よしーの世界

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パニック経済   逢沢明

2021-10-27 06:43:34 | 
本書は文系の私にも分かりやすく数学、物理を使い、実データ主義に基づき日本の経済政策の誤りを指摘

しています。まず驚かされたのがアメリカの「ダウ平均株価」が始まった1985年の初日、ダウ平均株価は

1198ドルで、本書を執筆中の2016年9月の時点で、終値ベースの最高値は1万8636ドル。30年余りで15倍

以上に高騰してまさに暴走状態にあると筆者は書いていますが、2021年10月26日現在ダウは3万5741ドル

にまで上昇しています。これをカジノ経済と命名しています、胴元たるアメリカは大歓迎だろうと。


麻生副総裁は先日、年金資金が増えたのは株に投資したおかげだと発言していましたが、当然株を売って

現金化しなければ全く意味がありません。大量に換金すれば暴落するでしょう。売り抜けることは不可能

です。


日本の「過剰な公共事業」にも言及していて、これもアメリカの影響が大きく、1989年に始まった日米構

造協議は1994年に200兆円以上上積みし、総投資額を630兆円にまで引き上げているという内容です。高度

成長期の1960年代には乗数効果が3年目には5を超える、つまり1兆円の投資が5兆円以上の効果を生み出し

ていたのが2000年代に入ると乗数効果が1を割る。いくら公共投資をしてもプラスに働くことはない。


人間の論理的思考についての分析も非常に興味深い記述ですが、ここに書けば長くなってしまいます。面

白い本ですので是非読んでほしいと思います。政府広報と化したマスコミには書かれていない内容だと思

います。


  パニック経済           逢沢明            平凡社新書



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