
地元・加賀市の隠れた(?)名所を巡る旅。今回は先日訪ねた地元加賀市・山代温泉の「はづちを楽堂」のご紹介です。「はづちを」とは変わった響きですが、300年の歴史を持つ加賀前田藩お抱えの狂言師の家系の8代目当主、野村万之丞氏が名付け親。山代温泉の中心に位置する服部神社の祭神・天羽槌雄神(アメノハヅチヲノカミ)から採ったそうです。ちなみに、天羽槌雄神(アメノハヅチヲノカミ)とは、「神話“天の岩戸伝説”でアマノウズメノミコトが舞を披露したとき、身にまとった布を織ったといわれる神様」だそうです。いろいろと歴史を感じますね。
さて、この「はづちを楽堂」ですが、地域交流の拠点としてNPO「はづちを」が運営する施設です。この団体は、地元住民の方々が設立した非営利組織(NPO)で、地域のコミュニケーションをサポートすることが目的とか。詳しくは、「はづちを楽堂」のHPでご覧ください。
http://www1.kagacable.ne.jp/~hadutiwo/
私がここを訪れたのは2度目。一度目は先日(3/30)のブログに書いたように、山本長左先生のインタビューで教えていただいた「マグネット付きの九谷焼」を探しに出かけたときでした。その時は時間がなくて、目的のものを購入してすぐに店を出たのですが、それ以来「はづちを楽堂とはどんなとこ?」と興味津々、それで今回は時間をかけてしっかり見てきたわけです。
さてその場所ですが、山代温泉の中心にある総湯(現在新築中です)のすぐそば、本当に温泉街の一等地です。その敷地内に甘味処「はづちを茶店」や特産物店の「丹塗り屋」、それに各種イベントが行われる集会施設の「寿座」といった建物が並んでいます。
まずは「先日マグネット付き九谷焼」を買い求めた「丹塗り屋」へ。落ち着いて店内を見渡すと、九谷焼だけでなく、山中塗や石川県各地の名産品が品よく並んでいるではありませんか。その一角に何と、これも先日(4/7)のブログで紹介した山中漆器・喜八工房(酢谷喜輝さんのお店)のコーナーが!う~ん、酢谷さん、頑張っていますね!もちろん、九谷焼の山本長左先生の妙泉陶房の作品も並んでいます。私が買い求めたマグネット付きの九谷焼といった生活雑貨的なものではなく、本格的な九谷焼の作品です。「欲しい!」と思った素敵な器もあったのですが、残念ながら私の財布の中身とつりあいませんでした。
次にその店を出て、お向かいの甘味処「はづちを茶店」へ。ここではお店自慢の「草餅ぜんざい」(加賀棒茶付)600円を注文。上記のはづちを楽堂HPに「はづちを茶店案内」のコーナーがありますから、のぞいてみてください。写真で見るだけでも、満足できるメニューばかりです。(と言ってみているうちに、私ももう一度行きたくなってしまいました・・・)
敷地内には他に、いろんなイベントが行われる「寿座」と呼ばれる建物もあります。こちらも温泉街の景観にマッチした美しい建物です。ここでは、「おもしろ山代塾」としてつきに2度、陶芸教室も開かれているそうです。私も挑戦してみたいものですが、参加者はほとんど女性のようで、恥ずかしがりの私にはちょっと・・・女性の方は、どうぞ奮って参加してみてください。
かつてバブル経済が華やかな頃、温泉地の旅館・ホテルはどこも多額の投資をして豪華な施設・設備の拡充にしのぎを削っていました。週末になると、団体客を満載した観光バスが何台も駐車場にあふれていたものです。山代温泉も例外ではありません。豪華なホールや大浴場、そして大宴会場を備えた旅館・ホテルがいっぱいでした。その旅館やホテルにはおみやげ物コーナーもラーメン屋、寿司屋、スナックにカラオケルームまで一式揃っており、一度旅館やホテルに入った観光客は温泉街を散策することもなく、翌日にはまた、潮が引くようにバスを連ねて引き上げて行ったのです。そんなわけで、温泉街は寂れるばかり・・・
ところがその後、バブルがはじけて団体客が激減。その一方で家族連れ、友人連れ、そして男女のカップルといった少人数のグループ旅行が主流になると、バブル当時、多額の投資をしてお客を囲い込んでいた旅館・ホテルがその変化に対応できなくなり、破綻するところが続出するようになったのです。あるところは県外資本に買収され、あるところは廃業し・・・いずれにしても、温泉街はますます寂れていく一方。
そこで地元の有志が立ち上がったのです。「自分たちのふるさとは、自分たちで盛り上げよう!」と、いろんな団体が生まれました。そのひとつが、加賀市から委託され、この「はづちを楽堂」を運営しているNPO「はづちを」なのです。そして、ここを拠点として、『二十一世紀は“心”が豊かさを支える』、『高齢者と児童』の2つをキーワードに、地域のコミュニケーションを図っているのです。
今回私は、施設(ハード)の面からこの「はづちを楽堂」を見学してきました。次回は催し・事業(ソフト)の面から、この町おこしの拠点を見てみたいと思っています。
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