伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

遠野和紙・楮保存会が刈り取り作業始める

2022年12月04日 | 遠野町・地域
 保存会のボランティア活動は、通常火曜日と水曜日に実施されている。今日は日曜日。特別に活動日として設定され、「伝達講習会」として楮の刈り取り作業と皮むき作業等をした。

 「伝達講習会」って何。実は疑問を持っていたのだが、一つは、7月29日に実施された視察研修の報告会に参加できなかった報告者が作業の合間に研修報告をした他、作業にはこの間の視察研修で得た知見も含めて新たな方法も取り入れ、参加者の作業に反映することで参加していない保存会員にも実践的に伝える。ここに目的があったようだ。研修会等は、県の補助事業で実施されており、県や市役所本庁の担当者も作業に参加した。

 午前9時に集まった本日の参加者は、まず、楮の刈り取り作業に取り掛かった。基本的に東北大学ボランティアに体験してもらうために、保存会員は基本的に刈り方のアドバイスをした。周辺の楮はそんなに多くはなく、刈り取りそのものは数十分で終了し、次に枝の切り分け作業をした。

 枝はこの後、湯を沸かした大釜に入れ1時間30分から2時間程蒸し上げる。皮を柔らかくして枝からむきとるためだ。保存会の釜では、だいたい75㎝の高さしか確保できないため枝もその長さに合わせて切り分ける。

 昨シーズンまでは、切り分けた枝は根元から一定の太さの枝先までの皮を一緒くたに扱っていた。しかし、視察研修で、根元と枝先、中間部分で違うもので、皮の厚さで煮熟(しゃじゅく)と呼ばれる皮の繊維化をする段階で熱を通す時間も異なるということを知り、切り分けた枝も、根元、中間、枝先と分けることにした。また、これまでは捨てていた、枝の先端の細い部分も利用することにしたので、この部分もとりわけ、いっしょに処理することにした。

 こうした作業を取り入れながら30分ほどで完了、釜に枝を投入し蒸し作業にかかった。

 蒸し終わるまでの間、大学ボランティアのみなさんにはハガキ大の和紙の溜め漉きを体験してもらったり、研修報告を聞いてもらったりした。保存会員が、卒業証書用紙の溜め漉きの実演を見せということで、私が漉いてみたが、1度だけにとどめ、大学ボランティアにも1度体験してもらった。



 皮が蒸しあがり、皮むき作業を実施した。枝の一端に切れ目を入れ、皮をつかんで反対側に一気につるっとむく。上手にむけると気持ちいい。学生ボランティアのみなさんには、この作業が最もうけていたよう。楽しんで作業をしてもらった。

 作業が終わり、学生ボランティアのみなさんに再度の参加もお願いしながら解散した後、今回、初めて使ってみることにした先端部分の黒皮を削いでみた。きれいとれ、その下の層にあたる甘皮が現れた。通常は甘皮は取り除く。しかし枝の先の皮は薄い。甘皮を残し、塵入りの紙を漉く際に利用するなど、その利用方法も今後考えていきたい。

 次回12月6日から、本格的な刈り取り作業が始まる。


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