最近アメリカ政府で、ある懸念事項が持ちあがっていることが明らかになった。小惑星が地球に衝突する可能性について、ホワイトハウスの科学技術政策局長官がレポートを提出したというのだ。1998年に小惑星衝突を題材にした映画『アルマゲドン』が大ヒットしたが、今回のレポートはその架空の話が現実に起こりうる可能性を示唆している。
ホワイトハウス科学技術政策局長官のジョン・ホルドレン氏は、下院科学技術委員会に10月15日、10ページにわたるレポートを提出した。それによると、「NASA(アメリカ航空宇宙局)は、地球に接近する小惑星をいち早く発見し、衝突を避けるための努力をし続けなければならない」と警告している。また、「小惑星が地球に衝突する危険性は十分に考えられるものであり、そのような事態が発生した場合には、アメリカの国内関連部門はもとより、世界中が協力して安全を確保しなければならない」と強調しているという。
このレポートを提出した理由についてホルドレン氏は、「たとえアメリカに小惑星が飛来する危険がなかったとしても、我々は現在、宇宙開発の世界的なリーダー国である。仮に他国に小惑星が飛来したとても、我々が重要な役割を果たさなければならない」として、積極的にリーダーシップをとるべきと考えているようだ。
実は最近、NASAでも同様の動きがある。諮問協議会は「プラネタリー・ディフェンス・コーディネーション・オフィス」という部署を立ち上げる準備を進めているという。この部署は、小惑星や彗星の脅威について専門的に情報収集する機関である。10月1日現在、NASAは直径1キロ以上の小惑星を約1050個発見しており、それらの軌道を分析している。そのうち149個の惑星が、地球に接近する危険性を有しているという。これらが今後100年以内に地球に衝突することはないそうだ。
しかし問題は、直径1キロ未満の惑星についてである。現在、これらの小惑星は6416個確認されているのだが、推測ではこの数は全体の5パーセントにすぎないという。つまりもっと多くの小惑星が宇宙に浮遊しており、それらのうちのどれだけの数が地球に接近する可能性を持っているのか現段階では不明なのだ。地球への軌道を持つ小惑星が存在することも十分に考えられる。
もし仮に小惑星が地球に衝突した場合、一部の生物は絶滅し、大規模な地殻的な変化が起こると予想されている。また都市部に衝突した場合には、都市は一瞬で灰になるという。
いずれにしても、正確な情報を国家間で共有し、安全を最優先するべきことに変わりはない。ちなみにオバマ大統領は2025年までに、小惑星への有人探査計画を発表しているそうだ。有人探査では、小惑星が地球に飛来するのに備えて、小惑星の軌道を変更する予行演習も行われるという。まるで『アルマゲドン』の内容そのものの。映画の世界が現実のものとならないことを願ってやまない。
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(MSNトピックス、ロケットニュース24、http://topics.jp.msn.com/life/column.aspx?articleid=433099)