
4月に入って初めての週末。低気圧の影響で暴風雨が心配されましたが、皆さん大丈夫でしたか?
私は県庁のすぐ近くにある大型書店ビーンズで開催された高野登さん(リッツ・カールトン前日本支社長)のセミナーに参加するため、石川県最南端の加賀市から大都会・金沢に上京(?)していました。
リッツ・カールトンの高野登さんと言えば、世界の一流ホテルでホテルマンとして活躍され、その後はリッツ・カールトン日本支社長として同社の日本でのホテル展開に貢献。2009年に退社後は、「人とホスピタリティ研究所」を開設して日本各地で「おもてなしの心」、「ホスピタリティ」についての講演を積極的にこなしておられる方です。
さて、当日はお昼前に金沢に到着。講演会の前に早目の昼食をと思ったのですが、せっかくの機会なので先日のKCG(カナザワ・コンサルティング・グループ)の勉強会でご一緒した田辺哲朗さんが店長を務めておられる、 新神田にあるとんかつ店「かつや」に行ってきました。
「かつや」といえば、全国各地で直営店・フランチャイズ(FC)店を展開するとんかつ専門店。日本人にとっては昔からなじみのある「とんかつ」を、「もっとおいしく、そして安く」提供することを目指して、全国で店舗を展開しています。石川県でも金沢に3店舗がFCとして営業中。今回はそのうちの一つ、新神田店を店長として切り盛りしている田辺さんのお店を訪ねました。
実は、田辺哲朗さんとはKCGの3月例会が初対面。たまたま同じグループになってワークに取り組んだのですが、若いのにとても熱心な方でした。その折に頂いた名刺の表面には、「(有)竹上建設 外食事業部長」という肩書が、そして裏面には「とんかつ『かつや』新神田店」のロゴマーク!
そうです、田辺さんは建設会社の社員さんであり、同時に同社がFCとして経営している「とんかつ専門店」の店長さんでもあるのです。
KCGの勉強会の様子(左端が田辺さん)
その田辺さんが店長を務めておられるお店は、金沢市新神田にある国の出先機関が入っている第2合同庁舎のすぐ近く。マクドナルドの向かいにありました。日曜日のお昼ということで、平日多いと思われるサラリーマンはほとんどおらず、家族連れや男女のカップル(年齢は問わず)がほとんど。綺麗で落ち着いた店内は、とてもいい雰囲気でした。
さて、店長の田辺さんはカウンターから見える調理場でお仕事中。お忙しそうだったので声はかけませんでしたが、スタッフの皆さんも感じの良い方ばかりで、リラックスできました。
オーダーは定番のカツ丼(竹)を。とにかく「とんかつ」が厚くてボリュームたっぷり!さっそく写真に撮ったのですが、なんだか怪しい行動に見えたかも・・・(笑)
ボリュームたっぷりの「カツ丼」です
後で伺ったところでは、田辺さんが一生懸命作っておられたのはデリバリー用のお弁当とのこと。入れ替わり立ち代わりスタッフの方(デリバリーの担当?)が出入りしておられる様子も目にしました。
カウンターに置いてあったメニューを拝見しましたが、そこにはデリバリーサービスについても説明が・・・。その配達区域は長町辺りまで入っていて結構広範囲!「こんなところまで配達しているのか」と驚きでした。お店では、デリバリーに力を入れておられるのですね。
ただ、デリバリーは時間と労力の大変かかるシステムです。どのように運用するかで、収益がずいぶん変わってくると聞いています。このデリバリーサービスについては、田辺さんは次のように語っておられます。
当店では、配達用にバイクと車の2台体制で新神田店を中心に半径3キロを目安にエリアを設定させていただいております。私達は、実感としてある程度の売上と利益を確保できているので、「もっともっと」という気持ちは少ないのですが、実際にお客さまの声を聞かせていただくと、「へぇ~、配達もやっているんだ!」という、あまり認知されていないのが現状です。
実は平野さんが見られた、デリバリー用のメニューはその認知度を向上させようと思い、当日設置してみたばかりの出来たて“ホヤホヤ”のメニューで、さっそく見ていただけただけでも幸いでございます。
配達は、リスクを伴うのは確かですが、私が店長として一番嬉しいのは、配達を含めた人員を確保しておくことで店内の急な入客にも対応でき、スピード感ある商品提供を実施することで、店内の入客を向上させることに一役買っていると感じることが出来ることです。私達の仕事は、《美味しさ=客数》ですので、店内、デリバリ-ともに、お客さまの利用が増えることが一番の楽しみであり、モチベーションをキープさせる一番のメリットであると感じています。
ところで、午後からのリッツ・カールトン前日本支社長・高野登さんのお話はとても参考になりましたが、本当は、田辺さんのようなサービス業の方が一番聴きたかったお話でしょうね。でも、サービス業の方は土日はお仕事が忙しいですし・・・そのなかでも印象に残ったのは、「サービスを追求していくと限界があるが、ホスピタリティの向上には限界がない」というお話でした。
たとえば、多くのお店ではいろんなセールをしています。外食産業の場合は特別価格やサービスメニュー、そのほか粗品進呈などはすべてコストのかかる「サービス」です。これを追求していけば、やがてはコストがかさみ、収益を悪化させます。でも、お客様に対する気配りなどの「ホスピタリティ」の向上には、手間暇がかかって面倒かもしれませんが、コストはかかりません。
たとえば、雨の日にレジでお勘定を済ませたお客様に、「ありがとうございました」というのは普通の姿ですが、「雨が強いようですから、お気をつけて!」と一言添えるのは、コストがかかりません。でも、お客様にしてみたら、自分のことを気遣ってくれる気持ちがうれしいのです。
そんなお店には、また知人を誘ってでもまた来たいと思うはずです。高野さんの話からは、いろんな「気づき」をいただきました。私も高野さんの本を何冊か購入し、またCDも買ってしまいました。(おかげで財布は空っぽになりましたが・・・笑)
購入した高野登さんの著書
後日、田辺さんにこの話をしたところ、次のようなお返事をいただきました。
ホスピタリティの精神…とても参考になりました。ありがとうございます。私どものような“ファストフード”業界でも求められている大切な考え方です。私達は日本人ですから、「おもてなしの心」は小さいころから、周りの環境が育ててくれたと思います。“気配り”“心配り”“おもてなしの心”などなど…
されて嬉しいことを、自分発信でやり続ける!というのは店長でも大変だなと感じるわけですが、私達のような、ほとんどの従業員がアルバイトさん&パートさんでの場合は、大変苦労を感じる部分の一つです。もちろん、アルバイトさん、パートさんであっても、従業員と同じように教育しているつもりですが、実際には、先日のKCG例会での“中川先生の朝活の問題”にもあったような、店長が全部、指示出しをしてしまうような悪循環も感じたりしています(汗)
私達の業界は“FFでFRを求められています”FFとは、ファストフードの略で、FRとは、ファミリーレストランの略です。つまり、ファストフードのスピードで、ファミリーレストランのクオリティが求められているという解釈なのですが…ここの一番の壁が、やはり“ホスピタリティの精神”ではないかと思って日々勉強中です。
さすが、田辺さん。すでに「ホスピタリティ」の精神をしっかりつかんでおられますね!
さて、ボリュームたっぷりのカツ丼を美味しくいただいて帰るとき、レジの優しそうなお兄さんに「後で店長に渡してください」と名刺を預けて駐車場へ・・・すると、小雨の降る中を田辺さんが飛び出してきてくれました。(お仕事お邪魔してしまって、すみませんでした!)
店長の田辺哲朗さん
この「かつや」新神田店は金沢市新神田2丁目にあります。すぐ近くにKCGの杉原さん(中小企業診断士・土地家屋調査士)の事務所もあります。杉原さんの事務所の正面の公園はちょうど桜が満開でした。とても環境のいいところです。
公園の向こうに見えるのは新神田合同庁舎
KCGのメンバー・杉原さんの事務所です
以上、とんかつの「かつや」新神田店初体験レポートでした。街角の小さなお店にも、「おもてなしの心」や「ホスピタリティ」の気持ちが溢れていることを感じさせていただいたひと時でした。田辺さん、ありがとうございました!
皆さんも近くに行かれる際には、ぜひ田辺さんの「かつや」をお訪ね下さい。店の奥の方の調理場で一生懸命「心をこめて」とんかつを揚げている田辺さんの姿に、「ホスピタリティ」の精神を学ぶことができますよ!
【参考】かつや金沢新神田店(石川県金沢市新神田2-12-5)
TEL : 076-292-0253 営業時間:11:00~深夜2:00
~「かつや」のHPより~
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