よしーの世界

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わが青春のロック黄金狂時代   東郷かおる子

2022-07-17 07:34:33 | 
著者と私は年齢が15歳程度離れているので、本書に最初に登場する幾つかのバンドは私が中学生にな

った頃に後から体験した。ロックが大衆ポップに慣れ親しんだ若い層に衝撃を与えたのは1950年代半

ばのプレスリー、そして1960年に入ってからのビートルズになると思う。勿論私はその頃の熱狂を知

らない。「ミュージック・ライフ」も存在としては知っていたが、私が主に買っていたのは「ロッキ

ング・オン」「ニューミュージック・マガジン」だった。


編集者として数多のミュージシャンとの関りがあった著者は天才、異才である彼らの行状を目の当た

りにして、その奇行の数々に振り回され、自らも巻き込まれた経験が記されている。ロックの黎明期

は物凄い勢いでミュージシャン本人にも信じられないほどのマネーが流れ込み、売れ続けるためのプ

レッシャーで猛烈なストレスを抱えて、自分を見失いそうになるロック・スターが多数いたことは想

像に難くない。


今では考えられない時代だったことはよくわかる。日本のバブルが今の若い人にピンとこないのと一

緒で何でもありという環境だったはずだ。強烈な体験をした著者は幸運だった。ただロックも表層を

捉えていると、音楽体験としては寂しいものがある。私は今でも当時の音楽を聴いている、ノスタル

ジーに浸るわけではない。ビリー・アイリッシュがその系譜を継いだり、クリムゾンは変化しながら

未だに活動を続けている。サブスクで聴ける音楽とは違う経験が出来る。


   わが青春のロック黄金狂時代   東郷かおる子      角川SSC新書
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