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「人様のお金」OPM(A4・224頁)  連載 14

2013年03月14日 | 厚生年金基金

チ.顔の見える年金基金
国の年金の代行分と企業の功労報奨的退職金によって組成されていた厚生年金基金の年金は、もともと上述してきたとおり構造的に統制色の強い制度でしたのであります。それに加えて30年余も経過すれば、制度は官僚的にならざるを得ないでありましょう。ここは、厚生年金基金は抜本的に<人様のお金>の要請に基づき自らの統制色を拭い去って制度インフラの面で「顔の見える厚生年金基金」に変貌する必要がありますし、そういう社会的要請を受けていると言えるでありましょう。併せて、行政と企業の片隅にひっそりと生き延びてきた境遇を自ら改め社会に対して情報発信の<発言する基金>に変貌し「顔の見える年金基金」たるべきでありましょう 。
 更に、この延長線上に、積み上がったストック(60兆円、半分は代行分)の<人様のお金>の資産保全、並びに時価資産の極大化等を達成すべく、つまり受託者責任の最良執行を達成するために、革命的な基金経営のトータル・プランを確立することが求められるでありましょう。




・日本の年金積立金、ほぼ280兆円の<人様のお金>にたいして、基金は効率的な資産運用のモデルを提供すべき水先案内人の位置にいます。
・平成11年度の基金平均の資産運用利回りはおおよそ12%であったようですが、280兆円の<人様のお金>に乗じると33.6兆円の資産運用収益が想定されます。対GDP比7%程になります。
・同じく、基金の代行分30兆円に予定利回り5.5%を控除した残余の6.5%を乗じると平成11年度の実収益は2兆円弱となります。代行返上ができなくなるほどの金額であります。返上論者はこの事実を何と考えるのでしょう。
・<人様のお金>は効率市場達成のインセンティブを持っています。更に、統制を排除し、イニシアティブを奪い取るインセンティブを併せ持っています。
・基金は、市場に対して効率市場形成に向け発言すべきですし、資産運用機関等に対しては良質な金融サービスを要請すべきです。これが受託者責任を果たすうえで最重用課題です。
・過去に再々見られたことですが、アンフェアであったり、政府のPKOに協力したりするような運用機関等に資産運用を委託することは受託者責任の観点からは排除されるべきことと認識すべきです。
・市場にアン・フレンドリーであったり、株式持ち合いにより流動性を疎外したりする個別銘柄には投資できないことを鮮明にすべきです。或いは、ちなみにROE5%以上かつPER30%以下の株式でなければ投資しない程度の基金の資産運用ポリシーが必要です。
・厚生年金基金は30年余の経過のすえにすっかり官僚的になっている部分(例えば、「顔の見えない基金」と言われる制度的インフラ)を、全面的なディスクローズによって顔の見える状態に改めなければなりません。
・基金は、Web等を使って、髄時に、加入員等に財政情報を提供し、個人に年金額を示すなどして、あるいはハイブリッド等の刷新を加えることの更に向こうに望見されるものによって「顔の見える基金」に変貌すべきです。



ロッキィーズ物語

・2000年夏の高校野球

ロッキィーズ卒業後も中学・高校と野球を続けた少年たちは数多くいたが、チー
ム最後の優勝経験をした少年たちが今年は高校3年生で、4人が出場するとN部長
から連絡があった。
全国最多の207校出場、最大の激戦地、神奈川県の夏の大会が始まった。鎌倉
学園のH、慶応高校のS、湘南高校のMとS達の活躍を期待して、コーチ達の追っ
掛けもこれで最後となるのだろう。

終り




・ 基金は、過去の蓄積された経験、資産運用のインフラ・ノウハウ等を加入員等に資産運用啓蒙の一環として提供すべきです。
・基金は、インハウス運用等の資産運用モデルを確立し、日本の資産運用文化にフロント・ランナーとして貢献すべきです。
・基金は、<人様のお金>の機関投資家として、政府・行政・市場・企業・業者等に活発に前向きな発言をすべきです。倫理の方向付け、市場活性化の推進、人心の刷新等々が可能な資質を持っているのです。社会・経済のインフラストラクチュア組成に貢献できるパワーを秘めているのです。


(3)ビジョンのメッセージ

イ.行政と企業への第三の目
厚生年金基金制度は、その生い立ちにおいて、国の社会保障制度の一端を民間活力の活用で担うのと企業退職金の合理化の促進との<調整>を果たすというビジョンのもとにスタートしました。
しかし、30年余経過して双方ともストックの積み上げという果実は得たものの自らの初志の貫徹は、ビッグ・バンン等の外部勢力(規制緩和や退職給付債務会計等)により末達成に終わらされています。この間、設立された1850余の基金は30年余行政と企業の間に立たされ、双方からの統制的統治の影響を全面的に受けながら双方の<自分たちの金>扱いによる使い勝手に翻弄されてきました。そもそも基金は双方のニーズによって組成されたものであって、<人様のお金>をバックに基金自らが自己主張を始めるというのは想定外のことであったでしょう。
だが、幸いなことに行政と企業をその特殊な基金の立場から第三者的に見ることだけは可能でした。そこに、行政と企業を見据える渦中にあらざる者の第三の目としての基金が存在し得たのです。この第三の目で行政の裁量の実態(例えば、透明性を遺棄しましたブラック・ボックスの横行等)も企業の剽窃の実態(例えば、株式持ち合い等による本来の株主権の収奪等)も観察することが出来たのですし、それらが実は官民の統制思考で構造化されていることも明察出来たのです。

ロ.官民の統制思考
その意味では、日本経済のバブル崩壊に伴う10年に及ぶ長期低落経済の真因は、戦前・戦後を通じて行われてきた官民の統制思考が暗礁に乗り上げ身動きできない状態になりましたことにあるのでしょう。また、インモラルの極みである現代日本の倫理欠落も、この統制思考が社会全体に被いかぶさり、ただただ<上からの指令>を待つだけの自己放棄型人間、自分で考えることを放棄した者の他者依存を蔓延させてきた結果でしょう。官民共に、国民と従業員を統制統治のファッシズムで抑え込んできたのです。経済復興と会社主義の大義名分が理念として先走り、官民に充満するパターナリズム(家父長主義のお節介)が人間性の尊重を事後のこととして弾圧してきたのです。

ハ.<人様のお金>のパワー
積み上がりましたストックが実は<人様のお金>であったということは上述してきましたとおりですが、ここにきて<人様のお金>自が自己主張を始めてきているのです。その一環が基金自身による自己主張としての「年金基金」です。
 このことは、今一つの国民のストック、厚生年金等にも言えることです。「小さな政府」の要請は日本の現在のニーズです。
現代日本の経路の一つとしての「年金基金」、強いて言えば、PKO集団・低ROE・統制官僚等の日本経済の負の遺産を退場に追い込む「年金基金」は、自己主張する「年金基金」、つまり社会改革推進勢力としての「年金基金」であり、投資家として効率市場形成を促す「年金基金」、そして、日本の資産運用文化創設のフロント・ランナーとしての「年金基金」です。 発言する「年金基金」にして始めて確定給付型年金の存在価値が生まれるのです。つまり、集合資産としての確定給付年金の意味は、<人様のお金>として日本の経済・社会の仕組みを再構築させるインセンティブを生み出すというところにあるのでしょう。そこに「年金基金」特有のミッション(使命)があるということであります。
 この「年金基金」のミッション達成のために、行政も企業も業者も奉仕を強制されるようになってきているのです。<自分たちの金>から<人様のお金>に逆転したことで、彼らの恣意は許されざることになったのです。

ニ.個の覚醒・イニシアティブの奪取
<人様のお金>のパワーがもっとも発揮される場面は、当事者である年金基金と加入員等自らの主張を発言するところにあるのでしょう。付与されたもので構成するのではなく、自らが作り出すのです。統制統治を拒絶して自から考え始めるのです。自分の欲求・希望を鮮明に主張するということ、それが個の覚醒、イニシアティブの奪取を可能にさせるのです。このことは、国民レベル、加入員等レベル、更に「年金基金」レベルにも言えることであります。

ホ.哲学の始まり
現代日本の社会・経済構造の論理・文脈は明らかになりました。後は、<人様のお金>のドメスティックなパワーによって人々は自分で考えるというイニシアティブを確保し、パターナリズムをうるさいと拒絶し、「自分の人生は自分で決める」という行動を起すことになるでありましょう。つまり本来の哲学がこの日本で初めて始まり、事は切磋琢磨な試行錯誤の末に「決まる」ことになるでありましょう。

今はただ、笑而不答。
笑而不答。





・謝辞

この謝辞を述べるに先立ち、25年間の厚生年金基金業務を通じて、直接謦咳に接しご指導・ご鞭撻を頂いた方々を数えてみましたところ、故人を含めて300人ほどのお名前が上がりました。役所の方々を始めとして厚生年金基金連合会のスタッフ、神奈川県の基金関係者、「たん・れん」関係者。運用機関等の担当者、外資系金融機関の邦人スタッフと外人スタッフの方々。コンサルタントの方々。欧米の金融機関関係者。各種研究会・勉強会での講師の方々等々。 その中から、とくに私が強いインパクトを受けた方々のお名前を上げさせて頂き、謝辞に変えさせて頂きます。

故今井一雄さん・故森田重雄さん・故国井和夫さん・佐伯震太郎さん・衣笠旭夫さん・服部弥八郎さん・古田喬さん・河内岱一郎さん・川島洋佑さん・谷川誠さん・松本伊久雄さん・村川昭三さん・一木櫻四郎さん・大木一枝さん・木村巌さん・谷美樹さん・石山哲郎さん・森一男さん・宮下晋五(!)さん・故池田駿介さん・新野秀夫さん・菅野辰雄さん・須藤桂助さん・加藤豊昌さん・山内敏光さん・西川誠之さん・太宰清治さん・矢野朝水さん・十菱龍さん・木戸脩さん・寺田徳さん・根本由紀夫さん・河辺清さん・島崎謙治さん・原秀太郎さん・楠木耀一さん・門脇保博さん・水野康義さん・川岸麗さん・肥山一文さん・海保太郎さん・高野幸洋さん・江川健太郎さん・船場正史さん・古田弘信さん・堺本浩司さん・チャールズ ラッフェルさん・松前俊顕さん・越中秀史さん・大井正康さん・岡本和久さん・林一廣さん・渡辺太門さん・川上憲男さん・佐々木雅彦さん・郭成慶さん・丹羽将一さん・真弓奈穂子さん・坂口和子さん・末田忠敬さん・小原久美子さん・山木智子さん・坂井信夫さん・宇野陽子さん・沢井智裕さん・多胡秀人さん・松井正裕さん・服部卓也さん・ジョン オゥディアさん・鈴木正己さん・渡伸一さん・伊東敏行さん・松尾孝一さん・甲斐利春さん・花渕馥さん・宗大さん・鈴木旭さん・西岡昭さん・瀧沢政視さん・市川光男さん・小野寺登さん・佐藤達雄さん・鹿野廣志さん・志村晃一さん・保浦昭男さん・下里敏夫さん・宮島千倉さん・中山健さん・岩瀬武文さん・出口博之さん・吉沢功夫さん・山口登さん・故青山護さん・松本弘樹さん・秋枝豊さん・吉田靖さん・小守林克哉さん・高山俊則さん・亀谷祥治さん・大輪秋彦さん・鈴木成昌さん・浜中恒幸さん・遠田勲さん・北村恵司さん……

それに、団体では、始めに単独連合厚生年金基金協議会の「福祉施設問題委員会」「給付改善委員会」「資産運用問題委員会」の各関係者。つぎに、神奈川県厚生年金基金連絡協議会「給付問題委員会」「資産運用問題委員会」の各関係者。つぎに、格付投資情報センター主催の故青山護さんがコーディネーターをしていた「現代投資理論研究会」における7期に渡る講師の方々と会員の方々。さらに、厚生年金基金連合会受託者責任研究会「受託者責任ハンドブック(運用機関篇)」ワーキンググループ委員の方々。最後に、企業年金研究所主催の「年金経営問題研究会」の右谷亮次さん・杉田浩司さん・山崎元さん・島田勲さん・浦田健一郎さん・畠中勝英さん・兼広嵩明さん・大場昭義さん・中野誠さん・千田彰子さん・若杉昌夫さん・川上裕之さん・梅本武さん・村田純一さん・安岡孝文さん……等々に、多大なお世話を頂き、叱咤激励を受け、度重なる刺激を頂戴しました。
とくに、「年金経営問題研究会」月例研究会後の懇親会の席では、右谷亮次さん・山崎元さん・村田純一さんをはじめとした大勢の異能の方々に、自由闊達な議論を通じて様々な暗示と示唆を頂戴し、テンションの昂揚を経験させてもらいました。強いて申せば、この研究会に参加させてもらえませんでしたら、この『人様のお金』も誕生しなかったことでありましょう。

感謝、感謝、そして、合掌。






(平成12年8月29日脱稿)

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