現代日本人文芸

現代に生きる日本人の文芸です。小説、エッセイ、俳句、短歌、川柳、現代詩、日本の伝統文芸を愛し新しい日本の文芸を創作

現代日本人文芸:二宮正治小説:小池百合子をひとりで歩かせてはならない:第89回:フィクション

2017-01-08 03:28:53 | 日記

「豊洲移転問題や五輪移転問題が一段落ついたら小池百合子都知事には東京の格差問題に取り組んで欲しい」

 Nはこう言って仲間を見た。

「そうだなあ、東京に限らずこの日本の国いや世界のどの地方でも格差は広がっている。東京は世界に先がけてこれに取り組んで欲しいよね」

 仲間のひとりがこう言うと、違う仲間が、

「東京は人気のある区とそうでない区の差がだんだんひどくなる」

「うん、今に老人だらけの区と若者で賑わう区に分かれるかもしれない」

 みんなこの言葉にため息を付いた。

もうすでに東京はその兆候を見せているのだ。

Nはみんなを見て口を開いた。

「それと世界の人々は東京の下町は素晴らしいと言っている。下町人情をこの世が続く限り残したい」

 この言葉に下町出身のNの仲間は涙ぐんでいた。

またNが口を開く。

「小池百合子都知事には相撲を愛して欲しいよね。東京で開催される時は一回でいいから観戦して欲しい。東京都言わず全国規模で盛り上がるよ」

 この言葉にみんな拍手をするのだった。