現代日本人文芸

現代に生きる日本人の文芸です。小説、エッセイ、俳句、短歌、川柳、現代詩、日本の伝統文芸を愛し新しい日本の文芸を創作

現代日本人文芸:二宮正治小説:誰が日本で一番最初に女性総理になるか:第4回

2016-08-10 01:44:43 | 日記

「野田聖子先生が閣外にいるのを見るのが辛くてね」

 ベテラン支持者がこう言うと、

「今丸川珠代先生が担当している五輪大臣は野田聖子先生がやればよかった」

 別の支持者が言う。

「ホントよ。小池百合子先生と丸川珠代先生は仲が良くないもんねえ。激突しなければいいが」

 女性支持者が心配そうに呟く。  

若い男性秘書が、

「東京五輪が近づけば、野田聖子先生の能力を必要とする時が必ず来ますよ」

 自信をもって発言した。

別の若い女性秘書が、

「東京五輪を見に来る人々の宿舎の問題とか交通の便の問題とか野田聖子先生の知識が大いに役に立つ時がね」

 にっこり笑ってこう言った。

みんな野田聖子の総理としての能力を高く評価している。

 


現代日本人文芸:二宮正治小説:誰が日本で最初の女性総理になるか:第3回(フィクション)

2016-08-09 09:04:20 | 日記

「私には誰にも負けない地方とのパイプと人脈があるの」

 野田聖子は自分の支持者にこう漏らした。

「野田先生、それ自慢になりませんよ。石破先生も石原伸晃先生も地方とのパイプを売りにしていますからね」

 昔からの支持者が心配そうにこう言う。

「野田聖子先生、内政はおそらく先生の右に出るものはいないでしょう。男性議員も含めてね。だしかし、総理大臣には外交の手腕も必要とされませんからねえ」

 違うベテランの支持者が自分の意見を言う。

「私、外交も強いのよ。知らないの」

 野田聖子は自信を持ってこう言う。

「国民がそれを認識していますかねえ」

 この言葉に野田聖子は言葉が返せない。

「うーん」

 と天をあおぐ。

「総理になるにはうねるような国民の声がないと」

 違うベテランの支持者が自分の思いを言った。


現代日本人文芸:二宮正治小説:誰が日本で最初の女性総理になるか:第2回:この物語はフィクションです!

2016-08-07 07:45:23 | 日記

「私はまるで大奥でお殿様に愛されなくなったお姫様のようだ」

 野田聖子は自分の境遇をこう表現して自分で吹いた。

「哀れだ」

 この思いがよぎった。

「でも私は負けない。必ず私に追い風が吹く」

 野田聖子はこう信じている。

「私にはキャリアがある。地方をコントロールさせたら、まず私のものだ」

 自分の仕事に自信を持っている。

実際アベノミクスの最大の弱点は、

「地方の盛り上がり」

 これに欠ける事である。

日本の地方の経済は一向に良くならない。

野田聖子は呟く。

「私が総理になったら、必ず地方を蘇らせる」

 この言葉は自信に満ちていた。


現代日本人文芸:二宮正治小説:日本で誰が最初の女性総理になるか:第一回(フィクション)

2016-08-06 07:41:15 | 日記

 野田聖子は小池百合子の都知事誕生のニュースを聞いて大いに喜んだ。

「日本もこれで変わる。次は私が日本の総理になる番だ」

 だれにもこの思いを漏らす事はなかったが、

「日本で最初に女性総理になるのはこの私だ」

 この自負心を持っている。

「ただ、私は安倍総理にウケが良くないからなあ」

 これが野田聖子の悩みのタネだった。

「冷や飯街道の野田聖子か小池百合子か」

 こう言われていたのだ。

小池百合子が今東京都知事になった今、

野田聖子だけ取り残されるわけにはいかない。

「このまま冷や飯を食い続けたら、稲田朋美や森まさこに追いぬかれてしまう」

 野田聖子はまだ日本で初めて女性総理になる事をあきらめてはいない。

この物語はフィクションです。登場人物は敬称略。


現代日本人文芸:二宮正治小説:小池百合子の思い:第六回(この物語はフィクションです)

2016-08-03 05:58:52 | 日記

 初登庁を終えて自宅にもどった小池百合子は、

ゆっくりするまもなく今後の段取りをつくる事に追われていた。

都庁では歓迎するものもいれば、冷たい目を向けるものもいる。

「私は負けない。特に自民都議連には。一票を投じてくれた人達のためにも負けるわけにはいかない」

 この思いで一杯だった。

そんな時小池百合子の脳裏には高校生の頃流行ったフォークシンガー岡林信康の友よ」という唄が蘇ってきた。

「友よ夜明け前の闇の中で、友よ戦いの炎を燃やせ」

 この歌詞で始まる歌である。

「夜明けは近い、夜明けは近い」

 この歌詞のところに来た時、

小池百合子の目には涙が。

「東京の夜明けを私が演出する」

 ゆるぎない自信をもっているのだ。