなければならない。
4 運用執行理事は、資産運用委員会に対し、社内イントラを使って月次の資産運用状況等を報告しなければならない。
5 情報開示は、受託者責任執行の観点からコンプライアンス的に行なうのではなく、むしろ情報発信という基金のポリシーから行なわれることが望ましい。


  附 則
この厚生年金基金リスク管理規程は、平成13年1月1日から適用する。




加入員等への情報開示取扱い基準

平成10年10月1日
ABC厚生年金基金

1.開示の基準
当面、厚生年金基金連合会:受託者責任研究会の「開示すべき事項」を開示し、「開示が望ましい事項」は順次取り扱う。
2.開示すべき事項
ア ABC基金制度の内容
イ 資産運用状況
ウ 財政状況
エ 各個人に対する年金受給額
オ 理事会・代議員会の会議録
3.事例
ア ABC基金制度の内容
1.規約 2.概要
イ 資産運用状況
1政策アセット・ミックス 2基金全体の資産構成・運用収益率 3資産毎の運用収益率・ヘンチマークの収益率 4複合ヘンチマークの収益率 5資産運用関係規程
ウ 財政状況
1各会計の貸借・損益計算書 2各財政指標 3監査報告 4数理人財政診断
エ 各個人に対する年金受給額
1年金相談計算書フォーム(55歳以上希望者には電話等で受付けて個別に配布)2加入員台帳フォーム(55歳未満希望者には電話等で受付けて個別に配布)3年金・一時金請求書フォーム 4制度の仕組み図 5給付図 6年金受給者訃報 7遺児育英資金受給者リスト 8年金ライフプランセミナー予定
オ 理事会・代議員会の会議録
1代議員会の会議録
4.情報開示のツール
ア ABC基金広報誌「めんばぁ」
イ ABC社内パソコン「掲示板」
5.担当者
ア ABC基金制度の内容……常務理事
イ 資産運用状況………………事務長
ウ 財政状況……………………………常務理事
エ 各個人に対する年金受給額………M職員
オ 理事会・代議員会の会議録………A木職員
6.情報開示承認
開示内容については、常務理事の承認を必要とする。
7.開始時期
平成10年10月1日



基金の福祉施設事業

平成12年4月
ABC厚生年金基金

【加入員向け】
1. 弔慰金制度(S.52年度開始)
   加入員(3年以上加入)死亡のとき、ご遺族に1万円支給。
2. ライフプラン事業(S.61年度開始)
   加入員が55歳到達時に、老後の生活設計をお考え頂く機会を提供します。
3. 遺児育英資金制度(S.62年度開始)
   加入員死亡のとき、その子の義務教育期間中、月額5千円支給。
4. ホ-ム・ペ-ジの開設(H.11年度開始)
   年金制度・基金制度の仕組み・資産運用等の情報を提供。

【年金受給者向け】
1. 年金受給者「住所録」の有料配布(S.54年度開始)
   全受給者(失権者も掲載)の住所録を発行。
2.手作り広報誌「めんばぁ」の配布(S.55年度開始)
   ABC基金の事業展開を広報。
3.弔慰金制度(S.61年度開始)
   死亡届受理時に、ご遺族に1万円支給。
4. 長寿祝金制度(S.61年度開始)
   年金受給者の古稀を祝って、誕生月に5千円を支給。
5. 斡旋窓口(S.61年度開始)
   退職後も会社とのつながりを作るため「日産車」「引越し」「保険」等斡旋。
6. シニアーズクラブの運営(S.62年度開始)
   年1回「集い」を開催し、受給者同士の交流の場を提供。
7.レター「お元気ですか?」の配布(H.9年度開始)
   誕生月の現況届提出のご案内に同封、受給者と事務局の交流の一環。




ラ イ フ プ ラ ン 事 業

平成12年4月1日
ABC厚生年金基金

ABC基金では、加入員の皆さんが定年を迎えられ年金を請求されるときのお手伝いを、下記の通り行っております。


1. 厚生年金受給資格の確認(加入員が55歳になったとき)
   加入員各個人の厚生年金の加入期間等を社会保険庁に問い合わせ、厚生年金受給資格を確認します。

2. 年金相談計算書の作成
   社会保険庁より入手した個人データをABC基金のコンピューターに入力し、厚生年金と基金の60歳到達時点の年金見込額を計算します。

3. ライフプランのご案内(55歳+3ケ月後)
   ご夫婦等で、老後の生活設計をお考え頂くため、下記資料をお送りします。
1年金相談計算書
2ライフプラン参考資料

4.年金請求ご案内(60歳誕生月の前月)
  厚生年金と基金の年金請求のご案内をします。

5. 定年退職者説明会(60歳誕生月の原則最終日)
   ㈱ABCの場合、本社で、人事・健保・基金が雇用保険・健康保険・年金等の事務手続を説明。関係会社の場合、各総務が対応します。 

6. 年金受給開始
   偶数月15日に年金が振り込まれ、「イーナ・ローゴ」な年金生活が始まります。  




(以下一部省略)






「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 14

2013年03月14日 | 厚生年金基金

チ.顔の見える年金基金
国の年金の代行分と企業の功労報奨的退職金によって組成されていた厚生年金基金の年金は、もともと上述してきたとおり構造的に統制色の強い制度でしたのであります。それに加えて30年余も経過すれば、制度は官僚的にならざるを得ないでありましょう。ここは、厚生年金基金は抜本的に<人様のお金>の要請に基づき自らの統制色を拭い去って制度インフラの面で「顔の見える厚生年金基金」に変貌する必要がありますし、そういう社会的要請を受けていると言えるでありましょう。併せて、行政と企業の片隅にひっそりと生き延びてきた境遇を自ら改め社会に対して情報発信の<発言する基金>に変貌し「顔の見える年金基金」たるべきでありましょう 。
 更に、この延長線上に、積み上がったストック(60兆円、半分は代行分)の<人様のお金>の資産保全、並びに時価資産の極大化等を達成すべく、つまり受託者責任の最良執行を達成するために、革命的な基金経営のトータル・プランを確立することが求められるでありましょう。




・日本の年金積立金、ほぼ280兆円の<人様のお金>にたいして、基金は効率的な資産運用のモデルを提供すべき水先案内人の位置にいます。
・平成11年度の基金平均の資産運用利回りはおおよそ12%であったようですが、280兆円の<人様のお金>に乗じると33.6兆円の資産運用収益が想定されます。対GDP比7%程になります。
・同じく、基金の代行分30兆円に予定利回り5.5%を控除した残余の6.5%を乗じると平成11年度の実収益は2兆円弱となります。代行返上ができなくなるほどの金額であります。返上論者はこの事実を何と考えるのでしょう。
・<人様のお金>は効率市場達成のインセンティブを持っています。更に、統制を排除し、イニシアティブを奪い取るインセンティブを併せ持っています。
・基金は、市場に対して効率市場形成に向け発言すべきですし、資産運用機関等に対しては良質な金融サービスを要請すべきです。これが受託者責任を果たすうえで最重用課題です。
・過去に再々見られたことですが、アンフェアであったり、政府のPKOに協力したりするような運用機関等に資産運用を委託することは受託者責任の観点からは排除されるべきことと認識すべきです。
・市場にアン・フレンドリーであったり、株式持ち合いにより流動性を疎外したりする個別銘柄には投資できないことを鮮明にすべきです。或いは、ちなみにROE5%以上かつPER30%以下の株式でなければ投資しない程度の基金の資産運用ポリシーが必要です。
・厚生年金基金は30年余の経過のすえにすっかり官僚的になっている部分(例えば、「顔の見えない基金」と言われる制度的インフラ)を、全面的なディスクローズによって顔の見える状態に改めなければなりません。
・基金は、Web等を使って、髄時に、加入員等に財政情報を提供し、個人に年金額を示すなどして、あるいはハイブリッド等の刷新を加えることの更に向こうに望見されるものによって「顔の見える基金」に変貌すべきです。



ロッキィーズ物語

・2000年夏の高校野球

ロッキィーズ卒業後も中学・高校と野球を続けた少年たちは数多くいたが、チー
ム最後の優勝経験をした少年たちが今年は高校3年生で、4人が出場するとN部長
から連絡があった。
全国最多の207校出場、最大の激戦地、神奈川県の夏の大会が始まった。鎌倉
学園のH、慶応高校のS、湘南高校のMとS達の活躍を期待して、コーチ達の追っ
掛けもこれで最後となるのだろう。

終り




・ 基金は、過去の蓄積された経験、資産運用のインフラ・ノウハウ等を加入員等に資産運用啓蒙の一環として提供すべきです。
・基金は、インハウス運用等の資産運用モデルを確立し、日本の資産運用文化にフロント・ランナーとして貢献すべきです。
・基金は、<人様のお金>の機関投資家として、政府・行政・市場・企業・業者等に活発に前向きな発言をすべきです。倫理の方向付け、市場活性化の推進、人心の刷新等々が可能な資質を持っているのです。社会・経済のインフラストラクチュア組成に貢献できるパワーを秘めているのです。


(3)ビジョンのメッセージ

イ.行政と企業への第三の目
厚生年金基金制度は、その生い立ちにおいて、国の社会保障制度の一端を民間活力の活用で担うのと企業退職金の合理化の促進との<調整>を果たすというビジョンのもとにスタートしました。
しかし、30年余経過して双方ともストックの積み上げという果実は得たものの自らの初志の貫徹は、ビッグ・バンン等の外部勢力(規制緩和や退職給付債務会計等)により末達成に終わらされています。この間、設立された1850余の基金は30年余行政と企業の間に立たされ、双方からの統制的統治の影響を全面的に受けながら双方の<自分たちの金>扱いによる使い勝手に翻弄されてきました。そもそも基金は双方のニーズによって組成されたものであって、<人様のお金>をバックに基金自らが自己主張を始めるというのは想定外のことであったでしょう。
だが、幸いなことに行政と企業をその特殊な基金の立場から第三者的に見ることだけは可能でした。そこに、行政と企業を見据える渦中にあらざる者の第三の目としての基金が存在し得たのです。この第三の目で行政の裁量の実態(例えば、透明性を遺棄しましたブラック・ボックスの横行等)も企業の剽窃の実態(例えば、株式持ち合い等による本来の株主権の収奪等)も観察することが出来たのですし、それらが実は官民の統制思考で構造化されていることも明察出来たのです。

ロ.官民の統制思考
その意味では、日本経済のバブル崩壊に伴う10年に及ぶ長期低落経済の真因は、戦前・戦後を通じて行われてきた官民の統制思考が暗礁に乗り上げ身動きできない状態になりましたことにあるのでしょう。また、インモラルの極みである現代日本の倫理欠落も、この統制思考が社会全体に被いかぶさり、ただただ<上からの指令>を待つだけの自己放棄型人間、自分で考えることを放棄した者の他者依存を蔓延させてきた結果でしょう。官民共に、国民と従業員を統制統治のファッシズムで抑え込んできたのです。経済復興と会社主義の大義名分が理念として先走り、官民に充満するパターナリズム(家父長主義のお節介)が人間性の尊重を事後のこととして弾圧してきたのです。

ハ.<人様のお金>のパワー
積み上がりましたストックが実は<人様のお金>であったということは上述してきましたとおりですが、ここにきて<人様のお金>自が自己主張を始めてきているのです。その一環が基金自身による自己主張としての「年金基金」です。
 このことは、今一つの国民のストック、厚生年金等にも言えることです。「小さな政府」の要請は日本の現在のニーズです。
現代日本の経路の一つとしての「年金基金」、強いて言えば、PKO集団・低ROE・統制官僚等の日本経済の負の遺産を退場に追い込む「年金基金」は、自己主張する「年金基金」、つまり社会改革推進勢力としての「年金基金」であり、投資家として効率市場形成を促す「年金基金」、そして、日本の資産運用文化創設のフロント・ランナーとしての「年金基金」です。 発言する「年金基金」にして始めて確定給付型年金の存在価値が生まれるのです。つまり、集合資産としての確定給付年金の意味は、<人様のお金>として日本の経済・社会の仕組みを再構築させるインセンティブを生み出すというところにあるのでしょう。そこに「年金基金」特有のミッション(使命)があるということであります。
 この「年金基金」のミッション達成のために、行政も企業も業者も奉仕を強制されるようになってきているのです。<自分たちの金>から<人様のお金>に逆転したことで、彼らの恣意は許されざることになったのです。

ニ.個の覚醒・イニシアティブの奪取
<人様のお金>のパワーがもっとも発揮される場面は、当事者である年金基金と加入員等自らの主張を発言するところにあるのでしょう。付与されたもので構成するのではなく、自らが作り出すのです。統制統治を拒絶して自から考え始めるのです。自分の欲求・希望を鮮明に主張するということ、それが個の覚醒、イニシアティブの奪取を可能にさせるのです。このことは、国民レベル、加入員等レベル、更に「年金基金」レベルにも言えることであります。

ホ.哲学の始まり
現代日本の社会・経済構造の論理・文脈は明らかになりました。後は、<人様のお金>のドメスティックなパワーによって人々は自分で考えるというイニシアティブを確保し、パターナリズムをうるさいと拒絶し、「自分の人生は自分で決める」という行動を起すことになるでありましょう。つまり本来の哲学がこの日本で初めて始まり、事は切磋琢磨な試行錯誤の末に「決まる」ことになるでありましょう。

今はただ、笑而不答。
笑而不答。





・謝辞

この謝辞を述べるに先立ち、25年間の厚生年金基金業務を通じて、直接謦咳に接しご指導・ご鞭撻を頂いた方々を数えてみましたところ、故人を含めて300人ほどのお名前が上がりました。役所の方々を始めとして厚生年金基金連合会のスタッフ、神奈川県の基金関係者、「たん・れん」関係者。運用機関等の担当者、外資系金融機関の邦人スタッフと外人スタッフの方々。コンサルタントの方々。欧米の金融機関関係者。各種研究会・勉強会での講師の方々等々。 その中から、とくに私が強いインパクトを受けた方々のお名前を上げさせて頂き、謝辞に変えさせて頂きます。

故今井一雄さん・故森田重雄さん・故国井和夫さん・佐伯震太郎さん・衣笠旭夫さん・服部弥八郎さん・古田喬さん・河内岱一郎さん・川島洋佑さん・谷川誠さん・松本伊久雄さん・村川昭三さん・一木櫻四郎さん・大木一枝さん・木村巌さん・谷美樹さん・石山哲郎さん・森一男さん・宮下晋五(!)さん・故池田駿介さん・新野秀夫さん・菅野辰雄さん・須藤桂助さん・加藤豊昌さん・山内敏光さん・西川誠之さん・太宰清治さん・矢野朝水さん・十菱龍さん・木戸脩さん・寺田徳さん・根本由紀夫さん・河辺清さん・島崎謙治さん・原秀太郎さん・楠木耀一さん・門脇保博さん・水野康義さん・川岸麗さん・肥山一文さん・海保太郎さん・高野幸洋さん・江川健太郎さん・船場正史さん・古田弘信さん・堺本浩司さん・チャールズ ラッフェルさん・松前俊顕さん・越中秀史さん・大井正康さん・岡本和久さん・林一廣さん・渡辺太門さん・川上憲男さん・佐々木雅彦さん・郭成慶さん・丹羽将一さん・真弓奈穂子さん・坂口和子さん・末田忠敬さん・小原久美子さん・山木智子さん・坂井信夫さん・宇野陽子さん・沢井智裕さん・多胡秀人さん・松井正裕さん・服部卓也さん・ジョン オゥディアさん・鈴木正己さん・渡伸一さん・伊東敏行さん・松尾孝一さん・甲斐利春さん・花渕馥さん・宗大さん・鈴木旭さん・西岡昭さん・瀧沢政視さん・市川光男さん・小野寺登さん・佐藤達雄さん・鹿野廣志さん・志村晃一さん・保浦昭男さん・下里敏夫さん・宮島千倉さん・中山健さん・岩瀬武文さん・出口博之さん・吉沢功夫さん・山口登さん・故青山護さん・松本弘樹さん・秋枝豊さん・吉田靖さん・小守林克哉さん・高山俊則さん・亀谷祥治さん・大輪秋彦さん・鈴木成昌さん・浜中恒幸さん・遠田勲さん・北村恵司さん……

それに、団体では、始めに単独連合厚生年金基金協議会の「福祉施設問題委員会」「給付改善委員会」「資産運用問題委員会」の各関係者。つぎに、神奈川県厚生年金基金連絡協議会「給付問題委員会」「資産運用問題委員会」の各関係者。つぎに、格付投資情報センター主催の故青山護さんがコーディネーターをしていた「現代投資理論研究会」における7期に渡る講師の方々と会員の方々。さらに、厚生年金基金連合会受託者責任研究会「受託者責任ハンドブック(運用機関篇)」ワーキンググループ委員の方々。最後に、企業年金研究所主催の「年金経営問題研究会」の右谷亮次さん・杉田浩司さん・山崎元さん・島田勲さん・浦田健一郎さん・畠中勝英さん・兼広嵩明さん・大場昭義さん・中野誠さん・千田彰子さん・若杉昌夫さん・川上裕之さん・梅本武さん・村田純一さん・安岡孝文さん……等々に、多大なお世話を頂き、叱咤激励を受け、度重なる刺激を頂戴しました。
とくに、「年金経営問題研究会」月例研究会後の懇親会の席では、右谷亮次さん・山崎元さん・村田純一さんをはじめとした大勢の異能の方々に、自由闊達な議論を通じて様々な暗示と示唆を頂戴し、テンションの昂揚を経験させてもらいました。強いて申せば、この研究会に参加させてもらえませんでしたら、この『人様のお金』も誕生しなかったことでありましょう。

感謝、感謝、そして、合掌。






(平成12年8月29日脱稿)

「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 13

2013年03月13日 | 厚生年金基金

(2)「年金基金」というビジョン
イ.時代の要請
30年余経過してきた厚生年金基金は、凍結の事態となりしばしの執行猶予を宣せられたのですが、これをもっけの幸いとしてこの間に厚生年金基金制度の抜本的・根本的な問題を考えるべき時なのでしょう。
厚生年金基金は、ここにきて官民両方の苦境の影響を全面的に受けることになってしまいました。厚生省の凍結の事態は、公的年金のスリム化という要請が現実的な対応の場面で暗礁に乗り上げましたということであり、その派生現象で、基金も同様の凍結の事態になったということです。一方、企業の退職金は退職給付債務会計の導入で賃金後払い説に断定されたということで、突然の巨額債務の出現により、代行返上や給付削減や基金解散や、さらには確定拠出型年金への移行等が議論されるようになってきました。
とは言え、単に基金の問題ばかりを切り離して直線的に考えるということはもはや出来ない錯綜した事態になっていますし、それは世界レベルの経済・社会の動向を踏まえ、日本の政治・財政・法律・行政・経済・社会・金融・企業動向等の多面的踊り場を巻き込む必要があることを多くの人々がコンセンサスとしてきているのです。
それには、アインシュタインも言うように文脈の変更、経路の再構築が必要でしょう。曰く「人類が直面しているさまざまな難問は、それが出てきた思考のレベルでは解決できない。思考のレベルを変えるべきです。人類が今なさねばならないのは、新しい思考を発見することだ。」(日比野省三『突破の科学』)というように。


そして私たちが、400年間パラダイムの支配者であったデカルト思考に代わる
パラダイムとして提案したのがブレイクスルー思考なのだ。……・。ブレイクスル
ー思考は、デカルト思考のように穴を掘って、要素部分に入り込んで物事を考え
る思考ではない。山に登り、全体から物事を考える思考方法なのだ。
そこで重要なのはシステム論だ。システムは、「①複数の要素があり、②その要
素のあいだに、互いに関連性があり、③目的・機能をもつもの」と定義できる。

日比野省三『突破の科学』―「ブレイクスルーを使いこなす」


(私事に渡りますが、筆者のこの『人様のお金』の論究は、ことによると「新しい思考」の発見を目指している方法論探求の作業なのかもしれないと、再々の<突然の羞恥>の到来があるのに無知と明晰さに欠けた傲慢な文章を書きながら顔面を赤らめつつ、僭越にも、ふと考えてしまいました。
 ここまで読み進んでいただきました皆さんも、スパッと切り裂いた明晰な知性の舌鋒の鋭さとは無縁の重複部分の再々の登場に、忍耐も事切れる状態に放り置かれ、もうとっくにこの本を投げ出したくなっていらっしゃるでしょう。
 落着しそうもない無数の素材の衝突、抽象化されることのない過剰なフレーズの浮遊、否定につぐ否定のダメージ、一向に見えてきません新たな建設、ドメスティックなものの・スルーな乱舞……・。ことによると、このように捨象しきれないドメスティックなもののムーブメントの渦中に放り置かれて、人知れず強制されているのかも知れない思考のレッスンに思わず<断定の大鉈>を振り落としましょうとしていらっしゃることでしょう。いつまでも<決まらない>、というか<決めない>筆者に怒りさえ感じていらっしゃるでしょうと考えらマドリングれます。
 そうではありましょうが、皆さん、いましばらくの猶予をお願いいたします。もう、終わりにしますので。)

ロ.政府からも企業からも独立
そこで、基金問題の最も根本的な問題としてあるのが、厚生年金基金と言えば、<社会保障代行制度>と<企業退職金代替制度>ということに集約されてきましたが、この是非について議論を避ける訳にはいかないでしょう。この際、徹底的にこの点を極めなければならないでしょう。
厚生年金基金に課せられた機能が、国の社会保障政策の一環として所得再分配機能なのか、国費のコスト削減機能なのか、あるいは又、企業法人の功労報奨的退職金の非課税対策手段なのか。何れにしても、両者共その根幹にある方法論は統制というスタイルであるのは上述してきたとおりであり、両者共その対象(国民であり従業員)の<上からの強制>、<知らしめず>のファッショ的支配であることには違いがありません。


赤ん坊はぼやけた目で私を見ようとした。その瞬間、妻と私はウォール街なんか
どうでもよくなってしまうような素晴らしい仲間なんだと知った。もし私がこの時
の考えを心の中心に保持していることができたら、多分すべてが全く違ったものに
なっていたことだろう。
しかし、私自身がいろいろな意味で赤ん坊であった。

D.レビン/W.ホファー『インサイドアウト』
―ウォール街証券マンの栄光と転落


どちらにしても、多様に議論することは出来るでありましょうが、官民互いに都合良く互いの権益確保のために統制手法のファッショで厚生年金基金を勝手に使ってきた経緯は拒みようもありません。このレベルでは、<人様のお金>という認識はなく、互いに<自分たちの金>呼ばわりしてやってこられたのでしょう。そこに基金の使い勝手の良さがあったのですし、そういう機能の重複している点に曖昧さが積算され、概念の混乱、合成の誤謬をもたらしたとも考えられるのではないでしょうか。厚生年金本体とその代行の凍結の事態と退職給付債務導入のPBO爆弾の事態で、従来の概念、機能はすでに限界にきたことを明示したのであります。
ことここに至って、厚生年金基金の機能を官僚と法人資本主義の統制手法から分離した明確なコンセンサスにすることが要請されるのではないでしょうか。つまり、政府も企業も背景に退かせ、政府からも企業からも独立しました法人として、社会保障と退職金の頚木から脱した民間企業社員の老後資金システムとして機能させるようには出来ないものでしょうか。統制から自由になりましたフレーム・ワークを創れないものでしょうか。
これを達成するためには、当面「顔の見えない厚生年金基金」に対する工夫、ハイブリット型等への変更検討や加入員台帳の定期配布(年金額だけではなく政府の免除掛金額と企業の掛金負担額も明示しました)や、WWW上に加入員個々の現在値(または将来の予想値年金額)を情報公開(前ぺージ参照)するとか、企業は一定率の掛金拠出のみで積立不足金の企業負担も掛金抑制やコントリュービューション・ホリディもない財政運営、金融子会社として登記、柔軟な給付制度の確立、理事会の権限充実、代議員会の廃止、会社人事から独立した基金採用の人事、事務費掛金の返上、年金経理から事務費の捻出、企業のIR活動のような情報開示の徹底、とくにインターネット等を使いましたスピーディーな双方向情報のやり取り等々、課題山積を工夫していかなければならないでしょう。招来的には、年金適用・給付事業と資産運用事業を分離し、年金適用・給付事業はアウトソーシングとし、資産運用事業は金融子会社にしてインハウス運用とすることなども検討することになりましょう。




ハ.厚生年金基金のインフラ・ノウハウ
30年余の経験の蓄積されたもの、或いは一部形成途上、又は試行錯誤中とは言え、厚生年金基金を中核としてまがりなりにも官民の協力で打ち立てられた老後資金確保のインフラ・ノウハウは、日本では他に類を見ない貴重な無形財産です。企業年金の今一つの制度の適格年金の世界にそういうものがあるかと言えば、資産運用基本方針も、資産運用委員会も、時価評価基準も、財政運営規程も、分散投資手法も、受託者責任研究会も、支払保証事業等もないままです。だいたいが適格年金は年金ではなく、一時金制度なのです。又、機関運用を別にして、個人の資産運用の世界でも何かそのようなインフラ・ノウハウが育成されているかと言えば、投資信託、商品ファンド等で一部インフラ整備が始まったばかりという程度でしょう。更に、企業の財務畑のゼネラリストが考える余資運用とは、年金の資産運用がインフラ・ノウハウの点でも全く性格が違うことを認識していない現実があります。だいいち、資産を<自分たちの金>だと思い、<人様のお金>などという意識はまったくないし、だいたいが資産運用そのものに関するインフラの整備さえ皆無なのですから。
基金は、このような状況で日本の資産運用文化形成のフロント・ランナーとして、経験と形成されたもの、形成されつつあるものの基盤の上に、更に一層の研鑽が求められるところです。法理(契約と信認)、財政(統制計画経済と市場経済)、行政(裁量行政から事後監視型行政)、会計(簿価から時価)、資産運用(お任せ運用から運用指図)、国民意識(依存体質から独立独歩へ、サラリーマンからオーナー意識へ)等々の多方面の各ジャンルの展開を刺激し促進していくことになります。



ロッキィーズ物語

・さよならメッセージ

拝啓 新年も明け、新チームづくりに希望を馳せておられることと存じます。年
頭より、兵庫南部地震があり、なにやら不安な気持ちの幕開けとなりました。
さて、昭和五十二年春、新林の杜に少年野球クラブとしてスタートし、皆様に愛
され、皆様と共に活動して参りました「新林ロッキーズ」、残念な気持ちでいっぱ
いですが、部員が少なくなりチーム構成が不能となり、十八年の活動の歴史に幕を
閉じることになりました。
永い間、本当に、本当に有難うございました。
その間、皆様から頂きました熱き友情、暖かい励まし、そして、数多くのよき想
い出と、チーム一同、深く感謝申し上げると共に、心より御礼申し上げます。
想い出のたくさんつまった十八年、チーム関係者も野球優先の休日でしたが、こ
れからはそれぞれが何かを見つけていくことでしょう。ただ、野球を忘れることは
出来ません。これからも、街でお会いしましたら声をかけさせていただきますし、
暫くはグランドに足が向くかもしれません。その節はよろしくお願い申し上げます。
本来でしたら、ご挨拶に伺い御礼を申し上げるべきはずではございますが、まず
は、書中をもって御礼方々ご挨拶申し上げます。
皆様方のご健康とチームのご活躍を心より、心よりお祈り申し上げます。
最後に、熱き友情を永遠にお願い申し上げ、ご挨拶とさせて頂きます。
敬具

平成7年2月1日
新林ロッキィーズ
代表 N.R
コーチ 一同


 
ハ.厚生年金基金のインフラ・ノウハウ
30年余の経験の蓄積されたもの、あるいは一部形成途上、又は試行錯誤中とは言え、厚生年金基金を中核としてまがりなりにも官民の協力で打ち立てられた老後資金確保のインフラ・ノウハウは、日本では他に類を見ない貴重な無形財産です。企業年金の今一つの制度の適格年金の世界にそういうものがあるかと言えば、資産運用基本方針も、資産運用委員会も、時価評価基準も、財政運営規程も、分散投資手法も、受託者責任研究会も、支払保証事業等もないままです。だいたいが適格年金は年金ではなく、一時金制度なのです。又、機関運用を別にして、個人の資産運用の世界でも何かそのようなインフラ・ノウハウが育成されているかと言えば、投資信託、商品ファンド等で一部インフラ整備が始まったばかりという程度でしょう。更に、企業の財務畑のゼネラリストが考える余資運用とは、年金の資産運用がインフラ・ノウハウの点でも全く性格が違うことを認識していない現実があります。だいいち、資産を<自分たちの金>だと思い、<人様のお金>などという意識はまったくないし、だいたいが資産運用そのものに関するインフラの整備さえ皆無なのですから。
基金は、このような状況で日本の資産運用文化形成のフロント・ランナーとして、経験と形成されたもの、形成されつつあるものの基盤の上に、更に一層の研鑽が求められるところです。法理(契約と信認)、財政(統制計画経済と市場経済)、行政(裁量行政から事後監視型行政)、会計(簿価から時価)、資産運用(お任せ運用から運用指図)、国民意識(依存体質から独立独歩へ、サラリーマンからオーナー意識へ)等々の多方面の各ジャンルの展開を刺激し促進していくことになります。

ニ.老後資金システム再構築の手法
これまで筆者は、無数・多様な材料の収集の上に、様々な切り口、様々なステージから<厚生年金基金って、何んだ?>と問うてきました。それは<人様のお金>であったり、<顔の見えない基金>、<死に体>、<ミイラ>であったり、掛金収納マシーンであったり、政府の社会保障の代行であったり、企業の退職金支払団体であったり、年金支払機関、機関投資家であったり、金融子会社であったり、……多様な顔を持つ際限のない述語探しを行ってきました。
この論理の延長上にはおそらく<述語は永遠に溢れる>というシジュホスの神話の繰返しの責め苦が待っているだけなのでしょうか、それとも希望の持てる展開が控えているのでしょうか。<決める>のではなく、<決まる>のを待つのか。ブレイクスルー思考の合理性(マトリックス上にシステムが出現するのか)で探求すべきなのか。天才を待望すべきなのか。政府提供のインフラ(4省案401(k))で足りるのか、民間構築のインフラで立ち向かうべきなのか。大陸法から英米法、自己責任から他者依存、契約から信認なのか。為替・株価の価格形成のようなA.スミス見えざる手への委託か、社会保障か個人口座か。パブリック・コメントや住民投票に賭けパブリック・コメント間に解決策が隠されているのか。<家族→政府・企業→個人>というのが経路なのか。

歴史的パースペクティブで物事を捉えようとすると、今、我々が目撃しつつある
のは、かたくな政治的、理念的ドグマを物事の判断基準にした時代から、経済的
リアリティを判断基準にする時代への速やかな移行である。
人間が作った理念が、経済的現実(市場)の前には無力であることを今ほど思い
知らされる時代はない。

若林栄四/佐中明雄『大円高時代』
「はじめに」若林栄四


 どんな手法が、どんな思考スタイルが、ふさわしいのか。多分、それは事前にこれと指定出来ないような性格のものであり、気がついたときには確立しているようなものではないでしょうか。少なくとも理念先行の統制手法ではありえないでしょうし、現実との格闘を切磋琢磨な試行錯誤によって展開することになるのでしょう。



ホ.選択肢
とは言え、選択肢は多様に考えられるでしょう。多様なことが時代のニーズです。しかも、一つの形で全てのニーズを汲み上げるのは出来がたいのですから、複合型というのが現実的なのかもしれません。

1.完全民営化
2.厚生年金基金の廃止
3.代行分の返上
4.確定拠出型年金への切り替え
5.ハイブリッド型等への変更
6.個人口座型年金
7.適用除外方式年金
8.事後監視型年金
9.Bアカウント年金
10.年金基金
   

   ヘ.「年金基金」というビジョン
右肩上がり経済の頓挫と超少子高齢化のプレッシャーが要請する公的年金のスリム化と退職給付債務会計導入に伴う退職金の後払い賃金化に議論が落着してきましたという国民コンセンサスとは別に、筆者は、官民共に統制手法により<自分たちの金>扱いしてきた金が実は<人様のお金>でありましたという発見について述べてきました。
ここから導きだされるのは、厚生年金基金の政府と企業からの分離独立という経路、統制手法からの分離独立という経路でしょう。それは、おそらく統制離れした<人様のお金>の「年金基金」という次ぺージのビジョンに落着するのではないでしょうか。
 政府の統制手法(国家の義務という大義名分での統制)で構築されている代行部分と、一般的に功労報奨的退職金(民間の統制手法・個を許容しない会社主義統治)の移行により設計されている加算年金部分とによって厚生年金基金は形成されてきましたが、そこに積み上がりましたストック(平成12年3月末で60兆円)を政府も企業も各々が<自分たちの金>扱いしてきた事情については上述してきたとおりです。その<自分たちの金>の内実が統制手法によって積み上げられてきたという事実も繰り返し述べてきたとおりです。
グローバル・スタンダードとPBO爆弾により政府・企業の統制という汚れた手を洗い流してみると、積み上がりましたストックが実は<人様のお金>であったという発見についても述べ終わったところです。





 ここからの経路は、<人様のお金>である「年金基金」は自身自らが統制色を払拭しました構造に生まれ変わらなければならないということになりましょう。人様の顔がありありと見える構造に。ということは、徹底した情報開示が必須のことになりましょう。それを可能にするインフラとノウハウはかなり蓄積されています。後は、人々の意識を、積み上がったストックを<自分たちの金>とみなすことから<人様のお金>であるという認識に変えていくことであります。とはいえ、それは恣意的な操作によってではなく「年金基金」というフレーム・ワークが自から生みだしていくのでしょう。

金利は本来、自由に「決まる」ものであり、中央銀行が「決める」べきものでは
ない。欧米先進国ではみんなそうなっているのに日本は例外で、金利は<統制価格>
となっている。

西山千明編著『M.フリードマンの思想』


ここにきて、次ぎのような議論を読者はどう読まれるでありましょうか。


2階部分の報酬比例部分は、発足当初は国庫負担というものがあったが、現在は
どちらかというと拠出建てに近い性格のものになっている。拠出時に給付が決まる
部分だから、所得再分配の機能は、絶無とはいわないまでも、きわめて乏しい。そ
ういう部分が現在は代行制度の対象になっている。ですから、これを代行どころか
民営化しても、所得再分配という点ではさほど大きな問題はないと考えられる。
また、この部分を民営化しても、賦課方式のものを積立方式にするわけではな
いので、移行コストというか、現在年金を受け取っている高齢者のための拠出もし
ながら自分の老後のための積立てもするという、いわゆる二重の負担の問題も、あ
まり考えなくてすむ。

厚生年金基金連合会編『21世紀の企業年金』1997
基調講演:船後正道「企業年金の将来像」


船後正道 21世紀研究会では正面からこうした問題を取り上げてはいないが、
認識は十分にある。そのうえでスライド・再評価を除く報酬比例部分の民営化を提
案した。イギリスのように適用除外要件を逐次緩和し、最後に給付面で公的年金と
のリンクを切断すれば民営化は可能である。

厚生年金基金連合会編『21世紀の企業年金』1997
パネルディスカッション
矢野氏 異論がある。……たくさん保険料を納めると、ある程度たくさんもら
える仕組みを残した方が、年金制度に加入するインセンティブにつながる。
小塩氏 そもそも意見の違いは、社会保障の仕組みにどこまで所得再分配を期待
するかという点だ。……しかし報酬比例部分は所得再分配と切り離していい。所
得再分配という機能を期待するから、政府がやらないといけないという理屈になる。

矢野朝水/小塩隆士:けいざい闘論「公的年金の民営化論」
日本経済新聞 2000/5/22 朝刊


矢野氏 いまの日本の経済・財政事情から見れば、(二重負担の問題は)具体的
な解決策はない。だから民営化論は現実的な選択肢としてはあり得ない。
小塩氏 二重の負担は非常に誤解されている。賦課方式は負担を将来世代にどん
どん先送りする仕組みだ。問題は積立方式に移行することで負担が顕在化すること
よりも、賦課方式で順々に先送りしていることにある。……。
矢野氏 ……。もちろんほっておくと二重の負担はますます大きくなる。そこ
で将来に向けて給付をスリム化し、負担を軽減するための今回の法改正をした。一
挙に手荒なことをやるのでなく、いまの枠組みを維持した上で現役世代と将来世代
が痛みを分かちあって公的年金の守備範囲を縮小することが、現実的なやり方とし
て国民の理解が得やすい。

矢野朝水/小塩隆士:けいざい闘論「公的年金の民営化論」
日本経済新聞 2000/5/22 朝刊


 政府の年金局長が一般紙に出て考え方を発言することは、「知らしめず、依らしむべし」の従来の官僚の観点からすると<革命的な行動>と評価出来ますが、議論の争点は、「所得再分配」や「二重負担の問題」でしょうか。それでは実務者の技術論のレベルではないでしょうか。それとも、ここでは技術論をこそ議論しているのでしょうか。それとも、技術論の議論にフレーム・ワークの哲学が介在しているとでも言うのでしょうか。問題は、技術論の背景であるグローバルな状況における日本の経済・社会のビジョンをどう創りだすのか、統制ファッショ下の国家依存・会社依存の国民意識をどう革新するのか、イニシアティブに溢れた国民による経済・社会の活況をどう生み出すのか、ということではないのでしょうか。この視点からの議論こそ緊急な要請でしょう。


ト.<人様のお金>のインフラ革命パワー
戦後、憲法第25条に明記されました「国民の幸福」は、産業振興と福祉国家建設の計画の影の下に“官制”の「国民の幸福」として一応達成されましたが、その内実は官民の統制手法ゆえに民主主義の空洞化と倫理の崩壊と個の抹殺をもたらしました。この事実は、政治パワーを二分していた冷戦構造の崩壊により有無を言わせず確証されました、と同時に、地球レベルのグローバル化の進展と共に、日本の世界にも稀な少子・高齢化の急激な進展をまともに浴びることによっても確認させられたということです。それは、別の言い方をすれば積み上がったストックが、実は、<人様のお金>だったという発見により、次々とこの事実が指弾され始めている、ということでもあります。
憲法のポツダム支配、議会制民主主義に対する内閣法制局の暴挙等の反民主主義的行動、法制の理念デッチ上げ的大陸法主義、官僚の理念思考型統制手法、法人資本主義の株式持合い等の反市場主義な民間の統制手法、金融機関等の官僚迎合的経営と大量の株式保有による流動性阻止構造等々の、日本の旧体制一般の統制手法に対して、速効性は持ち合わせていないが、必ずや<人様のお金>のインフラ革命パワーが統制手法そのものを断罪し、フレーム・ワークの刷新を促すことになりましょうということです。しかも、その効能は、真綿で締め上げるようなおもむろさで致死的に「決まっていく」のです。誰も「決めない」が自から「決まる」のです。
このことのシナジー効果は、旧体制の統制システムを追放し、統制ファッショに取り抑えられていた国民意識の覚醒を促し、個の確立・自我の誕生をもたらすときに表面化し、それが更に新規のインフラストラクチュアの構築を突き進めるという<循環>を生みだしたときに最大化されるのです。即ち、そのとき<人様のお金>がエンジンと化すのです。


もう一つの希望は第三勢力と化した機関投資家が、資本市場における株価形成を
カジノにさせないように「革命の前衛」として機能する可能性にある。個人的には
この回路こそ21世紀のモデルを構築しえるように感じる。

三ツ谷 誠:JMM 00/05/01 No.060 Monday edition


「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 12

2013年03月12日 | 厚生年金基金

 要するに、日本型資本主義のインフラの下での<人様のお金>は、一定のストックの積み上げを果たし福祉国家の達成という官僚の野望を曲がりなりにも実現しましたのは事実ですが、「積立不足の凍結」という結果に終ったと断罪して、おおよそ間違いのないところでありましょう。逆に言えば、<人様のお金>を担保するには日本型資本主義の統制的なインフラとは別個の市場型インフラが必要ということでしょう。そのインフラ足りえるのではないですかと考えられるのが、このたびの国際会計基準が引き連れてきた上記の時価会計、連結決算、キャッシュフロー計算書、退職給債務等々のインフラです。 更に、先にも触れましたように官僚の産業社会育成と福祉国家達成のための統制経済故に官の民への介入が正統化され、それが結果的に日本における法理不全・法律無視、<契約概念>の機能不全という事態を招いてしまいました。
そこで、この場面を打開するために要請されるのが、<人様のお金>の無言のプレッシャーがもたらす「決まる」という事態を促進するために憲法記念日の日経記事のように憲法25条等を見直し憲法上に官僚介入の排除を担保することを明記することも不可避と考えられます。ここで重要なことは、契約概念に付けくわえられるべきは英国のエクィティの伝統により培われましたトラスティまたはフィデュシャリーから派生しました<信認概念>のインフラです。<人様のお金>を担保するインフラとして契約概念に欠けるところを補うには最適の理念でありましょう。その一つが愈々日本でも展開の始まりました<受託者責任>という考え方と言えるでしょう。

第一は、官をうしろに退けるため、経済的な自由をきちんと保障するよう制度化
することだ。それにはまず二十五条の生存権について考える必要がある。この条文
を根拠に「社会国家」「福祉国家」を実現するためには、経済活動の規制をはじめ、
官による民への介入は許されるという考え方が官主導を許してきたからだ。……。
規制行政についても、自由な競争秩序を守るための規制は許されるが、競争制限
的な規制は原則として認められないことを憲法に明示することが考えられる。
……。
官を後方に回すもうひとつの方法は政治を使うものだ。チェック機関としての国
会の機能強化がそれである。

芹川洋一:21世紀へ憲法改革を
日本経済新聞 2000/5/3 朝刊


<人様のお金>を担保するこの<信認概念>を根本理念として、日本の経済・社会を取り囲む様々なインフラストラクチュアが見直され、点検を受け、再構築されることになりましょう。最終的には、<人様のお金>はこれら国際会計基準、効率市場、受託者責任等々のインフラによって守られるようになるでしょう。
 ということは、<人様のお金>が上記のようなインフラを持つことによって、従来のような統制経済、官僚の民間介入、<自分たちの金>、PKO、株式持ち合い、銀行の株式保有、生保の大蔵迎合、証券の反市場行動等々を見逃さなくなっていくでしょう。それらのアンシャンレジームが旧態依然のままであれば、<人様のお金>は、それらから一斉に退避することになります。
 さらに、退避などという受動的対応から、積極的に投資拒否に至るのはほんの一歩です。<人様のお金>の選別が始まるのです。そのことが厚生年金基金の資産運用機関選択・戦略アセット・ミックス等ですでに動き出しているのです。
つまり、<人様のお金>のパワーは、ヘッジ・ファンドがイングランド銀行を叩きのめしたような力を獲得しつつあるということ、日本に『見えざる革命』を強要する現実を生みだしているということ、日本型資本主義の統制経済に引導をわたしたということ、と同時に、将来に向けて<人様のお金>が日本のインフラストナクチュアを創り出していく最も重要な概念となってきたということでしょう。




ロッキィーズ物語

・知人の輪

―高野コーチ! こんばんは。
―……? 誰でした。
―ロッキィーズのNですよ。
―ああ、君なのか。
―ご酩酊ですか?
―君こそ、遅いねぇ。仕事かい?
―ええ……
―何処へ行ってるの。
―N新聞ですよ。
―そおっ、どういう方面なの?
―金融。
―ワオッー。私は年金の仕事で、金融は分野だよ。
―そうですか!
―君は確かロッキィーズでは、悪いけど、ヘナヘナピッチャーだったよね。
―ええ。その後、中学・高校とAに行き、W大を卒業したばかりです。今、研修
中なんです。
深夜の駅前で声を掛けられ、私はこの街とのつながりを確かなものに感じていた。
少年たち、お母さん方、コーチ達、よそのチームの関係者と、数え上げると2、
300人の野球関係の友知人がこの街にはいるのだと、ホロ酔いのままに感動させ
られていた。



円の国際化が何を意味するのかは人によって違うようだが、外国でお札が通用す
るようになるのは、東京市場の国際化などという生易しい話ではない。憲法9条の
改正から始めなければならないことになる。冷戦の終結により、そういうことが明
確になってしまった。経済大国とは「裸の王様」のことであった。

西村吉正『金融行政の敗因』



アメリカ人は、一人ひとりが、英語でいう principle(プリンシプル)をもって
いる。主張、主義、あるいは生活信条、いろいろ訳すことはできるが、とにかく芯
がある。グニャッとしていてつかみどころがなく、大勢に身をまかすという人はほ
とんどいない。
individualistic あるいは individualism 。そんな彼らの習癖を、個人主義的
あるいは個人主義思想と難しく考えるよりも、生れながらにして「自分は自分」と
いう考え方があると考えたほうがいい。

寺澤芳男『ウォール・ストリートの風』




   第7章 ビジョン「年金基金」

  (1)戦後日本の哲学もどき
イ.年金獲得
新宿淀橋の夜間電気高校で「電磁事象」の授業を受けていました昭和35年頃、筆者が読んでいたフランスの小説に「年金」という活字が流砂の中の砂金のように再々現れました。田舎出の貧乏夜間高校生には<年金で暮す>というフレーズはたまらない魅力でしたし、それこそ、現代の桃源境と考えたものです。ならばそれを実現するためにはどうしたらよいのか、幼い高校生は共産主義による社会構造変革を夢見るようにもなったし、先ず喰うために金を稼がなければ話にならないとも考えたものです。多くの人と同様に唯物主義から唯心論に軌跡が大きく触れながらの青春時代でした。そんななかで、強力なインパクトを受けましたのが、フランスの天才少年詩人A.ランボオの<年金獲得>を目論んだアフリカでの密輸業と、その壮絶な憤死でした。

さて、戦後日本の経済復興は官民協働のよろしきを得て多大な犠牲の上にとはいえ、経済的に豊かな社会、産業と福祉が一体になりました国家を建設し得たと言えるでしょう。「経済活動の規制や富と所得の再分配による「結果平等」の政策を官僚が主導した結果、所得水準を底上げし、一億総中流意識をもたらしたのは事実です。それは戦後日本の成功でした。」(芹川洋一:21世紀へ憲法改革を 日本経済新聞2000/5/3朝刊 )
こうして積み上がったストックによって<年金獲得>を一個人や軍人等の特殊な領域の人間だけではなく国家レベルで大多数の国民が享受する事態となりました。福祉国家の実現であります。夢であるにしか過ぎなかった桃源境の達成です。日本の経済復興の本来の謂れは産業振興や債権国化等によるものではなく、一般国民レベルの<年金獲得>の達成によってこそ言われるべきものでしょう。これをわずか戦後の50年余で達成した日本は、一般に言われるように<日本の奇跡>を限定詞付きではありますが成就したことになりましょう。


規制緩和、金融開放が遅れた国は、進んでいる国から問題の処理を迫られる。こ
こに妥協の産物として生み出されたものが、いくつかの国にみられるオフショア・
マーケットである。その精神は、国内金融、すなわち金融政策の対象となる市場と、
国際金融との分断である。
以上のことをまとめてみよう。
金融は本質的にグローバルなものである。それをナショナルなものに閉じ込める
要因が緩んでくるにしたがって、金融はその本来の姿を表し“国際化”する。

浜田康行/沢田隆『邦銀ロンドン支店』


ロ.個の抑圧・抹殺
ところが、米ソ冷戦構造体制が崩壊し、経済のグローバル化が進展、情報がワールドワイドになるにつれて、日本の特殊な資本主義の実態が実はソ連以上に成功しましたピュアな共産主義であることが明らかになったのです。それは、官僚が政治を手なずけ民間を抱き込みプロデュースしてきました産業振興と福祉国家建設という国家目的達成のための官僚統制・中央集権的国家統治の手法、「一国完結の社民主義型の行政国家」(芹川洋一)が、内部に保持する反市場主義・ファッショ故に立ち行かなくなりました事実を露見したということです。
日本型資本主義の実態が実はピュアな共産主義、つまり統制統治のファッショでしたという現実が、官僚の国家目的達成という<虚構の正義>を蔓延させ、法の支配・三権分立さえも形骸化し非法治国家にしてきたのです。唯一の正義は官僚の<虚構の正義>であり、どこに本来の正義があるのかといぶかしげる事態が50年余も続いたのです。
産業振興と福祉国家建設という国家目的達成のために官僚が示しましたメニューだけが正義ですというとんでもない虚構がまかりとおってしまい、明治以来戦前戦後通じて搬入された外来文化の民主主義はその論理を換骨奪胎され、その上旧来の伝統的な価値観も倫理観も宗教も踏みにじられたのです。或いは百歩譲って、官制メニューの産業振興と福祉国家建設以外のものは緊急避難的に排除されたと言えるかもしれません。


政局の安定と行政能率の向上とを図るといい、現代福祉国家の形成に寄与すると
いい、それなりにりっぱな目的がかかげられているため、つい賛成したくなるかも
しれないが、そこでは国民主権の実はうしなわれ、自由・人権の制限・剥奪がすす
み、ファシズム体制そのものに転化する可能性がきわめて大きいことにも留意され
ねばならぬだろう。がんらい、「強い国会、弱い政府」というのが民主政治の理想
型だといわれている。それを「弱い国会、強い政府」の型にもっていくことが、果
たして適当かどうか、慎重を要するところである。

黒田了一「内閣と行政」1965
憲法問題研究会編『憲法読本』下


国民は総じて官制メニューという絶大な潮流に巻き込まれ飲み込まれ、産業振興と福祉国家建設というフレーズの統制計画経済統治のファッショを許容してきたと言えるのでしょう。その際、官僚サイドの民心把握・誘導・形成の戦略として使われましたのが、ソ連や中国にもない、世界に稀な大蔵省主導の経済企画庁や通産省等の国家機関により再々発表された各種の<経済計画>であります。民間の方では、この<経済計画>が発表されるたびに、都度、資本配備・設備投資のシフト替えを行う柔軟さ(?)を発揮してきたのです。というのも、このような国家目的に添った投融資であれば、つまり、官僚が仕組みましたインセンティブに乗っていれば、リスクも低く、収益も確実でした。

 こうして官僚は、あえて<経済計画>に反するリスクをとりましょうという国民の意欲を奪い、起業の芽を潰してきたのです。全てを官僚操作の範囲の釈迦の手の内に納めようという戦略です。それが、産業振興と福祉国家建設によって提供されました”官制”の<国民の幸福>であったのです。
要するに、<統制構造>が仕組まれている“官制”の<国民の幸福>の内実は、唯物主義の拝物拝金主義の祠をかろうじて維持している程度の中身がからっぽの<空洞の祠>であったのです。そこには正義もなく、倫理も廃れ、ドメスティックなものの生きる場面は排除され、個は意識されることも無く、全面的に抑圧・抹殺されていたのです。


かくて、被占領下のわが法体系は、全般的に占領軍権力の支配下に置かれたとい
うだけではなく、さらにそれが個々の国内法令にふかく浸透して、「憲法を頂点と
する憲法体系と、ポツダム政令を中心とする一連の管理法体系との並列状態」をも
たらしたといわれるが、事実はむしろ、「管理法体系の従属下における憲法体系」
にほかならなかったのである。

黒田了一「内閣と行政」1965
憲法問題研究会編『憲法読本』下


この日本経済・社会をくまなく支配している<統制構造>は、帝国憲法に始まり、大正デモクラシーを粉砕し、軍部独裁を容認し、太平洋戦争の泥沼の末にポツダム宣言受諾に至ったのです。その後、占領下、冷戦構造等という特殊事情のもとに、法理は政令・省令等の統制管理に支配されるという歪を生みだしてしまったのです。この法理無視が、日本の国政全般、あらゆる制度、社会のフレーム・ワークを包み込み、憲法にも、三権分立にも地方自治にも、民主主義にも、財政、税制、社会保障、法秩序、金融、為替、教育、医療、……等々に、官僚の恣意、つまり理念追求型思考スタイルによる<統制>を浸透させてしまったのです。一方、民間サイドの分野でも、企業活動の含み益経営や株式持ち合いや恣意的な変更を度々繰り返す会計制度等に象徴されるような統制手法が社会を隈無く支配していることが明らかになってきたと言って間違いないでしょう。
 要するに、この統制手法の基本的なテクニックは<知らしめず、依らしむべし>ということでありましょう。情報秘匿こそ戦略であり、情報開示は愚の骨頂。有無を言わせませんファシズム、ツアーイズムこそあれ、経過説明の世界とは全く逆の世界なのです。そこには、常に、エリートと仮称される者たちの経験不足を理念で取り抑えようとします<恣意の傲慢さ>が付き纏います。早急な理念でっち上げの意図がドメスティックなものの削ぎ落としを強行することになります。彼等は、物事を浮遊したままに捨て置くということが出来がたい人格なのです。捨象の謂れを抹殺し、旅急ぐ面々であるということです。


考えてみればMOFが市場型行政に賛成しないのは、当然といえば当然であった。
……、生産者中心の日本の経済構造の中で、証券行政は消費者や投資家の立場に
立ったものというよりも、証券会社や株式の持ち合いを行っている企業のためのも
のという側面の方が強かった。そうした中で、利用者の側に立った市場型行政は、
それと逆行することをも意味したからだ。……。そのような状況に、結局MOF
は、証券市場に対して摘発型組織の導入を受け入れることになったのである。

石澤靖治『ザ・MOF』―大蔵省権力とデモクラシー



ロッキィーズ物語

・優勝試合

平成6年度の市の夏季大会はロッキィーズの晴れ舞台だった。それ迄の試行錯誤
  が一気に結集、華開くことになった。
初戦、御所見ジュニアーズを6対2で下し、2回戦石川リーブスを25対0と大
破し、問題の3回戦は春の大会で10対0と大敗しているシードの辻堂イースタン
ジュニアーズに6対4と競り勝ち、長い間の壁の突破を果たした。次いで、4回戦
準決勝は試合巧者の浜見少年野球部を5対4と退け、決勝戦に進出。
そしてついに、強打で勝ち上がってきていた用田少年野球部を、9対2と逆に打
撃で打ち砕き、身の毛がよだつような戦慄というか、総身がゾクゾクしている間に
優勝してしまった。



ハ.哲学などしたこともない!
官僚統制構造と法人資本主義の<虚構の正義>に制覇された日本型資本主義は、傲慢にも<虚構の正義>の文脈にあらずば正義ではないですと、神も仏も恐れないファッショ体質を隠し持っていたのです。誰かが、どこかで代替作業をしてくれているという、依頼心、依存心を生み出すように国家目的と会社主義が仕掛けられていたのであり、更にそれが昂じて国民や社員の論理的思考そのものの略奪が行われ、代替の哲学もどきを供与され自分で考えるということをさせないファッショが成立していたのです。
そこには、例えば、サラリーマンの税金意識をないがしろにして官僚の恣意をほしいままにする「源泉徴収方式」というような仕掛けが無数に仕組まれているのです。それが官僚にとって効率的な情報操作を達成するために国民を無知のままに据え置く「知らしめず、依らしむべし」の手法というわけです。官僚の御膳立てによる抑圧が、国民自らが思考するということを奪うと共に、リスクを取りました行動を抑制し、保守主義・保護主義を助長し閉鎖社会を形成してきたのです。このことは、官僚だけのことではなく、「民僚」にも同様な方式が蔓延っており、総会議事、人事評価、会計操作等に占めるダークな裁量部分を自分たちの特権でもあるかのように振る舞う者が多いのが現実です。


日本の金融・資本市場をそのような不自由でアンフェアでローカルなものにして
しまった大きな要因の1つに、大蔵省による正統性なき会計基準への規制が長きに
わたって続けられてきたことが上げられる。そもそも会計制度は、複式簿記システ
ムという統一化された体系を持っているにも関わらず、日本の会計基準は戦後世界
の流れから取り残され、制度間の比較可能性のいささか低いものになってしまつた
のである。

山本昌弘「国際会計基準が日本企業の会計行動に及ぼす影響の研究」


 要するに、日本には官民による国民自身の<思考の召し上げ>という壮大な情報操作が仕掛けられていたということです。そうですから、当然、大多数の国民や会社員等は本格的に体系的に自ら考えたことも無く、ましてや「哲学など、したこともない!」というのが本当のところでした。


一方、「由らしむべし知らしむべからず」という表現があるように、為政者、あ
るいは権力者は、自らの意思決定の過程をできる限りブラック・ボックス化して、一
般には知られないようにしようとする。それは決定のプロセスに対しての批判を避
けるためである。そしてプロセスの透明性が確保されない場合、国民不在の政策決
定が行われ、民主主義の精神に反する政治になることが往々にして起こる。

石澤靖治『ザ・MOF』―大蔵省権力とデモクラシー


ニ.ミル、スミスとマルクス、ケインズ
先日、TVの番組で、イギリスの森で生きる人たち、<森番>の様子を見ることが出来ました。<森番>逹は何百年も続く先祖伝来の森の中で、動物を飼い、耕作をし、政府から委託を受け森を維持管理して生活していました。森での揉め事は仲間内から選出された者によってその都度裁定されていました。その裁定の累積の結果が、イギリスの裁判所のコモンローとは別のいま一つ、15世紀以来19世紀半ばまで続きました「エクィティ」の伝統になっているとのことでした。
この「エクィティ」の<裁定の累積>は、現実を理念でとり押さえようとする恣意的な考え方と違い、多数の人間が介在して膨大な時間をかけた多様な判例の積み重ねです。図式的に区分すれば、前者がドイツ・フランスを中心にしましたヨーロッパ大陸法の伝統であり、後者がイギリス・アメリカ・オーストラリア・カナダなどの英米法です。これら法文化の背景には、当然、その土地に生活しました人々の暮しがあることは否定し得ませんが、人々の資質、環境、状況等の各場面で始めに理念有りきか現実有りきかによって大陸法となり英米法となったのでしょう。当然、「エクィティ」の伝統形成に寄与した著作家たちの始めに現実有りきの考え方をするJ.S.ミル、A.スミス、J.ロック等々のイギリス経験論思想家達の伝統に、私悪即ち公益のマンディビル、隷従の方法論のハイエク、マネタリストのフリードマン等々が続くが、一方、始めに理念有りきの体系の人としてマルクス、ワルラス、ケインズ等の系列があります。
日本では、戦後日本の哲学もどき(統制思考)で50年余を生きてきて“官制”の<国民の幸福>を与えられましたが、三権分立も議会制民主主義も空洞化され、宗教も倫理も廃れ、個人の意識は抑圧・抹殺されたまま<哲学などしたこともありません!>という状態です。法制も財政も行政も、金融システム、教育システム等々も荒れ放題というところ。


このようないわば恐怖政治(治安維持法下の大正末期政治)のもとでは、「見ざ
る、聞かざる、言わざる」の三猿にならって、ただ黙々と上から命令され号令をか
けられままに動いて生きるほかはない。つまり、国民はすべて人間性を否定されて、
牛馬にひとしく奴隷扱いをされていたといってもよい。そして多少でも勇気をもっ
て正しいことや批判的なことを発言してみても、その発言は完全に封殺されて世間
には伝わらないうえに、自分はひっぱられてひどい目にあうだけのことだから、黙
して語らない識者も少なくなかったのである。

末川博「自由」1965 憲法問題研究会編『憲法読本』上


上述してきましたように、理念で立ち向かう統制的思考スタイルをとるか、現実との格闘の中に切磋琢磨の試行錯誤を通じて新しいものを見出していくのか。何れにしろ、自分で独自に論理展開を図り、個々に哲学していかなければならないのでしょう。事例として、次ぺージの絵図(?)みたいなドメスティックなものはどうでしょう。



それは日本のエコノミストたちがいうように経済システムが単にアングロ・サク
ソン型だからではなく、彼らが基本的に不透明さや「カオス」を積極的に喜ぶ民族
だからにほかならない。不透明さのなかにゾクゾクとした興奮を覚えるというのが、
アングロ・サクソンの民族性というものなのである。それは何よりも「直視するこ
と」の大切さを第一義とする習性の強みともいえる。

現在、サッチャー改革やレーガン改革が再評価され、その先駆性や果断さばかり
が強調されているが、もっと注目すべきなのはアングロ・サクソンの、泥濘のなか
 を注意深く切り抜けていったときの、心理と状況観察の二分法とそこから生まれる
 戦略と戦術面の「柔軟さ」を尊ぶ姿勢であろう。先が読めない場合にも悲観的にな
 らず、うまくいきそうなときにも楽観的にならず、プロセス自体に情熱をそそぐ態
 度が、この「霧の時代」を生きるための不可欠の活力を与えてくれるからである。

中西輝正『なぜ国家は衰亡するのか』


ちなみに、イギリスには、「マドリング・スルー」という言葉がある由、「これは直訳すれば“泥のなかを通り抜ける”ということですが、遠くの見通しはつかないなかでも、積極的に当面の困難に立ち向かいそれを切り抜けて、大きな成果につなげるという意味に用いられます。」(中西輝正「なぜ国家は衰亡するのか」)とのことです。

 
わが国の受託者責任に関する法律の規定や法理論の不備は目につきすぎる。それ
ではわが国で契約意識が根づいているかと言えば、「法三章」(法や契約は簡素な
のが理想)という言葉があるように、責任関係を明確にするため契約書にしっかり
書き込むこともない。このため、信託法理(信認法理)も定着せず契約も曖昧な結
果、責任関係の「空白状態」が生じかねない。基金の資産は加入者の将来の給付財
源であり「他人の金」である。それならば、それを預かり運用する者の責任関係が
曖昧であってよいはずがない。また、法律の規定の整備を待つには時間がかかりす
ぎ判例・学説の蓄積も不十分である。だとすれば、基本的には契約によって責任関
係が曖昧な部分を減らす努力をすべきではないか。

厚生年金基金連合会運用調査部長島崎謙治
「年金基金の資産運用のチャレンジ」
2000/6/2 単独連合厚生年金基金協議会オープンセミナー



 ここにきてわれわれ日本人は、先人や歴史に学ぶとともに、憲法を始めとして、ギリシャ哲学やローマ法、英国経験論等を含めてA.スミスやマルクス等を読み直す時期になってきたということでしょう。当然、イデオロギーとか理念的ドグマとか頑な決定論、更に統制思考等には現下の現実に立ち向かう力の無いことを認識しつつ、抽象の果実を得る際に捨象されましたドメスティックなものの復権を図り、そこから全てが始まるということになるでありましょう。


上述してきましたように、理念で立ち向かう統制的思考スタイルをとるか、現実との格闘の中に切磋琢磨の試行錯誤を通じて新しいものを見出していくのか。何れにしろ、自分で独自に論理展開を図り、個々に哲学していかなければならないのでしょう。事例として、次ぺージの絵図(?)みたいなドメスティックなものはどうでしょう。


それは日本のエコノミストたちがいうように経済システムが単にアングロ・サク
ソン型だからではなく、彼らが基本的に不透明さや「カオス」を積極的に喜ぶ民族
だからにほかならない。不透明さのなかにゾクゾクとした興奮を覚えるというのが、
アングロ・サクソンの民族性というものなのである。それは何よりも「直視するこ
と」の大切さを第一義とする習性の強みともいえる。

現在、サッチャー改革やレーガン改革が再評価され、その先駆性や果断さばかり
が強調されているが、もっと注目すべきなのはアングロ・サクソンの、泥濘のなか
 を注意深く切り抜けていったときの、心理と状況観察の二分法とそこから生まれる
 戦略と戦術面の「柔軟さ」を尊ぶ姿勢であろう。先が読めない場合にも悲観的にな
 らず、うまくいきそうなときにも楽観的にならず、プロセス自体に情熱をそそぐ態
 度が、この「霧の時代」を生きるための不可欠の活力を与えてくれるからである。

中西輝正『なぜ国家は衰亡するのか』



ちなみに、イギリスには、「マドリング・スルー」という言葉がある由、「これは直訳すれば“泥のなかを通り抜ける”ということですが、遠くの見通しはつかないなかでも、積極的に当面の困難に立ち向かいそれを切り抜けて、大きな成果につなげるという意味に用いられます。」(中西輝正「なぜ国家は衰亡するのか」)とのことです。

 
わが国の受託者責任に関する法律の規定や法理論の不備は目につきすぎる。それ
ではわが国で契約意識が根づいているかと言えば、「法三章」(法や契約は簡素な
のが理想)という言葉があるように、責任関係を明確にするため契約書にしっかり
書き込むこともない。このため、信託法理(信認法理)も定着せず契約も曖昧な結
果、責任関係の「空白状態」が生じかねない。基金の資産は加入者の将来の給付財
源であり「他人の金」である。それならば、それを預かり運用する者の責任関係が
曖昧であってよいはずがない。また、法律の規定の整備を待つには時間がかかりす
ぎ判例・学説の蓄積も不十分である。だとすれば、基本的には契約によって責任関
係が曖昧な部分を減らす努力をすべきではないか。

厚生年金基金連合会運用調査部長島崎謙治
「年金基金の資産運用のチャレンジ」
2000/6/2 単独連合厚生年金基金協議会オープンセミナー


 ここにきてわれわれ日本人は、先人や歴史に学ぶとともに、憲法を始めとして、ギリシャ哲学やローマ法、英国経験論等を含めてA.スミスやマルクス等を読み直す時期になってきたということでしょう。当然、イデオロギーとか理念的ドグマとか頑な決定論、更に統制思考等には現下の現実に立ち向かう力の無いことを認識しつつ、抽象の果実を得る際に捨象されましたドメスティックなものの復権を図り、そこから全てが始まるということになるでありましょう。



「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 11

2013年03月11日 | 厚生年金基金
ホ.基金問題のインパクト
少子高齢化を迎えましたストック経済時代の要請は、積み上がった蓄えの効率化を最大の目標とすることになりましょう。


「身分契約へ」ではなく「身分契約と信認へ」──情報資本主義の下、私たちは
今、契約と信認という二つの異質な人間関係を軸とする、新たな市民社会像を構築
する必要に迫られている。それは同時に、国家なるものに対して、個人の自由な活
動の場の保障という消極的な役割だけではなく、信認関係の法的な規制という積極
的な役割を与えることでもある。

岩井克人『二十一世紀の資本主義』
「契約と信認」―市民社会の再定義


基金自体に30年余かけて営々と積み上がりました<人様のお金>は、積立不足があり積立水準をクリアーしていないという問題を抱えてはいますが、資産額としては企業資産に追いつき、追い抜く場面を迎えており、愈々ドラッカーの言う「見えざる革命」が日本においても現実のことになりつつあります。積み上がりました<人様のお金>が各方面に与えるインパクトは量り知れず、日本の経済・社会の編成替え、再構築を強要し始めています。
その展開をさらに一層促進するのが2000年度の国際会計基準採用に伴う退職給付債務(PBO)の企業会計への計上です。 そこから、政府においても財政の面からも国民の意識の面からも肥大は許されず<小さい政府>が求められ、企業活動もEVA等の評価指標で量られ費用対効果の最大化を要求されるでしょうし、運用機関はローコスト・ハイリターンな高資質サービスを負託され、基金には受託社責任を全うしました一層卓越した経営が求められるようになるでありましょう。これら各種の要請が相俟って、ストック経済時代の社会保障スリム化というシナリオを成就させることになるのでありましょう。

金融技術や情報技術は、資本の効率性を促進し、グローバル化した世界の資本市
場において資本の最適リスク配分を可能にする。実際、この二つの技術は、金融の
機能(ファンクション)や資本市場の機能を高め、業態を中心とした金融システムからリス
ク配分機能を中心とした金融システムへの移行を促している。

刈屋武昭『金融工学とは何か』―「リスク」から考える


このような世の中一般の編成替えの時に、厚生年金基金制度も当然変貌していくことになりましょう。変貌もままならぬと言うことであれば、確定拠出型年金に席を譲って<退場>するしかないでしょう。それも一つの選択肢ではありますが。そうではないとすれば、雇用の流動化にどう対応するのか、制度のフレキシビリティをどのように確立していくのか。社会保障スリム化にどう貢献できるのか、国際会計基準下の日本企業に効率的な社員老後資金システムを提供できるのか。<顔の見える基金>にどう変貌するのか。資産運用文化形成にどう貢献できるのか、確定給付型年金は正念場を迎えているということでしょう。


   (3)<人様のお金>が変える日本のインフラストラクチュア

イ.日本型資本主義の組成
軍国国家主義で戦った第二次世界大戦で、全面降伏させられ海外への拡張路線を断たれました日本が、再び徳川300年の鎖国状態と同じ様な場面に引き籠もらざるを得なかったのは幸いでしたと考えるのは50年余の時の経過の然らしめるところでしょぅか。
ポツダム宣言により戦犯裁判、軍隊解体、財閥解体、集中排除法、戦時賠償等と共に民主体制の確立を要請された日本でしたが、新しい日本のインフラストラクチュアを構築すべき政財界の主要な人材は追放され、御用学者は言わずもがな、わずかに満州経験者の大陸浪人たる官僚が残されているだけでした。
 時の世界的な政治情勢は、戦後の長期支配体制に膨張しつつあった米ソ冷戦構造の厳然たる現実でした。連合国体制、なかんずくアメリカにとって、日本は共産主義勢力に対する封じ込め戦略の地形上再重要な国ですと同時に、経済的な復興や民主体制確立も必要不可欠不可避な国でもありました。占領政策実施の時、呼び出されたのは大陸浪人の一団であり、彼らは、占領軍から示された勧告、フレーム・ワーク等を日本に土着化させるに際して、背景、根拠としたのが満州帝国管理の統制手法でした。それは、欧州大陸法のような始めに理念有りきの大上段の構えを特徴とする思考方法でした。外枠を押さえられた中での内側で大陸浪人達は知恵をだし鎬を削ることになりました。占領軍に頭を押さえられているので、法律事項は総論のみで構成し、実務・細部は裁量のままとする裁量行政の手法をこうして徐々に形成し確立していったものと考えられます。この背景には、占領軍の暗黙の了解として日本に対する監視型政治の内側の裁量を許容する戦略が透けて見えていました。そこに憲法の空洞化を許容せざるを得なかった現実政治のパワーポリティックが介在しましたことも事実としてあったのでしょう。

ごく最近までアメリカの制度は、部分的で断続的かつ間接的な政府介入を受けな
がら、民間企業が信用を創造し、取引するものだった。一方で日本の制度は、管理
された市場から民間の利害がしだいに利益機会を得られるようになったとはいえ、
国家が信用創造と信用の価格を管理する統制制度だった。

S.ストレンジ『マッド・マネー』
―世紀末のカジノ資本主義


一夜にして成るものは子種の仕込み位いのもので、結果論的見地から見ると強固堅固な仕組みもその形成過程においては、「もっとも、現実とはこんなものかも知れません。何らかの偶然の積み重ねで、まるで設えたかのような堅固な制度・構造が出来上がる、ということです。」(JMM2000/04/19配信・北野一) 50年余を経て裁量行政に凝縮しました日本の官僚の手法もその拠って立つ基盤が始めに理念として確立していたのではないのでしょう。様々な条件が、例えば連合国の要請、満州の経験、ファシズムを脱した人々の軽やかな心情等々が複雑に絡み合って都度都度の成果がおもむろに組成して成ったものでしょう。同様に、日本型と言われる資本主義の特殊なインフラを作り上げた戦後日本経済も、官民共同による統制経済システムを都度の問題クリアーの積み重ねの延長線の上に結果しましたものでしょう。
しかし、戦後50年余の統制経済実験はソ連型の政府が直接関わる直接統制も日本の官民ぐるみの間接統制も共に失敗に終ったということは動かしがたいことです。ただ、日本型の間接統制はソ連のストックもフローも崩壊した事例と異なり、ストックだけは積み上げるのに成功しています。何れにしても、人心の荒廃という点では統制経済の実験は失敗と断罪できるでありましょう。この点、人心の荒廃という点では不幸なほどに日本人にその意識も認識もない点が不気味です。
それでは、この国民の不気味さ、生身の人間のドメスティックな声の圧殺、大義(会社主義)への順応等は、戦後どのように形成されてきたのでしょうか。国民の声は戦後圧殺されたばかりではなく、前史として背景として土壌として戦前の皇軍国家主義の右傾化、ファッシズムにその起源をもつのでしょう。沈黙が知恵でしたファッショの時代から沈黙が美徳になりました戦後の経済体制では官民ぐるみで経済復興の美名を掲げてきたのです。
日本型資本主義のフレーム・ワークを形成する数々のインフラは、政府による信用創造、信用配分、与信拒否等の統制管理経済指向に始まり、銀行による間接金融奨励、業態間規制、産業資本配備、護送船団方式、PKO、中央集権装置等として徐々に形を与えられ、局面の国際環境、ヘゲモンを詐称する官僚のケイジアン的管理指向、民間の官依存体質等々によって50年余かけて組成されてきたのです。




ロッキィーズ物語

・少年たち

仏さんのように優しく、アメリカでホームランを打ってきたM、市一番の投手と
騒がれたH、市の大会で選手宣誓をしたM、甲子園出場の夢を語ったS、父親の転
勤でロッキー山脈の麓から帰ってきてロッキィーズに入った大人F、アメリカン・
フットボールに鞍変えしたS、ピッチャーとして保土ケ谷球場で投げていたN、天
才と期待されたMにY、左ピッチャーのKにYにN。ヘナヘナピッチャーのN、小
柄な大投手だったN、利かん気の強かったNとO、父親譲りのセンスのI兄弟、
私の子供もふたり、市の理事に注目されたN、スラッガーのG、ぶきっちょなU、
O、E達、……とにもかくにも、一人一人の少年たちは、全員それぞれの
個性を発揮してロッキィーズを卒業していった。今、それぞれが各々の場面で活躍
していることだろう。少年時代の一時、ロッキィーズで野球をやったという子供が
  180人もいることになる。



かたや、財閥を解体され経営と資本の分離を強要された日本企業は、相互に株式持ち合いを促進し、株式の流動性を抑圧して資本の効率性を次善策とし株主の力を空洞化するという方法で略奪し、企業防衛を図ると共に、土地本位制をべースにした法人資本主義を形成しました。
こうして形成された日本型資本主義は、株主議決権の制限、キャピタルゲイン指向の低配当政策、身内監査、専門経営者を排除する身内の成り上がり経営者とそれをバッファーするゼネラリスト集団等々、資本を資本家から掠めとり、法人・会社の<自分たちの金>にしてしまう巧妙な仕掛けを、含み益会計操作、負債性資本(引当金)依存経営、過少自己資本経営、三種の神器の組合せによる低コスト賃金、費用認識の飛ばし等々の多様な詐欺的インフラを駆使して強固磐石なシステムに作り上げたのです。そうして、終に法人主義、会社主義の制覇によって「人間が法人の一器官と化して法人に隷属する」(岩井克人)という逆転を招き、法人という抽象観念のファッショがブラックホールのように生身の人間のドメスティックな声を飲み込んだのです。息詰まるような窒息感が日本の企業を被っているのはここに人間疎外が極まったということでしょう。
とは言え、これは当初、戦後のドサクサに政治家や官僚や民僚の理念として存在していたのではなく、局面での対応の結果、組成されてきたのです。その場面での、当事者や一般国民の資質に民意度が低く依存体質が強く統制に都合のよい土壌でしたということだけは言えるでありましょう。
この間、日本の<人様のお金>の命運は、基金事務所の片隅に据え置かれたまま顧みられることもなく営々と積立てられているばかりでした。偶々企業サイドの目に触れる別途積立金が基金の資産に生じた折には、企業人は全面的に<自分たちの金>であることをつゆ疑わず企業サイドへの一方的な略奪・還流を旨としたのです。というのも株主の資本さえ<自分たちの金>扱いする日本型資本主義の法人資本主義の世界ではそれは当然の論理展開でしたし成り行きではありました。また、平成に入ってからの政府の低金利政策によって積立不足が発生してきた折には不謹慎にも身勝手な代行返上を主張する体たらく、ルール無視・義務の放棄・権利の乱用という傲慢の極みを何も意識・認識することなく無知をさらけ出して発言するに至ったのです。これは端なくも、日本型資本主義の内実の暴露となってしまったのです。
これだけのことではなく、本邦金融界の政府・官僚・財界を巻き込んだ金融パニック、金融不祥事、特に大蔵省がらみのそれは、本来<人様のお金>であるものを傲慢にも<自分たちの金>として各々が各々の領分で裁量しました結果、発生したのです。政治家は選挙資金とし、官僚は統制的産業資本配備金とし、企業人は資本家の金を略奪してほしいままにローコストの設備投資資金としたのです。末村篤をして「「エリサ」はおろか「ペコラ」も飛ばしたままでは心もとないこと甚だしいです。」(「証券アナリスト・ジャーナル」 2000.3 「人本主義」から「資本主義」へ )と言わしめる所以です。
金融恐慌まがいの日本型資本主義の様々な末期症状がここ10年ほど繰り広げられましたが、この間の逸失利益を別にして幸いなことに関係者の懸命な努力で基金資産の元本だけは保全されたと言えるでしょう。新しく導入されました非継続基準等による積立水準をクリアー出来ていない積立不足基金も数多くあるとはいえ、事前積立方式で積み上がった年金資産は50兆円時代となり、個々の基金でも母体企業の株主資本を上回り、或いは上回るほどになってきました。このことは、基金事務所の片隅に捨て置かれていました基金資産が日本経済に対してして、或いは個別企業に対して物申す時代に変わってきたということです。積立不足は即、日本経済・個別企業への負の要因となり、無視しえないインパクトを政治・官僚・経営に与えるようになってきたのです。マネーのパワーは従来型のインフラストラクチュア、政・官・財のフレーム・ワークにドスを突き付け始めたのです。無血革命が静かに始まっているのです。


強い個人と、柔らかな国家と企業の組合せが、しなやかで相対的に安定した社会
への王道といきなり言われても、企業に隷属することで安寧を得てきた日本人が直
ちに「はいそうですか」といくわけもない。……・気の遠くなるような作業も必要
になるだろう。
末村 篤:「人本主義」から「資本主義」へ
「証券アナリスト・ジャーナル」 2000.3


日本人は、ここに戦前の皇軍国家主義のファッシズムと戦後の日本型資本主義=会社主義の実験・経験を踏まえて、<国家―企業―個人>の経路を求めていくことになるのでしょう。心もとない民意度の状態ですが。それでも、2000年4月に日本型資本主義に対する退職給付債務の<PBO爆弾>が投下されました。<自分たちの金>から<人様のお金>へ、代理人契約から信認契約へ、大陸法から英米法へ、法人から個人へ、時代は急激に動きだしたところです。


ロ.フローからストックへ
P.ドラッカーが1976年に『見えざる革命』(The Unseen Revolution)を出版しましたときのアメリカ経済では、GM等の企業年金の拡大を通じて「勤労大衆という普通のアメリカ人が企業の所有者として登場する」(末村 篤:年金が企業経営を変える Fund Management 1997.春.夏季号)と言われ、それにつれて伝統的な価値観は変容を迫られ新しい資本主義、すなわち<年金社会主義>が誕生すると予言されました。
一方、日本では株主資本を上回るほど積み上がった企業年金の資産が『見えざる革命』の現実を人々に突き付け始めたころ、戦後50年余かけて組成された特異な日本型資本主義の実態が次々に露呈し、官も民もとても変容を迫られるというレベルではなく、<断罪される>という場面を迎えているように考えられます。
アメリカの<穏やかな変容>と日本の<全面的な断罪>というインパクトの違い、アメリカのUnseenではなく日本の場合は目に見えて<強制される革命>と言えるほどの場面を迎えているのです。つまり、同じ、企業年金資産の積み上げの意味するところが日米では相違するということ、日本では短期に急激にドラスティックにフレーム・ワークとインフラストラクチュア等の刷新・構築が大々的に求められています。ドラスティックな少子高齢化時代に突入しましたという日本特有の時代背景もありますが、積み上がった企業年金資産の社会に与えるインパクトはアメリカの比ではないのです。


株式会社とは資本主義の生みだした最大の発明のひとつである。株式会社という
制度を抜きにして、現代資本主義の発展を語ることはできない。そして、まさにこ
の発明のなかに、法人否認説を実践するアメリカ資本主義と法人実在説を実践する
日本資本主義という、資本主義の二つのタイプを生みだす仕掛けが仕組まれていた
のである。

岩井克人『二十一世紀の資本主義』
「ヒト、モノ、法人」


そのインパクトの強さは、次のような日本の資本主義の特異な性格形成のためですと考えるのは妥当なことでしょう。復興期の日本経済は国民の貯蓄を「銀行を柱とする金融システム(間接金融システム)」 (井手正介:年金社会における効率性、公平性と資産運用サービス「証券アナリスト・ジャーナル」 2000.3 )に集中し、低利の産業資本を製造業等に提供し、三種の神器で低コストの雇用を確保しつつ競争力をつけ、長年の外貨不足を黒字化してストックの積み上げに成功してきました。この間、日本経済の復興というインセンティブを与えられた国民は、官僚の統制経済手法(法治国家にあらざる裁量行政)を許容せざるを得なかったと言えるのでしょう。秩序撹乱的なドメスティックな声は無用とされたのです。横並びで順応していなければ弾き出されていたのです。


ロッキィーズ物語

・感動をくれた少年たちへ

コーチ達はそれぞれの生活のドブ泥にまみれて、毎週土曜日にグランドに立つ。
そんなコーチ達に少年たちはピュアなもので挑んで来る。どのコーチも少年達に
かなわないというのが通り相場。
とてもひ弱に見える少年たちが試合で示す頑健な自己主張、驚愕させられる方法
で点を取って来るその現実主義、前の打席でホームランを打ち、次の打席ではぶき
っちょなFがスクイズを決め、それがツーランとなる。うるさい母親やコーチがい
ないかのような態度、自由な立ち居振舞い、ふてぶてしい少年たち。
サラリーマンのコーチ達はそんな少年たちに圧倒されて、惚れ惚れと縦横無尽に
動きまわる彼らを見やり、白昼のグランドに立ちつくす。



その結果、出来上がった日本の資本主義はソ連の共産主義以上に直接統治型の共産主義の典型と成りおおせてしまったのです。本来の株主を抹殺しました法人資本主義を形成しますことで、逆説的ではありますが、満州浪人があるいは夢見ましたのではないですかと考えられる<ピュアな共産主義>の一モデルを作ってしまったのです。<歴史の核融合現象>と言うものがあるとすれば、2000年という年の日本に今それが生じているという認識は奇抜なものでしょうか。といいますのも、戦後50年余の日本型資本主義の形成を経てきました今、その発展の頂点に達して一路瓦解に向い始めたとき、フロー経済の多大な犠牲の上に積み上がりましたストックで少子高齢化の年金社会を生き延びざるをえなくなり、併せて特異な日本型資本主義の鎖国政策が国際会計基準へのシフトでグローバル世界へオープンすることになってきたのです。ここに歴史の核融合が生じて、別の角度から見ざるをえなくなったときにゼネラリスト逹が気付かされるのは<自分たちの金>呼ばわりしていた金が、実はまったく全面的に<人様のお金>だったという大きなショックです。こうして核弾頭にも匹敵するPBO爆弾<人様のお金>が出現したのです。つまり、アメリカの<穏やかな変容>に対して、日本のそれは社会のべーシックな枠組みそのものの<急激な変容>を求められているのです。

数分後、修正ずみの標準契約書式、つまり、最小限に簡略化された信認契約書を
手にしてもどってきた。契約書は三ぺージにわたるもので、その条文の大半が、依
頼人は、自分の金に何が起ころうと、信認代理人に対してけっして償還請求を行わ
ないことに同意する、という定めにあてられている。また、こうした厳粛な誓約が
あるにもかかわらず、やぼな依頼人が代理人にたいして法的訴訟を起こそうとする
ときには、チューリッヒ州の裁判所のみがその争いに関する裁判権を有する旨もう
たわれている。もっとも、そうした不満を抱いた依頼人が勝訴した例は、チューリ
ッヒ州の歴史始まって以来一度もない、といった事実にはこの契約書は触れていな
い。

P.アードマン『無法投機』
(原題:The Set‐Up )


ハ.インフラストラクチュアの再構築
ストックの積み上げである年金マネーの膨張は、単なる国内問題に留まらず一国の壁を軽々と瞬時に飛び越えて活動する場面を創りだし、それが『国家の退場』(S.ストレンジ)という無国家時代の到来を招き、国際政治までも左右する程になってきたというのが現実です。地球規模の観点からのシステムとそのインフラストラクチュアの構築が問題になりつつあるということでしょう。
そのような視野の下、当面日本の<人様のお金>を担保するインフラは、日本型資本主義の破綻ということ、即ち従来型の官僚統制インフラの機能不全と官僚統制にマッチングして創出された株式持合い構造による擬似資本主義の破綻が明らかになったところで、どのような形のものになるのでしょうか。右に倣うというマイナス思考ではなく、せめてキャッチ・アップのプラス思考だけは不可避でしょう。
国民の金(税金)並びに株主資本を<自分たちの金>にしていた日本型資本主義下のインフラ、つまり統制的な政府による信用創造、業際障壁による与信の配分、産業資金配分のための間接金融システム、銀行の株式保有・生保の政策運用等による株式市場のPKO、企業の株式持合い構造による経営の保身、政府の統制に対する協力の一環である米国債投資、証券会社の推奨販売等による反市場行動等々は、市場操作のPKOに最も象徴的に現象していると考えられますが、本来<人様のお金>であるものを全て<自分たちの金>にすり替える操作、オペレーション、管理を主眼としましたケイジアン的手法でした。
それは、経験を度外視しました始めに理念有りきの思考スタイルをべースにした手法であり、英米法理(エクィティ裁判)ではなくドイツ風大陸法理、帰納論ではなく演繹論です。具象でもなく抽象です。ドメスティックなものの管理、つまりドメスティックなものの統制・支配を旨とする思考スタイルです。ソ連の崩壊に続いた日本の破綻は、共に統制経済の機能不全という点では同列の事象であって、このことは併せてドメスティックなものの統制・支配を旨とする思考スタイルそのものの敗北を意味しているということになりましょう。つまり、<人様のお金>のパワーエンジンが点火されたということです。
ということは、新たなインフラストラクチュアはドメスティックなものの試行錯誤な切磋琢磨によってしか構築し得ないのでしょう。ドメスティックなもののバイタリティに負託することになりましょう。


ごく最近までアメリカの制度は、部分的で断続的かつ間接的な政府介入を受けな
がら、民間企業が信用を創造し、取引するものだった。一方で日本の制度は、管理
された市場から民間の利害がしだいに利益機会を得られるようになったとはいえ、
国家が信用創造と信用の価格を管理する統制制度だった。

S.ストレンジ『マッド・マネー』
―世紀末のカジノ資本主義


日本型資本主義における<自分たちの金>の世界でメイン・インフラとなっていたのは、大陸法理をバックとした自己責任を強く要請する契約概念でした。そうではありましたが、日本型資本主義は法人化(組織)という手法で巧妙にこれをすり替えてしまい、誰も責任をとらなくてよい構造を組成し、野村、住専、山一、大和銀行等の事件で明らかになりましたように関係した官民共に責任感も倫理も地に堕ちてしまい、結果的に組織的な詐欺集団となりおおせてしまいました。性悪説に基づく自己防衛を基本理念とする<契約概念>は、本来厳しい自己規律が求められるところですが、これらの事件が自分に甘くなってしまえばどうにも打つ手のなくなるひ弱なインフラであることを図らずも明らかにしてしまったのです。つまり、日本の法理における契約概念には、法理としての厳密さが欠け、勝手な解釈を許容する曖昧さが含有されているうえに、互いに互いの善意にもたれ合う相互依存によって形成されていたのです。島国の同一文化圏に生活する者の<和をもって貴っとしとする>心情が個別事項の確認を羞恥・逡巡させ、性善説の依存によって曖昧なまま放置するのです。本来、契約概念は性悪説で構成・構造化されるところを性善説の日本人の契約概念には論理性、合理性等の観念が希薄でしたと言えるでしょう。
一方、一般事業会社においても、株式持合い、含み益経営、三種の神器による低コスト化等々のアンフェアな契約に反する得て勝手な法人行動で、本来株主の金や従業員の金である<人様のお金>を<自分たちの金>に勝手に読み変えて契約を反故にして無法状態を作り出してきたのです。とは言え、契約が当事者間の自立した自己責任で文字通り構成されているのであれば、裁判とか賠償とかということになるのでしょうが、日本型資本主義の世界ではそれをさえ巧妙に法人組織の構造にすり替えてしまっていますので、契約本来の機能が完全に不全状態にされているのです。「法すらない日本」ということでしょう。

日本社会は官僚を頂点とした管理社会だ。内向きな管理社会からオープンな自立
的社会に転換しなければならない。米国経済をみればいい。レーガン政権時代、も
ともと日本よりはるかに少ない規制を全部、取り払い、大減税もした。税金という
のは『官』が個人の収入の一部を召し上げるわけだから、減税は『官』が管理する
パーセンテージを低くするということだ。可処分所得を大きく増やすことで個人の
自立的な経済活動の範囲が広がる。

小沢一郎:「小沢自由党首に聞く」
日本経済新聞 平成12年4月30日 朝刊


つまり、日本は官僚と法人がつるんで契約も無い法理も無視の無法状態を組成した統制統治国家となってしまったのです。民間人が法人という蓑を被って、中央統制の統治を目論む官僚に迎合している不様な国民国家に成り下がってしまったのです。実に、明治は遠くになりきです。
ここに日本型資本主義は個の完全な隠蔽を成就したのです。その手法は、官僚・法人の文脈への強制的ないざないと村八分、そのために強制されるドメスティックなもののひたかくし、つまり遮蔽の一事につきるでしょう。その結果、押さえ込まれ窒息した個が奔流となって想像もし得ない社会的事件・社会現象を引き起こしていると言えるでしょう。


二十世紀が「国家の世紀」「組織の世紀」だったとすれば、二十一世紀は「個人
の世紀」になるというのが一般に共通した見方だ。もたれ合い型ではなく、多元的
な価値観にもとづく自立した「個」による自己決定・自己責任型の経済社会であ
る。

芹川洋一:21世紀へ憲法改革を
日本経済新聞 2000/5/3 朝刊


このような無法状態の中で、<人様のお金>をどう保全し、どう効率運用したらよいのか。うかうかしていると、又いつ何時<自分たちの金>にすり替えられるかもしれないのです。こういうのを年金資産運用保全の本当のリスクというのでしょう。これほど大掛かりな一網打尽に仕掛けられるリスクは他に余り例が無いでしょう。カントリーリスクとか政治リスクもこれに比べれば一過性のリスク、テクニックレベルのリスクに過ぎやしません。
幸いなことに、このような日本型資本主義の敗北が明らかになったころ、嫌々ながらの応諾ではありますが、国際会計基準に添うことが本決まりになりました。新たに時価会計、連結決算、キャッシュフロー計算書、退職給付債務等々のインフラが採用されることになり、アンシャンレジームの断罪と編成変えが強要されることになってきました。



ロッキィーズ物語

・優勝したら温泉招待!

文字通り、「ひょうたんから駒」だった。冗談に少年たちと話していたことを
彼らは現実にしてしまったのだ。あわてたのはコーチ達。5万円ほどの少年たちの
宿泊代をどう捻出するか、ドタバタが始まった。
というのも、6年生たちに、「優勝したら温泉招待!」だと言ったのだから、冗
談か約束か別にして、優勝したからには心意気上、これはMUSTの世界だと観念
してコーチ達で分担し合い、少年たちの温泉招待が実現した。
少年たちと180度眺望のきく白濁した温泉に入りながら思うに、「現実」の荒
々しさを少年たちは見事に導きだしたということ、これを成し遂げたという一事に
静かに感動しつつ、こういう経験をさせてくれた少年たちに感謝するだけだった。



「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 10

2013年03月10日 | 厚生年金基金
   第6章 凍結した死に体

 (1)「厚生年金基金は死に体!」
イ.凍結通知
厚生省は、平成11年9月30日付局長通知「厚生年金基金の財政運営等の特例について」という前代未聞の文書を都道府県知事に通知、その写しが都道府県知事から各基金に通知されました。
この通知で、厚生年金本体保険料率の変更されるまでの間、基金財政は平成11年9月30日で凍結の事態となり、ということは俗に言う<基金は死に体>であることを一方的に宣言(?)しました、というより、万策尽きお手上げの敗北宣言、或いはモラトリアムで執行猶予を宣したということでしょうか。基金サイドにとっては平成9年12月25日付の5.3.3.2規制撤廃に次ぐ、相反する意味で驚愕させられる文書となりました。この度の文書は代行制度故に基金は代行の金縛りにあっている事態を図らずも改めて明らかにしてしまいました。このように、基金は、一方的に宣言されてしまうのですから、30年余も経過していて、未だ独立法人の態をなし得ていないわけです。とは言え、この事態をプラス思考で考えれば、執行猶予中に、代行を切り離してもいい時期になってきているのではないでしょうか。


かっての『ゆりかごから墓場まで』の理念は、いま「最小限のセーフティ・ネット
(安全網)」に変わっている。働く人の割合が減っているのですから、自分で自分
の安全網を作らないといけないのです。

ロンドン大学年金研究所D.ブレーク所長
朝日新聞「社会保障が変わる」1999.11.7


ロ.凍結した死に体
厚生省は、この通知で厚生年金保険料が改定されまでの間、免除保険料率の改定が行えないので基金の財政逼迫の度合いが増すのを回避するため、基金を9月30日付けで当面の対策として冷凍庫入りにしたのです。それでなくても、政府のゼロ金利政策や5.5%の頑なな政策に拠り財政悪化を招いて既に<死に体>と化している基金を、凍結するということはミイラ化させようという魂胆なのでしょうか。まさか、そこまで頑ななではありますまい。
しかし、このミイラには幸い5.3.3.2規制撤廃というカンフル剤が既に打たれているので、人の手を借りずとも自ら冷凍庫を蹴破って再生するかも知れないのです。それには当然、リスクをとって果敢に挑む人と効率市場が組成されていなければという前提条件はつきますが。
私が思うに、西洋哲学の傾向としては、独自性を強調するあまり、個人の自律性
や自己中心主義の方向に行きすぎる嫌いがある。東洋思想にはその逆の傾向があり、
連帯を強調しすぎて、大海に水滴が飲み込まれるように、より大きなものへの完全
な没入の方向に走りがちだ。哲学的にバランスを取り、精神的な力を得るために必
要なのは、これら二つのニーズのあいだでダイナミックな調和を保つことである。

T.モリス『アリストテレスがGMを経営したら』
―新しいビジネス・マインドの探求


それでは、<厚生年金基金のミイラ化>という事態は、何を象徴しているのでしょうか。
行政サイドからと企業サイドから考えて見ましょう。
 一口で断言すれば、それは日本の社会全般にわたる戦後方式の機能不全ということ、それを証明しているのが超低金利でしょう。行政サイドにすれば、政治を巻き込んでの戦後官僚体制、つまり統制・計画経済の手法が手詰まりになったということ。企業サイドでは培われてきました日本型資本主義(本来の株主がいない資本主義の作り出した数々のインフラストラクチュアの束、持ち合い、含み益経営、ゼネラリストの法人代表、三種の神器等)の統治能力が効かなくなってしまったということ。この両者に共通している考え方のスタイルは演繹的思考法式、ちなみにマルクスやケインズのよう、あるいは欧州大陸的なと言うか、始めに理念有りき、という思考スタイルです。いずれにしろ、嵌まり込んだこのドロ沼から抜け出すのは大変なことです。その大変さは、全面的な解決策、官僚の好きな「抜本策」、ゼネラリトの改善計画、天才のひらめき等々では効果が期待出来ない点にあります。それは、持ち合いではないですが、<持ち寄る>ということでしか達成されないような<或るもの>なのでしょう。


                ロッキィーズ物語

・コーチ達

テーラーのN部長、広告の旭通のOさん、梱包会社役員のKさん、ミネベアのM
さん、三菱電機のFさん、それに私は年金の仕事等々、その他Yさん、Sさんと、
10人ほどの様々なタイプのコーチ達がチームに集ってきた。皆、自分の子供がチ
ームに入ったのでコーチを引き受けることになった人ばかりである。野球歴も、硬
式の高校野球から私のように田舎の中学野球だけ、中には経験なしのコーチもいる。
監督はOさん、Kさん、Mさんで交互に行い、Fさんはスコアラー専任、私はマ
ネージャーという役まわり。これが、最後のチームでは皆ところを得てチーム力が
高まったのだから、不思議なこと、十八年目の優勝というのは時に起るものだ。


ハ.解凍後の再生イメージ
小手先の改善に留まり、従前を引きズルか、まったく新しいものとして再生するのか、今後の興論・議論に待つところが大きいですと考えられますが、財政運営の弾力化、給付設計の弾力化もさることながら、基金の独立法人としての地位を確立・担保したいものです。
厚生省と厚生年金基金連合会と基金と内外金融機関等との協力のもとに基金に蓄積された、蓄積されつつある基金制度のインフラ(財政診断手法、受託者責任、受給権保護、時価評価基準、受託者責任、支払保証制度、資産運用ノウハウ等々)は、問題含みの経過的な成果とは言え日本に唯一確立されたものであり、今後の日本の年金文化、資産運用文化の中心足りえるものですと考えられるし、現行法体系の歪を組み替えるときの基盤足りえるものでしょう。


しかし、客観的に見れば、平均寿命の伸長や、サラリーマン化、核家族化に伴っ
てもはや年金のない時代に逆戻りし、老後を私的貯蓄や子供に見てもらうことは不
可能ですから、年金制度という人間の知恵が生み出したシステムを守っていく他は
ないのです。

矢野朝水「年金改正ざっくばらん」1999/10


この基盤のうえに、政府の金融ビッグ・バンンの指針を生かし「公的年金はスリム化していかなければなりません。これは大方のコンセンサスですし、日本の置かれた状況を見るとその方向しかありません。」(厚生年金基金連合会発行「企業年金」2000/2月号―インタビュー矢野朝水厚生省年金局長に聞く)のかもしれません。日本人の老後生活も、アメリカのように<家族→制度→個人>(フィデリティプレゼンテーション)という方向へ動き出しているのでしょうか。
年金局長は、未だ従来型の制度論者なのでしょうか? そんなことはないでしょう。同じ「制度」とは言え、その運営方法により、つまり官僚主導の制度と民間中心の制度運営では様相を異にして来るでありましょう。物事は多分一義的ということはなく、多義的なことが現実の姿なのでしょう。官の役目と民の役目が複雑に絡み合い効率的に密着融合した一つの有機体、それが制度の本来の有り様なのでしょう。例えば、大枠だけが官の領分で、その内部は全面的に民のテリトリーというような融合体、これは単なる観念論ではなく現実の規範なのではないでしょうか。局長発言のように公的年金のスリム化が必然であれば、その先にあるのは<民間の力>、あるいはフィデリティ言うように<個人>ということになりはしませんでしょうか。それらを取り込んだ制度ということでしょうか。


すなわち、ヴィクセルは、総需要と総供給のあいだの不均衡は、物価水準に代表
される名目価格にたいしてたんに一時的ではない「累積的」な影響を与えることを
発見したのである。均衡からの乖離は、それがどのように僅かなものであろうとも、
均衡からさらに遠くへと乖離してしまうような不均衡の累積過程を生み出してしま
うというのである。

岩井克人『不均衡動学の理論』


しかし、今となっては共産主義社会のような「大きな政府」のハイコスト・ハイリスクは許容されることではないでしょう。「小さな政府」が時代のニーズです。そこから、公的年金制度も必然的に必要最低限の「小さな年金」となるのでしょう。


日本の金融システムに関わる問題点は、当局が金融は重要な産業に資金を配分するという「産業金融」の歴史的経験から「金融は制度である」と錯覚したことによる点が極めて大きい。……。
そしてバブル崩壊まで構造的レント(規制による超過利潤)を享受してきた。そこで発生した リスクも、会計制度や税金等を通じて国民に移転してきた。そのことが金融技術の遅れをもたらし、リスク概念を踏まえたビジネスの発想を弱くし、株式持ち合いを含むリレーション中心のビジネスとなった。
その結果、リスク管理技術の遅れ、スペシャリスト育成の遅れをもたらした。資本の効率的利用や貯蓄投資の最適意思決定に関する「金融の機能」についての政策的視点が欠如していたのである。その結果バブル景気を招き、大量の資本を無駄にしてしまった。

刈屋武昭『金融工学とは何か』―「リスク」から考える


 要するに、「制度」は戦艦大和の鈍重さ、「閉じた系」を創り出してしまうので、社会の変化・進展に取り残されることになるのでしょう。或いは、「制度」は「機能」に進化するのかもしれません。政府なり企業はハイコストを負担できずハイリスクを放出せざるを得ないのですから、「制度としての年金」から「機能としての年金」への経路が敷かれることになるのでしょう。「制度」は最終受益者のニーズにカストマイズドするためには、何が提供できるのか、「機能」を問われるようになるのでしょう。


もともと証券会社はそのような情報を持っているのですが、特定のお客様にしか
出さないのです。そのことが、証券不祥事の温床になったと私は考えています。
しかし我々はそうではなくて、情報はインターネットで公平に出していこうと考
えました。インターネットというのは、開かれた世界なのです。分析は投資家に任
せます。そのための素材をどんどん提供するということです。……・。我
々は何も加工しません。もちろんネガティブなマイナスの情報も、そのまま出して
います。(依田太)

杉山勝行『インターネットで稼ぐ!』



                ロッキィーズ物語

・渓流地での合宿

毎年、8月の第一金曜・土曜・日曜日はロッキィーズ恒例の野球合宿、伊豆の渓
流地での野球漬け。少年が2、30人、コーチ達が5、6人、お母さん方が2、3
人のバスを仕立ててのキャンプ。母親と離れて寝るのは初めての経験で、少年たち
は毎度興奮。お母さん方も興奮。
とは言え、宿からの山道を歩いて浄連の滝めぐり、キャンプ場でのマスの手掴み、
少年たちの手足をコーチが掴んで川へ放り投げての遊泳、堰下の滝打たれの座禅、
早朝の山道の散歩等々、3日間の衣食住一緒の生活を通じてチームは一丸となる。



 (2)基金問題のインパクト
イ.積立不足か、コントリュービューション・ホリディか
2000年の今年は、日本の経済・社会、とくに年金問題、更にその中でも厚生年金基金に関係する方面でエキサィティングなことが多発し、或いは驚天動地な改革が起きるのではないでしょうか、おもしろくなるぞ! と、新年を迎えて考えたものです。
平成11年度の厚生年金基金の資産運用は、大半の基金で30年来の2ケタのハイリターン(欧米の基金では長年2ケタの実績がある)となり、積立不足故の代行返上の悲鳴はか細くなり、一転して現行日本では規制されているコントリュービーション・ホリディ(掛金拠出の中断)の規制撤廃が緊急な課題として浮上してきています。このような資産運用の好調さは、一に日本の株式市場の好調さに拠るが、平成9年12月に実施された5.3.3.2規制の撤廃も効果絶大でした。この点では、厚生省の<遅延した英断>ではありますが、規制撤廃に喝采を送りたいものです。

何がユニバースかといったら、単一の原理に支配された世界じゃなくて、じつは
さまざまな差異性がインタラクトする世界だということで、そういう場においてし
かヒューマニティはありえないと思う。

岩井克人『資本主義を語る』


今後は、規制撤廃の効果をフルに活用できる場面に変わったのですから、残る問題は為替の安定と外貨建て資産の運用さえ効率的に行える業者さえ確保(マネージャー・セレクション)出来れば、継続的に或る程度の収益は稼げるようになってきました。この好調さがしばらく持続してくれれば積立不足金の問題は無くなるでありましょうし、コントリュービューション・ホリディ等も法律改正が現実のものになるでありましょう。更に一段進むと、大半の確定給付型の厚生年金基金で母体企業の株主資本より基金の年金積立金の方が大きくなるという事態も現実になるでありましょう。ドラッカーの言う「見えざる革命」が日本でも愈々本格化しつつあるということでしょう。そうした場合、積み上がる資本は何を求めるようになるでしょうか。


……委員会(SEC企業買収諮問委員会)は表現をいっそう徹底させた。「企
業買収……が行われることは認められるべきである。この理由により、当委員会
は政府が企業買収についてその促進、抑制、あるいは功罪の判定を行うべきではな
いと信ずる」
こうして生まれたのが、企業買収についての基本的に道徳を排除した経済イデオ
ロギーで、ウォール街の一部の有力金融業者が明文化し、ウォール街の企業がその
政治力と金融力にかけて守ろうとした考えだった。その中心原則は、何が正しくて
何が間違いか、企業買収は是か否かは誰にもわからないという見解だった。

D.A.バイス/S.コル『ウォール街から来た男』


ロ.<人様のお金>が要請する効率市場
<人様のお金>を効率的に運用したいという基金の希望はシンプルです。不幸なことにこのシンプルさを達成することが従来拒まれていたのです。そこで、基金が要請しますというより、<人様のお金>が要請する効率市場をどう確保・確立して行くかが問われることになりましょう。始めに、過去に何度か行われた市場操作(PKO)に代表される大蔵省・通産省の産業資本移転は日本経済にとって無用になっているという認識が必要、今になっては余計なお世話ですし機能しなくなっているということは白日の下に晒されています。


厚生省が1970年代前半に社会保障制度を拡大したとき、将来の給付は実質経
済成長率を使って予想したが、社会保障基金からの収益率には国債の名目利回りを
使った。このため物価の変動が加味されず、必要な社会保険料が過小に推定されて
しまい、その後何回となく保険料を引き上げざるを得なくなった。
これは経済学的思考のうち足し算ができなかった好例で、厚生省に経済学をきち
んと習得した人がいれば避けられた間違いだ。

林文夫「磨こう 経済学的な思考力」
2000/3/31・日本経済新聞:経済教室


次に、企業サイドには日本独特の資本主義(本来の株主がいない法人資本主義)の改造が必要、とはいえこれは現在、<平成の黒船>である国際会計基準への対応で海外から強要されてはいますが。この対応である含み益経営のキャッシュ・フロー経営化、株式持ち合いの解消、退職金の後払い賃金説の導入、EVA等の企業評価指標による株式価値算定等々の大波が各企業を襲っていますが、これは逆に言えば、これらの種々な手法の逆の手法で大幅な市場操作(PKO)を産業資本配分の大義で政治・司法を巻き込んで大蔵省・通産省は行ってきたということです。これが日本の統制・計画経済、日本型資本主義の実態であったのでしょう。そこには、資本の論理を全面的に制御・懐柔しようというマルクス主義的なロジックが仕掛けられていたということでしょう。ここでは、<人様のお金>という個人の金は国家目的に、更に日本独特な企業経営の文脈(For the Kaisha)に没収されていたのです。この意味では、日本は崩壊しましたソ連以上に成功しました(?)共産主義国でしたのでしょう。国の復興、礎の確立をなし得て、世界一の債権国、つまりストックの積み上げを果たしたのですから世界で唯一共産主義の成功例ということです。その点では、中国にすら勝っているでありましょう。しかし、成功しました共産主義とは言え、孤立したこの世界は現実に立ち行かなくなっているのです。
次に、行政サイドの規制の網、特に5.3.3.2規制に代表される資産運用に対するそれは失われた損失を考えると気の遠くなる程であります。幸い、最近これはほとんど撤廃されました。さらに、資産運用機関にはお上の方を向くことなくエンド・ユーザーに向いた質の高いサービスの提供を負託されるでありましょう。敵対的な「契約」的経営から負託に応じる「信認」的経営への移行を期待したいものです。そこでは、一定限度以上の株式取得により持ち合い株を滞留させ流動性を阻害するなどということは考えられません。基金は、そういう手段になる恐れのある資金を信託銀行や生命保険会社へ資産運用とは言え提供してはなりません。基金は、委託先が無くなってしまいますなどというぬるま湯感覚を脱却し新しい運用機関を探すことになりましょう。お任せ運用の無責任体質はこういうところに本質的な問題を秘匿しているのです。それこそ、基金の受託者責任を果たせなくなるのではないでしょうか。そういう運用機関が残存するのであれば、それこそ議決権行使の対象でしょう、あるいはそういう運用機関は使うに足りないということでありましょう。そのような運用機関の解約、撤退、シェアの削減、限定使用等々、基金の選別が始まっています。つまり、効率市場を阻害する運用機関に資金委託するなどということは考えられなくなってきているのです。そのような運用機関をターゲットにした基金の戦略というのが現実に動き始めていますが、個々の基金の力は未だ運用機関にとっては脅威とまでは認識されていないようです。
要するに、<人様のお金>が市場の流動性を確保しつつ効率市場を達成するという至難なことを日本市場へ強制することになります。政府も行政も市場も<人様のお金>をエンド・ユーザーとしました高品質のサービスの提供が求められるということです。それをなし得ないのであれば、<人様のお金>のパワーが政府・行政・市場にレッド・カードを突き付けることになりましょう。


機能的金融(対立概念は制度的金融)は、金融商品を媒介にして世界の中でのリ
スクの最適配分をするだけでなく、その最適性が十分でないときには新しい商品の
発生や制度の変更を促す。これを不完備制度の完備化プロセスとみる。ベンチャー
企業の資本市場である「マザーズ」「日本ナスダック」創設などもこのプロセスの
例であると見る。

刈屋武昭『金融工学とは何か』―「リスク」から考える


ハ.受託者責任が再構築する
受託者責任の理念が<人様のお金>のパワーを担保するインフラストラクチャーとして、時間がかかるかも知れませんが行政手法や市場整備や金融機関経営にインパクトを与え、強いては日本の経済・社会インフラストラクチャーの再構築を推進するエンジンとなるでしょう。


ロッキィーズ物語

・走れ、走れ!

ピッチャー育成のKコーチの指導法はシンプルに、ただ「走れ、走れ!」だけで、
中々ボールを握らせない。
4年生のとき、グランドに現れた大柄な少年Mは、落ちているボールが拾えない
ほど太っていたが、Kコーチの英才教育で6年生の時には、<豹のような走り>を
するピッチャーに成長した。

<人様のお金>は、過去30年にわたって日本独特の資本主義によって日の目を見ることもなく、企業から島流しにされた厚生年金基金事務所にひっそりと積立不足を抱えながら蓄積されてきました。おいおい積み上がってきたその資産は、再々企業からは<自分たちの金>扱いされてきましたし、それに抵抗する基金関係者の意識を会社人間は異端視してきましたのが現実です。この間の基金関係者の状況を何と言ったらよいのでしょう。これに関して、基金業務ⅠA型の運営についてではありますが、或る大企業基金の事務長が最近Eメールで次のように書いてきました。実務経験者として筆者もまったく同感です。

「10年間孤独状態の中で情報の収集を行い正確な事業運営を行い
加入員・受給者に対して生活の「安心」をバックアップすること
の困難さは経験した者以外は分かりません。」

「孤独」というのか、企業と基金の世界観の違い、<自分たちの金>と<人様のお金>の対立の背景に、共産主義と自由主義のそれ、大陸法と英米法のそれなどという総論的なフレーム・ワークは別にしても、圧倒的な企業論理席巻の戦後日本の土壌で基金関係者が押し込められた事実は最近まで続いてきました。 統制・計画的共産主義と化した戦後の日本資本主義には<人様のお金>の存在できる領域はなく、わずかに企業とは別世界の基金事務所で様々なリスクに晒されつつ細々と生きながらえるしか出来なかったのです。
しかし、時代は動くもの。強固な形態を誇ってきました日本の資本主義も一応の達成を果たしたところで、内部から崩壊するに至ったのであり、それはこの度の国際会計基準により決定的になり、崩壊の度合いを一層早めている段階にあると言えるでしょう。その典型的な現象が、2000年3月期、積立不足が60兆円と言われる退職給付債務計上のために赤字決算会社の続出という事態を招いていることに現れています。(平成12年3月22日・日経金融新聞・スクランブル・磯山友幸) 
 これらの背後にある時代の趨勢は、「フロー成長重視の産業社会からストック・マネジメント重視の年金社会への移行」(井手正介)という時代の大きな変化の波でしょう。そこでのキイタームは下記のように図式化出来るでありましょう。




とはいえ、これらは完全に二分したものとして考えるべきではなく、融合競合した状態として考えるべきものでしょうし、時代の要請はその中にこそ次の時代を切り開くエネルギーを創り出そうとするのです。一方のみの力学の場合、それは例えば裁量行政で示されました視野狭窄の直線論理のようなものであり、経験不足な童子のような振る舞いであるということになりましょう。時代の状況は、価値の多様化に伴い、様々なムーブメントが複雑に乱れ飛び、2、3年で配置転換するゼネラリストには対応出来ない様態、つまり、なかなか落着しないアメーバー状の動乱なのです。当面の効率は求めようもなく、短期の評価は成立しえません。切磋琢磨の試行錯誤が時代の要請であり、むしろ効率というものは本来じっくり総合的に発揮されてこそその本質を明らかにするのでしょう。
このような多様・多面的な編成替えの時代になって、<人様のお金>を担保するインフラストラクチャーとして「受託者責任」の概念が大きな力となるでしょうし、それが日本社会のフレーム・ワークを再構築することになることを先に述べましたが、これを更に担保するのが、法理概念としての「契約」から「契約ー信認」をべースとする法理への変更ですと主張する論者(T.フランケル、岩井克人、樋口範雄等)が現れてきています。この日本において、新しい市民社会の構築に向けて議論が始まったばかりです。

ある人間関係が、現実の社会において、自己責任原理ではなく、社会的にみて有
益な依存関係として把握した方がよいとの法制策的判断が行われると、従来は契約
法理で規律していた関係が信認法に服するようになる。

樋口範雄『フィデュシャリー[信認]の時代』



「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 9

2013年03月09日 | 厚生年金基金

ヘ.Fidelity Investments
・フィデリティを従業員教育の情報技術企業とだけ括るのは無理があります。ピーター・リンチのマゼラン・ファンドも持っている全米最大の投資信託(ミューチャル・ファンド)の資産運用会社であり、M&A等も手掛けている1946年来の総合金融会社です。
・753万億ドルを運用、顧客資産は1.1兆ドル、社員28,738人、営業拠点18ケ国。
・DB、DC、IRA、キーオプラン等のリタイアメント・ビジネスは568万億ドル。
・401(k)の資産運用の投資対象商品として各種のミューチャル・ファンドを提供すると同時に、そのレコード・キーピング、その問合せにコールセンターを運営、併せて資産運用の相談にものっています。
・ アメリカでも年寄りの面倒は1900年代当初は家族の義務で行っていました。それが1930年頃から1980年頃迄の50年間ほどは政府と企業が制度を作って面倒をみてきました。それが1980年以降個人の自己責任で行われるようになってきました。




・401(k)の資産運用も、当初のSaving(安全運用)から投資のInvestingに変わるにつれて、運用商品も複雑多岐になってきているし、投資教育も不可欠ですし、Web.等ツールの精度・スピードも一層向上してきています。
・401(k)の成功の秘訣は
1.従業員の教育と対話
2.総合サービス
3.明解な制度設計
4.複雑な仕組みに多様な解決法
5.経営者と従業員への税のインセンティブ
・401(k)は、従業員の自助努力制度であって、
1.税引き前給与から天引き
2.企業も拠出
3.運用責任は従業員(企業が運用プランを用意)
4.税制の取扱いに特典
・401(k)プランのこれからの課題は、運用リスクのマネジメント(76%が株式)と多い現金持出し(IRA等に入れない)といいます。
・市場が崩れ出した際の集中的な解約請求に対してコールセンターの異常な程の整備によって、逆に市場パニックを増強しないかという筆者の質問に対しては、何度かの経験とシミュレーションにより楽観視しているようでした。
・越中記者も報じているが、フィデリティでもDBとDCの混合型(キャッシュ・バランス・プラン)がブームになっているといいます。
・ ライフサイクル・ファンドのアイデアが401(k)プランの最適なモデルでしょう。




・200人ほどのコールセンターと50人ほどのコンピューター室を見学。同様な施設がアメリカに他に3ケ所あるとのこと。元託銀のツアー参加者がマールボロのコンピューター室を見て本邦都市銀行と同程度の規模(器としては)との感想、ということはフィデリティ1社で本邦都市銀行4行分のインフラを保持しているということ。
・401(k)の発展にとって、アメリカン・スピリッツという背景も重要ですが、何よりも推進力を発揮したのは<個人べース>のテクノロジー(web、電話、レコードキービング等)を開発したことでしょう。
・コールセンターのプレゼンテーションで、パワーポイント画面のフィナーレを若い女性が誇らしげに画面いっぱいに「TECHNOLOGY」と大書して終えた意味、更にボストン早朝の散歩のときに見ましたフィデリティの営業店のポスターに「TECHNOLOGY」と大書してあった意味は、<個人べース>のニーズ(=アメリカン・スピリッツ)に対応出来る手段を保持していると、宣言していましたのでしょう。
・コンピューター室を見学するため入室したところ、4人の日本人先客が説明を聞いておりました。同行者曰く、4省(大蔵・厚生・通産・労働各省)の課長補佐程度の超エリでしょうとのこと。このあと、ボストンの街中でとサンフランシスコの飛行場で見かけました。お忍びの旅行らしく視線をあわせない陰気な連中でした。

更に、投資運用技術会社2社等。

ト.Atlantic Financial社
・独立系のフィデリティの関係会社で、株、債権売買仲介、定年退職関連サービス、ベンチャー・キャピタルへの投資などを事業としています。
・アトランテック・ファインナンシャル社は、社員3人だけの企画会社(プレゼンテーションを我々にしたのは30代の社長)で、実務はクリアランスハウス(決済事務代行会社)に委託しています。アメリカにはこの手の専門のクリアランスハウスが多数あるようであります。幾つもの会社のバックオフィスを兼ねているということ。例えば、日本でも各社共通の業務(給与計算・社会保険・労災・安全衛生・納税・採用・資金決済等々)というのはたくさんあるのですから、バックオフィス専門の会社があってもいいのですが。垂直統合的に社内に抱え込む雇用確保を目的とした会社(?)が多すぎます。
・スピーチワーク社とのパートナーシップにより音声認識テクノロジーも提供。
・定年退職に向けての社員教育や種々の資産管理・形成に関するプランへの参加を促しますようにサポートもしています。
・教育課程において、自動化された電話サービスへのアクセス、資産形成計画や運用結果のチェックなどについて学ぶことができるようになっています。
・日本の401(k)導入に際して、進出できるだけの技術を持っていると自負しています。その技術とは、<個人べース>の資産運用計画、資産運用教育、資産運用管理を可能とする技術(Web.、音声認識等)であるといいます。
・Web.は<www.atlanticfinancial.com>であります。

チ.SpeechWorks社
・1994年創業の社員130名の非公開企業で、インテル等から資金提供を受けて運営されています。
・スピーチワークスのソリューションはMITでの研究をべースに、それをライセンス供給された形で実現。
・モルガン・スタンレー・ディーンウィッター、シンガポール証券取引所、イー・トレードなどが音声認識テクノロジーを組み込んだ電話での投資サービスを導入しています。
・スピーチワークス社のビジョンは、電話で話すようにコンピューターとしゃべること。この技術は既に様々な場面(イートレイド、病院、航空等)で使用されているが、401(k)の教育、管理、回答等の場面でも使用されています。
・べースとなるエンジン(技術)は、初めに女性の肉声を母音・子音のレベルにコンピューター的に分解・蓄積。応答する時に蓄積された母音・子音を会話として合成するという技術であるといいます。
・このような転換の技術の別の場面で、日本のベンチャー・キャピタル:マーケット・メーカーズの服部さんはエクセルの<セル>を使って達成するというのをこの旅行に出る前に聞いたばかりであったので、女性の肉声を母音・子音のレベルに分解するというアイデアは非常に面白いと思いました。
・このスピーチワークスの技術は、幅広くハードウェアに対応、数千の電話回線で使用可能、 マルチ言語対応ということで、日本企業向けに可能性が大きいです。金融機関、年金基金、 公的機関、サービス業等々で使えるのではないでしょうか。
・401(k)のコンセプトは、<Individual>(個人)ですから、基盤の哲学は自己の十全の開花を標榜する自由主義であり、それを成就させるためにインセンティブとかテクノロジーが絡まることになるのでしょう。
・Web.は<www.speechworks.com>であります。

リ.日本経済新聞社米州編集総局年金担当:越中記者による現地401(k)セミナー
・DB(確定給付型)は過去のものになりつつあるのがアメリカの現実。DBはキャッシュ・ バランス・プラン(混合型)に移行しつつあり、DCが隆盛を極めています。そのDCには ストック・オプションやマッチング拠出等のインセンティブが常識になっています。
・キャッシュ・バランス・プランの利率は予定利率を使わず、市場利回りを使用。といいますことは、マーケット・プライスが年金給付を決定するということになります。このことから、高齢従業員の給付引き下げが現実のものになり、訴訟問題も発生しています。逆も当然、あるのでしょうが。
・DBは従業員が定年まで勤務することを前提に設計されているが、最近の労働市場の流動化で実態にそぐわなくなってきているのも、ポータビリティのある混合型が増えている一因でしょうといいます。
・主催者の友人ということでこのセミナーに参加したアメリカ大和證券の大井会長は、入社以来続いている海外勤務(ヨーロッパ・アメリカ)の経験から欧米人のものの考え方が401(k)に典型的に示されているといいます。
・米国では、DB(確定給付型)は既に<死に体>となっているというのが筆者の感想。

ヌ.「プランスポンサー」誌
・「プランスポンサー」誌は、他に「グローバル カストディアン」誌を出版しているアセットインターナショナル社の年金専門誌であり、中立的な特集記事を中心に編集している月刊誌です。
・主催者がヒルトン・ホテルの1室に用意した会場に、約束していました「プランスポンサー」誌のチャールズ・ラツフェル主幹(筆者は東京のセミナーで2度ほどお会いしている)はドタキャンで姿を見せず、替わりに女性編集長のメレディス・ヒューズとTSUNAMI社の松前社長が現われました。
・同誌は、東京で過去に3回、最先端のエキサィティングな年金セミナーを開催し、4回目を開催(6月16日・17日)すべく準備中であり、皆さんを招待するといいます。
・DB並びにキャッシュ・バランスは、DCだけの場合のリスクのブレに対するヘッジとして機能している面もあります。
・DCプラン誕生の事情は、1980年代に大きなDB年金債務が発生、併せてベビーブーマーのフレーム・ワーク流動化、小さな政府・企業のコスト削減要請等が生じ、新しいフレーム・ワークがもとめられていました。きっかけは、保険のセールスマンがエリサ等の法規制を読んでいるときに、法規制されていない或る仕組みを発見したことに始まると聞いています。
・ エディケーション・プログラムの中立性を確保するのが大変難しく、訴訟になりやすいということです。
・「プランスポンサー」誌の編集方針もアドバイスではなく、中立性確保を目指しています由。この点についてはかなり神経質な対応が多いです。
・<完璧なものは世の中にはありえず、完全な答えは存在せず、常により良いものを目指している活動だけがある>と、松前氏の言。日本の官僚はこういう度量のある考え方はしません。常に決定論です。
・東京で来週開催される「年金セミナー」について松前氏からAGENDAの説明があった。
・「プランスポンサー」誌では、近々ウェブ(www.japanpensions.com)で日本の年金スポンサー向けの日本語の情報提供を行う由。


  (3)日本版確定給付型年金の完全民営化

イ.取敢えずの401(k)論
この度のアメリカ旅行で奇妙な印象として残ったことに、「YesではなくOK!」というのがあります。飛行機の中でもプレゼンテーションでも街中でも、聞こえてくるのは男女を問わず「OK!」という短い叫びのような言葉。
考えてみるに、日本人は「Yes」とは「はい」ということですと教えられてきました。しかし、「Yes」と言って立ち上がる人はいないが、「OK!」は次の行動の予告といいますか、「OK!」と言う人は、そう言うと同時にもう向こうへ行ってしまっています。スピードがまったく違う。「Yes」の場合は、直ぐに行動が伴いません、或いは遅れて行動が出てくる、最悪の場合はただ聞き置くだけで一切行動が生まれないこともあるようです。
この違いは、何なのでしょう?
現在の日本で「OK!」と言う人はいるのでしょうか。1億総「Yes」マンなのではないのか。日本語になっている「イエスマン」はどういう人間か別にして、行動しなくなってしまった日本人、本来の意味の行動、自己のポリシーで動く人がいなくなってしまったのではないでしょうか。明治の人間、それに戦争直後の経済的混乱期の人間に「OK!」と言う人がいたのではないでしょうか。
今の日本人は「Yes」と答えて、深く沈潜してしまい、マイナーなものに呪縛されて身動き出来なくなっているのだろうか。そうであっても、マイナーなものはいつの世にも何処にも必ず在るものですが、それを巻き込んでプラス思考を更に一層拡張・拡大・展開していくのが、「OK!」という言葉の意味なのではないでしょうか。
立ち止まることを知りません「OK!」という文化は、マイナーなものをロスカットし置き去りにして、次から次へと切磋琢磨の試行錯誤を繰り返して新規のよりベターなものを創り上げるべく動きまわることになります。これが<アメリカン・スピリッツ>の背景にある個人の十全な開花に神の意志を見る個人主義(Individualism)の神髄ではないのでしょうか。
401(k)プランはこのような土壌の上に、米国政府の小さな政府を目指す社会保障費削減策とDBの積立不足に苦しんだ企業のリストラ策とが<Individual>をキイタームにして集約されましたフレーム・ワークでしょう。その上、401(k)プランは個人べースのテクノロジー開発と政府・企業によるインセンティブ付与が相まってプラン発展のエンジンが高速回転することになったようです。
この辺の好循環を『負けない年金』(http://www.nenkin.co.jp)の「日本版401(k)プラン構築に向けて」で、村田純一氏は次のように見事にまとめています。

「トータルベネフィットの中の401(k)プラン」という企業のべ
ネフィット戦略は、課税繰り延べの支援策をうけて、従業員報酬水準
の維持=国際競争力獲得=企業業績向上=マッチングインセンティブ
強化=従業員モラル向上=生産性向上といった、楽しい循環をもたら
しているのではないか。

おそらく、米国の企業は1980年代のDBの積立不足という苦い経験をした上に、資本の効率性の観点でDBのコストが「顔の見えない」コスト、金を注ぎ込む割には従業員が余り承知しない制度であることに対しても苦い経験をしたのでしょう。DBのフレーム・ワークがDCに比してハイコストであることを、ちょうど日本の代行型の年金給付が加算型のそれに比してハイコストを含有していることを経験・認識させられるように、制度そのものが持つ経済効率上の欠陥に気がつくことになったのではないでしょうか。
DBとDCで、同じ「金」の経済効果が明らかに違う場面に遭遇すれば、資本は自然に有利な方に流れていくでありましょう。DBの<顔の見えない>全体資産管理方式では資本は吸い取られるばかりで効果が余り表に出てこないのに対して、DCの<顔の見フレーム・ワークいうフレーム・ワークは金を入れれば入れただけの見返りがただちに表面化するのです。DCの器であれば、企業のマッチング拠出、ストック・オプション、自社株取得推奨、報酬の市場調達、株式連動報酬、寄贈基金等が、インセンティブ手段として機能することになり、DBのコントリビューション・ホリデーによる余資もそれに振り向けることも出来るようになります。
要するに、401(k)プランは<Individual>をキイタームに、インセンティブ付与がダイナモとなり、個人べースのテクノロジーとエデュケーション(教育・啓蒙の戦略)が相まって高速回転エンジンと化するのです。その結果、経済が活性化されるという循環が成立することになります。




これが現在アメリカをエキサィティングにしている401(k)エンジンの仕掛けでしょう。401(k)の金は「資本」となって1万ドル株式市場に活況を提供し、経済全般の好循環を作りだしています。これに対して日本人風にマイナス思考を作動させて、「危惧」を考えれば、株式市場崩壊の時にしたたかさがどれほど組み込まれていますかであるが、それは一にエデュケーション次第であるといいます。
この401(k)エンジンの今一つの凄味は、この仕掛け全般が「民間活力」で行われているということです。官僚の口出しは優遇税制の一点のみであり、他は全て社会全般を巻き込んで民間の智恵・技術・インフラ・民意等によって<民ー民の圏内>で達成されているということです。役人嫌いのアメリカ人のアメリカン・スピリッツが十全に開花した仕掛けとなりおおせていると言えるでしょう。
ことによると、「民間活力」という概念は抽象的な役所言葉であって、インセンティブ(誘発、刺激、動機)、誘導策、優遇策……という言葉の方が的確な現実的概念であるのかも知れません。1週間のアメリカで「インセンティブ」は何10回となく聞いたが、一度たりとも「民間活力」とは聞かなかったのは、そういうことを意味しているのでありましょう。

ロ.台風の目となった厚生年金基金
厚生年金基金自体の積立不足を端初に、そして債務拡大が続くに連れて台風の目となってしまったまま厚生年金基金は、日本経済の10年に及ぶ停滞の中で、高齢化と少子化に伴う公的年金の財政破綻、追い討ちをかけるような国際会計基準の導入、護送船団体制による金融秩序の崩壊、終身雇用・年功序列の雇用システムの破壊等々が経済全体の逼迫を招き社会的混乱を呈している現在の日本経済のガン細胞になってしまいました。
旧秩序・旧制度等の機能不全は極まり、あらゆる場面で見直し・検証が進められていますが、公的年金と企業の退職金制度に深く構造化されている日本の確定給付型年金制度の一つである厚生年金基金は、制度発足30年にして矛盾・不都合の塊となってしまい、時代錯誤もはなはだしい<死に体>の制度になってしまったと言えるのではないでしょうか。
一方、公的年金の財政破綻の主たる原因になっている少子・高齢化の異常なスピードは大きな政府・肥大した官僚機構では付いていくのもままならなくなっています。又、企業の退職金制度は終身雇用・年功序列の雇用システムの破壊により様々な問題点を白日のもとに晒し始めています。ここから演繹的にも帰納的にも導きだされるのは、社会保障費の削減、退職金の廃止が正論となりえることでしょう。
厚生年金基金は、その特異体質(政府の年金の一部代行、政府の政策金利5.5%の強制)故に、国家政策の内側に統制・計画されている社会主義経済のフレーム・ワークですという認識は、最近では国民のコンセンサスになってきたと考えられます。ということは、統制・計画経済の非効率、国民の依存体質助長等の弊害について認識されてきたということでありましょうと論を展開するのは急に過ぎるでしょうか。
また、加算型基金であれば、企業の退職金の代替制度でもあるという特異体質をあわせ持っていて、退職金そのものが時代とミス・マッチし始めている状況で直にその影響をこうむる仕組みになっています。つまり、厚生年金基金は二重の特異体質故に制度そのものの行方も風前の灯火と危ぶまれるようになってきています。
これを要するに、現在の日本経済の低迷・混乱の中で、台風の目として基金制度そのものの存在価値が問われているということです。強いて言えば、この基金問題の追及を繰り広げていくことによって、現在の日本経済の低迷・混乱の解決への道筋も自ずと明らかになっていくということでしょう。

ハ.完全民営化への論理的帰結
最後に、1週間の米国旅行で調査・触発された401(k)を材料に、厚生年金基金を足掛かりにして、ビジョンとしての日本の年金制度を考えてみましょう。

まずは、一般的背景から
・ 現在の日本は、鎖国して島国に閉じこもっていられるような状態にはなく、全ての面で世界レベルに巻き込まれています。従来のような物理的な国境というのは意味が無くなり、グローバルなレベルから見ることを要請されています。

・グローバル・マネーの力業による日本の護送船団体制という金融秩序の崩壊は、統制・計画的な大陸法文化から自由主義・個人主義的な英米法文化に移行を意味し、司法秩序・税制・行政等、国家の基盤を形成するフレーム・ワークの革新が必要となります。つまり、裁量行政から事後監視型行政へ、他者依存体質から自己責任体質へ早急なシフト・チェンジが求められています。

・ 急激な少子・高齢化に伴う公的年金の財政破綻は社会保障費の削減を必然とします。

・退職金の未積立を容認しました低コストの人件費で国際競争力を付けてきた企業は、国際会計基準の導入というドスを突き付けられています。終身雇用・年功序列・企業内組合の雇用システムの維持が出来ないということは退職金の廃止を意味しています。

・厚生年金基金は役所の裁量行政と金融機関の恫喝営業の下、ゼネラリストの運営意識により経営のしたたかさを創り出せず、制度を<死に体>にしてしまいました。

・基金は代行分を持つため政府・大蔵の低金利政策の被害者となり、さらに厚生省の長期に渡る裁量行政による規制で財政破綻を招いています。つまり、役所の行政指導の結果が現在の基金の財政破綻を招いているということ。大蔵省の金融の護送船団体制によって本邦金融機関が崩壊しましたように、厚生省等の法令無視な行政指導により確定給付型厚生年金基金も<死に体>になってしまいました。

このような事態に対して、このたびのアメリカ旅行に触発されて、筆者は次のようなことを考えるに至りました。

<資本の効率性を高めなければなりません。>
・1200兆円の個人資産、社会保障費削減、企業のリストラ策、基金の積立不足等という事態で抜本的な制度変更と資産運用の効率化が必須となっています。
・戦後営々と築いてきた国民の資産を有効活用するために未経験ゾーンの資産運用に立ち入らなければなりません。
・政治・経済・金融・行政・法制・司法・教育等のインフラを効率性の観点から再構築しなければなりません。
・統制・計画経済への決別を達成するためには、大陸法から英米法へ、国家会計にバランスシート導入、源泉徴収方式から申告納税方式へ、第三セクターの民営化等、改善・改革を要することは無数にあります。

<従来制度の維持は困難>
・従来制度の維持は余りにハイコストにすぎ、希望を殺ぐマイナス効果しか生み出さない状況になっています。

<官のハイコスト・民の活力>
・官のハイコストを認識するためには、官から独立した人格(他者依存体質の廃棄された人格)の形成が不可欠ですが、和の精神というツアーリズムの専制に抑えこまれてきた日本人には他者依存体質の廃棄などということは至難の業でしょう。とは言え、変わらざるを得ない状況となっています。
・民の活力を発揮させるためには、年金の世界では企業のコストを有効活用して従業員の福利厚生を高め、経済の活況を創造するフレーム・ワークを創出する必要がありましょう。

<退職金の廃止>
・時代にアン・マッチなマイナーな退職金を廃止し、マッチング拠出等によるビィビイッドな仕掛けのある制度に変えていくべきでしょう。同じ資本100が退職金では60になってしまうが、後者では100、あるいは120、150ということもありますように仕組めるでありましょう。100が生きるということでしょう。
・PBOがなくても、退職金制度は企業にとっては企業財務弱体化のシンボルです。
・現行でさえ、退職金は厚生年金基金への移行により全額非課税で担保出来るのですが、企業財務の責任者には諸般の事情を挙げつらい、コスト意識が欠如している行動にでるのが一般です。
・退職金をPBO含めて社内留保で引き当てることを廃止し、1案として、全額あるいは60%程度をDBに移行すべきでしょう。残40%については、DCに振り分けましたらどうでしょう。

<確定拠出型年金制度の導入>
・プラス思考の制度再構築を図るため、多様なインセンティブを豊富なオプション付きで提供して具体的・現実的な活力源とします。
・資本の効率促進的循環を促すようなインセンティブ付きのフレームフレーム・ワーク本経済のダイナモとなるように仕掛けます。

<代行分の完全民営化>
・従来の官と基金の無能力・ハイコスト体質が厚生年金基金の破綻という敗北状態を招いている事実を認識すること。日本のDBはこのままでは<死に体>であります。
・政府・官僚には基金制度発足時の「果たすべき約束」があります。それが基金制度の完全民営化です。
・民営化へのインセンティブを設定して基金の活力を取り戻させます。
・適用除外方式、市場金利連動の予定利率等による代行分の完全民営化を図ります。
・確定給付型年金は、確定拠出型が導入された場合の激変緩和装置、ヘッシ機能装置として生き残し、キャッシュ・バランス型等の改善を施し、<顔の見える基金>に工夫を凝らして<死に体>から再生させなければならないでしょう。





ニ.終わりに
百聞は一見にしかずと言いますが、この度の米国401(k)調査旅行は、文字通り現場の一見により多くのことが背景・事情・哲学等と共に明らかになり、国内で流布されている多くの誤報・デッチアゲ・考え違いも明らかになりました。
1週間、非常にエキサィティングに過ごし、啓発・触発されたことが無数にあります。中でもアメリカという国が人に強烈なエネルギーを与える国ですという発見は、まもなく60歳になろうとしている筆者を20歳の若者のように感激させました。それらは、未だに唸りを発していて、この旅行記に納めまとめるのに1ケ月も要してしまいました。
筆者にとって、この旅行は、1/4世紀に渡る基金業務の経験、1,000冊になる金融関係読書、年金ビジョンの論理成立等のフィナーレを飾るに相応しい、楽しくエキサィティングなイブェントとなりました。





「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 8

2013年03月08日 | 厚生年金基金
  第5章 401(k)の百聞は一見にしかず
  
(平成11年7月18日米国調査備忘録)



(1)401(k)一見
(2)訪問先個社マター
(3)日本版確定給付型年金の完全民営化



  (1)401(k)一見
イ.視察団
平成11年6月6日から13日にかけて、民間研究所の企画・主催で「米国401(k)プラン視察ツアー」が行われ、ニューヨーク、ボストン、サンフランシスコを廻り、10ケ所の企業視察、事業視察、そして大学生協視察(?)に参加してきました。
視察団一行のメンバーは、厚生年金基金の理事長・常務理事・事務長等5名のDB(Defined Benefit)組と、他に大手企業の企画・人事畑の30歳台若手5名のDC(Defined Contribution)組、それに主催者・通訳の3名、加えて13名の小集団でした。
ホテルが筆者と同室になった方は大手基金の常務理事で同じ昭和16年生まれ。就任されて3ケ月目、片や筆者の方は1/4世紀。片や財務畑のゼネラリスト、片や基金のベテラン? もしくはスペシャリスト? 片や公費、片や自費。とは言え、理事長の理解を得て年休使用で事務所だけは休ませていただきました。基金連合会の10年来続いていた恒例の海外調査でさえ、応募者がなく中止になっている状況でありますから、これもまた象徴的であるにすぎません。
筆者にとってはこの度は2度目の海外調査となった。最初は平成2年の上記基金連合会の調査旅行で、UK、オランダ、ベルギー、スイス、ドイツ、フランス、ギリシャの15日間の公費資産運用調査でありました。このヨーロッパの資産運用調査では金融機関や年金基金の資産運用の伝統というか歴史の違いを認識させられた旅行でした。その後、UKで訪問した金融機関はそろって日本進出を果たし、グローバルな金融再編劇の末に社名の消えてしまった金融機関もあります。幸いその時の報告書の担当先は、今もエキセントリックな活動を展開しているドイツ銀行でありました。

ロ.3大都市の印象
この度の401(k)調査のアメリカ旅行で、廻ってきた3大都市の各々2日間の印象は、「3つのE」でまとめることが出来ます。すなわち、ニューヨークは<エネルギッシュ>、ボストンは<エレガント>、サンフランシスコは<エフィシェント>(効率の良い)でありました。<エネルギッシュ>というのは、ウォール街目指してヒルトン・ホテルからタクシーを飛ばしたところ、N.Y.の事務所の一斉の引け時にぶつかり、溢れでた車の渋滞で身動き出来ず、Uターンして次のスケジュールのためにお上りさんの<ウォール街詣で>がはたせなかったことによります。<エレガント>というのは、双発の超小型プロペラ機で、日が雲海の遥か彼方に沈んだばかりの午後8時半の薄暮の中、視野一面に街の明かりが木々の合間にさんざめき散在するボストン市街から新宿程度の高層ビルの一角目指して、高度をグイグイ下げてプロペラ機特有の身体に直に感じられる飛行体験をしつつ、川をまたいだと思ったら横揺れ・落下・浮遊・失速しつつ飛行場に滑り込んでいました。そこは、まさにフットライトの降り注ぐ<ステージ>そのもの。小さな感動が走りました。何のステージ? 人、様々でしょうが、筆者にとっては何やら<死後の目>のポジション成立か。この度の旅行全体を自分が<飛天>になって飛び回ったような気がする。少々、禿げてきました、太り気味の、落下しそうな<飛天>ではありますが。最後に<エフィシェント>というのは、市電のターンに機械を使わず、2人の赤髭の大男の人力で方向転換することに代表されているように、街全体が人間的なレベルで企画されていることを指しています。あえて言えば、人生の過ごし方の点で街全体が効率市場を形成しているようでした。きらびやかな人生の華とでも言うべき。
そう言えば、街の中心のユニオン・スクエア(ビルの谷間の一角の小公園、我々のホテルは対面のセントフランシス)には、偶々画家たちの絵がたくさん展覧されていました。その公園には、エーゲ海のように湿気のまったくない陽光が燦々と降り注ぎ、人に容赦のない風そのものとも言うべき湿気の全くない風が吹いていました。見回っている内にオーク樹を描いた大きなエッチングが目に止まりしばし佇む。傍らに同じ絵の絵葉書カードを見つけたので、ドル紙幣をポケットから引っ張り出したところ、“Oho,No No! ”と言われ、片腕を引っ張られ公園のエリアを出て歩道まで案内されてしまいました。そこで商い成立。そこで始めて了解成立。公園内で商いはご法度になっているのでした。

ハ.ツアー企画の背景
さて、このツアー企画の背景には以下のような「ネンキン・タイタニック」な状況があると主催者からお聞きしました。
日本経済の10年に及ぶ超低金利の下、確定給付型の厚生年金基金の積立不足、国際会計基準の導入等に伴う企業負担の増大を背景に規制緩和・公的年金等の改善の議論が沸き起こっていた。平成9年3月の自民党行革本部を端初に、平成10年3月規制緩和推進計画が閣議決定され、以後、自民党労働部会・勤労者拠出型年金等小委員会、年金審議会、自民党年金制度調査会・私的年金等小委員会、税制調査会等の審議を経て平成11年1月の関係4省(大蔵、厚生、通産及び労働)による「確定拠出型年金制度準備会議」の設置を受け、この6月には具体的な制度設計が示されることになっていました。
偶々、ボストンへ移動するためのジョン・F・ケネディ空港へ向かうバスの中で、6月9日付けの読売新聞国際版の自民党年金制度調査会・私的年金等小委員会(8日開催)において示された政府・自民党案「確定拠出型年金制度案」の記事のコピーが配られました。
この間、民間でも平成10年9月の経団連「確定拠出型企業年金制度の導入を求める」というレポートが出て、確定給付型、公的年金を含めて多方面に議論が巻き起こり、マスコミにも取り上げられセミナーも多数開催され、関係書籍も多数出版されていました。情報過多のような状況でしたが、マイナス思考の考え方が圧倒的に多く、日本にいては視野が限定されていて今一つ分からない部分があり、<現場に行こう>ということなったとのことでありました。


ニ.訪問先
そこで、ピックアップされたのが、米国企業の年金プランスポンサー4社、従業員教育の情報技術企業2社、投資運用技術会社2社、それに日本で4回目の年金セミナーを開催しようとしている「プランスポンサー」誌、日本経済新聞社米州編集総局の年金担当記者による現地401(k)セミナー等10ケ所の今もっともヴイヴイッドな訪問先となりました。
事前に主催者が質問を準備して、プランスポンサーには18項目(プランの説明の中には投資教育も含まれますか。楽しく、簡単でプレッシャーを感じさせない教育プログラムにするために大切なことは何ですか。ライフスタイルファンドは各世代にどのようなファンドを提供していますか、また、年齢別のリスク許容度は何を基準にしていますか等々)、プロバイダーには3項目(貴社が提供した加入者コミュニケーション及び教育プログラム(バンドル、アンバンドルどちらでも可)で加入率向上に最も効果があった事例についてご紹介下さい等)のクエッションを投げ付けたこともあって活発な議論・質疑が遣り取りされ、時間が足りない位でした。
JOHNSON & JOHNSONの自社株投資、SONY USのマッチング、Hewlett‐Packard Companyのストック・オプション奨励策、APL社のミリオネーラ等のプランスポンサーの自信に溢れた役員・マネージャー達、Scudder University の従業員教育コミュニケーションのアカデミックな専門家、Fidelity Investments のコールセンターの役員、コミュニケーションマネージャー達、それにマールボローの丘の林の中に隔離されたコンピュターセンターの気象・地震のウォッチャー達、Atlantic Financial 社、SpeechWorks 社等のMITやハーバード大学出たてのベンチャー・エンジニアー達、それに「プランスポンサー」誌の若き女性編集長と日本での「プランスポンサー」誌の年金セミナーをコーディネートした松前氏(このあとお二人には帰国後の6月16日、17日に開催されましたアーバンネット大手町ビルでの年金セミナーですぐ再会しました。また、編集長とは、帰国した翌日、Eメールで海を越えて挨拶状の交換もしました。)、加えてアメリカの年金事情を日本に発信している日本経済新聞社の越中記者、大和證券USの大井会長からはヨーロッパ・アメリカの最先端金融事情をお聞き出来ました。
寡黙な日本人からすれば自己主張の強いアメリカ人の意見陳述は時にはうっとうしい場合もありましたが、多民族共存の競争社会でこその一時も気をゆるめられない緊張感が心地良かった場合もあり、彼等に自信に溢れた熱意のある懇切丁寧なプレゼンテーションをして頂き、ツアー参加者の熱心な質問も数多く出て、更にJTBの高橋氏の臨機応変な切れの良い名通訳も双方のコミュニケーションの実を上げ、401(k)を介在に日米の文化の溝を越えてディスカッションが盛り上がりました。

ホ.幾つかのトピックス
シリコンバレーでは、スタンフォード大学校内の広大な敷地の中の生協に立ち寄ったが、「スタンフォード・ブックストア」の金融関係の棚で驚愕! その書籍数の多いこと、アメリカの奥の深さ・ふところの広大さを思い知らされました。2冊購入し、その一冊が “THE 401(k) MILLIONAIRE”。校庭を歩きながら主催者とは、

「30歳若かったら、スタンフォード大学に入って勉強しなおしたいですねェ」
「高野さん、それよりも経済学の本書いて、教授で来ればいいじゃない」
「とんでもない! でも、経済学の本ねェ? ……経済学ねェ!」

と、冗談とも本気ともつかない言葉を交わすほど我々のテンションは高まりました。更に、米国最後の日の団長主催の晩餐会では、DC組の若い人達に大企業を去って起業しようと余計なことまで申し上げてしまいました。
そう言えば、もう一つエピソードを思いだしました。それはボストン最後の晩、ギリシャ人の経営するロブスターのレストランを出て、店の前でタクシーを待っているとき、我々の会話を聞き付け振り向いて日本語で話しかけてきた細身の長身の黒人青年がいました。彼によると、明日ハーバードの卒業式があり、今晩は両親を招いて会食をした由、卒業式が済んだら日本へ行って会社を起こすのだそうです。皆、唖然として二の句が継げないうちに、三人はタクシーに身を屈めて乗り込んで行ってしまいました。日本の大学ではサラリーマンをせっせと作りだしていますが、アメリカでは経営者なのです!
更にもう一つ、このことに関係することを帰国便のユナイテッドの機内誌に発見。「シリコンバレーに見る日本産業復活の鍵」という藤井清孝氏の一文、

<90年代前半まで、コンピューターに代表されるエレクトロニクス企業は、
開発、設計、製造、販売をすべて抱え込む垂直統合型の経営が主流でした。その
後、製造を外部に委託するいわゆるファブレス企業、製造のみを行うファンドリ
ー、マイクロソフトのようにソフトウェアに特化する企業、デルのように販売方
法で差別化する企業が出現し、世界的規模で水平分業が進展し、新しい業界、企
業が生まれてきました。>

<イノベーションはシリコンバレーの鍵です。これを可能にしているのはアメ
リカン・ドリーム(富)の実現欲、産学協同、ベンチャー・キャピタル等ですが、
私は何よりも徹底した実力主義と人材の多様性にあると感じています。>

<シリコンバレーではほとんどの従業員が、ストック・オプションを持ってい
ますがゆえに自社の株価に敏感です。また、多くの企業が銀行借入ではなく、株
式資本によって資金調達をしているので、経営者としては株価対策が大変重要な
課題です。>

<またトップはすでにかなり富裕な人が多いゆえに、サラリーマンとは違った
大胆な決断ができる環境にあると言えるでしょう。
エクイティー・メンタリティーとは直訳すると、「株主のメンタリティー」で
すが、「会社のオーナー(所有者)としての振る舞い」と言ったほうが良いかと思
います。>

<即ち、株式資本が主体か、銀行融資が主体かによって企業の経営スタイルに
大きな違いが出てきます。前者では将来へのメッセージ、良いリスクテイキング、
経営陣のビジョン、そして業績が大事なのに対し、日本企業の多い後者では、積
極的にリスクをとりイノベーションを推進していくことは困難になりがちです。>


要するに、アメリカでは<アメリカン・スピリッツ>の成就へ向けて、社会的インフラを<エフィシェント>に組成するためにあらゆる場面でインセンティブが仕掛けられている(例えば、米国で買ったタバコの銘柄名でもあるアメリカン・スピリッツというタバコは4ドル25セント、凡そ510円、日本人からすればべらぼうな値段です。これも禁煙促進策の仕掛けでしょう。)ということでしょう。
少々理屈っぽくなりますが、ここに言う<アメリカン・スピリッツ>とは、アテネのソクラテスから始まる西欧の個性の自由な発展という思考様式の伝統の上に華開きました、キリスト教の神の意志の展開である人間一人一人の<自己の十全な開花>を義とする「自由」の概念のアメリカ版でしょう。社会を形成する国民一人一人の個人能力の最大限の発揮、即ちそこに、神の意志があるという宗教的コンセンサスが国民一般の慣習として確立しているのでしょう。
というのも、今を去ること140年前の1859年、イギリスでは、中世から連綿と続く血塗れの専制的な宗教の軛を脱して、ジョン・スチュアート・ミルが『自由論』を論述している英国古典派経済学(1776年A.スミス『諸国民の富』、1816年D.リカード『経済的にして安全な通貨のための諸提案』、1848年J.S.ミル『経済学原理』等)の伝統が、アメリカ社会の背景に連綿としてあるからです。
さてまた、このような文脈の上で、日本の多くのゼネラリスト、並びにサラリーマン経営者は次のようなミルの文章をどう読むのでしょうか?


自分の生活の計画を[自ら選ばず]、世間または自分の属する世間の一部に選ん
でもらう者は、猿のような模倣の能力以外にはいかなる能力も必要としない。自分
の計画を自ら選択する者こそ、彼のすべての能力を活用するのである。

ジョン・スチュアート・ミル『自由論』
第3章 幸福の諸要素の一つとしての個性について


ことによると、ミルは140年後の日本の状況を予言していたのか、そんなことはありませんでしょう。ただ単に当時、教会の専制(ツアーリズム)の下に窒息していたロンドンっ子に向けての発言でしたのですから。それは別にしても、現代の日本の文脈の上でこれを読むと示唆するところ大ではないでしょうか。
日本の戦後社会は、「猿のような模倣の能力」しか産み出してこなかったのではないのか?「彼のすべての能力」を活用するどころか、統制・計画経済下、撲殺してきたのではないのか? 敗戦の痛手は易きに流れ、リスクに挑む心を失ってしまったのではないのか? 自分なりのスタイルを確立することを、反社会的行為と考え違いしてきたのではないのか? 思考停止ばかりで、時代時代で真っ当に哲学をしてきたのでしょうか?
我々日本人は何処かでいつの間にかボタンの掛け違いを仕出かしてしまったのでしょう。
生き方の点で、<一億総猿化>の状況をもたらしてしまったのです。それが窒息状態の閉塞感をもたらし、人々から行動を奪い人々を金縛りにして、厭世的マイナス思考を処世訓、生きざまの智恵ですと考え違いさせてしまい、人物の矮小化を実現してしまったのでしょう。ばかなことを言わせません、突飛なことが許されません、夢を喋べらさない、大言壮語を忌み嫌う等々、ちまちましました神経のか細い国民にしてしまったのです。全てルールに取りおさえられてしまっているのです。
ともかく、非常に悩ましい一文ではあります。今こそ、現代日本独特の或る種のツアーリズム(何と命名したらよいのか)を打破していくために<哲学する>ことが求められているのでしょう。とっかかりは、ジョン・スチュアート・ミル『自由論』あたりからか。或いはアテネのソクラテスを訪れるか、弥陀の本願を考究するか……


  (2)訪問先個社マター

さてさて本題に入るため、個社毎に整理してみましょう。初めに年金プラン提供スポンサー(企業)。というのも、アメリカの確定給付型年金(Defined Benefit → DB)は日本のように企業から独立した基金事務所を構えているのではなく、適格年金のように企業内管理されています。従業員福利厚生(Benefits)全体の企画を人事畑、管理を財務・経理が担当しているのが一般的であり、当然、確定拠出型年金(Defined Contribution → DC)も同様です。
プロバイダーのサービス提供業者が多種・多様に発達していて、企業は内省化を嫌い極力アウトソーシングに徹しコスト削減を達成しているようでした。とくに401(k)については、大企業であってもプランニングの担当者が2、3人いるだけで、業務の大半は外部のプロバイダー任せのようでした。
この点を考えると、日本の確定給付型年金である厚生年金基金は、国の年金の一部代行という仕組みのためもあるでしょうが、企業の運営費負担が大きいですということは事実でしょう。ハイコストな戦艦大和風な組織になってしまっています。このような何でも抱え込んでしまう垂直統合型の日本風の管理方法に対して、なるべく身軽に対処しようとしています。経営の合理化・効率化が明解・徹底しているのです。

イ.JOHNSON & JOHNSON
・ 老後保証は各個人の責任、という政府の社会保障費削減ポリシーにそって、企業として従業員にインセンティブ(奨励策)を提供。あわせて企業にとって優秀な人材を確保するため1982年に401(k)を採用。
・401(k)に85%の従業員参加、4万口座。98年度末30億ドルになり、確定給付プランより大きくなりました。
・ インセンティブとしてマッチングを提供。例えば、従業員が401(k)に100$拠出す
 れば、会社は25$の株式と50$の現金を拠出します。75%のリターンということに
 なります。




・従業員へのコミュニケーションは、紙とイントラネット。紙は年1~3回のニューズレター、四半期ごとのA3サイズ両面刷り報告書、他に90ぺージ程のサマリーを配布している。分厚いのと長いものは駄目。サマリーと資産運用の教育ぺージがイントラネットで見られます。
・ 従業員の401(k)の資産配分は、現在、7種類を提供。

10年前 80% 定期預金のような確定利回りもの
93年 60% 定期預金のような確定利回りもの
98年 23% 定期預金のような確定利回りもの
    28% 株式
    41% J&J株

・全体資産管理のため従業員から<顔の見えないDB>、個人口座のため従業員から<顔の見えるDC>を併用。プランデザインの明確化・差別化が重要。
ちなみに、筆者は、この旅行に出る前に社内イントラの掲示板に加入員台帳配布の一文を掲載。帰国後、10人ほどから希望が出てきていました。<顔の見えるDB>プランのめの試行錯誤の一手を展開し始めました。
・確定給付型の98年度の時間加重利回りは16~17%。数年来、コントリビューション・ホリデーで、拠出はしていないとのこと。
M&Aから<顔の見えすぎのDB>、つまりコントリビューション・ホリデーが長いとか、積立超過金が大きいとかの場合、M&Aに狙われ易くなるのでDBの縮小というインセンティブが経営者に働くというのも、DC拡大の背景にあるようです。
・制度導入20年でのDC成功の秘訣は、従業員自身の意識が最重要。そのため、教育とインセンティブのプランニングが課題。

ロ.SONY US
・ 日本のソニーとは別に、アメリカのソニーは持株会社で電気・映画・音楽会社を持っていて、各社個別に401(k)を提供しています。
・コンプライアンスの観点で1996年から包括的運営を検討中。
・ 従業員はDBとDCに両方参加できるし参加しなくてもよい。米国のDBは日本のような代行部分がないので強制適用ではありません。DBは全体資産管理方式ですからプランがあることも知らない従業員がいるので参加を呼び掛けているとのこと。一方、DCは米国には退職金制度がないですから進んで参加するようです。
DBはすたれDCが大半を占めています。
・ 優秀な人材確保のため、同業他社との差別化は必須で、数種のプランを多数のオプションで選択できるようにしているとのこと。
・ 従業員からどのように資産配分したらよいですか、とアドバイスを求められるが、個別の資産、個別の運用業者等の紹介は労働省の404(c)で規制されていて出来ないので、一般論としての投資教育に力を注いでいます。特に、若令者に老後資金確保の意識を助成するため対面ミーティングを最高の方法として実施しています。
・従業員自身がリスク許容度を承知出来るように、6つの質問に5点法で回答すると、その合計の点数によって消極運用から積極運用までの5段階に区分されるマトリツクスを提供しています。
・11本のファンド提供。ストック・オプションも提供。
・ソニーのDBはコントリビューション・ホリデーの状態ではありません。
・ ソニーではストック・オプションによる経営者・従業員の報酬ということを考えていて将来はバランスシートに人件費は登場せず、市場調達で済ます方向を検討しています。

ハ.HewlettーPackard Company(HP)
・ HPでは、401(k)の従業員拠出を増やすため、1993年にプロフィット・シェアリングを廃止してマッチング増にまわしました。
・ HPの401(k)の従業員数は58,900人、55億ドル。確定給付は57,000人、37億ドル。
・ HPの年金制度の管理は





・記録管理のフィデリティ社に対して報酬は支払っていません。資産の中で賄っています。
・401(k)は入社即自動加入(98%)で、本人拠出3%、マッチングが3%。
・ コミュニケーションは年金制度概要書と制度変更書、資産運用案内書で行い、エデュケーションは投資とは何ぞや? と、投資の組成のためのモデルツールを提供(教室とWeb.あり)。投資のアドバイスは一切外部業者に委託し会社は関係しません。
・HPのweb上にフィデリティへのリンクがあり、つながります。
・ 投資教育は21時間に及ぶワークショップ・プログラムが外部業者によって用意されています。
・ 教育プロバイダーとして、ルース社(1回5千ドル×年100回として50万ドル)、フィデリティ社(無料)、タワーズ・ペリン社(1回7千ドル×年50回として35万ドル)を使い、HPにカストマイザーさせています。この費用はHP本社が負担するのではなく、各サイトが支払っています。
・ 日本のPLPやライフプランセミナーは、もつと専門的にクオリティを上げなければ、401(k)の教育手法が入ってきたとき生き残れないでしょう。アカデミックさがまったく不足していると思われるのですが。
・ 16ファンドを提供。人気の高いファンドは7大企業株、フィデリティのマゼラン・ファンド、それにHPストック。
・ 株式に高い人気があるのは、持株を以前から推奨していたこと、非課税を強調(老後資金へのマインド変換に成功)していること、2年以上在籍すると2株に1株付けるインセンティブ・プランを実施していることなどによります。中間管理職以上にはストック・オプションもあります。
・ HPの平均年収は5万ドルから5.5万ドル。退職前の60%(3万ドル)を目標に年金制度を組立ています。
401(k) 20%
DB 15%
社会保障 25%
60%

・5万ドル(120円で円換算すると、600万円)で、充分豊かな生活が出来ています。税金・公共料金・土地の価格・物価等々の低廉がそれを可能にし、10年来賃金上昇を招かず国際競争力を高めています。デルのコンピューターが10万円を切り、本邦メーカーのそれが30万円という現実になっています。
・ 政府と労働組合に口を出させないで、企業と従業員とで自分たちで豊かな生活を作り出しますというコンセンサスが成立しているようです。労働組合員(職種別)は会社の中ではスモーラーで相手にされていません。
・ PBOを下げたいというマイナス指向のモチベーションはありません。むしろ逆に、従業員の老後資金を如何に増大させるかが経営のセンスであり、そういうセンスを持ち合わせない者は淘汰される厳しい現実があります。
・ 日本の経営者に近いゼネラリストが国際会計基準導入に伴う未積立のPBO回避策と厚生年金基金の積立不足解消策として日本版401(k)導入を役員に進言しているとすれば、ゼネラリストは大きな誤りを犯すことになります。経営者も又、不幸な事態を自ら招くことになります。問題の核心が違うのです。

ニ.APL社
・ 社員5000人(内US3000人)の海運業の会社。ホワイトカラーの営業・事務が401(k)適用。ユニオン加盟者(数百人)は非適用。
・社会保障・DB・DCを年金の3本足として位置付けています。
・ コミュニケーションは、入社時に福利厚生全体のメニューを示しましたAPL社製のリーフレットと401(k)の概要を示しましたフィデリティ社製のパンフレット、それに「福利厚生手帖」とでも言う雑誌サイズの45ぺージもののAPL社製の印刷物によって対面で行われます。
・ 401(k)については、フィデリティのコールセンターにいつでも電話が出来、情報収集が図れます。
・四半期ごとにコミュニケーション印刷物を配布。
・プロバイダー、コンサルタントとしてタワーズ・ペリン、ウィリアム・マーサー等を使用、会社の中にはプランニングと管理の担当部署(5人)があるのみ。ただしボード・コミッティはあります。
・DBは21歳以上が加入、5年で受給権取得、現在フルファンディングの状態にあります。
昨年、キャッシュ・バランスに変更しました。DBは年金、DCは一時金が一般的、その一時金でリタイアの時、生命保険会社等の年金を買うスタイル。
・キャッシュ・バランスに変更したとき、リスクは会社のリスクであることを説明した12ページの印刷物を配布して行いました。
・APLの社員のリタイアするときの夫婦単位の目標額は300万ドル(3億円余)。ミリオネーラはブルーカラーの目標か? 日本では、こういう一時金べースの目標値は示されず年金額表示ですが、これも<顔の見えない制度>たらしめている理由でしょうか。仮に、日本において年金現価を一時金ベースに換算しても大企業で平均的には7、8000万円でしょうとのこと。例え、PBOを加えてもアメリカのブルーカラーと同程度の金額にしかならず、日本の労働者は低コストで使われているということです。しかも、物価等が逆なのですから尚更。
・1日中、401(k)のウェブ使用の社員がいたら、フィデリティからのアクセス報告により不当労働行為として処分するとのこと。
・401(k)採用10年経過して、ポータビリティが人材の流動性を高めたということはなく、それは単なる背景であって、アメリカの平均勤続年数は2、3年の由。10年も勤めたらベテラン扱い。
・我々にプレゼンテーションをしてくれました40代半ばのマネージャー・カレン女史は転職者で、前職でも年金の仕事をしており、キャリアアップの一環でAPL社に移ったとのこと。日本で、他企業の基金事務所へ転職するというのは余り聞いたことがないですが、アメリカではそういう労働市場が成立しているようでした。

次に、従業員教育の情報技術企業。
ホ.Scudder University
・スカダー社は1919年にボストンに誕生した非公開の独立系資産運用会社。
・「スカダー・ユニバシティ」は何処かにキャンパスがあるのとは違い、投資教育のミッションをユニバシティと呼称しているだけであるとのこと。
・「スカダー・ユニバシティ」は、プレス、テクノロジー、ワークショップの3つのミッションを持ち、より良い退職後生活へのガイダンスを提供することを使命としています。
・「スカダー・ユニバシティ」のスタッフは、企業と接触する者が9人(1人10~15社程度担当)、アイデアマンが10人。
・一般の投資教育をイ.スペンダー(浪費家)、ロ.セイバー(貯蓄家)、ハ.インベスター(投資家)に区分し、各々のレベルに最適なツール(印刷物・ウェブサイト・ワークショップ)を提供、浪費家を投資家にまで育成していくことを戦略としています。
・リタイァーするとき、退職前収入の70%あったらハッピィ!
・マーケティングの現場主義を貫き、ビジネスが何処にあるか、客先でその戦略を立案することとしているとのこと。
・エディケーションのフィーはバンドルで企業負担。
・アセットの組み方の具体的なアドバイスは規制されているので、事例として示すだけ。
・投資の選択は7~8種類、いつでも変更可能としたほうが長期的な安定が得られます。
・ バンドル・フィーの平均は社員一人に対して年間最大$25(3000円ほど)で、0の場合もあります。
・ 帰国してから、Web.を開いて見たところ、出てくるは出てきます。A4が百枚ほど。これでは「大学」と称しても恥ずかしくはありません。(ちなみに、アドレスを幾つか、www.scudder.com 、http://working4u.scudder.com 、http://plannet.scudder.com 、
 http://dcs.scudder.com)

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