教室の窓から経営学が見える

地域経済を元気にするためのヒントを、人との出会いと経営学の2つの視点から考えるブログです。

100年企業の新しい挑戦(後編) ~ありたい姿を考える~

2010年09月02日 | 経営に学ぶ

さて、午前中に社員食堂やショールームを拝見した後、午後からはいよいよ工場の見学です。同社の製品である食器の生産ラインを案内していただきました。参加者3人に案内の方が1人という小グループに分かれて行動です。私たちのグループは同社の滝本さん(執行役員・研究開発部長)が案内役。これも普通の工場見学にはない贅沢なコースです。

生産ラインは企業の技術の粋が集まっているため、写真撮影はできません。そのため、雰囲気をお伝えするのは難しいのですが、それでも驚きの連続で、参加された皆さんもすっかり夢中。質問が相次いだようで、なかなか戻ってこないグループも・・・戻ってきた会場でも、さまざまな質問が飛び交いました。

熱い思いを語る(株)ニッコーの滝本執行役員(左)と宮鍋取締役(右)

ものづくりに対する同社のきびしい姿勢は、生産ラインでの「マイスター制度」にも現れています。社内の選考委員会で選び抜かれた熟練技能者には、「マイスター」の称号と待遇が与えられるとのこと。同社の宮鍋取締役は、この制度の導入に当たっての思いを次のように語っておられます。

マイスター制度では、世代によって異なる特長が活かせるように考えています。選考の基準は3つ。ひとつは「すばらしく速い」こと。これは若い人でも可能な条件です。次に「すばらしく幅が広い」こと。これは歳を経ることによって技能の幅が広がってくることから、中堅の方が主な対象になるでしょう。そして3つめは「次の世代に技術を伝えられること」。歳をとると、たしかにスピードは若い人にかなわなくなるかもしれませんが、それまでに蓄積した技術の伝承ということで十分人のお手本になれるからです。ですから、この条件は主にベテランの方が対象になるでしょうね。

このように、同社の「マイスター制度」では、どの世代の方でも頑張れば選ばれる可能性を持ったシステムになっています。社員のモチベーションを高めること。「人財」という言葉がありますが、まさに人は財産なのですね。

真剣な表情の皆さん

さて、いよいよ最後はいくつかのグループに分かれてのグループディスカッションです。テーマは「ニッコーに期待するもの」。創業以来100年を迎えようとしている同社に対して、今後どのような進化を遂げてもらいたいか、参加者が自由に意見を出し合います。そしてグループごとに意見をまとめ、全員の前で発表するのです。短い時間内で討議から集約、そして発表までこなさなければなりませんが、その分密度の濃いディスカッションができました。

ところで、今回のグループディスカッションではちょっと変わった試みが・・・それは「今回の体験交流で学んだこと、感じたことを五七五の俳句調で一言に表現する」というものです。(株)ニッコーさんのある白山市は、「加賀の千代女」で有名な俳句の町。「思い」を「言葉」で表現することは、文学の世界だけではなく経営革新の世界においても、とても大切なことなのですね。それでは、それぞれのグループで出された名句をご紹介しましょう。

【Aグループ】(松本、清水、木谷、畑中)

 ・ニッコーに来てみてわかる 大きな器

【Bグループ】(木村、毛利、西村、村松、平野)

 ・あらためて つぼを押さえて スキルアップ

 ・焼き入れて 皿なる戦略 ブランド化

 ・ブランド化は 戦略生産で 足元見て

 ・いつまでも 身近にありたい ニッコーぞ

 ・新しい イメージ作って 販路開拓

 ・食器まで 美味しい企業は ニッコーだ

【Cグループ】(滝川、渡辺、砂崎、江幡、滝本)

 ・和と洋の 良さを生かして 革新を

 ・日本から 機能と感性 発信す

 ・商品を 機能感性の 融合で

 ・洋と和で 貫き導け 潤生活

 ・国内に こだわる強みが 技術へと

こうして工場見学や社員食堂体験、そしてグループディスカッション等、盛り沢山の内容に時間を忘れて皆さんとひとつになれた「熱い」時間が過ぎていきました。私にとって、この交流体験に参加させていただいたことは、この夏のすばらしい思い出です。企画してくださった『いしかわMOTシンジケート』幹事の砂崎さん、私たちを温かくもてなしてくださった(株)ニッコーのみなさん。本当にありがとうございました。そしてこの体験交流会に参加されたすべての皆さん。今後とも「北陸を元気にする」ために頑張っていきましょう!

今回も、砂崎さんと清水さんから写真を提供していただきました。どうもありがとうございました。

【エピローグ】

体験交流会の楽しみの一つは、勉強会の後の「わいがや交流」。その名の通り、お酒を酌み交わしながら「わいわいがやがや」いろんな思いをぶつけ合います。フォーマルな場ではなかなかいえない突拍子もないアイデアや意見も、こうしたインフォーマルな場から飛び出してくるのです。もちろんお酒が飲めない人も大丈夫。熱気に「感染」して、十分テンションが上がりますからね・・・(笑)

 

 


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