ケセランパサラン読書記 ー私の本棚ー

◇『10代の本棚 こんな本に出会いたい』 あさのあつこ編著  岩波ジュニア新書

本棚の埃払いをしていたら、こんな本をみつけた。

 

目次です。

 

10代、ねぇ……と思う。
時代というか年代が大きく違うせいか、殆ど読んだことがない本ばかり。



私の場合、10代前半と後半では、まるで読書傾向がちがった。

前半、中学生までは、翻訳物ばかりだった。
なんといっても『世界文学全集』少女だったからね。


印象的なのは、『嵐が丘』と『ジェーン・エア』。
イギリスの、あのドルイド的というのか、ケルト的というのか、そういう雰囲気と、荒れ野のヒースが寒風に吹きすさぶ風景に、すっごく憧れたものだった。
『嵐が丘』は、定期テストにぶつかっていて、試験勉強もせずに読んでしまい、テストは散々だった記憶がある。

そうそう、開高健の『ベトナム戦記』も強烈な印象が残っている。

 

10代後半は、高校生になり、まぁ進学校じゃない暢気な私学だったので読書三昧の日々だった。
やっぱり、衝撃だったのは大江健三郎の『死者の奢り』に『セヴンティーン』、野坂昭如の『アメリカひじき・蛍の墓』かな。
本屋で『文藝春秋』を立ち読みしたら、野坂の芥川受賞の言葉があって、「これで借金を返せる」と書いていたことを、妙に覚えている。

ああ、それと、遠藤周作の『沈黙』を読んで、作家があの本屋さんの平台に積まれている『狐狸庵閑話』の遠藤周作と同一人物と知って、その意外性にとても驚いたものだった。因みに『狐狸庵閑話』は1冊も読まずじまいだった。
そしてその『沈黙』が、昨今、映画もリメイクされて大評判になっていて、文学の普遍性っていいなとつくづく思った。


トルストイの『復活』に、ヘミングウェイの『老人と海』とか、メルヴィルの『白鯨』、ホーソンの『緋文字』それにカミュとか……。
あの頃から、ディケンズは好きだったなぁ。
そうそうサガンを読んだのも高校生だった。
なんといっても、やっぱり高橋和巳かな。

私の場合、10代って、ひとくくりにするには、殆ど、無理です。

この時期の10年間は、とてもなんだかんだと密度が異常に濃くて、いっつも酸素欠乏症的だったような気がする。

でも、振り返ってみると、案外人生の方向性を暗示するような本を読んでいるものだと、今更、気付く。

 

 

 

 

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