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地域経済を元気にするためのヒントを、人との出会いと経営学の2つの視点から考えるブログです。

製品・商品・作品

2009年02月27日 | 経営に学ぶ

製品・商品・作品・・・
どれも似たような使われ方をしていますね。
厳密に言えば、「工場などで生産されたモノ」を製品、「お店に並べてお客様に販売するモノ」を商品、そして芸術家などが、「売る」ことよりも「自らの創作意欲を満足させるために創作するモノ」を作品といっている場合が多いようです。

どうしてこんなことが気になったかといいますと、最近読んでいる漆器関係の本に、ちょっと気になる記述があったからです。
輪島市長を務めた五嶋耕太郎さんの口癖の紹介なのですが、
 
 うちで扱うのは値下げをして売るような『商品』じゃない。品質第一の『作品』なんや
    (『漆はジャパンである』北国新聞社編集局編、時鐘舎P20)

というものです。

そこで、まったく自分勝手なのですが、次のように考えました。

  製品 : プロダクト・アウトの視点
  商品 : マーケット・インの視点
  作品 : 商品に対する作り手・買い手相互の思いいれ(愛着)が強いもの

ここで「プロダクト・アウト」とは、作り手(生産者)側からのモノづくりの発想です。
一方「マーケット・イン」とは、買い手(消費者)のニーズに応えるという発想です。

もちろん、作り手を忘れて顧客の顔色ばかり伺う「過度のマーケット・イン」の商品では困りますし、顧客の視点を忘れて、作り手の思いばかりが先行する「過度のプロダクト・アウト」の製品でも困りますね。

そこで第3の視点として、「作品」という区分があるのかもしれません。つまり最近注目されている生産者(販売者)と消費者(顧客)の協働によるマーケティングです。

もちろん、これは何も新しいことではなく、ルネサンス期のレオナルド・ダ・ビンチやミケランジェロなどの芸術家の時代も同様です。彼らはなにも趣味やボランティアで、芸術作品を作っていたわけではありません。彼らに注文する「パトロン」がいたわけですし、代金も支払われました。
けれども、世間の人々は名画「モナ・リザ」や彫刻「ダビデ像」を決して「製品」や「商品」とは言いません。これは製作者と購入者の相互の思い入れが強いので、「作品」と呼ばれているのではないでしょうか。

同じことは、最近注目されている(株)朝日電機製作所の「九谷焼USBメモリ」や
「山中漆器USBメモリ」にも言えるような気がします。
http://asahi-ew.co.jp/dentou/index.html
私はこの商品は、「製品」や「商品」というよりは、むしろ「作品」に近いでは、と考えています。九谷焼や山中漆器の職人さん、そして朝日電機製作所の人たちの熱い思い、そして決して安くはないお金を払ってでも購入したい、という人の思い・・・
そして顧客の要望がどんどん取り入れられて、さらに進化していけば、立派に「作品」となるように思います。

最近の新聞に「九谷焼腕時計」をデザインしたデザイナーの記事がありました。こちらも、価格は10~25万円と高額です。それにもかかわらず、中高年を中心に好評だとか。
この方は何と、私の勤務する学校の近所に事務所を構えておられるそうです。ぜひ、お会いしてお話を伺う機会があれば、と思っています。こちらもまた、「作品」に近いものではないでしょうか。

これから先の商品開発やマーケティングにおいて、作り手と買い手がお互いにコミュニケーションをとりながらモノを作り上げていく「協働型マーケティング」としての「作品」志向も大切だと思うのです。


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